則ち江庵の筆を還すに似たり。

かくれし神を出し奉んとて岩戸のまへにて神楽を奏し給ひし
天鈿女のいにしへもこひしく、夢心におもひぬ
(鳥山石燕『百器徒然袋』下巻)
鈴彦姫。舞い散っているのは桜の花びら。
先月まで熊谷アルス画房のイラストコンペに展示させていただいた絵です。
髪の長い子を描くのは前から好きなのですが、あえて「思いっきり長くしたらどうなるかな」とか
考えつつ描いていた覚えがあります。
被り物が麦わら帽子に見える気がしなくもない。。。
モデルは鳥山石燕の鈴彦姫ですが、
衣装の色は月岡芳年の『百器夜行』の鈴彦姫を参考にさせてもらいました。
この妖怪について、石燕は特に出典を明らかにしていないのですけど
(鈴彦姫は石燕の創作妖怪らしい)、
『百鬼夜行絵巻』に鈴を持った八乙女のような妖怪が描かれているので
あれがヒントではないかという説があるようです。
『古事記』によると、天鈿女が岩戸の前で捧げ持って舞ったのは笹の葉でしたが
石燕は鈴彦姫に扇子を持たせていました。
で、その扇子に「神楽」の字を書いたのが月岡芳年です。
たぶん鈴のつくも神とか、寺社の巫女さんとか、そういうイメージで描いたんじゃなかろうか。
(そういえば、『しゃばけ』の鈴彦姫は確か鈴のつくも神だったような…。
ドラマ版では早乙女太一くんが演じていたけどものすごい美女だったっけ)
扇子は見るのも持つのも好きなので、描いていてとても楽しかったです。
色んな人の描いた百鬼夜行絵巻を見ていると、だいたい
楽器を持った妖怪や、楽器が転じた妖怪(つくも神)がいるので
昔から妖怪たちと芸能の縁は切っても切れないのだなぁと思います。
神社で神楽を舞う、という習慣は妖怪たちにはないかもしれないけど
風流を愛する彼らのことだから、普段から何か理由を見つけて歌ったり踊ったりするのかな。
というか、そんなのんきな日々を過ごしていたらいいなぁと思っています。
「葉二」で源博雅と朱雀門の鬼が笛を交換するエピソードとか、
「瘤取り爺」でおじいさんが参加した、鬼たちの宴会みたいな感じだといいな。
*ブログ内のイラスト記事一覧はこちらです*
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- 2011/09/09(金) 09:21:00 |
- URL |
- かなやのぶ太
- [ 編集 ]
鈴彦姫素敵、素敵すぎますよう/////(←落ち着け)
アイシャドウの赤、口紅、表情、センスの柄、黒髪のツヤ、もう全部全部大好き!!!
アップで見れて幸せです><本当にありがとうございます!
うちのパソコンの背景に設定してもいいですか!いいですか!!!!!(もう必死)
妖怪と楽器の関係の考察、とても興味深く読ませていただきました。まだ科学が発達していない(自然現象について当時の人間の理解を超えていた)時代、「よくわからぬもの」を「神の仕業」として妖(あやかし)を想像したと思うのですが、それはやはり「よくわからぬから」こそ、恐れるべきもの(怖いというより、人間よりもいろいろな力を持っていて、それらを不浄として触らぬように、触ってしまったら清めるように)人間とは隔絶して描かれているような気間がします。当時の人としてもやはり妖って怖いものだったと思うんですよね。でもゆささんはじめ絵師さん方はそれを「作者が彼らを愛おしむ」視点で描かれている。なんだかとってもとっても面白いなって思います。既成概念をひっくり返しているわけですもの。その感性をとってもとっても尊敬するのです^^
ぬ?なんかよくわからん文章になってしまった^^;要はあれです、デスクトップにしていいですか……!!(かっ!!!)←自重しろ
- 2011/09/09(金) 10:04:00 |
- URL |
- ぴゆう
- [ 編集 ]
戻って来たのかな。
今見てもとても妖しげで素敵でございます。
いつも思うのは隅々まで手を抜かない事。
そういう姿勢が好き。
この前、挿絵で扇を描いたの。
その一面がめんどくさくてぇ~~
なのにゆささん、九面も描いている・・・
スゴすぎ。
深い思いが込められて、とてもいい作品ですね。
Re: タイトルなし
- 2011/09/11(日) 01:18:41 |
- URL |
- ゆさ
- [ 編集 ]
きゃーーっうちの子をそんなに愛してくださってありがとうございます(^▽^)☆
先日、お店から連れて帰ってきたので載せてみました。
アップで見てくださったようで嬉しいです~vvv
> うちのパソコンの背景に
ええ~~っほんとですか!!??感激です!!
ど、どどどうぞうちの子でよろしければPCに住まわせてやってくださいっ☆
> 妖怪と楽器の関係の考察
ひゃあ、考察というほどのものでは。。。(^ ^;)
何だかわからないもの…人の言葉で説明できないものを見えないものの仕業とする、というのは
古今東西を問わずあちこちにありますが、
人の歴史が進むごとに、それは畏怖から恐怖になってしまったわけで、
折り合いをつけるのがなかなか難しかったのかもな…と思います。
江戸時代になると、いわゆる「妖怪」はキャラクター化されて親しまれ始めますが
「幽霊」はそうはならず怖いまま、というのは
たぶん幽霊は怖い話でしか語られて来なかったからだと思うのです。
悲しみとか恨みとか、そういうものでできているのが幽霊、という意識が
たぶん未だにあるのでしょうね。
(わたしも、そういうものでできているモノは怖いと思ってしまいます)
ただ、幽霊が持つ悲しみや恨みはすごく身近なものであることが多いですから
そういう意味では、幽霊に対しても親しみやいとしさを感じることがあります(^ ^)。
Re: タイトルなし
- 2011/09/11(日) 01:24:24 |
- URL |
- ゆさ
- [ 編集 ]
はい~先日、お店から連れて帰って来ました☆
た、大作だなんて…!嬉しいです感激ですっ(*≧w≦*)
> 妖しげで素敵
うわっ、ありがとうございます☆
妖しさが出せていたらいいな…と思っていたのです。良かった!
> 隅々まで
ひゃあ(//▽//)☆
うーんと、何て言うんだろう、もう癖ですね。
描いてるときは、この子を世界一綺麗に描いてやろうって思うのです。いつも。
たまにやりすぎてしまうこともあるのですが…(笑)。
> 扇
ぴゆうさんの扇!見たい!!
扇は描くのも見るのも好きですが、形とか、模様とか悩みますよね…。
デザインのストックとセンスがもっと欲しいです~。
> 深い思いが込められて、とてもいい作品ですね。
ありがとうございます(*^ ^*)。
そのうちまた、大きなサイズで絵を描いてみたいです。
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