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あらぶる雨、めぐみの雨。

2020.02.12 23:51|歴史
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川の博物館に行ってきました。
企画展「雨展-あらぶる雨・めぐみの雨」の鑑賞が目当てです。
子どもの頃に来たことがあるはずなのですが記憶があるようなないような、ちょっと曖昧なのですが
館内を見てもほとんど覚えてなかったので、もう初めましてな気分で
一から勉強させていただく感じで行きました。

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チケット売り場に行こうとしたら駐車場の一部と駐輪場が埋まっていて衝撃を受けた。
奥のベンチあれきっともう少し足が下に出ているはずですよね…。

かわはくは荒川のすぐそばにある施設なのですが、
去年の台風で荒川が増水したため大きな被害を受けています。→こちら
博物館の建物は無事だったそうですが、屋外の施設や展示物がかなり浸水したそうです。
その状況からわずか1ヶ月で再開してるからすごい…!→こちら

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かわはくのシンボル、大水車。高さ24m、約1分ほどで一回転しています。
遠くから見ると観覧車のように見えます。
この水車は博物館の敷地の中でも高い場所にあるので、ここまでは水は来なかったようです。

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水車小屋広場では水力で生み出されるエネルギーのシステムについて学習できます。
写真は、皆野町から移築復元されたコンニャク水車。
直径7.3m、60年ほど前までコンニャクのアラコ挽きに使われていたそうです。

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中はこんな感じ。
寄木造りの木の部品が複雑に組み合わさってパッコンパッコンと動いていました。
実際に動いているのを見られるのはいいなあ!

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杵の部分。ここでコンニャクをひいて粉にします。
内部は改良された跡もあって、使っていた人の工夫がみられるそうです。
お仕事道具だもんね…長く使っていたのかな。

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東秩父村で使われていた精米水車。
1日1斗ほどを精米していたそうです。(麦とかだともっと時間がかかる)
こちらも内部で木の部品がパッコンパッコンと動いていました。

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かわはくのマスコット「カワシロウ」。館内のあちこちにいます。
ミュージアムショップではぬいぐるみも販売されていた☆

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本館にやってきました。企画展「雨展」を鑑賞します。

以下、写真が多いのでたたんであります↓クリックで開きますのでどうぞ。


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企画展示室はこんな感じ。
そんなに広くないのですが、様々なテーマの展示がぎゅっとコンパクトに詰まっていました。

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ナビゲーターのキャラクターたち。雷とともに空から舞い降りてきた神様たちだそうです。
展示室のあっちこっちにいて解説もしてくれたりします。かわいい☆

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「雨おと・水おと楽器を鳴らしてみよう」のコーナー。
舞台やテレビ、ラジオなどで雨の音を表現する際に使われている楽器や道具が置かれていて
実際に手に取って鳴らすことができます。
・波のおと:オーシャンドラム
・雨のおと:レインスティック(アフリカが起源)
・カエルの鳴き声:ギロ(アジアの楽器)
・水が流れるおと:セミーヤ(アンデス地方の楽器)
手で持って鳴らした動画を撮ってきました→こちら

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「雨つぶ標本」。
空から降って来る雨粒を小麦粉で標本にしたものが展示されています。
お皿に小麦粉を入れて、数秒ほど雨を入れて、茶こしなどで余計な粉を落として採取するそうです。

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こちらがその標本。
左が1時間あたり1ミリ以上5ミリ以下で、右が10ミリ以上20ミリ以下の雨粒の標本。
雨の強さが違うと大きさも量も変わってきますね。

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「雨と生き物たちの不思議な関係」。
人間にとっては小さな雨粒でも、昆虫などの小さな生き物にとっては大きな水のかたまりです。
モンシロチョウは羽根に鱗粉がついているので濡れませんが
雨粒の勢いで飛べないので雨の日は雨宿りをするとか、
ミミズは土の中に隠れるけどカタツムリやカエルは元気になるなど、生き物の習性が紹介されていました。

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「雨を量る」。
雨量計を展示して、天気予報などで使われる雨の量り方を紹介しています。
雨量の決め方とか降水量についてとか、アメダスは17kmごとに全国に1300箇所あるといったことも
パネルで解説されています。
雨量観測の弱点として「観測地点と地点の間で大雨が降ると観測できない」というのは確かになあと思ったな…。
17kmの間で豪雨が降った場合はどうやって観測するんだろう。

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スイッチを押すと水が出て、実際に動くところを見学できます。
初めて知ったのですが雨量はししおどし形式で量るんですね!
中央の三角の部品の両方に枡があって、片方に0.5ミリの雨がたまったら傾いて、別の枡に水が溜まって
その回数をカウントすることで雨量をはかります。
(たとえば1時間に10回カウントしたら0.5×10で5ミリの雨)
展示品の水はチョロチョロと出るだけだったのでカタッ、カタッとゆっくりな動きでしたが
これが大雨になるとカタカタカタカタと高速で傾きまくるんだそうな。
ちょっと見てみたい。

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「雨おと・水おとコレクション」。
パネルのボタンをタッチすると、カエルの鳴き声や増水した川の音など、雨に関する音が流れます。

