2012.02/15 [Wed]
燃える思春期。
上橋菜穂子さんの『炎路を行く者』を読みました。
この人の本はストーリーと伏線がしっかりしているタイプの本なので
なるべく時間を作って読むようにはしているのですけど、
うっかり時間のないときに読み始めて、途中でどうしても中断せざるを得なくなると
続きがものすごく気になってしまってどうにも落ち着かなくなります。
今回も通勤電車の中で読んでいたら、読み終える前に降車駅に着いてしまって
続きが読める暇ができるまであわあわしたりしました。はー心臓に悪い。
上橋さんが少年時代のヒュウゴの話を書いている、というのは
以前から上橋さんがあとがきや本の帯で言っていましたけど
守り人シリーズ完結後もなかなか出版されなかったので、満を持して読めたという感じでした。
待ちに待ったヒュウゴの少年時代を存分に堪能しましたとも…!
ほわあああいいなあああ思春期炸裂!!
『蒼路の旅人』の初登場シーンから癖のある人ではありましたが、
思春期も充分癖のある少年だったとわかって妙に納得してしまった。。
いや癖以前に、もっと切実なアイデンティティの問題を挟んでいるわけだけど…。
帝の盾の子だったことに人一倍こだわっているし、
タルシュ人に対して何か仕掛けたいけどお金も力も持ってなくてできないからイラついてるし、
だからこそ、仲間を傷つけた相手に仕返しするときはしばしば怒りに荒れるし、
そんな自分を遠くから冷静に見ている自分がいることもわかっているし。
そういう、めちゃくちゃ刹那的なところを抱えながらどうにかこうにか立っている、
みたいな少年時代だったのだなぁ。
ヒュウゴは自分が危険にさらされたり、死ぬかもしれないということに対する用心深さが
ほかの人より欠けているところがあるなぁと読んでいて感じました。
バトルになると頭がオーバーヒートして「傷つかないために、死なないためにどうしたらいいか」とか
「自分が死んだら周囲にこういうマイナスが及ぶだろう」とか、そういう思考がすっとんで
ひたすら闘争本能の赴くまま無茶な行動に走ってしまうというか。
(ゲームキャラに例えると素早さと攻撃力が異様に高くて防御とHPが低いタイプ)
そういう少年に育った理由として挙げられるのが彼の生い立ちであり、彼の父親の仕事であり、
家を焼け出されてからの紆余曲折なんだろうと思う。
で、そういう命知らずなところが、リュアンから見ると
ナユグを見る者の立場としてはちょっと注文つけたい点だったりするわけで。
タルシュに屈したくないヒュウゴの気持ちもわかるんだけど、
リュアンにしてみれば、国や政府のトップが誰であっても
そのことで自分の生活や精神に影響が出てくるということは特にないんじゃないかと思う。
(社会的な影響は受けるにしてもね)
ヨアルもそう。病気で治療費もないけど、ヒュウゴのお金を受け取らなかったのは
国がどうとかいうんじゃなくて、ヒュウゴの人生を見て「いらない」って言ったわけで。
たぶんヒュウゴはあのとき、自分の立ち位置についてものすごく考えたんだろうと思います。
自分が今ここにこうしているのはなぜか、ヒュウゴが一番ヒュウゴに聞きたかったかもしれないな…。
オウルとの出逢いはわりとスピーディーな展開でしたけども、
ヒュウゴが惚れ込むには充分な時間だったような。
オウルのあの冷静な采配ぶりは経験からくる余裕なのかな…成人したヒュウゴを見ているようでした。
冒頭の「運河沿いのあの家には~」の一文は反則だと思う。
バルサの少女時代もめいっぱい堪能しました。
『流れ行く者』でも13歳の彼女が少し垣間見られましたけれども
今回は一歩すすんで、15歳になったバルサのお話でした。
ジグロに支えられていることが日常的な日々でも、それを当然としないところが
バルサのいいところであり、いやちょっと待ちなよと言いたいところでもあります。
追われているという自覚もあるし、ジグロに対して負い目もあるから
とにかく何でもかんでも一人でできる&解決できるようにならなくちゃ!みたいな思いを
ずーっと持っていて、そのために先走ったり無茶をしすぎるので
かえってジグロの心配の種を増やしていることもあるし。。。
しかも、バルサのそんな気持ちをジグロはお見通しなんだな…。
この人には絶対かなわない、と思いながらも、ジグロと対等であろうとするバルサが
すごくいとしいです。
で、そんなバルサに対して「そんなことは考えなくていい」なんて野暮は言わずに
好きな詩人の詩で返答するジグロったらロマンティストだ。
本日のお絵かき↓
※クリックで大きくなります
先月に描いた人たちです。
前回は道風がメインでしたが、昨日が小野好古の命日だったので好古をメインに描き描き。
立春を過ぎましたがまだまだ寒いですね。
*ブログ内のイラスト記事一覧はこちらです*
この人の本はストーリーと伏線がしっかりしているタイプの本なので
なるべく時間を作って読むようにはしているのですけど、
うっかり時間のないときに読み始めて、途中でどうしても中断せざるを得なくなると
続きがものすごく気になってしまってどうにも落ち着かなくなります。
今回も通勤電車の中で読んでいたら、読み終える前に降車駅に着いてしまって
続きが読める暇ができるまであわあわしたりしました。はー心臓に悪い。
上橋さんが少年時代のヒュウゴの話を書いている、というのは
以前から上橋さんがあとがきや本の帯で言っていましたけど
守り人シリーズ完結後もなかなか出版されなかったので、満を持して読めたという感じでした。
待ちに待ったヒュウゴの少年時代を存分に堪能しましたとも…!
