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ゆさな日々

猫・本・歴史・アートなど、好きなものやその日考えたことをそこはかとなく書きつくります。つれづれに絵や写真もあり。


文化の祭典その4。

  1. 2020/01/06(月) 23:54:31_
  2. 歴史
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今年も東京国際フォーラムのJ-CULTURE FESTの展示を見てきました!
毎年恒例、入場料無料で開催されているイベントです。

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去年と同じく、今年もEホールのロビーギャラリーにて京都の風俗博物館さんによる展示がありました。
いつもは雅な平安王朝絵巻の展示ですが、今回は「平安宮廷スポーツスタジアム」と題して
平安時代の人々の遊びやスポーツを紹介するアクティブな内容になっていました。

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まずは蹴鞠!
『源氏物語』若菜上より、源氏41歳の3月に六條院春の御殿にて開催された蹴鞠のシーンの再現です。

蹴鞠は中国から伝わった球技で、
日本で行われた最古の蹴鞠の記録は本朝月令にある701年5月の蹴鞠会のものだそうです。
(中大兄皇子と中臣鎌足が蹴鞠の会で出会ったというエピソードが有名ですが
あれは故事なので記録はないんですかね…史実だとしたら645年より前の話になります)
ルールとしては4~8人で円になり「アリ」「ヤア」「オウ」などの声をかけて蹴るというもの。
基本的に勝敗はつけず、より長くラリーを続けられることを良しとします。

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源氏と蛍兵部卿宮が見守る中、ポーン!と高く高くあげられた鞠。
透明な棒で支えてあってちょっと笑ってしまった。浮いたままにしておけないから仕方ないよね^^

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蹴鞠会からちょっと離れた場所にいる夕霧(左)と柏木(右)。
夕霧はもともと夏の御殿で別のグループと蹴鞠をしていたのですが、源氏に呼ばれてこっちに来て
さっきまで柏木と一緒に蹴鞠に参加していたという設定。

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「柏木の視線の先にいる女三宮」みたいな写真を撮りたかったのですが、
どの角度から撮っても夕霧が真ん中にくるので夕霧メインみたいになってしまった。。
柏木なんだよ!このシーンの主役は柏木と三宮なんですよ!!(力説)

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御簾がほんの少しめくれて三宮の姿がチラりと見える。
三宮は源氏の兄朱雀院の子で、そういう身分の人がこんなに御簾の近くにいることは普段ありえないのですが
この日は蹴鞠をする男性たちを見物するためにかなり近づいていたようでした。
そして、もともと三宮のことが気になっていた柏木が、このとき彼女の姿を見てしまって
気持ちが爆発してしまいとんでもない行動に出る…というのは、また別のお話ですね。

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御簾があがった原因はこの猫たち。
親猫に追われた子猫が御簾の外に出て、紐がからまってしまったのでした。
(この時代、貴族が猫を飼うときは基本的に紐で結んでいました)

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かわいい(=^ω^=)。
源氏物語に猫が出てくる描写は唯一この場面だけなのですが、
なんとも大変なきっかけを作るお役目を与えられてしまいましたなあ。

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バックヤードでは女房たちが蹴鞠後の宴席のために椿餅や梨や柑子(塩漬け)を準備中。
同時刻に庭先で柏木が三宮を目撃したことを、まだ彼女たちは知りません。
これからあなたたち大変ですよ…などと、千年後の読者は呑気なことを思うわけで^^

以下、写真が多いのでたたんであります↓クリックで開きますのでどうぞ☆
 
 
 
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江戸時代の蹴鞠装束「鞠水干」の展示。
蹴鞠の際に着用する衣装は衣冠、直衣、狩衣など様々ありましたが
いつしか鞠水干に定められていったそうです。

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蹴鞠用の鞠。鹿革を馬革でくるんで作られています。
形状は繭形というか、中央が少しくぼんでいます。

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蹴鞠用の鞠沓。
左が平安時代の沓で、スリッパのような形をしているので競技中に脱げてしまうそうですが
右のようなカバーをつけた沓が室町時代以降に出てきてからやりやすくなったようです。

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その平安時代の沓をはいて蹴鞠をする人たちの再現。
年中行事絵巻第3巻に描かれている、蹴鞠をする公卿たちです。

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結構、足を動かしてますね。
絵巻に描かれた人がくにゃっとした造形のためか、お人形さんもくにゃっとしている。

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蹴鞠は勝敗をつけない球技ですが、平安時代には流鏑馬や相撲、競馬など勝敗がつくスポーツも結構ありまして
勝ったチームは出し物などをしたそうです。
たとえば舞楽。こちらは納曽利の装束です。

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反対側にあった蘭陵王の装束。

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衣裳もですが、お面をこんなに近くで見られる機会はそうはないよ!ガン見してきました☆
見れば見るほどおもしろい顔をしてらっしゃるんだよな~~好き(*´︶`*)。

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打毬楽(『源氏物語』蛍巻でも演奏される)の衣裳も展示されていました。
打毬はゴルフやポロのような、小さな毬を杖で打って勝負するものですが
その型が舞楽として残っているそうで、その舞のときに着用される衣装です。

