いのちは闇の中のまたたく光だ!

新橋演舞場で新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」夜の部を見てきました☆
宮崎駿原作のマンガ『風の谷のナウシカ』全7巻を昼夜通し狂言で上演しています。
主演の尾上菊之助さんが5年以上あたため続けてやっと実現した企画だそうです、
おめでとうございます☆
チケットは争奪戦どころではなくまさに激戦で、しかも昼と夜それぞれ別々で取る必要があるため
両方取れればよかったのですが発売と同時に完売してしまい;;
戻りチケットも夜の部は何とか取れたけど昼の部はなかなかタイミングが合わず未だに取れていません。。
夜の部だけでも取れたのは奇跡に近いよな…。
ワンピースとかNARUTOもそうだったけど、ヒット作の歌舞伎化あるあるですね^^;

グッズ売り場も賑やかでした。
今回の上演における限定グッズやナウシカのマンガやDVDも販売されていました。
場慣れした人が多かったけど明らかに初めてっぽい人もいて
ジブリのファンも来てくれたのかな~とか、ちょっとうれしかったです。
これを機に古典も見に行ってみてほしい。
客席で原作マンガを広げている人もいて、ナウシカファンの人だと思われますが
歌舞伎ファンなら幕間に突然お弁当広げたり予約したレストランに走ったりするはずですが
えっ食べていいの?みたいにキョロキョロしてたのでたぶん初めてさんだと思われる。
動きが違う人はわかりやすいですね…恐る恐る食べ始めていらっしゃいました。
歌舞伎の劇場怖くないからぜひまた来てね。
あと、わたしの前に座っていた人たちの会話が聞こえてきたんですけど
「今日は1日ですか?」「はい」とおっしゃっていて、すごいな昼夜チケット取れたんだ…!
1日中座りっぱなしで少しお疲れのようでしたけど、でも楽しそうに見えました。

客席に入ったらこんな引き幕がー!
映画『風の谷のナウシカ』のオープニングのタペストリーが引き幕になってる!
(今回のための特注だそうです)

めっちゃ写真撮りまくりました。王蟲かわいいよ王蟲。

巨神兵と火の七日間。

青き衣をまとう鳥の人。

鳥屋。
主演の菊之助さんが宙乗りをするという情報は事前に得ていましたし、
ゲネプロ映像でメーヴェで飛ぶ姫ねえさまが映っていたので
夜の部も飛んでくれるのかな~とワクワク。
以下、ネタバレを含む長文レポ&感想です↓クリックで開きますのでどうぞ☆
(原作マンガのネタバレもしているので原作未読の方もご注意ください)
幕開けは花道からで、種之助くん演じるヴ王の道化がひょいひょいっと歩いてきて
七三でぴたりと止まり客席を見回し、「皆様こんばんは!新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』を上演いたします」
などと説明を始めてしまいました。うわ~!
道化は原作マンガでは最後に少し出てくるだけですけど、この歌舞伎ではかなり出番が増えて
あちこちで説明もしてくれて狂言回しみたいになっていましたね。
「ナウシカの物語はお昼から続いていますが、わたくしも夜の部でようやくお目見え」
「これより皆様を黄昏の世界へご案内いたします」と景気よく挨拶し、
舞台の引き幕を使ってナウシカの世界観や歴史や伝説を解説してくれました。
腐海の説明では王蟲にスポットライトが当たるし、巨神兵の説明では巨神兵に当たるし
「土鬼」や「大海嘯」などのテロップも白抜き文字で投影されて
マンガ読んでる人にはああ、あの場面から始まるのねってわかるし読んでない人への解説にもなるし
マンガ読んでなくて映画だけ見てる人もわかりやすいんじゃないかと思いました。
映画とは違うお話をやるよ、というのもわかりますしね。
道化の説明が終わって幕が開くと登場人物紹介が始まります。
クシャナ、クロトワ、ユパ、アスベル、ケチャ、チャルカ、ヴ王などひとりひとりが奈落や舞台奥から登場してきて
七五調で自己紹介して名乗っていくのはワンピース歌舞伎みたいだと思ったし
何よりお衣装が、原作を踏まえながらもきちんと歌舞伎デザインになってるのが最高でした。
すごいすごい、ナウシカキャラがみんな歌舞伎の衣装着てる!
