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ゆさな日々

猫・本・歴史・アートなど、好きなものやその日考えたことをそこはかとなく書きつくります。つれづれに絵や写真もあり。


つくりもののおばけたち。

  1. 2023/05/06(土) 23:51:28_
  2. 舞台鑑賞
  3. _ tb:0
  4. _ comment:2
kokuritsugekijo_1.jpg
国立劇場の伝統芸能情報館に行ってきました。
国立劇場所蔵の伝統芸能関連の資料を所蔵・公開している施設です。
来るの初めてだよ☆

kokuritsugekijo_2.jpg
入った目の前が展示室です。
2階に図書室がありますがこの日は閉まっていました。

kokuritsugekijo_3.jpg
企画展「怪談物のつくりかた~役者の芸と仕掛けの世界」を鑑賞します。
舞台で使われる小道具や模型、お芝居の錦絵や写真、役者の経歴や言葉などから
歌舞伎の怪談ものをどのように作っているかを紹介したもので
主に文化文政期~近代の怪談ものが紹介されていました。

kokuritsugekijo_4.jpg
国立劇場のゆるキャラ、くろごちゃん。
展示室の前にいて「展示こちらです」とご案内していただきました。

kokuritsugekijo_33.jpg
展示室は1フロアでこんな感じでした。
入館したときはちょうど誰もいませんでした。貸し切り状態☆

kokuritsugekijo_5.jpg
一部を除き写真撮影可です!太っ腹。
あと言い忘れてましたが入館料も無料です!!太っ腹。

以下、写真が多いのでたたんであります↓クリックで開きますのでどうぞ☆
 
 
 
kokuritsugekijo_7.jpg
いきなり藤浪小道具さん所蔵の蝦蟇の着ぐるみがあった!
天竺徳兵衛韓噺や将門などの演目で使われるもので、役者が中に入って演じます。
ていうかこれ、先月の歌舞伎座の新・陰陽師で見たばっかりだよ!意外と小さい。。

kokuritsugekijo_6.jpg
初代尾上松助(松緑)、三代目尾上菊五郎に関する錦絵と
四代目鶴屋南北の天竺徳兵衛の絵本。
幽霊や妖怪を演じて人気を博したのが初代松助で、その芸は三代目菊五郎に伝えられて
四谷怪談などで定着していったようです。

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豊原国周「梅幸百種之内 牡丹燈籠」(1893年)。
このときお米の霊を演じたのが五代目菊五郎です。

kokuritsugekijo_9.jpg
豊原国周「梅幸百種之内 局岩藤」(1893年)。
岩藤を演じたのが五代目菊五郎です。

kokuritsugekijo_10.jpg
舞台裏を伝える解説書。
式亭三馬『戯場訓蒙図彙』(1803年)、二代目三亭春馬『御狂言楽屋本説』(1858・1859年)。
怪談ものが増えてくると観客も舞台裏を知りたくなるようで、
葛の葉の早変わりや提灯から出てくる幽霊のからくりが紹介されています。
いつの時代もメイキングは話題になるものなのですね。

kokuritsugekijo_45.jpg
歌川国芳「百物語化物屋敷の図 林屋正蔵工夫の怪談」(江戸時代後期)。
四谷怪談や独道中五十三次のからくり仕掛けは
怪談噺の元祖として知られる落語家の初代正蔵の案に基づいて
大道具の11代目長谷川勘兵衛が発明したとの伝承があるそうです。

kokuritsugekijo_11.jpg
三遊亭志ん蔵が制作した怪談噺用化面(1949年)。
四代目三遊亭圓馬が使用したそうです。演目は四谷怪談や累ヶ淵?とのこと。

kokuritsugekijo_12.jpg
藤浪小道具制作の赤ちゃん人形と、赤ちゃんの泣き声に使われる笛。
笛は効果音の担当者が舞台袖などで鳴らすものです。
過去に四谷怪談で鳴っているのを聞きましたが、こんな形をしているんですね。