ほわあああいいなあああ思春期炸裂!!
『蒼路の旅人』の初登場シーンから癖のある人ではありましたが、
思春期も充分癖のある少年だったとわかって妙に納得してしまった。。
いや癖以前に、もっと切実なアイデンティティの問題を挟んでいるわけだけど…。
帝の盾の子だったことに人一倍こだわっているし、
タルシュ人に対して何か仕掛けたいけどお金も力も持ってなくてできないからイラついてるし、
だからこそ、仲間を傷つけた相手に仕返しするときはしばしば怒りに荒れるし、
そんな自分を遠くから冷静に見ている自分がいることもわかっているし。
そういう、めちゃくちゃ刹那的なところを抱えながらどうにかこうにか立っている、
みたいな少年時代だったのだなぁ。
ヒュウゴは自分が危険にさらされたり、死ぬかもしれないということに対する用心深さが
ほかの人より欠けているところがあるなぁと読んでいて感じました。
バトルになると頭がオーバーヒートして「傷つかないために、死なないためにどうしたらいいか」とか
「自分が死んだら周囲にこういうマイナスが及ぶだろう」とか、そういう思考がすっとんで
ひたすら闘争本能の赴くまま無茶な行動に走ってしまうというか。
(ゲームキャラに例えると素早さと攻撃力が異様に高くて防御とHPが低いタイプ)
そういう少年に育った理由として挙げられるのが彼の生い立ちであり、彼の父親の仕事であり、
家を焼け出されてからの紆余曲折なんだろうと思う。
で、そういう命知らずなところが、リュアンから見ると
ナユグを見る者の立場としてはちょっと注文つけたい点だったりするわけで。
タルシュに屈したくないヒュウゴの気持ちもわかるんだけど、
リュアンにしてみれば、国や政府のトップが誰であっても
そのことで自分の生活や精神に影響が出てくるということは特にないんじゃないかと思う。
(社会的な影響は受けるにしてもね)
ヨアルもそう。病気で治療費もないけど、ヒュウゴのお金を受け取らなかったのは
国がどうとかいうんじゃなくて、ヒュウゴの人生を見て「いらない」って言ったわけで。
たぶんヒュウゴはあのとき、自分の立ち位置についてものすごく考えたんだろうと思います。
自分が今ここにこうしているのはなぜか、ヒュウゴが一番ヒュウゴに聞きたかったかもしれないな…。
オウルとの出逢いはわりとスピーディーな展開でしたけども、
ヒュウゴが惚れ込むには充分な時間だったような。
オウルのあの冷静な采配ぶりは経験からくる余裕なのかな…成人したヒュウゴを見ているようでした。
冒頭の「運河沿いのあの家には~」の一文は反則だと思う。
バルサの少女時代もめいっぱい堪能しました。
『流れ行く者』でも13歳の彼女が少し垣間見られましたけれども
今回は一歩すすんで、15歳になったバルサのお話でした。
ジグロに支えられていることが日常的な日々でも、それを当然としないところが
バルサのいいところであり、いやちょっと待ちなよと言いたいところでもあります。
追われているという自覚もあるし、ジグロに対して負い目もあるから
とにかく何でもかんでも一人でできる&解決できるようにならなくちゃ!みたいな思いを
ずーっと持っていて、そのために先走ったり無茶をしすぎるので
かえってジグロの心配の種を増やしていることもあるし。。。
しかも、バルサのそんな気持ちをジグロはお見通しなんだな…。
この人には絶対かなわない、と思いながらも、ジグロと対等であろうとするバルサが
すごくいとしいです。
で、そんなバルサに対して「そんなことは考えなくていい」なんて野暮は言わずに
好きな詩人の詩で返答するジグロったらロマンティストだ。
本日のお絵かき↓

先月に描いた人たちです。
前回は道風がメインでしたが、昨日が小野好古の命日だったので好古をメインに描き描き。
立春を過ぎましたがまだまだ寒いですね。
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って熟読したい欲求にかられましたが、
私がまだ読めていない……という……!!
上橋さんの作品て、しっかり時間とりたいので、どうにも、隙間時間を使えなくて……!
読んだら、またこの記事に帰ってきます!!
この記事読むのも楽しみです~~~*^^*♪