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「埼玉県の雨乞い」。
気象情報のなかった昔は干ばつが死活問題だったため、雨を呼ぶ様々な文化がありました。
・大山阿夫利神社の雨降木(伊勢崎市)
・脚折の雨乞い(鶴ケ島市)
・榛名神社の万年水(高崎市)
・多峯神社の雨乞い池、雨乞いの有馬大淵(飯能市)
・身形神社の雨乞い絵馬(さいたま市桜区)
・左甚五郎による雨乞いの龍の彫刻(桶川市泉福寺)

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こんなパネルもあった。
アカショウビンの鳴き声がアメフレフレ~と聞こえる場合があるので
雨乞いの鳥という伝説があるそうな。

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「埼玉県のお米」。稲作と雨について紹介しています。
米どころというと新潟や秋田などが浮かびますが、埼玉も昔から米作りはさかんで
害虫や暑さ、水不足とたたかいながら発展してきたそうです。
(近代は農業用水が整備されて水不足は解消されつつあるそうだ)

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雨を感じるインスタレーション。
画面の前に立つと、画面の中に雨粒が降り注いで
手を広げると受け止めることができます。
数人でやると雨粒が増えて、画面がキラキラするそうです☆

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雨と災害についてのコーナー。
去年の台風でかわはくが受けた被害について、映像と写真で紹介しています。
特にかわはくの屋外に設置されている定点カメラの映像めちゃくちゃこわかった…。
話には聞いていたけど現実を見ると改めて被害の大きさを感じます。

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雨が引き起こす災害について。
荒川の堤防が決壊したときのシミュレーション映像が上映されています。
上流の山梨や埼玉で決壊したり東京が水没する様子が想定されているんだな…。
去年の台風でだいたいこんな感じになったなあ、という印象でした。

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防災グッズいろいろ。
数日分の食べ物や救急用品が入ったバッグ、折り畳みヘルメットやブーツ、
自宅避難マニュアルブックなどが紹介されています。
強風ビニール傘とかすごいな…ひっくり返っても骨が折れないそうです。
(でも台風のときは風が強いから傘よりも雨ガッパがいいと思う)(実体験に基づく感慨)

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水害に関する資料。
国交省の水害レポート、毎日新聞出版の水害読本、東京都の東京防災、
無印良品の乾パンつき「いつものもしも」などなど。
過去の水害から学ぶ名古屋には伊勢湾台風や最近の東海豪雨などの紹介がありました。
あらぶる雨の記録。
(かわはくには図書室もあるので雨や水害についての資料も読めますよ)

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荒川のハザードマップ。
観測所、避難所、病院、市役所、地下倉庫、土砂災害警戒区域などの情報が載っています。
当たり前ですが海抜が低い位置になるほど5m以上の水深地域が増えていくな…。
荒川のハザードマップについては埼玉県や東京都、国交省などもネットで公開していますので
気になる方はぐぐってみてください。

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まいたいタッチもあった。
マイ・タイムライン(災害時に安全に避難する行動について時間軸でまとめたリスト)を表示できるやつ。
ハザードマップはもちろん、標高図や治水地形分類図など何種類もの地図を見比べることができ、
操作はゲーム機のコントローラーや画面のタッチで切り替えられます。
避難所への移動やどのような経路が安全なのかを考える際にあると便利かも。

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「あめちしき」。
装置のボタンを押すと雨についての熟語がランダムでプリントアウトされます。

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わたしが押したときは「駿雨」(降り出した後にすぐ止む雨)が出てきました。
紙は持って帰れますよ~。

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いやはや勉強になりました…。
ナビゲーターの神様たちかわいいし、キャプションも平易なことばで書かれてるけど
内容は深く重く大切なことばかりだったように思います。
雨のしくみや気象のメカニズム、情報にまとめて伝えて残すプロセス、文化をとおして知る人々の想い。
雨はしょっちゅう見ているのに知らないことだらけで、考えることがたくさんありました。
ボーっと天気予報見るだけじゃなく現象についても考えなきゃなあ…世界を知ることは自分がどこにいるか知ること。


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企画展の後は常設展にも行きました。
川と人々のくらしについて、再現模型やパネル展示などで紹介されています。

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水塚。
農家の水田地帯で見かける建物で、水害から命や財産を守るために
敷地内の高い場所に土を盛って建てられるそうです。

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中にも入れて、米俵や家具などが持ち込まれた様子が展示されていたのですが
彼らに釘付けになってしまいました。。
室内に入るとセンサーが反応して、彼らが水塚について説明してくれるのですが
猫さまはおじいちゃん声でネズミさんたちは金切り声で、それがおもしろくて説明ぜんぜん覚えてない。。
(実際の水塚は、ネズミが侵入できないように入口に引き戸がついているそうな)

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見沼代用水と通船堀。
徳川吉宗の時代に作られ、年貢や野菜などを江戸に運ぶルートとして使われまして
(江戸からは魚や塩が運ばれてきていたそうな)、
現在は使われていませんが国指定遺跡になっています。