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藤浪小道具制作の骨寄せの骸骨。
加賀見山再岩藤という演目では、散らばっていた骨が集まって岩藤の霊が出てくるシーンがありますので
そのシーンで使われるものだと思います。
隣にぶら下がっているのは焼酎火で、焼酎にひたした綿に点火して幽霊の出る場面などに使われるものです。

kokuritsugekijo_14.jpg
大江巳之助による「九尾の狐」。
江戸時代の文化文政期は玉藻の前の演目が読み本、絵本、浄瑠璃、歌舞伎などで大流行したそうです。

kokuritsugekijo_16.jpg
近くで見ると結構、縫い目とかめっちゃ見えますね。顔の模様は絵の具で描かれているのかな…。
特にリアリティを追求するわけでもなくあくまで「つくりもの」であることを隠さないんだなと思いました。
尻尾は9本ありますがお尻の穴の中で束ねられていて、たぶんぐるんぐるん回せるようになってるんだと思う。

kokuritsugekijo_15.jpg
妖狐の面(1980年)。六代目中村歌右衛門が使用したものだそうです。
人間の役者が演じる場合は面が使われたのですね。

kokuritsugekijo_21.jpg
大江巳之助「かしら 玉藻前〈双面〉」。
文楽の玉藻の前は人形の顔が瞬時に変化する仕掛けがあります。
こちらはかしらと簪の間から狐の面が下りて女性の顔に被さる仕掛けです。

kokuritsugekijo_23.jpg
大江巳之助「かしら 玉藻前〈両面〉」。
こちら側から見ると女性の顔ですが、

kokuritsugekijo_22.jpg
反対側には狐の面がつけてあり、これをくるくると回して顔を変化させます。

kokuritsugekijo_17.jpg
松雪斎銀光「講談一席読切 鏑井芦洲 妖婦玉藻前 岩井半四郎」(1874-75年頃)。
八代目半四郎が演じた玉藻の前を描いたもの。

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橋本貞秀「梅初春五十三駅」(1835年)。
市村座で三代目菊五郎がにょさんの宮かいねこへんげを演じたときの錦絵。

kokuritsugekijo_19.jpg
藤浪小道具制作の化け猫の手。
独道中五十三次の岡崎の場面で使われるものです。かなり大きいサイズでした。

kokuritsugekijo_20.jpg
指先に血がついていて生々しい。。

kokuritsugekijo_24.jpg
四谷怪談の蛇山庵室の場の舞台模型。1971年の道具帳を基に製作されたものだそうです。
お岩さんが伊右衛門や関係者に復讐する大詰の場面で
提灯抜けや仏壇返しなどの仕掛けをミニチュアで見ることができました。

kokuritsugekijo_25.jpg
後ろを見ると水車みたいなものや懸樋のようなものが舞台に向けて設置されていて
これに役者さんが乗って仕掛けの裏表を行ったり来たりするようです。

kokuritsugekijo_26.jpg
ってかこの模型、表側も細かいんですが裏側の紙にびっくり、紙背が使われてるじゃん!
こんな細かい部分まで再現する必要が…あるってことかな…臨場感は大事。

kokuritsugekijo_27.jpg
忍び車。
壁の一部が切り抜かれて布が貼られ、後ろに水車のような仕掛けがあって
お岩さんの役者さんがそれを使って庵室の鼠壁の中に消えていく仕掛けです。

kokuritsugekijo_28.jpg
仏壇返し。
仏壇の前にいた秋山長兵衛が仏壇から出てきたお岩さんによって引きずり込まれるシーンで
長兵衛役の役者さんが腰掛けたと同時に仕掛けが回転し舞台裏に消えていくものです。

kokuritsugekijo_29.jpg
提灯抜け。
提灯が燃え上がって割れると中からお岩さんがゆらりと出てくる仕掛けで
箸箱と呼ばれる引き板にお岩さん役の役者さんを乗せて押し出す仕組みです。

kokuritsugekijo_30.jpg
六代目尾上梅幸が1909年に東京座でお岩さんを演じたときのブロマイド。
お岩さんを「お岩様」「四ツ谷様」と呼び決して呼び捨てにしなかったという梅幸は
半面をかぶるとき目尻を下げて眉を薄くしておちょぼ口にすると頬がこけて見た目がいいとしていて
指も力を抜いて下げる心持でやらなければ気味悪く見えないという芸談を残しているそうです。
時には皮膚科の医師に頼んでドイツの皮膚病の本を見せてもらって面を作ったこともあるとか。
着物についても「縮緬でも羽二重でもいけない。紬で、鼠地でなければ」とおっしゃっていて
これはたぶんお岩さんが子年だからかと思いますが、
梅幸は菊の小紋を漏斗にして着ていらっしゃったようです。

