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スタンドアローンコンプレックス。

2013.02.24 23:55|絵本・児童書
荻原規子さんの『RDG(レッドデータガール)』シリーズ全6冊を読み終えました。
1巻の刊行が2008年だから6年かけて読んできた計算だなー。
長いような短いような。

荻原さんは基本的に本のタイトルを漢字でつける方なので、
今回のタイトルを最初に見たときは正直、まばたきしました。あら珍しいって感じ。
しかし紐解いてみると、物語の底辺には日本史のDNAがガッチリ流れて
そこに学校・生徒会・馬・犬・カラスという荻原文法も組み込まれていて
ああいつもの荻原さんだって思った(笑)。
髪を結ぶことが封印だとか、髪を切る行為とか、お化粧の意味とか、供物が持つ力とか、
強い気持ちで発せられた言葉は相手を縛るとか、笑いが破邪につながるとか
昔から言い伝えられてきていることをうまくからませてストーリーに息づかせている点が、
いつものことながらすごいなと思います。
「言い伝えが実際に起こるということがどういうことか」を実感させてくれるというか、
現代、今まさに目の前で起きたらたぶんこうなるだろうっていう手触り感とか
そういうのがひしひしと。
古刹の廊下を靴下や裸足で歩くときの、あのヒヤリとした感触のような感じがしますねぇ。
CLAMPの『xxxHoLic』とかもそうだけど。

泉水子が超がつく引っ込み思案な子というのも、歴代の荻原ヒロインから考えるとなかなか新鮮で
センセーショナルだなって思ったのですけども、
世界遺産候補になるという点でやっぱりセンセーショナルだった(笑)。
強い力を持って生まれたがゆえに周囲から追われるというのは荻原主人公の宿命ですけども
囲われて守られる対象になったのは泉水子が初めてじゃないでしょうか。
(あとメガネっ子ヒロインも初めてですね)
考えをまとめるのが苦手で、何か言うたびに後悔するっていうのも
歴代のヒロインにない特徴だし。
(たぶん狭也や遠子が泉水子と会話したら絶対に長続きしないと思う(^ ^;)。
あえて会話できるとしたら苑上くらいかな…)
しかし色々経験するうちにやり方がわかってきたらしく、話が進むごとにどんどん言動が強気になって
しまいには学校を自分フィールドで覆うまでに力をコントロールできるようになって、
「高校生活を送る間は、高柳くんに隠れ蓑にになってほしい」と言い出したときは
強かになったなぁこの子!ってちょっと感動した。
ただ、精神的にも社会的にもまだまだ子どもな部分がある子なので
アンジェリカが「チーム姫神」案を言い出したときには
(実際の名付け親は真夏だけど)、そ れ だ …! と思って安心しました。
深行、宗田きょうだい、生徒会、山伏組織、玉倉神社の人々、(あと戸隠とか、たぶん陰陽師もだよね?)
いやー最強の布陣やわ…。
その例えが紀伊山地であるところもまた荻原さんらしい。

ツンツンの深行が、泉水子に対してどうデレになっていくかというのが
読み始めた当初はものすごく気になっていましたが(笑)、
わりと最初から最後までツンツンな秀才男子だった感じですね。
頭脳明晰で社交的だけど、そんなに周囲に対して簡単には気を許さないっていうか
自分が確信を持っていないことや、いい加減なことは言わない子という印象もありました。
泉水子に何か説明するとき…たとえば忍者について尋ねられたときも
「どこまでさかのぼって忍者と呼ぶかによる」っていう言い方をするし。
親がああだからか、人間不信こじらせ系男子のようなセリフもあったけど
本人の諦観の方がまさって、結果的にはそんなに深刻ではなかったような。
泉水子の言動や行動が何から何まで自分とは違いすぎているために
「わけわかんねぇ」とかぶつぶつ文句言うことが多かった深行ですが、
彼女の傍で色んなこと(ほとんどが神霊系)を経験したり
姫神に振り回されたりしていくうちにあれよあれよと柔軟性が身に付き、
しまいには泉水子の頭を小突くまでに寛容になっちゃって
ついにここまで来たかみゆっきー…と思っていたらラストシーンでさらにびびりました。。
そうだったそうだった、最初からデレるなんて荻原ヒーローにはありえないけど
デレたら最強なのだった。。
とはいえ、きっと今後の泉水子と深行の関係も、今までがそうだったように
だいたいつかず離れず的な感じで続いていくんじゃないかと思います。

