猫とドラゴンとメトロポリタン。

東京都美術館にて開催中の「群龍割拠 猫とドラゴン展」と
「メトロポリタン美術館展 大地、海、空—4000年の美への旅」を見てきました。
(メット展は前の職場の先輩から招待券もらっちゃいましたーーうおお先輩ありがとう☆)
まずはギャラリーで行われている猫とドラゴン展へ行ったのですが、
その雰囲気や混みぐあいや客層が、何と言えばいいのか、さながら秋葉原のようでした。。
アニメやゲームや特撮業界などで活躍する30人のクリエイターが
「猫」と「ドラゴン」をテーマに制作した作品をずらりと並べた展覧会なのですが、
そもそも参加者がどんだけ雑多で豪華なんだって感じですな。
(ってか、わたし、参加者の幾人かはpixivでお名前見たことあるぞ…)
受付の隣でばーんと出迎えてくれるのが前田ヒロユキさんの屏風作品です。
ナイスバディなおねえさまが2人、ドラゴンに乗っているというものでした。(こちらに動画があります)
これ結構大きな屏風でしたよ。家庭用ピアノくらいあるレベル。
藤ちょこさんのファンタジックな世界観は以前から好きでしたけど、
今回もステキな猫耳女の子たちと大きな竜の作品が出品されていました。
お姫様の結婚式のパレードというコンセプトだそうです。明るくて派手やー☆
寺田克也氏は、「オレの好きなものを描きました」みたいな感じがびんびんに伝わってきた(笑)。
画面いっぱいに竜の顔が描かれていて、さて猫はどこにいるんだろう?と思ったら
竜の首に子どもが描いているラクガキが猫の顔でした。かわゆす。
あと、作家さんのお名前を忘れてしまったのですが
ギャラリーの奥にでーんとあった作品がすごかったです。
ベランダに出た猫が見据える夜景に、巨大なドラゴンが降臨してきているもの。
かなり巨大サイズの作品で、庵野秀明氏の「巨神兵、東京に現る」みたいな迫力がありました。
(でもドラゴンの顔はポケモンみたいでかわいかった)
あと、2体の龍がからみあう立体作品で、龍の体にくっついた5匹の猫を探すというのがあって
5匹目がどうしても見つからなくて何度も作品の周りをグルグル回りました。見つけたけど。
他にも竜の骨格とか、羽化した子竜を狙う猫とか、ぬいぐるみみたいな竜と猫とか
緻密に描き込まれたおねえさまと竜とか、諸々あってすごかった。想像以上にぶっとんだ内容でした。
このクオリティで無料とか信じられない…!!
来年もやってくれないかなぁ。こういうグループ展は楽しいです♪
メット展も絵画あり彫刻あり発掘品ありキルトありで楽しかったです。
混んでいたけど、前回のマウリッツ展に比べるとずっと静かで鑑賞しやすかったですね。
今回展示の目玉になっているゴッホの「糸杉」の前にもそんなに人いなかったし。
(ところでどうでもいい余談ですが、展示室を回っている間中ずっと
わたしの脳内ではNHKみんなのうたの「メトロポリタン美術館」が
エンドレス再生されていました♪
あの歌をご存知でこれから展覧会に行く方は、ぜひ脳内再生しながらご覧になるといいと思う。
天使の像もエジプトのファラオも今回は来ていませんが
会場の暗めな照明との相乗効果で、なかなかスリリングな鑑賞タイムが満喫できますぞ)
何の事前情報もなく行ったのですが、モネの「エトルタ」を見つけて嬉しくなりました☆
エトルタはモネが好んで描いたモチーフのひとつですが
今回見られるのは彼がわりと若い頃に描いたもの。
光があたらず影になった岩の部分と、光があたっている岩の部分の色対比が好き~。
モネの描く白は吐息のようで美しいなぁと思います。
レンブラントの「フローラ」も綺麗でした☆
春の女神を擬人化したもので、植物を乗せた大きな帽子がオシャレです。
ルノワールの「浜辺の人物」の女性たちを見ていると、
浜辺の潮風が感じられて爽やかな気持ちになってきます。
たぶんこれを描いていたときのルノワールは相当リラックスしていたんじゃないかしらん。
ターナーの「サンタ・マリア・デッラ・サルーテ教会の柱廊から望む」の空の青が良かった。
空に広がる雲の白も良かった。
水や雲を、霧のようにモヤモヤしたタッチで描くのが彼の絵の特徴ですねぇ。
そして、後々出てくる印象派の人々は明らかにターナーの絵を見ていると思う。
(そういえば来年秋に都美でやるターナー回顧展のチラシがすでにできていて、
都美のアートラウンジに置かれていましたよ。気がはやーい)
ゴッホの「糸杉」は絵の具の使い方が面白かったです。
糸杉ってどちらかというと静かな印象のある木ではないかと思うのですが、
ゴッホは完全に「ひまわり」みたいに描いていて、いかにも彼らしい作品。
ってか、この絵に限らず、ゴッホってキャンバスに絵の具をばんばん乗っけていく人だよね。
色塗りじゃなくて。これでもかこれでもかって。
一筆一筆に全体重をかけているような感じがする。
(そういえばこの「糸杉」は、ゴッホが入院中の病棟から見たものを描いたらしいのだけど
糸杉って西洋ではやっぱり死のイメージと直結した植物なのでしょうか…。
アルノルト・ベックリンが「死の島」シリーズで糸杉を描いているし、
イタリアのサン・ミケーレ島(お墓しかない島)にも
遠目でもはっきりそれとわかるくらいの糸杉がごまんと植わっているしな…)
「歩きはじめ、ミレーに拠る」は、「糸杉」より絵の具の量が少なく
全体的に白っぽい印象のある絵でしたね。
よちよち歩きを始めた子どもを、父親が両手を広げて迎えようとする絵で
あったかくて良かったです。ミュージアムショップでポストカード買っちゃった(^ ^)。
しかしエミール・ガレの作品って遠くから見ても一発でわかりますねぇ(笑)。
今回展示の「セリ科の植物の飾り棚」も例外ではなかったです。
彼がガラスや陶器のデザインによく使うモチーフが、そのまま家具に使われている感じがしました。
棚の上部分の飾りが、何となく日本の松を連想させるものでしたが
アールヌーヴォーの雰囲気にうまく溶け込ませているところはさすがにガレだと思う。
アゲハチョウの模様も華やかでしたね。
ティファニーが作った「花形の花器」の中には、灯りが揺らめいていて綺麗でした。
これアロマキャンドルとか灯したら雰囲気あるだろうな。
発掘品もいくつかあって、古代エジプトの「黄金のホルス名の象眼」がかっこよかった。
エジプトでハヤブサの彫刻というとだいたいホルス神であることが多いような。
他にも猫や馬やライオンや鹿がいましたが、これらもよくパピルスに出てくるよね。
「タコのあぶみ壺」なるものがあって、表面にタコらしき絵が描いてあるのですが
どこをどう見ればタコに見えるのかわからなくて混乱しました(苦笑)。
足は、確かに8本あったけど…。
「カエルの分銅」を見て、カエルって大昔からこういう形として存在していたのか…とか
生物学的なことに思いを馳せたりもしました。
「福音書記者聖ヨハネのワシがいる聖書台」はとても立派な彫刻なのですが、
広げた翼の上に、ワシとほぼ同じ大きさの書見台がどさっと乗っているものでした。
ってか、それ、重いだろ、ワシには…(;´∀`)。
(そしてワシは記者ヨハネあるいはヨハネ福音書のシンボルでもある)
それから、この日は都美の「TOKKYO CRAFTS&DESIGN 2012」のプレス内見会があって
伝統工芸作家さんが制作した工芸品の発表がされていました。
(都の伝統工芸職人とデザイナーがコラボして美術館オリジナル商品を作る事業です)
江戸切子の指輪とかペーパーウェイトとか、鼈甲のブックマーカーとか、象牙ネックレスとか
桜の木を使った木彫ルーペなどを見せていただき、
作家さんからの商品説明も少し聞かせていただきました。
「触ってもいいですか」と伺うと「いいですよ~」と言ってくださる方もいて
首にかけたり光に透かしたりすることができて楽しかったです。
しかし桜の木ってかたくて軽いのだな…!
今回発表の工芸品はすべて都美のミュージアムショップで買うことができるそうです♪
興味のある方は都美のホームページをどうぞ。