髷を結ったヴ王の名乗りの溜めがすごくて「ヴ~王~~!」みたいに聞こえました。歌六さんすごかりし。
クシャナの兄たち、つまりヴ王の3人の皇子は赤と緑と黒の頭巾をそれぞれ被った衣装で
なるほどこうやって区別する方法がありましたか、などと。
マントの下に日本刀帯びてるユパ様も、ポニテで牛若丸みたいなファッションのアスベルも、
お坊さんの格好に袴履いてるチャルカも、甲冑に陣羽織着てるクロトワもみんな
ああ、確かに歌舞伎に置き換えたらこうなるなっていう説得力がありました。
何よりかっこいいのがクシャナ殿下だよ!!!完全に解釈一致。
七之助さんは可憐な女性役がものすごく上手いけど凛々しい女性を演じても何故こんなにハマるのか…
立っているだけで凝視させられるし何してても華がある。かっこよかった。
そして最後に、舞台がくるりと回って姫ねえさまこと菊之助さんのナウシカ登場!
「わたしはナウシカ」と名乗った声がすごく高くてあっこの人16歳の少女だ…!ってなったし
ちゃんと土鬼の青い服を着てらっしゃいましたよ~~~完全再現すばらしい☆
でもってここで久石さんの映画音楽(鳥の人)が流れるの最っっっ高か!!+゚+。:.゚(*゚Д゚*).:。+゚ +゚
久石音楽は和楽器でも違和感ないですね♪
ナウシカの後ろに紗幕が下りて「風の谷のナウシカ」(鈴木さん筆)とタイトルが表示されて
客席からワーッと拍手がおこりました☆
夜の部だけ見る人にもちゃんと親切な演出になっていてよかったです。
「大海嘯を止めるためにこれから南の海へ参ります」というナウシカの後ろに、黒子さんがひょこっとやって来て
何かと思ったらテトを連れてた(笑)。テトはぬいぐるみちゃんなんですね。
ナウシカの肩に乗って、なでなでしてもらってかわいい^^
長銃を持って南の海をめざして歩いていくと、砂漠の中に日本家屋(!)が建っていて
緑の服を着た男の子がついっと出てきます。
「あなたは誰」「チクク」。チクク来たーーーーーーーーーーっっかわいい!(゚∀゚)☆
緑色の衣装でちょこまかよく動いて、ちゃんと宮崎駿作画みたいな子だった…かわいい…。
(部屋子の子役さんがダブルキャストで演じているそうです)
ということは、あの日本家屋の中にいるのは上人様…??と思っていたら
チククが「案内(あない)する」と言って、御簾が上がって赤いお袈裟をつけた人がご登場!