三つ子の宗田きょうだいの、一筋縄ではいかなさ加減もリアリティがあるなあと。
真響はしっかり者で、真夏はのんびりやで、真澄はマイペースで、3人とも頑固(笑)。
普段はものすごく仲良しで気の置けない会話もポンポンできるけど
だからこそ感情的になりやすい部分もあって
そうなったときの修復は泉水子と深行以上に超難関だったりする。
頭がよくて判断力もあるけどちょっと周りが見えてないときがある真響は
泉水子とは別の意味で危なっかしい感じがしますが
たぶんこれからもそうやって色んなことを乗り越えていきそうな頼もしさもあるように思う。
てっきりチョイ役だと思っていた真澄が想像以上に大きな存在だったのはびっくりでした。
九頭龍大神の頭ひとつが見る夢ってそれもはや本人なのか神様なのか…(^^;)
神霊をきょうだいにしてるって深行が言ってるのでまあそういうことなんだろうけど。
真夏は要所要所でいいことを言うやつだと思う。
彼が言った、「真響がひとりで、おれと真澄が半分ずつ」っていうのは
生物学的な考えからきてるだろうけどもっと根本的な部分もあるんだろうな…。
しかしそんな3人が、泉水子や深行がピンチになるとあっという間にまとまるのが
すごくわかりやすいというか、
自分の身近な誰かのためになら損得抜きで動ける子たちっていうところが好きです。
「あの2人の気持ちが一つになるとおれは無敵だよ」って言う真澄は最高にかっこよかった。

姫神がああいう性格なのは何でだろうと思っていたら
紫子さんのもとに長くいるせいで性格が染みついたからというのが何とも。。
何だろうその、『CCさくら』のケロちゃんが長いこと大阪で寝てたせいで
大阪弁がうつっちゃった、みたいな理由は。。
じゃあ姫神も泉水子の髪型をかわいいと思っているってこと…?(笑)
紫子さんは謎を明かすどころか、ネズミ算式に増やして去っていく人でしたな。
この物語で一番謎な人は誰かと問われたら、躊躇なく姫神じゃなく紫子さんと答えます。
姫神はカオスだけど、正体がわかってしまえばあれほどわかりやすい人もいないような。
あとは出現地点と日時さえ予測できれば…(笑)。

あと紫子さんの、「語尾がだ・である調で、強い霊能力を持っていて、
普段は家に全然いない」っていうお母さん像は
『結界師』の守美子さんに似ているな…とふと思いました。
主人公から離れて仕事しているけど、
その仕事が結果的に主人公や家族を守ることに繋がっているのも共通しているなあと。
いや、紫子さんと守美子さん、根本的な性格は全然違うんだけど。

ラストを読んで「この話、ここで終わってるけど、色々なことが始まったばかりだなあ」とか
ぼんやり考えましたら、
あとがきで荻原さんも同じようなことを仰っていて笑ってしまった。
「泉水子も深行もスタート地点の足場を固めたに過ぎない」。そうそう、そんな感じです。
というか、あとがきを読んでも思ったけど、荻原さんって『空色勾玉』の頃から全然ブレてないなー。
神話や民話や伝承を踏まえつつ自由に遊んでいらっしゃるよね。
鳥彦に始まるカラスたちはヤタガラスが原型と聞いて、やっぱりそうかと。

あと、このシリーズの表紙イラスト(酒井駒子さん画)はいつも泉水子がピンで飾っているのですが
5巻までの泉水子が横顔だったり何となくうつむきぎみなのに対して
6巻の泉水子は正面を向いているんですね。
こちら(読み手)と目を合わせることができるようになったのですねー(´ー`)。
そういう部分もすごく「スタート地点の足場を固めた」という感じがしました。
「もうちょっと生きよう」という顔なのかな。


「昔から伝えられた物語というのはみんな、じつは、はじまる前までの話なんですよ。
ほんとの人生というのはメデタシメデタシの後からはじまってくんですね。
(中略)あんたがたが自分で体験しなさい。物語はここで終わります。……
だけど要するに、子どもに対して、そういうふうに(メデタシメデタシで)やっていけるもんですよ、
というはげましなんですね、じつは」
(「漫画の手帖」10号、宮崎駿の発言より)



そしてお待たせすぎっ!って感じ満載ですが、本日からようやく開始です。
そっくりさん。※クリックで大きくなります
「貫之1111首」古今集編その1。前回までのお話はこちら
902年、春。
御書所預(図書館長)になった貫之のもとに、使いの童子がやって来ました。

童子「こんにちはー」
貫之「あれっ、おまえ…」
童子「お初にお目にかかります。友則さまの使いで参りました」
貫之「???…えっと、前に会わなかったっけ」
童子「橘と申します、以後お見知り置きを。主人から言づてがございまして」
貫之「なんだ」
童子「本日退庁されましたら、この文に書かれているものを持って邸までお越しくださいとのことです」
貫之「え、だってあいつ、風邪ひいて寝込んでるって」
童子「おっしゃる通りなのですが、今はお目覚めです。落ち着いたとのことで」
貫之「そうか…。わかった。行くと伝えてくれ」

さて友則は何の用事なのでしょう…。続きます。
ちなみにこの童子、過去に出てきたこの子と似ていますが別人です(笑)。
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ゆさ

Author:ゆさ
猫に熱烈な愛をそそぐ本の蟲
歴史やアートも溺愛中
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