江戸の笑い。
先日の連休の初日、出光美術館の「大雅・蕪村・玉堂と仙-「笑(わらい)」のこころ-」展に
行ってきました♪
最初にあった池大雅の「瓢鯰図」に大典の賛があるのを見て
むちゃくちゃ嬉しくなりました☆
ぎゃーーっ大典といえば伊藤若冲や木村蒹葭堂と仲良しだった相国寺のお坊さんじゃないか!!
大雅とも仲良かったのかーそうなのかーそうだよねぇ同じ京都に住んでたんだしねぇありえるよね。
(人*´∀`*)~3
そんなわけで俄然テンションが上がって、この展覧会は絶対にいい!という
まったく根拠のない自信を持ちつつ鑑賞スタート。
大雅の四季山水図は秋の「江上笛声図」が気に入ってしばらく眺めてしまいました。
ススキをああいう風に描ける人ってステキだなぁ。
…と思っていたら、「十二ヶ月離合山水図屏風」の2月に描かれた柳が
なんだかススキのような枝で面白くて笑ってしまいました。。
そして、「竹里館図」を見てニヤリとした王維ファンは多いのではないかと思う。
大雅の絵って、一見、ごちゃごちゃしているんですけど
筆のタッチや描く世界にやさしさがあって見飽きないというか、
この絵とずっと一緒にいたいなぁと思わせてくれる感じがします。居心地のいい絵。
生前も色んな人と屈託なく付き合う人だったらしく、
あの曾我蕭白でさえ大雅の家に呼ばれたときは夜半過ぎまで滞在して話し込んでいたっていうから
天性の愛され屋さんだったのかもなぁ…。
(しかし帰ろうとする蕭白に「ごめん提灯がないや。これでいい?」って行燈をわたすのはどうかとvvv
そしてその行燈を遠慮せずに持って帰った蕭白も蕭白だ)
玉堂の「密林軼雲図」「潑墨山水図」が、ちょっと独特の黒さで面白かったです。
一気に描き殴ったような木々は、平面に見えるんだけど奥行きもあるというか、
黒々としているからこそ山の深さが感じられるような。
で、その中にぽつんと描かれた白い建物には
明らかに隠者を思わせる人が棲んでいたりとか。。
文人画のテーマをしっかり踏襲しているのだな、と思いました。
あと、扇子に描かれた「青山雨晴図扇面」の風景がステキでした☆
山と水と木と、残雪と雲と、波が打ち寄せる川岸と、琴と酒。
玉堂の好きなものばかりを詰め込んだ絵なのだなぁ(*^ ^*)。
蕪村の、細々と描き込まれた文人画も良かったのですが
「筏師画賛」のほのぼのとした雰囲気に心を全部持って行かれました。。。
嵐山の桜を愛でているとき、風が吹いて筏師の蓑がふわりとそよいだ一瞬を花に見立てた、という
絵だそうな。なにそれ風流☆
その後の「山水図屏風」が慎ましくも緻密な描写だったので
これはちょっと気合いの入り方が違うなぁと思ってキャプションを見たら、
「高価な絖の屏風に絵を描きたがっていた蕪村のために
弟子たちが資金を募って用意した屏風に描いた」とあって、それは気合い入るよね!!と納得した。
そして仙!