なるほど歌舞伎に置き換えると上人様はこうなるのか…なるほど…。
上人様がナウシカに大海嘯について伝えてチククも一緒に行くことになるのは原作通りで
上人様が亡くなるシーンはカットされてましたが
花道を行くナウシカを「風がきた。猛々しい風が」という言葉で見送るシーンがあってよかったです。
細くて小さな体でも力強く見えた上人さまでした。橘三郎さんの熱演。
ミラルパの戦艦が目だらけでびっくりした。。
いや、原作マンガでも目だらけですけども!ビジュアル化されると余計にびっくりしますな。
赤とか金色とか強烈な色彩も相まって不気味でした…マンガに色がついていたらこんな感じだったのかな。
歌舞伎で悪役のしるしである青い隈取をしたミラルパは見るからに顔色が悪そうで
きっと昼の部で力を使い果たしちゃったんだろうな…。
みっくんの苦しそうな、でも鬼気迫る演技がビリビリ伝わってきました。すごいよ。
とにかく民を守らなくっちゃと頭を悩ませているチャルカさんのもとに部下が来て
粘菌発明したのでこれを使えば腐海も蟲も一掃できますよって言うんですけど
「で、一掃された世界が元通りになるまで何年かかる」「10年?」「バカヤローッ」のやりとりが
原作の説明部分をうまくまとめているなあと思いました。
もうチャルカさんすっごい好き!錦之助さんめっちゃハマってました。
このときの彼はたぶん昼の部を経て更生されてるので話がわかるの早いんですよね~。
(彼は自分の生きてきた世界が間違ってるかもしれないと疑って、違う世界から来た人の話を聞ける人なのだ)
で、別の部下が「これは枯れるのが早いから大地が元通りになるのも早いです」って
改造した粘菌を持ってくるんだけど、
透明ケースの中にめっちゃきもちわるい色のリアルな粘菌ちゃんが蠢いていてウエッてなりました。
あれが爆発して支えきれなくなって地上に落っこちてもっと大きいのにパクってされちゃう粘菌か…。
まあ案の定、その後のシーンでそうなっちゃうんですけども
それをビジュアルで再現するのはさすがに難しかったらしく、
チャルカさんや部下の人たちが客席の方を見ながら目撃して指さしたりしていて
BGMと照明と爆発音で説明する、みたいな演出になっていまして
マンガを読んでるわたしは脳内補完ができたけど読んでない人には伝わったかな?
ってか、ここまでのセリフで原作マンガの世界の用語が連発されまくってるんですが
読んでない人ついてこれてたかな大丈夫かな??
わからなかったらマンガ読んでね!(ダイマ)(丸投げ)(ここの説明はマンガがないと難しいんです)
粘菌の暴走で炎に包まれる戦艦に、ナウシカとチククが辿りつくんですが
なんと姫ねえさま、鳥屋からメーヴェに乗ってご登場!!!
わ~~~ここで宙乗りですか☆
久石さんの音楽でメーヴェに揺られて飛んできた姫ねえさまめっちゃ神々しかったです…!
乗るだけじゃなくスッと立ったお姿も見られて感動しました…素敵…(*´︶`*)。
そこへ甲板に出現したミラルパの生霊がナウシカに向けてビームを放ったのでメーヴェが飛ばされて
(ここでナウシカが「あっ、メーヴェが!」と叫ぶのですがめっちゃ高い声でした。どっから出てるんだ)
ミラルパの闇ビームに捕まって宙に浮いたままもがくナウシカと
超能力で引き寄せようとするミラルパの攻防が…すごい…!
(メーヴェはそのままバックして翼を折り畳まれて鳥屋にしまわれていきました。シュールだった)
ミラルパはさらに攻撃してきますがチククが吹き矢を放ったら倒れてしまって(弱!)、
何とか助かった2人はチャルカさんのところへ行きます。
粘菌が地上に落ちてしまって土鬼の国をがんがん飲み込んでいくので蟲たちが集まってきていて
このままでは大海嘯が起きてしまうので止めるためにナウシカは飛び立っていきます。
(ここでチククが「疲れた、もう眠い」ってパッタリ倒れて眠っちゃうのかわいかった^^
そのままチャルカさんに預けられました)
培養液の中で治療しているミラルパのところにナムリスがやってくるシーン。
実はこの皇帝兄弟、巳之助さんが1人で演じているのですが
最初はミラルパに扮して培養液の中にいたのに、いつの間にかナムリスに早変わりして登場したから拍手!!
(一瞬だけミラルパが治療器の中に沈むシーンがあって、そこで代役の人と入れ替わったんだろうか)
ミラルパはヘトヘトだったけどナムリスはめっちゃ元気でコンプレックスのかたまりで
顔も白塗りだからイケメンの証だし、培養液に毒素を混ぜてミラルパをあっさり殺しちゃうし
復元中の巨神兵を見て高笑いをあげるシーンは本当に高い声での嘲笑がすごかったです。
みっくん…あなたそんな声も出るのね…!!劇場が震えあがったよ。
「巨神兵よ愛い奴じゃ」とご機嫌なナムリスはヒドラを4体呼びよせまして
これがまた一つ目なとことか、サボテンみたいな緑の体とか、きちんと再現されたヒドラなんすよ…!