夜の公募棟。灯りが漏れて綺麗だったので撮りました。
あっ今日十三夜だけど曇ってて見えないやー。
というわけで、九月十三日に賀せしめたまふ、と詞書のついたやつを一首。
「ももしきの大宮ながら八十島を 見るここちする秋の夜の月」凡河内躬恒
(躬恒集)

「貫之1111首」歌合編その22。21はこちら。
仕事が午前中で終わり、帰宅してくつろぐ貫之のもとへ、ひょっこり訪ねてきた人がいます。
忠岑「よぉ、ひでぇ顔じゃん。あ、萩ちゃんだ」
萩「ども」
忠岑「元気そうですねぇ」
萩「ですです」
貫之「てめ、嫌がらせか」
忠岑「友則さんに聞いた」
貫之「あのやろー…」
歌合の件をひきずっている貫之ですが、空気を読まずにやって来るのが忠岑です。
彼の利点であり、欠点でもあります。今回はどちらに転がるでしょうか…。
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テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。 ジャンル : 学問・文化・芸術
ゆささんが
- 2012/10/29(月) 12:50:39 |
- URL |
- misha
- [ 編集 ]
絵もすてきですが「吐息のような白」というゆささんの表現もとてもすてきです。
Re: ゆささんが
- 2012/10/30(火) 22:06:41 |
- URL |
- ゆさ
- [ 編集 ]
反応ありがとうございます~☆
一応無事です(笑)。
そういえば歌の中の子が閉じこめられた絵ってなんなのかな。
> 表現
ありがとうございます><
モネの雲は、冬の白い吐息みたいな感じでした~。
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