大人も子どもも、鬼も布袋も寿老人も達磨も起き上がり小法師も、観音様も龍も虎も、
仙が描くと笑いの対象にされてしまうのですね(笑)。
特に「貝殻観音図」にはびっくりした…。
拾った貝殻を見つめていたら観音様に見えてきたので絵にした、ということだそうですが
動機は美しいのに描いた絵があれって(爆笑)。観音様もビックリじゃなかろうか(^ ^;)。
(でも仙自身はものすごくまじめにあの絵を描いたらしい)
「虎画賛」の虎がvvvもはや猫vvv
仙も絵の中に「虎を画いて猫となる」と書きつけいていましたが
もともとどっちを描くつもりだったのか…(^ ^;)。
図録の解説にも「虎の絵である。いや、虎の絵のはずである」と書いてあって
同感しすぎてここでも笑ってしまいました。
「花見画賛」でお花見に興じる人々の中に、
ひとりだけ黒で塗りつぶされた人がいたのですが、「書きそこない」って書いてあった(笑)。
この人、隠さないのだなぁと思いました。
「寿老画賛」の寿老人が楽しそうに笑ってはしゃいでいるのがいいなぁ~。
そして老人の着物を、輪郭線を一切引かずに墨の濃淡だけで描いていてすごいと思った。
笑顔かとぼけた顔か、ほぼどちらかしか描かなかった仙。
生前はとてもまじめで信心深い人だったそうな。
そうすると、彼は別にふざけてああいう絵を描いていたわけではなくて
彼なりに見たものを素直にまじめに描いたら自然とああなった、ということなのかもしれません。
素直にのびのびと描いた絵で人々に笑ってもらえるとか、本望だったろうなぁ。
全体通して思わずくすくすと笑ってしまうような、癒しの展覧会でした。
ほのぼの江戸絵画が好きな方におすすめです~(*´▽`*)☆
この後、友達と新宿ルミネでランチして、上野の「空海と密教美術展」もはしごしてきたのですが
長くなりますので次回記事で書こうと思います。
本日のお絵かき↓

恵比須。
展覧会から帰ってきたら描きたくなりました。
仙の「鯛釣恵比須画賛」の恵比須さんは大口開けて笑っていてめんこいです(^ ^)☆
賛に「よろこべよろこべ」ってあるのが、ポリアンナのよかった探しみたいでいいなぁ。
人生を心の底から楽しんでいそうな感じがする。
*ブログ内のイラスト記事一覧はこちらです*
行ってきました♪
最初にあった池大雅の「瓢鯰図」に大典の賛があるのを見て
むちゃくちゃ嬉しくなりました☆
ぎゃーーっ大典といえば伊藤若冲や木村蒹葭堂と仲良しだった相国寺のお坊さんじゃないか!!
大雅とも仲良かったのかーそうなのかーそうだよねぇ同じ京都に住んでたんだしねぇありえるよね。
(人*´∀`*)~3
そんなわけで俄然テンションが上がって、この展覧会は絶対にいい!という
まったく根拠のない自信を持ちつつ鑑賞スタート。
大雅の四季山水図は秋の「江上笛声図」が気に入ってしばらく眺めてしまいました。
ススキをああいう風に描ける人ってステキだなぁ。
…と思っていたら、「十二ヶ月離合山水図屏風」の2月に描かれた柳が
なんだかススキのような枝で面白くて笑ってしまいました。。
そして、「竹里館図」を見てニヤリとした王維ファンは多いのではないかと思う。
大雅の絵って、一見、ごちゃごちゃしているんですけど
筆のタッチや描く世界にやさしさがあって見飽きないというか、
この絵とずっと一緒にいたいなぁと思わせてくれる感じがします。居心地のいい絵。
生前も色んな人と屈託なく付き合う人だったらしく、
あの曾我蕭白でさえ大雅の家に呼ばれたときは夜半過ぎまで滞在して話し込んでいたっていうから
天性の愛され屋さんだったのかもなぁ…。
(しかし帰ろうとする蕭白に「ごめん提灯がないや。これでいい?」って行燈をわたすのはどうかとvvv
そしてその行燈を遠慮せずに持って帰った蕭白も蕭白だ)
玉堂の「密林軼雲図」「潑墨山水図」が、ちょっと独特の黒さで面白かったです。
一気に描き殴ったような木々は、平面に見えるんだけど奥行きもあるというか、
黒々としているからこそ山の深さが感じられるような。
で、その中にぽつんと描かれた白い建物には
明らかに隠者を思わせる人が棲んでいたりとか。。
文人画のテーマをしっかり踏襲しているのだな、と思いました。
あと、扇子に描かれた「青山雨晴図扇面」の風景がステキでした☆
山と水と木と、残雪と雲と、波が打ち寄せる川岸と、琴と酒。
玉堂の好きなものばかりを詰め込んだ絵なのだなぁ(*^ ^*)。
蕪村の、細々と描き込まれた文人画も良かったのですが
「筏師画賛」のほのぼのとした雰囲気に心を全部持って行かれました。。。
嵐山の桜を愛でているとき、風が吹いて筏師の蓑がふわりとそよいだ一瞬を花に見立てた、という
絵だそうな。なにそれ風流☆
その後の「山水図屏風」が慎ましくも緻密な描写だったので
これはちょっと気合いの入り方が違うなぁと思ってキャプションを見たら、
「高価な絖の屏風に絵を描きたがっていた蕪村のために
弟子たちが資金を募って用意した屏風に描いた」とあって、それは気合い入るよね!!と納得した。
そして仙!