大きいから中で動かしてる人たち大変だろうなあ。。
花道から第三軍とクロトワ、そしてクシャナ殿下がご登場なさったときの雰囲気が
序盤なのにクライマックスのようで客席から大きな拍手!
一番最後に登場したのにもう釘付け、金髪に紫のマントという目立つ衣装だからってだけじゃなくて
目が勝手に追ってしまうというか、ひとりで客席の視線ぜんぶ持っていくパワーがあったと思います。
「醜く肥えた豚共に情けは無用」のセリフもこの方が言うとエレガンスに聞こえる不思議さとか
「本国に帰還するため船を奪うぞ、者ども続け!」とマントをバサー!やるかっこよさにビリビリきちゃって
あああああ殿下~~~もっと命令してぇ!って頭を抱えそうになりました。
つかそこに立ってるのは確かに七さんなのにときどき榊原良子さまの声で聞こえたよ…(幻聴)。
七さんの声ってなんであんなに劇場に響き渡るんでしょうか…誰か七さんの声帯研究して…。
(あと、もしこれがマンガではなく映画の歌舞伎化だったらこのクシャナ殿下の「焼き払え」が聞けたのかと思うと
脳みそがあさっての方向に飛んでいきそうになった)
再会した兄貴にお母さんをバカにされて「母上を侮辱するな!」と一喝する姿も
蟲に攻撃されたクロトワを受け止めて抱える姿も
蟲におびえる部下たちに「絶対に動くな、口もきくな」と指示する姿も
クロトワにからかわれてパッと放して剣をくるくるっと納刀する所作も
もう全部全部かっこいい!!!
クロトワとの関係が原作そのままでとてもよくて、あの2人がここにいるって楽しくなったし
かと思えば、兄貴の乗った船が蟲たちに墜落させられたのを呆然と見つめる表情とか
蟲たちにクワッと襲われかけたとき(虫も見得をします)穏やかに「ねんねんころりよ」と子守唄を歌って防いだりとか
心にじーんとくる演技のメリハリですよ。
頭上をすさまじい数の蟲たちが飛んでいる中で部下たちを抱えながら子守唄を歌う殿下…。
もうこのクシャナ殿下ずっと見ていたい…七之助さん本当にありがとうございます。
(あと、ねんねんころりよの歌詞がナウシカレクイエムのメロディで歌われたことにびっくりしました…
あてはめて歌えるんですねあの歌詞とメロディ…)
っていうか!蟲が!!蟲だ!!!!!(/'Д')/
自分でも何を言ってるのかわかりませんがダイオウヤンマもヘビケラもウシアブも
原作からそのまんま出てきたような再現ぶりで完璧だった。
松竹のスタッフはこういう技術が本当に高くて感動します。
蟲はナウシカの世界にとって第二の主役ともいえる存在なので…リアルに作ってくれてありがとうございました。
ウシアブがあのクオリティなら昼の部の王蟲とかどんな再現なんだろう。気になります。
あああやっぱり昼の部も見たい!カマキリ先生の王蟲の声聞きたい←
蟲たちが去ってホッとしたのもつかの間、ナムリスのヒドラたちがわらわらとやって来て
クシャナ殿下が連れ去られてしまうのですが、ここでユパ様とアスベルとケチャが合流!
ユパ様は配役を聞いたとき「お若いユパ様だな…」なんて思ってたんですが
実際に戦うユパ様を見てたら過去の自分を殴りたくなった。
ちゃんと強くてたまにユパ飛び(腕をクロスするやつ)したり、マッティさんめちゃくちゃユパ様じゃないの!
