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真珠の耳飾り。

2012.08.03 23:56|文化・美術
ついてくる視線。
東京都美術館の「マウリッツハイス美術館展」プレミアム鑑賞会に行って来ましたー!
日中は平日でも大盛況の展覧会で、真珠の耳飾りの少女とゆっくり会えないと聞いたので
どうせ彼女に会いに行くなら正面から正々堂々と会いに行こう!と思って
プレミアムチケット買って行ってまいりました。
(結構ぎりぎりの時期だったのだけど買えて良かったお)

夜の7時半から開場だったのですが、時間ぴったりに行ったら全然人がいなくて
会場の中や作品の前を行ったり来たりしながら自由に鑑賞できて大満足。
「真珠の耳飾りの少女」は完全にVIP扱いで、ひと部屋をあてがわれていて
西洋のお屋敷の客間に招かれたみたいだった。
絵のサイズは以前にBunkamuraに来ていた「地理学者」とそんなに変わらないですねー。
いつだったか谷川俊太郎氏がこの絵を見て「美しい」としか表現できなかったと聞いて
確かにそうかもなーとか思ったのですが、
実際に彼女を間近で見たらその推量はあっけなく確信に変わったよ!
だって正面から見る彼女はものすごーーく綺麗なんだもの!!
絵の前を歩くと視線がずっとついてきます。八方睨み龍みたいに。
中学生の頃に美術の授業で、女の人の爪先がついてくる絵を先生が見せてくれましたが
視線とか指先とかについてこられるとドキドキしちゃうよね。
たぶんフェルメールはこういう目で見られたことがあるんじゃないかな…誰かに。

さすがにこの絵の周囲は人だかりができていました。
でも10分近く見つめてきてしまった☆幸せな時間でありました。
モデルが誰かというのは諸説あるようですが、どれも推測の域を出ないとか。
スカーレット・ヨハンソン主演の映画は見ていないのですけども
原作本は何年か前に読みまして、
その中ではフェルメール家のお手伝いさんがモデルになって描かれた絵という
コンセプトだったような。
少女が耳飾りをつけるためピアスの穴を開ける描写にぞくぞくっとした覚えがあります。

フェルメールの筆タッチって石膏にしっくいを塗りたくったような感じがします。個人的に。
画集などで見るたびにそんな気がしていて、今回間近で見たらやっぱりそんな感じ。
筆先にたっぷり贅沢に絵の具をつけていそうな。
そうしてリアルに描かないぶん、鑑賞者が脳内補完できる、自由度の高い絵になっているのかな。
(しかし真珠にターバンの照り返しをつけなかったりして、嘘もほどほどにつくあたり
やっぱり画家だなと思わざるを得ない)
今回の展示でも、この少女の他に「ディアナとニンフたち」がきていて
この絵もやや輪郭がぼかしがかって見える絵なのだけど、
光の当て方で物の質感が感じ取れるようになっていて見事だなと思いました。

レンブラントは6点きていて、いかにも「レンブラント!」な絵ばかりで良かったです。
モネと同じで、遠くから見てもすぐレンブラントとわかるよー。
「羽根飾りの帽子を被る男」が何というかもう、彼らしい絵で笑ってしまった。。
大きな帽子がよく目立って(ダチョウの羽らしい)、帽子も心持ち偉そうです。
レンブラントはこう、偉そうにすました人を描くのがうまいですよね。
トローニーだけど画家の顔がモデルという説もあるらしい。
「笑う男」を見てラ・マンチャの男を連想したのは
たぶん絵の男性が甲冑用の首あてをつけていたせいだと思う。
「自画像」が、帽子を被ったバッハにしか見えなくて困ったf(^ ^;)。
「シメオンの讃歌」はイエスの誕生に駆けつけたシメオンが讃歌を歌う場面で、
この手の絵にしてはめずらしくマリア以外の人(シメオン)がイエスを抱いていました。
今回出品のレンブラント作品で最も美しいなと思ったのはこの絵ですが
図録の解説に「当時の流行にしっくり馴染むディテールを大切にした描き方が好まれ、
作品は当然ながら称賛された」とあって、当時のオランダの人たちに親近感を感じた。

ルーベンスの「聖母被昇天」の下絵はだまし絵のような立体感があって
奥行きよりも手前に飛び出している感がありました。
アントワープ大聖堂にある本物の立体感はこれの比ではなさそうです。
一方、ブリューゲル父のケレスと花輪の絵は奥行き感の方があるように思います。
ライスダールの「ベントハイム城」の構図が、
『天空の城ラピュタ』でパズーのお父さんが撮影したラピュタの写真の構図に
少しだけ似てる気がしました。ほんとに少しだけね。。
似ているといえばテル・ボルフの「手紙を書く女」が
フェルメールのそれと構図も女性のファッションも似ていると思ったんだけど、
図録を見たらこの絵の方が先で、真似をしたのがフェルメールらしいです。
"そうだ、手紙、書こう。"とか、そんなキャッチコピーをつけたら
ポスターとかになりそうな絵だと思った。