大人も子どもも、鬼も布袋も寿老人も達磨も起き上がり小法師も、観音様も龍も虎も、
仙が描くと笑いの対象にされてしまうのですね(笑)。
特に「貝殻観音図」にはびっくりした…。
拾った貝殻を見つめていたら観音様に見えてきたので絵にした、ということだそうですが
動機は美しいのに描いた絵があれって(爆笑)。観音様もビックリじゃなかろうか(^ ^;)。
(でも仙自身はものすごくまじめにあの絵を描いたらしい)
「虎画賛」の虎がvvvもはや猫vvv
仙も絵の中に「虎を画いて猫となる」と書きつけいていましたが
もともとどっちを描くつもりだったのか…(^ ^;)。
図録の解説にも「虎の絵である。いや、虎の絵のはずである」と書いてあって
同感しすぎてここでも笑ってしまいました。
「花見画賛」でお花見に興じる人々の中に、
ひとりだけ黒で塗りつぶされた人がいたのですが、「書きそこない」って書いてあった(笑)。
この人、隠さないのだなぁと思いました。
「寿老画賛」の寿老人が楽しそうに笑ってはしゃいでいるのがいいなぁ~。
そして老人の着物を、輪郭線を一切引かずに墨の濃淡だけで描いていてすごいと思った。
笑顔かとぼけた顔か、ほぼどちらかしか描かなかった仙。
生前はとてもまじめで信心深い人だったそうな。
そうすると、彼は別にふざけてああいう絵を描いていたわけではなくて
彼なりに見たものを素直にまじめに描いたら自然とああなった、ということなのかもしれません。
素直にのびのびと描いた絵で人々に笑ってもらえるとか、本望だったろうなぁ。
全体通して思わずくすくすと笑ってしまうような、癒しの展覧会でした。
ほのぼの江戸絵画が好きな方におすすめです~(*´▽`*)☆
この後、友達と新宿ルミネでランチして、上野の「空海と密教美術展」もはしごしてきたのですが
長くなりますので次回記事で書こうと思います。
本日のお絵かき↓

恵比須。
展覧会から帰ってきたら描きたくなりました。
仙の「鯛釣恵比須画賛」の恵比須さんは大口開けて笑っていてめんこいです(^ ^)☆
賛に「よろこべよろこべ」ってあるのが、ポリアンナのよかった探しみたいでいいなぁ。
人生を心の底から楽しんでいそうな感じがする。
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テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。 ジャンル : 学問・文化・芸術
- 2011/09/27(火) 23:03:38 |
- URL |
- ぴゆう
- [ 編集 ]
江戸のおおらかさが出ていていい雰囲気の絵ですよね。
親父が昔、筆で人の横顔を描いていたけど、それに合い通じるような。
すごく変な顔なの。
懐かしいです。
恵比寿様がお美しい。
海老茶の陣羽織がよく似あっています。
Re: タイトルなし
- 2011/09/27(火) 23:25:58 |
- URL |
- ゆさ
- [ 編集 ]
仙の絵はユーモラスでゆったりしていていいですよね(*^ ^*)。
おっしゃる通りおおらかさが出ていると思います。
あと、描く対象を見る目がすごくやさしいなと。
絵心のあるお父様だったのですね☆
ステキじゃありませんか、変な顔(^ ^)デフォルメみたいな感じでしょうか。
いいなぁ、筆でさらっと横顔とか描ける人…そうなりたいなぁ。
ひゃあ、美しいですか??ありがとうございます☆
仙の恵比須を見ていたら、何だかこんな人が描きたくなりました。
ちょっと渋めの色を着せてみたくなったのです(^ ^)塗ってて楽しかったな~。
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