大きな帽子とマントの下が着物に袴履いててもちゃんとユパ様ですよ。ありがとう。
右近くんのアスベルも顔がいいしよねこさまのケチャも気が強くてめっちゃケチャ。かわいい。

幕間に花道に板が敷かれていきました。
舟や動物を通したり、花道をフルで使うときなどに敷かれるものですが
次の幕でどんな風に使われるのかな。わくわく。
幕が開いて、舞台には王蟲たちがぎっしり描かれた背景が登場。胞子が降る照明も当てられています。
この王蟲たち目が真っ黒だから死骸ですよね…泣いちゃう…(TmT)。
大海嘯を止められなくて絶望したナウシカが花道から歩いてくるんですけど
手に王蟲の抜け殻の目を抱えて持っていたんですが、えっと、ち、小さい…??
映画をご覧になった方は想像つくと思いますが、ナウシカが両手を広げても持つのが大変だった目が
ヘルメットくらいの大きさになってて、あれならメーヴェで持って飛べそう^^;
などと、思っていたのですが。
「王蟲が森になるならわたしも森になる」と宣言した姫ねえさま、なんとその場で舞い始めた!
王蟲の目を笠に見立てて持ったり、袖をくるっと掴んだり、目元に袖を添えて涙を表現したり
「王蟲よひとりにしないで」って海老反りをしたり
黒子さんから王蟲の触手柄の振り出し笠や鈴太鼓を受け取って舞ったりと
藤娘と鷺娘と道成寺をミックスしたような舞踊をナウシカが舞ってるんですよ!!
歌舞伎で女性の気持ちを表現するシーンでは舞踊がよく使われますけど
これって、これってつまり「ナウシカという女性の気持ちを所作事で表現」してるってことだよね…。
このために今回のナウシカの袖は盤領大袖みたいに広かったんだなと思ったし
王蟲の目はあの大きさだったんだと思いました。映画みたいな大きさじゃ持って舞えないもんね。
菊之助さんが女方だからできることだし、これなら「歌舞伎でナウシカをやる」意味もあるし
なんというかもう、マンガと歌舞伎の融合をバーンと見せつけられて言葉が出てきませんでした。
所作事って感情の表現にこんなにぴったり合うんだ!
さらに踊りのクライマックスでは引き抜きで真っ白い衣装に変身☆
原作のナウシカはこのシーンでは下着姿なので、つまりこれは下着姿ですね。すごいなここまでやりますか。
そうして腐海に飲まれてしまったナウシカですが、ここでスッポンからセルム様がご登場☆
キャーーッ歌昇くん、かっこいい(*´Д`)☆
原作みたいなもっさもっさした緑の服(?)ではなく、みづらに括り袴を着ていて
なるほどそれで長生きしてる人っぽさを表現しているのかな。
(あとスッポンから出てきたのは人じゃない感を出したかったんだよね、きっと)
めっちゃおもしろかったのがセルムが歩くとキラキラ~♪って音が鳴るんですよ、なにそのSE!(笑)
ナウシカを起こして腐海めぐりをするシーン、背景画がものすごく気合いの入った腐海で
映画の背景がそのまま出てきたのかと思いました。
久石さんの音楽が流れる舞台で腐海の背景をバックに大袖のナウシカと括り袴のセルムが歩く…すごい画だ。
腐海の秘密を知って生きる気力を取り戻したナウシカと一緒に現実世界へ戻ってきたセルムは
いつの間にか緑の肩掛けをつけていて、あれがもっさもっさ衣装のイメージかもな…。
そして今度は地上で、粘菌とともに増える腐海を焼こうと戦争が始まっていたので
ナウシカはチククやチャルカさんと再会して戦争を止めるために移動します。
と、そこでアジアの民族衣装っぽい衣装を着た蟲使いたちが花道にわらわらっといっぱい並んで
全員で民族チックなダンス!
