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ゆさな日々

猫・本・歴史・アートなど、好きなものやその日考えたことをそこはかとなく書きつくります。つれづれに絵や写真もあり。


錦の鎧。

  1. 2012/06/13(水) 23:54:53_
  2. 歴史
  3. _ tb:0
  4. _ comment:0
白髪の武将。※クリックで大きくなります
斎藤実盛。かっこいいじじいが描けないので青年仕様。
篠原の合戦前に髪を染めたときの様子だと思って生暖かい目で見てやってください。

実盛は、普段の生活でも戦においても特に目立つ行動はしてないけど
なんというか「今ここにあの人がいて欲しい」と思うときに必ずいてくれる人のような気がします。
や、単に実盛と義仲の物語を読んだときの、わたしの第一印象ですが。

『平家物語』の篠原の合戦場面を見ると、あのときの実盛って
大蔵の乱で義仲を木曾へ逃がした頃とは別人のように
義仲に甘い顔を見せていない…というか平氏の武将として戦おうとするあまり、
他のことが目に入っていないように見える。
たぶん戦闘中はクールすぎるくらい職務に忠実で、相手に対して手加減はしないし
あくまでも敵は敵味方は味方として考えているんだろう。
でも休息中とか、戦闘モードをオフにしているときは結構冗談を言うことも多いみたいだし、
いつもニコニコしている好々爺で若武者たちに好かれるタイプだったんじゃないかなぁとか
想像してしまいます。

義仲のことは、一度は引き取って育てることも考えたくらいだから
常に頭のどこかに引っかかっていたと思う。
特に篠原合戦時は、かつて自分が助けた少年が軍隊の大将にまで成長して攻めてきたわけだし
もうほとんどパパみたいな気持ちになっちゃって
一目だけでも顔を見られたら…くらいは思ってたんじゃないか。
で、そういう実盛の心理は、平家物語の
「平家はこのところ負け戦ばかりだし、どうだいみんな、そろそろ木曾殿に組するかい」
っていう、平氏の若武者たちの心を試すセリフにも表れている気がする。
あと、実盛のストーリーは世阿弥が謡曲にもしていますけれども、
その中に「義仲と戦いたかったのに、手塚光盛に負けた」みたいなセリフもあって
これにも実盛の義仲らぶーな気持ちが表れているなと。
(ちなみに実盛を負かした手塚光盛という武将は手塚治虫氏のご先祖なのだそうだ。
『火の鳥』乱世編で義仲と巴が帰国の相談をする場面に手塚氏そっくりの光盛が登場していますね)

そんなこんなで気持ちの上では親子みたい(とわたしが勝手に思ってる)な
実盛と義仲でありますが、一方が源氏で一方が平氏に味方しているとなると
2人とも生きているうちは表だってそういう関係ではいられなかったわけで。
平家物語でも、手塚が持ってきた首が実盛とわかって義仲が涙するシーンがありますが
あえて戦闘開始時に名乗りを上げず敵方に自分がいるのを義仲に知らせないことを実盛は選んだ、
それは「知らない方が義仲が悲しまずにすむし、もし知られても義仲ならわかってくれる」的なことを
考えていたのかもしれなくて。
本当は義仲をとても大切に思っていたけど、実盛は「今の自分は平氏の武将だから」という
思いが強くてああいう行動を取ったのかな…と考えると
(そしてそれは物語がそうしているように武将としては賞賛されることなのかもしれないけど)、
哀しい人でもあるな…とも思います。

篠原合戦のあった石川県加賀市には、義仲と樋口兼光と手塚光盛の3人の銅像があるそうです。
ぐぐって写真を見てみたのですが、義仲が実盛の首をかかえ、樋口と手塚がうなだれるという
まるで平家物語のワンシーンのようなシチュエーションになっていて仰天しました。。
銅像というと、その人物が胸を張っていたり海を見つめてみたり
故郷の方角を見つめたりしているものが多い気がするのですが、
あの3人のモニュメントはかなりドラマチックだなと思う。
実盛が開祖の、妻沼の聖天様にある実盛像は結構どっしりしてるのになぁ。
(そういえばあそこの本殿が、先日、国宝に指定されることが決まりましたね。めでたいっ☆)

あ、そうだ忘れるところだった。実盛の萌え(?)ポイントまだあった。
実盛がいなくなった後、彼の息子である五郎と六郎が
平六代(清盛の曾孫)に生涯付き添ったりしていましてですね、
そこがまた妙にキュンとくるというか、実盛が気になっている一要因だったりします。
好きな歴史上の人物の側にいる人物は実在でも非実在でもだいたい好きになる傾向が強いです。
だって家族や仲間がいるとそれだけで色々想像できて楽しいじゃない!(そこか)

「むざんやな冑の下のきりぎりす」松尾芭蕉(『奥の細道』)

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