クラースゾーンは博物図鑑並にリアルな静物を描いていて気になった画家です。
「蝋燭のある静物」の、グラスへの蝋燭の火の写り込みとか
「ヴァニタスの静物」の髑髏と本と羽ペンの質感が手に取るように伝わってきました。
どちらの絵にも本が置かれて知恵を象徴していますが、
髑髏や蝋燭の火はやがて消えゆくものの象徴なのでまるきり肯定的な絵でもないようです。
(そして髑髏・本・羽ペンの組み合わせは聖ヒエロニムスのモチーフでもある)

オランダ絵画の肖像画はその完成度が高いことで有名ですけれども、
今回きていたいくつかの肖像画も質の高いものばかりです。
ヴァン・ダイクの「アンナ・ウェイク」とか、ハルスの「ヤーコブ・オリーカン」とか。
特にハルスの「アレッタ・ハーマネンス」のドレスを見て、これを描いたのかと思うと
頭がくらくらしてきました。
あんな金属の胸当てと、飾りの鎖と、透ける黒レース、一体どうやって描くんだよ…。
フリンクの「椅子の傍らの少女」と見ていたら、
何となくベラスケスの「フェリペ王子」を思い出しました。
白い衣装、たくさんの腕輪、首から鈴を提げた子どもの肖像画は
16~17世紀の美術に散見されるモチーフのようです。
(鈴が魔除けを意味するところから当時の子どもをとりまく衛生事情が見て取れる)

そんなわけですっかり楽しんで、2時間近く会場をうろうろして
外に出たら日はとっぷり暮れて真っ暗でしたが
美術館はあちこちライトがついていて、幻想的な雰囲気をかもし出していました。
公募棟と企画棟、本館、レストランの中庭に面した壁はガラス張りになっていて
室内の灯りがそのまま外も照らすので、すごくというわけじゃないけど明るかった。
写真を撮りたかったのですが携帯のカメラが壊れているので撮れませんでした。
早く機種変えたい。。

あ(・∀・)今月14日の「ぶらぶら美術・博物館」(BS日テレ)では
マウリッツハイス展をぶらぶらするそうなので、見られる方は見てみるといいと思います。
わたしも見ますー☆


水のある風景。※クリックで大きくなります
「貫之1111首」歌合編その3。2はこちら
仕事を終えた忠岑もやって来て、賑やかになった友則邸。
釣殿で夕涼みを始めます。

忠岑「わーほんとにみっちゃんだ!4年ぶりー」
躬恒「4年ぶりー」
忠岑「うちの主人から聞いてびっくりしたよ。今朝会ったんだろ?」
躬恒「大路で、ばったり。お元気そうだね」
忠岑「元気だけが取り柄のじいさんだからな。どうだった?甲斐は」
躬恒「すっごく寒かった!」
忠岑「だろうなぁ。大変だったな」
貫之「文に書いて寄越したもんな。“夜を寒み置く初霜をはらひつつ草の枕にあまたたび寝ぬ”って」
躬恒「いやぁ、だって詠まないとやってらんないから」
友則「歌人だねぇ」

ちなみに、4人が食べているのは水飯(氷室の氷を削りだしたもの)です。
暑い夏を涼しく過ごすための、風物詩。
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テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。
ジャンル:学問・文化・芸術

コメント

NoTitle

こんにちは、TOM-Fです。

「真珠の耳飾の少女」実物は残念ながら見たことはないのですが、大塚国際美術館で複製画を見たことがあります。
 絵画の事はあまり知らないのですが、光の当たり方の「嘘」が上手くて印象的な絵ですね。

 たぶんご存知だと思いますが、これとほとんど同じ構図の絵で「ベアトリーチェチェンチの肖像」という作品があります。TV番組で見ただけなんですが、一目見たら忘れられなくなる絵でした。一度、実物を見てみたいものです。

 なかなか美術館に行く機会もないので、ゆささんの記事で美術館や展示会めぐりをさせてもらっています。しかも、解説付き……。ほんとうに、ありがとうございます、ですね。

Re: NoTitle

> TOM-F様

> 「真珠の耳飾の少女」
とっても綺麗でしたよー☆
機会がありましたら日本にあるうちにぜひぜひ。秋には神戸に巡回するそうです。
フェルメールの嘘も面白いですが、やっぱり光の表現が美しい絵です。
目がとても大きくてドキドキしてしまいました。

> 「ベアトリーチェチェンチの肖像」
あ、あれ、こういうタイトルだったんですね。。
絵は知っているのですが、タイトルを知らなくて、さっきぐぐって初めて知りましたf(^ ^;)。
あちらもターバンをしていて、背景が真っ黒ですね。
フェルメールの色んな勉強と経験の末に真珠の少女がいるのですね…美術史って面白いです。

> 解説付き
はわわわありがとうございますそれほどでも。。。><
たぶん今後もちょこちょこ記事にしていきますが、素人の感想ですので適当に流し見てやってくださいませ~。
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ゆさ

Author:ゆさ
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