舞台の背景も王蟲から胞子が伸びている絵に変わり、粘菌王蟲をパタパタと製造しながら
ナウシカのことを女神さまと呼び共に戦うことを誓ってくれました。
蟲使いたちは原作マンガでも無垢で片言の人々として登場するけど、歌舞伎でもそんな感じだったね。
タペストリーの引き幕が引かれて、冒頭の道化がひょっこり出てきて
「皆さん、私のこと覚えてます?」なんて言うから客席から笑いが^^
クシャナのお母さんがクシャナをかばって毒のために心を病んだことを説明してくれて
その間に舞台は幕が開いてトルメキアのヴ王の玉座がセッティングされてるんだけど、
説明を終えてから舞台の世界にするりと入っていく所作がスムーズすぎる!
王子たち(クシャナの兄たち)を「どうしました?虫に居所をとられましたかな」と言ったり
ヴ王に怒られた王子たちを「蛇に睨まれたカエル」と言ったり(蛇はトルメキアの旗印でもある)、
完全におちょくっているのがおもしろかったです。
そんな道化をヴ王は「虫の好かぬやつ」と笑います。何だこのやりとり!(笑)
(しかし玉座に飾られたトルメキアの旗の見事さよ…あれ染めたのかな…刺繍とかだったらすごいな…)
土鬼の人々を鎮めるためにチククが「ルワ・チクク・クルバルカ」と名乗りをあげたときのかっこよさよ!
彼の名乗りはぜひやってほしかったのでうれしいです。
アスベルやケチャとも合流して、アスベルから秘石を受け取りまして(数少ないアスベルの見せ場)、
巨神兵の復活を阻止するためにナウシカは再び旅立ちます。
ってか、秘石、結構でかかったね。(わかりやすさ重視と思われる)
あとこの幕はマジでナムリス無双だった…!
クシャナと政略結婚して巨神兵の繭を見せて、「俺の花嫁ならうろたえるな」と高らかに笑って
最高にサイコな悪役だったし、
秘石でよみがえった巨神兵の攻撃を浴びてしまって
派手に後ろにバーーッタリと倒れてそのまま奈落へ落ちていった姿はやっぱり最高のピカレスクだった。
真っ赤な照明も効果音の轟音もすごかったよ…ナムリスを生ききったよ、みっくんは。
(あとやっぱり、首だけになってクシャナに引きずられるわけにはいかなかったんだなって…画的に)
秘石を持っていたナウシカは早々とオーマと名付けるし
オーマは名づけの前から「母上」と呼んでいて、原作マンガより知能が高い感じ。
ナムリスの体を埋葬しようとするクシャナに
土鬼の民にはクシャナを恨む人々がたくさんいるから気を付けてとケチャが忠告しますが
クシャナに向かって投げつけられた爆弾をキャッチしたユパ様の腕が吹っ飛んでしまった…ああ…。
この先を知ってるからもうほんとやめてやめてって泣きそうだったんですけど
ユパ様がクシャナをかばって刺される姿は弁慶の立ち往生みたいにも見えたな…歌舞伎の舞台だから…。
あとさっきのみっくんみたいに後ろに倒れるのかと思ったら前に倒れて階段落ちしてびっくりした、
えっ、ちょっ、マッティ怪我しないでね!千穐楽までユパ様でいてね!?!??(゚Д゚;≡;゚Д゚)
「そなたには王道が似合う」って事切れる名ゼリフすげえかっこよかったからさ…まじでお気をつけて…!