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荒川で働いていた荷船の再現。
埼玉は海がないので川が重要な交通路になっていまして、
荒川の治水に力を注いだ人は結構、後々まで名前が残ったり銅像になったりしている。
(井沢弥惣兵衛とか伊奈忠治とか)

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船の前方には数人が寝泊まりできるスペースと炊事場がついています。
上尾の平方河岸から東京の千住まで1日かけて移動していたので
当時の人は車中泊ならぬ、船中泊の仕事だったんですね。

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船車。精米や小麦の製粉などに使われた船です。
秩父から熊谷にかけてよく見られたそうです。
製粉は農作業を終えた夜間に行われることが多かったそうなので、
荷船と同じく寝泊まりや食事ができるスペースが内部にありました。

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外側に水車がついてる。

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鉄砲堰。
川を利用した木材運搬方法のひとつで、中津川などで行われていたそうです。
林業の人たちが川の下流に木材を搬出するとき、人為的に鉄砲水を起こして木材を流していたそうな。

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仕掛け。
1日に数回、鉄砲水を流すイベントが行われているそうですが
わたしが行った時間はやっていませんでした。またの機会に。

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屋上は展望台になっています。さっきの大水車が見える。

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下に荒川大模型が見えて、その向こうに真っすぐ流れているのが荒川です。
さっき雨展で見た映像だと、去年の台風であの模型の半分以上まで水がきて、奥の駐車場は水没したんだよな…。
今は静かな荒川ですが当時は猛威を振るったわけで。

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そんなわけで荒川大模型173を見学します。(173は荒川の長さ173kmから)

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出発は甲武信ヶ岳から。
荒川の源流は甲武信岳の東斜面、真の沢あたりからだそうです。

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秩父の峰を下っていきます。二瀬ダム。

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河岸段丘域(秩父市の市街地)の模型のところで急に出てきた表示にドキッとしました。
台風の水がここまできたのか。
それなら模型もたぶん土砂で大変なことになったと思いますが
この日の模型はとてもきれいで台風の被害とかとても連想できなくて…スタッフの皆さんがんばったんだなあ…。

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秩父橋の下流のあたりにパレオパラドキシアの化石が見つかった地点が。
小鹿野町でも見つかっていて、これらは国の天然記念物になっていますね。

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荒川起点から70km地点。寄居町にてJR八高線・東武東上線が合流。
かわはくの建物もここにあります。残り約100km。

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起点から100kmを超えたところ、鴻巣市にある川幅日本一地点。
2,537mもの幅があるそうです。
(余談ですが鴻巣市内のうどん屋さんには川幅うどんが食べられるお店があるよ)

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大宮付近でJR埼京線と東北新幹線の線路が合流。

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起点から140kmの直前、県境を越えて埼玉から東京へ。
荒川はもうちょっと流れていきますよ。

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上野公園。海までもうちょっとです。

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東京湾だー!
葛西臨海公園、お台場海浜公園、もうちょっと奥に行くとディズニーランドがあるはずですね。
秩父の奥から173km、荒川の長い旅は東京湾で終わります。お疲れさまでした!

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ゴール地点でふと敷地の外を見たら木の橋の残骸があって、
あれ、これってもしかしてと思って模型を引き返してみると。

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やっぱりここにあった橋だ。。大模型のある場所と、駐車場をつないでいたのですね。
さっきの雨展にあった映像でこの橋が流される瞬間も映っていたんですよ…。
どこかへいっちゃったのかと思っていたけど敷地の近くで止まったんですね。
雨と水のすさまじさを、ここでも。

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最後に本館の外壁に川合玉堂の大陶板画のところへ行ってみます。

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こちら!
国立近代美術館が所蔵する川合玉堂「行く春」を、陶板画にして壁に展示しています。
荒川の船車がモデルに描かれているのです。

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全体は荒川大模型の広場まで降りないと見づらい。
玉堂の本物もいつか近美で見られる機会があるかなあ。


堪能しました…!
鑑賞しているうちに小さい頃来たこととか思い出すかなと思ったけど、特にそんなことはなかったけど
(たぶん記憶に残らないくらい小さかったんだと思う)来てよかったです。
常設展だけでも勉強になるし、企画展もタイムリーでいろいろ考えることがあったし
何より施設の復興を目の前で見せられているのがとてつもない衝撃で…。
博物館は身に起きた災害すらも記録して展示する。これも博物館の役割だと思う。

かわはくの復興は始まったばかりで、これからまだまだ大変だと思うので
心にとめていかねば…。
何かできたらいいのにと思うけど、かわはくは現在、寄付などは受け付けていらっしゃらないようです。
小さい頃から知っている施設なので、何かできることがあったら協力したいから注視していこうかな。
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テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。
ジャンル:学問・文化・芸術

コメント

No title

大水車。観覧車かとおもいました。
見ごたえがありましたでしょ。

Re: No title

> hippopon様

> 大水車。観覧車かとおもいました

やっぱりそう見えますよね!
遠くからだと余計にそう見えました。
おっき~い!とか、ボーっと見上げてしまいました。
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