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隣に展示されていた打毬のようす。
江戸時代に行われていた騎馬による打毬の再現展示です。
鎌倉時代に一旦廃れましたが、江戸時代に徳川綱吉が復興し、装束が武家様になっています。
現在行われているのは宮内庁と八戸市と山形市のみだそう。

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4~10騎の団体戦で紅白戦、自分のチームの毬を杖ですくって先にゴールに入れた方が勝ちます。
チーム内の役割としては攻撃担当と妨害担当がいたとのことなので、
サッカーでいうフォワードとディフェンスみたいなものだろうか。
ちょっと、見てみたい。

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たぶんフォワードの人。
ゴールに毬が入ると、白チームは鐘が、赤チームは太鼓が鳴らされたそうです。
毬には自分たちのチームの毬と、決勝を決める揚毬の2種類があって
特に揚毬が投入されると、それをゴールに入れた方の勝利となるので激しい争奪戦になるそうです。
ちょっと見てみたい(2回目)。

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馬射の際に武官が着用する束帯です。

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その馬射の再現。
『源氏物語』蛍巻から、六條院の夏の御殿の馬場殿で行われた端午の節句の騎射の様子です。
基本的には4月中に馬が献上され、5月のはじめに予行練習があって、5月5日が本番だったとのこと。

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源氏と蛍兵部卿宮が見守る中、左近衛府の官人が馬で駆けていきます。
馬を見て気づいたんですが蹄鉄ではなく草履をはいているんですね。
蹄鉄が使われるようになるのは近代になってからだそうです。
(歌川広重「名所江戸百景」の内藤新宿の絵の馬も確か草履をはいているよね)

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反対側から。うまく的を射れるかな…。

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源氏と蛍兵部卿宮。
このとき源氏は36歳、息子の夕霧が左近衛府の官人たちを連れてきたので華やかな騎射になったようです。

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勝者にはご褒美が用意されています!

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夕霧も馬に乗ってきました。
(別に夕霧がやるわけではなく、右側の射手さんがこれから乗ります)

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「よーしよしよしよしよしよし」とかアテレコしたくなる絵ヅラ(笑)。

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宮内庁書陵部が所蔵する「相撲節会図」(松岡辰方書写・1783年)を1/4スケールで再現。
相撲はもともとその年の吉凶を占うものだったそうですが、
管轄が兵部省になってからは武力訓練としての意味合いが強くなってきたそうです。

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天皇が見守る中、相撲が行われます。

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相撲をとる人たちは左方は葵、右方は夕顔の造花を頭につけるそうです。

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女性たちも見てますよ。

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舞楽も演奏されています。こちらは蘭陵王で、反対側には納曾利がいました。
どっちが勝ったのかな。

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江戸時代前期の「東山天皇御即位式・霊元上皇御譲位行列図屛風」をもとに
1/4スケールで再現した、東山天皇(当時13歳)の即位式の様子。
後ろに四神の旗が掲げられ、高御座の中から天皇が姿を見せます。

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こんな感じで団扇がフワ~~っと開いていって、天皇の姿が現れるシーンが
時代劇や大河ドラマとかでたまに再現されますよね。
あれを思い出して楽しくなりました☆

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皇室の衣装展示も。十二単(皇后の装束)。

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黄櫨染の御袍(天皇の装束)。
現代の天皇が儀式の際に着用します。

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袞冕十二章(天皇の礼服)。
江戸時代まで使われていた天皇の礼服で、
肩には日月、背中には北斗七星、袖には龍の刺繍がある大変豪華な衣装です。

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730年1月13日の大宰府にて、
大宰帥だった大伴旅人の邸宅で催された梅花を題に32首の短歌が詠まれた宴の再現。

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中央にいる主催者の旅人ほか、当時の大宰府で働いていた人たちが歌を詠んでいます。

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旅人の手元にあった紙に彼の歌が万葉仮名で書いてありました。
「わが園に梅の花散るひさかたの天より雪の流れ来るかも」

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もうひとり、歌が書いてある人がいたので読んでみたら
「春さればまづ咲くやどの梅の花ひとり見つつや春日暮らさむ」だったので
この人は筑前守山上大夫(山上憶良)ですな。

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奥の屏風のお部屋に巻物と琴があったので「君子左琴・右書左琴」なのでしょうか。
屏風の柄は正倉院宝物の樹下動物図のようです。

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旅人の宴に招かれた文人たちを原寸大で再現したお人形。奈良時代の衣裳を着た人々です。

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男性の手元の紙には「梅花謌卅二首并序」(万葉集巻五)が書かれていました。
大伴旅人の手によるものだそうですが、漢文で書かれているので必ず出典があるわけで
王羲之や張衡、駱賓王などからの影響が考えられているそうです。
さらに梅を愛でる習慣は中国からきているので、
旅人の書いた序文はまぎれもなく当時の文化の最先端なんだよなあ。
大宰府という場所を考えると、国際色豊かな宴になるのもわかります。どんな雰囲気だったんだろう。


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毎年出店していた鎌倉の手毬さんが今年はいらっしゃらなくて、
代わりに池袋コミュニティカレッジさんのブースがありまして、そこで買ったおみくじ和菓子。

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大吉でした☆
よい1年になりますように。
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歴史やアートも溺愛中
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