あの言葉でクシャナ殿下めっちゃ救われたと思うのでカットされなくてよかったです。
(もっと言うとチククがクシャナに「クシャナは深く傷ついた鳥、本当は心の広い大きな翼をもつやさしい鳥」と
ナウシカの言葉を伝えるシーンもあったらよかったな)
オーマの光に当てられて死んでしまったテトを抱えて、ナウシカが花道を歩いてくると
スッポンから庭の主がご登場。
髪型がみづらで、白い衣装で、足はセルムと同じ括り袴で太古の人っぽい雰囲気でした。
ナウシカを箱庭(蝶と馬がいて花々が咲き乱れていた)に案内してお母さんの姿で現れるところとか
原作よりもあからさまだな。。
というかお母さんの造形が虫のたれぎぬ姿でした!びっくりしました。
もう何度目かわかりませんが歌舞伎に置き換えるとこうなるのか…そうか…って
見事すぎてため息しか出ない。
黄色いお衣装にお着替えしたナウシカ(お庭用かな?)が庭の主に言葉攻めされて
呼ばれて飛び出たセルムの魂が助けに来ますけど、
ここでも歌舞伎の問答によくある「さあ」「さあ」「さあさあさあ」のセリフが使われていて
ナウシカの混乱を表現していてすごいな~って思いました。
あと庭の主ったら、主の姿のときとお母さんの姿のときで声変わりするのすごい…ずるい…!
芝のぶさんは女方さんだからお手の物ですね~演劇だからこそできる手法でもある。
シュワの墓所の壁で蠢いてる金文字、原作マンガではその動きを想像するしかないけど
舞台では本当にざわざわ蠢いてるからドキドキします。
しかも文字が書かれた布を頭から被った役者さんたちがその辺をウゴウゴしていて、さらに気味悪さが。。
ナウシカと墓の主の議論は原作屈指の名シーンですがなんと墓の主の声、吉右衛門さんでした!
菊之助さんの義理の父上だよ。。まじかよ。。。
やっべ強そう…などと震えるわたしをよそに菊之助さんのナウシカは怖じけずに言い返していて
あの長い議論のセリフをほぼ忠実に再現されていました。
ここで墓の主がいったん乗り移って低音ヴォイスでしゃべる道化がほんとに怖かった…!
種之助くんのポテンシャルどんだけ高いんですか!かっこいいよ。
「おまえたちも闇に帰るがよい」のナウシカの言葉で議論が破綻すると、奈落から墓の主がゴウンゴウンと登場しますが
その姿が白い毛を被り青い隈取りをした白獅子だったからぶったまげたし、
ナウシカが「オーマ!」と叫んで花道から走って来るオーマは赤い毛に巨神兵のキバの隈取りをした
赤獅子だったからやっぱりぶったまげた!
客席が明らかに、ナウシカの世界に急に出現した獅子たちに戸惑ったのが伝わってきて
待って待ってこれから何が始まるの?ってまったくわからなくなったし
さっき舞台で文字の布を被っていた役者さんたちが突然、その布ごとぶっかえったら白い獅子の姿になって
花道にズラリと並んだ文字の役者さんもぶっかえって赤い獅子になりました。
ナウシカの舞台に白獅子の群れ、花道に赤獅子の群れ。待ってこれどういう光景なの!!(混乱)
墓の主とオーマの獅子は花道で衝突しますが、その戦いは取っ組み合いではなく毛振りだし
そのまま舞台へなだれ込んでさらにグルングルンと大きな毛振りを始めて
こんな戦いの表現があるのかと口がポカンとして閉まらなくなりました。
歌昇くんも右近くんもすごすぎだよ~~!最近の若手さんたちはどこまで進化しているんだ。すごい。
他の紅白の役者さんたちも舞台で派手なダンスを披露して
舞台は真っ赤なライトで照らされて、お囃子の三味線も附け打ちも最高潮に盛り上がって
大変なものを見せられている…と呆然としてしまいました。
墓の主の光と巨神兵の光のバトルが獅子で表現されるとは思いませんでした…誰だこれ考えたの。
その戦いに割って入ったナウシカが、墓の主から「希望の光を破壊した張本人として記録されるぞ」と言われるのは
原作マンガのとおりですけど、
ナウシカは「かまわぬ。そなたが光なら光など要らぬ。オーマ!」というセリフに集約されていて
より問答無用感が増しているように聞こえました。