kokuritsugekijo_31.jpg
楊州周延「形見草四谷怪談」(1884年)。
お岩さんを演じたのは五代目菊五郎で、提灯抜けの仕掛けを紹介した錦絵です。

kokuritsugekijo_32.jpg
金井大道具制作の仏壇返し。
展示用に1/2スケールで制作されたとのことで、舞台で使われるものはもっと大きいということだなあ。

kokuritsugekijo_34.jpg
「弥陀佛」の部分を背もたれにして長兵衛役の人が腰掛けると
後ろからお岩さん役の人が肩をつかんで引きずり込むというわけですな。
役者と裏方の息がぴったり合ってないとできない、難しい仕掛け。

kokuritsugekijo_35.jpg
国立劇場には緒方奇術文庫(病理学者で奇術文献を収集した緒方知三郎の資料)と
山本奇術文庫(緒方文庫にかかわった奇術やからくりの研究者山本慶一の資料)というコレクションがあって
その一部も展示されていました。
写真は山本奇術文庫から環中仙い三『珎術さんげ袋 上』(1725年?)で
演者が狐や天狗に変装する遊びが紹介されていました。

kokuritsugekijo_36.jpg
緒方奇術文庫から幾篠『仙術夜半樂 上・下』(1755年)。
大きいヤカンに銭で目をつけてかぶり、天狗の扮装をする芸が紹介されていました。

kokuritsugekijo_37.jpg
緒方奇術文庫から十方舎一丸画輯『手妻早傳授 二編 全』(1849年)。
消し炭を口にくわえて暗闇で呼吸をすると火を吹いたように見える、という方法が紹介されています。
ちょっと、いやだいぶ危ないな。。

kokuritsugekijo_38.jpg
豊原国周「宙乗寿語六」(1868年)。
宙乗りがあったり雲に乗ったりするシーンがある演目のキャラクターが勢ぞろいしています。
振り出しは寿三郎の天竺徳兵衛で、あがりは田之助の猫石精。

kokuritsugekijo_39.jpg
惺々周麿(河鍋暁斎)「曲結稚画手本」(1864年?)
赤い紐の一筆書きで作る人間や動物の図案集のようです。

kokuritsugekijo_40.jpg
写し絵の風呂と種板。
ガラス製の種板に描かれた絵を、風呂と呼ばれる木製の投影装置を使って映し出すもので
オバケや幽霊、妖怪なども描かれたそうです。

kokuritsugekijo_41.jpg
ところでわたくし、実は国立劇場に来るのが初めてでしたので
せっかくなので劇場も見ていこうと思いました。
写真の右側に写っているのが、さっきまで見学していた伝統芸能情報館です。

kokuritsugekijo_42.jpg
表の大劇場側にまわってきました~~うおおでけぇ。
舞台初日とかでテレビに映るのはいつもここですね。やっと本物が見られた。

kokuritsugekijo_43.jpg
提灯には国立劇場の紋がついています。
なんだか平等院の雲中供養菩薩像を思い出すような。

kokuritsugekijo_44.jpg
国立劇場は老朽化にともない今年の10月末で休場となり、
演芸場も情報館も含めすべて取り壊して再建されることになっています。
再開は2029年の予定だそうです。
9月からさよなら公演が始まりますがわたしは見に来られるかわからないな…長い間お疲れさまでした。
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comment

  1. 2023/05/09(火) 06:16:11 |
  2. URL |
  3. へろん
  4. [ 編集 ]
こんにちは。
面白そうですね、この展示。昔大阪で、妖怪やお化けとそのもとになったと思われる生物化石を一緒に展示していたりしましたが、それと通じるものがありますね。

九尾の狐、パッと見の質感から犬などでよくあるアニマルバルーンを思い出してしまいました。九尾の狐がバルーンになってふわふわ浮いてるといい、か、も……?(^^;)

Re: タイトルなし

  1. 2023/05/14(日) 13:25:10 |
  2. URL |
  3. ゆさ
  4. [ 編集 ]
> へろん様

おもしろかったですよ~機会がありましたらどうぞ。
妖怪と生物化石!それもおもしろいアプローチですね。
言い伝えや昔話の根源をたどるの好きです。

あっわかります、バルーンみたいでした!
リアルに作らないであくまで作り物という姿勢がかえっておかしみがありましたね。
玉藻の前の公演があるときは劇場に大きな狐のバルーン浮かべたら話題になりそうですね^^
 
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