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ゆさな日々

猫・本・歴史・アートなど、好きなものやその日考えたことをそこはかとなく書きつくります。つれづれに絵や写真もあり。


般若のかなたその2。

  1. 2013/03/23(土) 23:49:24_
  2. 舞台鑑賞
  3. _ tb:0
  4. _ comment:2
こわっ。
演能グループ神遊(かみあそび)さんによる国立能楽堂公演「道成寺」に行ってきました…!

4~5歳の頃にテレビで見た能番組で、落下する釣り鐘に白拍子がとびこむ姿に戦慄して以来、
ずっとずっとずーーーっと観たかったのですが、念願かなってやっと見られました…!
うおおお観てきたんだわたしうおおお!!(落ち着け)
あの鐘のシーンを見た当時は本当にポカーン(゜□゜)としてしまって、
でもあのとき一度見ただけなのに衝撃的すぎて忘れられず、今もはっきり思い出せます…まじ圧巻…。
(しかも実家じゃなく祖父母宅のテレビで見たってことも覚えてる)

例によって公演情報を知ったのが今月に入ってからだったので
チケットを探したら中正面席しか残っていなかったのですが(視界に目付柱がきちゃう席ね)、
道成寺は上演時間が105分と長いうえにあまり上演機会がなく、
今回を逃すと次はいつ観られるかわからず
「いつ行くの、今でしょ!」と神の声が聞こえたのでチケット取りました。後悔はしてない。


演目はまず仕舞があり、それから道成寺が演じられます。
仕舞とは、能の一部分を面や装束をつけずに紋付袴で舞うもので、伴奏も地謡のみ。
今回は「綱之段」と「西行櫻」で、
どちらも桜に関係のある春らしい演目でした。
(そういえば道成寺も桜の季節の物語という設定なのだった。桜づくしですな)
ちなみに西行櫻を舞った人は、道成寺でシテを演じる人のお父様なのだそうな。

そしていよいよ道成寺です☆
何もない能舞台に、この演目に欠かせない釣り鐘が鐘後見の人4人がかりで運ばれてきて
天井から吊り下げられるところから始まります。
さすが能で、御神輿みたいにワッショイするのではなくしずしずと摺り足で運んで
天井にセッティングするのも掛け声・合図一切なしで粛々と行われていた。
もはや儀式。
鐘後見さんたちにひとめぼれしました。たまらん…ただ歩いてるだけなのに好みすぎる。

道成寺のストーリーは説明し出すと長くなりますのでリンクを貼っておきます。→こちら
娘が山伏を焼き殺すくだりは「安珍と清姫」のタイトルでご存知の方が多いんじゃなかろうか。
ただ、あの昔話は現在進行形だけど、能は後日譚になっているのが特徴ですね。
昔話で安珍が清姫を供養する部分も、能ではカットされているし。

前半にシテの白拍子が舞う乱拍子が、今まで見たことない、不思議な舞だったな…。
しばらくじっとした後、ふいにくるりと舞って、また静止して、また舞う、の繰り返し。
たぶんテレビだと放送事故かと捉えられかねない静止と
くるくる舞う舞とのギャップが魅力的。
伴奏は小鼓のみですが、演奏者さんが時折「いよーーーっ!!」と裂帛の掛け声を発して
笛もたまに入ったりする。

やがて伴奏が激しくなり舞も激しくなって急展開をみせると、
それまで静かに舞台後ろに座っていた鐘後見さんたちが
釣り鐘を吊っているロープに手をかけたので
「わー来る来る、あのとき見たあの瞬間が来る!!」って心臓ばくばくでした。。
どどどどうしよう見られるの本当に見られるの、夢としか思えない!
今か今かととにかくハラハラ。待ち遠しすぎてやばかった。
白拍子がひたすら踊りつづけ、彼女のジャンプと同時に鐘が落下した「鐘入り」のシーンは
キターーーーーーー!!*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*てなってた。
オペラグラスでガン見。ほんの一瞬でしたが心底しびれた。
これタイミングが合わないと首の骨折りかねないくらいの危険な技なんだよな確か…。
それを目の前で見ちゃったよ的な…あの瞬間の気持ちはどう説明したらいいかわかりません。
スペクタクル映画だこれ。鬼がくる…。

ここで間狂言(あいきょうげん)が入りまして、2人の狂言方がそれはもう笑わせてくれるのですけど
(鐘がドーン!と落ちたのでビックリ仰天したという設定でぺちゃくちゃおしゃべりしてくれる)、
半年前に観た「安達原」のワークショップで間狂言の人が言っていた
「(鐘が)落ちてござる!」のセリフがリアルに聴けたのも良かったです。
ああこれかって思った。
「~そうろう」の語尾で統一されている能セリフの中に「~ござる」がポンと出てくると印象的ですな。
もう狂言のセリフまわしマジで好きだ。発声も好きだ。能の中にあっても全然遠慮しないのが好き!