力尽きた獅子オーマを抱えるナウシカも舞台だからこそ再現できるんですね…原作だと体格差があるのでね。
オーマがナウシカに抱きしめられながら看取られてよかった。
(でも王蟲と墓の主の血の色が同じという話はカットされましたね…
まあ難解ですし原作でもその意味をはっきりさせてないもんね)
ナウシカをかばって墓の光を浴びたヴ王にマントをかけるクシャナ殿下がやさしい。
クシャナに王位を譲った後の「道化、おまえが証人だ」が聞けてよかったです。
ヴ王も墓の主の誘惑に応じなかったのだから愚王ではないはずなんだけどな…。
あと歌六さんの貫禄でマンガより1万倍ほどかっこよくなってました。歌六さんありがとうございました。
焼けただれた大地が朝日によって輝いている様子の表現のために
舞台の背景が一面の金色になって、上から金色の紙吹雪もキラキラと降ってきて
久石さんの音楽が流れる中でのナウシカの「生きねば…」のセリフで幕切れでした。
マンガの最後のコマにあるセリフですね。
カーテンコールは1回。
出演した役者さんが全員、舞台に出てきてくださって
客席の三方向に向けて深々と頭を下げてくださいました。
いや下げたいのむしろこっちだよ!すばらしい舞台をありがとうございました。
チクク役の子役さんに錦之助さんが「あっちだよ」「次こっちだよ」と挨拶する方向を教えていたのがかわいかった^^

幕が下りた後、舞台から床に落ちていた金色をパチリ。拾っている人も何人かいました。(わたしもだ)
千穐楽までには客席にもあふれんばかりの金色が降ったりするのかなあ。
はあ~~~おもしろかった!!
オリジナルにも古典にも敬意を払い且ついろいろ挑戦しているのがすばらしくて
ここまで再現するかという驚きとか、そうやって表現するかという驚きとか
とにかくびっくりの連続でした。
原作からカットされたシーンもセリフもいっぱいありますけど(仕方ない)、
肝心な部分をきちんと拾い上げて再現してくださっているし
舞踊や殺陣にきっちり尺を取るのでトントン駆け足で進むストーリーでも情緒が伝わってきました。
脚本の丹羽圭子さん(ゲドやアリエッティ、コクリコの脚本も担当した人)が
舞台の経験がないので途方にくれていたところ、鈴木さんから
「忠臣蔵は11段全部が見せ場だからそういう風に作ったら?」と言われ仕上げられたと
筋書きに寄稿していらっしゃったのを読んで、なるほど見せ場を集めたのか、と。
あれだけ長くて複雑な物語を脚本にするのも三次元にするのも並々ならぬご苦労があったと思います。
関係者の皆様、役者さんやスタッフの皆様、何より交渉から関わった菊之助さんに拍手を送ります。
あとやっぱり、昼の部が見たいです。
カマキリ先生の王蟲の声聞きたいし、ユパ様無双を見たいし、
冒頭のテトとの出会いと「ほら、怖くない」も見たいよーー!!
あとすごく気になってるのが大ババ様なんですよね…昼の部しか出演されないのよね。
4年前のOrchestra Valse Vol.4で大ババ様役の京田さんが
「ババ様のセリフは義太夫節を意識した」っておっしゃっていて
あれ以来DVDや金ローで映画を観るとそのことを思い出すんですが、
今回、歌舞伎になったから本物の義太夫の雰囲気を役者さんのセリフから味わえるかもしれないじゃん!
は~~見たい。戻りチケットを待ってみよう。
…ところで。
この記事を書いている最中に菊之助さんが今日の昼の部でお怪我をされたニュースが入ってきました。
腕を骨折とのことですが、ドクターと相談のうえ明日からまた出演なさるそうですね。
難しい所作も派手な立ち回りもある内容なのでどうぞじゅうぶんにお気をつけて
千穐楽まで走り抜けられますように。
カイ役の方の情報がまったくないけど、こちらもどうかご無事でありますように。
鈴木さんはいつご覧になるのだろう。初日にはいなかったらしくて、千穐楽までにはいらっしゃると思うけど。
そして宮崎さんはいつご覧になるのだろう。可能ならご感想を聞いてみたいですね。
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