僧侶の鐘にまつわる長い昔語りが終わって、鐘がぐいと引き上げられると
中から鬼がうずくまった状態でご登場。
シテが白拍子から鬼の装束に着替えたわけですな。あんな窮屈な場所で。本当にすごい。
僧侶たちが数珠を鳴らして折伏しようとするのですけど
バッと起き上って髪を振り乱した鬼も負けずに応戦。
あれで場の空気がざわっと変わったよね。真っ赤な鬼の髪で舞台の彩度も上がったし。
ここからは舞もお囃子も最高潮です!バトルに合わせて力強く盛り上がる感じ。
かっこいい。もう全部がかっこいい。
鬼が羽織っていた長い装束を脱ぎ捨ててウロコ箔の唐織姿になったときは
「正体あらわした!」って感じで手に汗握った。
鬼の威圧感、存在感、しぐさ、すべてツボ。心臓の動きおかしかったです。
過去に『安達原』を見たときも思ったけど、鬼が僧侶たちよりずっと大きく見えました。
髪のボリュームと装束の豪華さに加えて、杖を振るなど激しい動作があるので
雰囲気的にも相当大きな存在という気がしていたのかもしれない。

そして見ているうちにこの鬼のスタンドアローン性に気づいてドキリとした。
その昔、裏切られた悲しみから恋人を焼き殺してしまったことを過去にもつこの鬼は
今なにを思って舞うのかと。
怒りも悲しみも抱えているであろう姿が何ともいえません。
大蛇になって釣り鐘に炎を起こしたときにはもう止められなかったんだろうなとか、
「おまえなんか」と「こんなことしちゃだめだ」の葛藤もあっただろうとか考えてしまいました。
この鬼ほど「孤高」という言葉を強く感じさせる鬼もいないように思う…。
最後には折伏されるけれど、それは僧侶たちの法力が勝ったからではなく
鬼が自分の気持ちについてあきらめた(明らかにするの意味で)からだろう、
そして日高川を渡るという行為はこの鬼にとって気持ちの決算なんだろうなという気もする。
女性の悟りの顔である般若の、その先を見せつけられるようでした。
なんて心にヒリヒリくる舞台なんだ…。
もう涙せずにはいられない。お囃子も雅なのにダイナミック。すごい。涙なみだ。

ラストで鬼が、腰をおとして大きくまたぐような動きをしながら揚幕の中へ引っこんでいったのを見て
あっ日高川に飛び込んで渡っていく動きだ…!と気づいてそういう風に見ることができて
良かったです。
能はいっさい説明がないので、自分で場面を想像しなければならなくて、でもそこがとても好きです。
ストーリーを知らずに見るのも色々発見があっていいけど、
知ってから見るのも別の発見があるので好き。

次回は、次回っていうかそもそも次の上演がいつどこかわからないのですが
絶対に正面席で観たいです。
そして次こそはもう少し気持ちを落ち着けて鑑賞したい…無理かもしれないけど。

さくらさくら。
能楽堂で買ってきた、日本橋の玉英堂彦九郎さん製の和菓子。「桜づくし」だそうです。
おいしそうっきれいっ食べるのもったいないっ(*´∀`)

そういえば能楽堂の前に桜の木がありましたが満開でした。綺麗だった。
今年は例年になく、すでに各地で桜が満開ですねえ。お花見に行きたい。



ぐー。※クリックで大きくなります
「貫之1111首」古今集編その8。7はこちら

友則「ごめんね、突然。貫之がいいと思うんだよ、わたしは」
貫之「無理だよ、経験がねぇもん」
友則「わたしも、みっちゃんも、岑くんもないよ。おんなじだよ」
貫之「でも」
友則「貫之はせっかく御書所預なんだから、経験が活かせるよ」
貫之「おまえだって、内記だろ」
友則「うん。だから記録と清書は慣れてる。で、その記録を書物に編集しなおして、整理して保存するのが、御書所だ」
貫之「………」
友則「ね、引っ張ってよ、わたしたちを」
貫之「………撰者を抜けるわけじゃあ、ないんだな」
友則「抜けないよ。こんな機会そうはないし」
貫之「ならいい」
友則「引き受けてくれる?」
貫之「引き受けた。その代わり、オレが訪ねたら必ず相談に乗れよ」
友則「もちろん。ありがとう」

ひとまず、話はまとまりました。古今集撰者代表、紀貫之の誕生です。
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テーマ : 能楽    ジャンル : 学問・文化・芸術

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comment

国立能楽堂

  1. 2013/03/25(月) 03:09:05 |
  2. URL |
  3. マルボーズ隊員(タカダカズヤ)
  4. [ 編集 ]
って、千駄ヶ谷の?
ですよね?
いや、中は入った事ない・・・・あ、トイレに行った。
くらいですけどね。よくあの前は通るんですよ。
一度スケッチもしましたよ。

ゆささんの嗜好は、かなりそっち方面向いてるん
ですねえ。いや、時代物っていうのか・・・・
私、能面とかには興味はありますけどね。
ですが、あの国立能楽堂の厳かな雰囲気は
スキですわ。ちょっと近寄りがたいって感じすら
漂ってますよね。ベンチに座っておにぎりとか
食べたら、怒られそう。

Re: 国立能楽堂

  1. 2013/03/26(火) 22:50:54 |
  2. URL |
  3. ゆさ
  4. [ 編集 ]
> タカダカズヤ様

ですよー。
今回、中に初めて入りました。お手洗いは行かなかったです。。
あの前よく通るってことは都会にお住まいなのですね(笑)。
タカダさんのスケッチ見たいー。

歴史とか文化とか好きですねえ。時代劇をよく見ます。
> 能面
いいですねえ!
全然詳しくないですけど、京都のギャラリーで能面展示があったときは見に行きました。

> 厳かな雰囲気
わたしも好きです。なんか、自然と背筋が伸びますね、あの敷地に入ると。

えっわたし今回の鑑賞前、あそこのベンチでおにぎり食べちゃった。。
仕事帰りでお腹すいてまして(;´∀`)えへっ☆←えへじゃない
 
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