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歌の道。

2013.06.09 23:42|お絵かき
花の木。※クリックで大きくなります
「貫之1111首」古今集編その26。25はこちら
4月初旬。貫之邸に大きな樹が運び込まれてきました。忠岑と躬恒もやって来てお手伝い。

牡丹「わー!なんの樹」
貫之「桜」
一子「大っきいじゃない」
貫之「来年には、挿し木もするし苗木も植える。数年後はきれいになるぞぉ」
一子「桜の森になるのね。すてきね~」

牡丹ちゃんが着ているのは一子お手製の衣装です。赤とピンクの牡丹色。

在りし日の。※クリックで大きくなります
無事に植わってくれた樹に手を添える貫之。
思うのは友則が過去に詠んだ歌です。

貫之「来年が楽しみだ。"ひさかたの光のどけき春の日に しづ心なく花の散るらむ"…だな」

紀貫之の邸は桜がたくさんあったことから、桜町と呼ばれていたそうです。

この後、古今和歌集は数度にわたり歌が加えられ、
最終的に叩き出した掲載歌数は1111首、歌人は約130人にのぼります。
905年の奏上から約10~15年ほどかけて、現在に伝わるような形になったとされています。

…が、それはまた別のお話なので、貫之たちのお話もここでおしまいです。
お付き合いくださった皆様ありがとうございました。
はあぁもうどうなっちゃうかと毎日ハラハラドキドキでした…終われた。良かった。
ε=( ̄、 ̄;A)ホッ
(余談ですが最後の絵を描いている間ずっと、脳内に「世界の約束」がエンドレス再生されていた)

遣唐使のときもそうだったけど、わたしはお話を描くときはだいたい何も考えずに描き始めるので
シリーズの元になった絵を描いたときは
まさか1年以上も続くとはまったく思っていませんでした。。
途中で何度も「どうすりゃいいの」と頭をひねり続け、
詰まると古今和歌集を開いて先達になってもらいました。
あの歌集が手を引っ張ってくれたお蔭でここまで来られました。感謝。

わたし自身、のんきな日常生活から歌合・歌集の編纂と描き続けてきて
少しは1200年前の人の心情に降りていきやすくなったかな…?
当時、歌は必須教養で、政治で、個人で、芸術で、苦悩で、ヒーリングで、よろこびだったわけですが
ありのままの風景や気持ちをカメラで写すがごとく歌った万葉集の人々から一歩前進して、
古今和歌集の人々は景色や心情を歌にまとめあげ昇華し芸術的に味わえると知った
最初の人たちだったのではないかと思います。
風景に比べ、心情を詠みこんだ歌のなんと多いことか。
歌の好みも手法も流行も、時代とともに移り変わるわけで、
あちこちから歌を集めまとめていた貫之たちは時代の最先端にいたわけで。
貫之は「必死に集めはしたが、だいじな歌が漏れていないか気になっている」と
歌集の後半に収録した長歌で心配しています。
どんなにプレッシャーだったことか。
一方、編集中の議論が白熱してしまい、気づいたら夜が明けていたなんてエピソードもあるようです。
どんなに楽しかったことか。
思いを馳せると尽きません~。ロマンは広がりますなァ!


わたしが描くのはここまでですが、貫之たちのその後の人生や周囲の出来事などは
図書館やネットで見られますので興味のある方はご覧になってみてください。
(まだ源氏物語も枕草子もなかった平安時代前期。調べてみるとなかなかスリリングな時代ですよ)
読んでくださった皆様、拍手やコメントで励ましてくださった方々に改めて御礼を申し上げます。
本当にありがとうございました!
m(_ _)m

たとひ時移り事去り、楽しび悲しびゆきかふとも、この歌の文字あるをや。
青柳の糸絶えず、松の葉の散り失せずして、まさきの葛長く伝はり、島の跡久しくとどまれらば
歌のさまを知りことの心を得たらむ人は、大空の月を見るがごとくに古を仰ぎて今を恋ひざらめかも

(『古今和歌集』仮名序末尾の文(紀貫之著)より)


歌人たちのイラストは、今後もちょこちょこ描いていきますので
見かけたら声をかけてやってくださいまし。
後日、描きおろしを含む一気読みページを公開する予定です。
公開しました!こちらです→>一気読みページ

なお、今回わたしが描いた紀貫之ほか撰者たちは、日本史上に実在した人々です。
史実に沿って描いてきましたが、人物像などはゆさの創作であり、
都合により変更した部分もあることをお断りしておきます。


また、今回の連載にあたり、下記の書籍に大変お世話になりました。

・浅井虎夫『新訂 女官通解』 1985.2 講談社学術文庫
・目崎徳衛『紀貫之』 1985.11 吉川弘文館
・村瀬敏夫『宮廷歌人 紀貫之』 1987.3 新典社
・新編国歌大観編集委員会編『新編国歌大観』第5巻(歌合編・歌学書・物語・日記等収録歌編) 1987.4 角川書店
・有吉保ほか編『和歌文学講座4 古今集』 1993.12 勉誠社
・小沢正夫ほか校注『新編日本古典文学全集11 古今和歌集』 1994.10 小学館
・小松英雄『やまとうた 古今和歌集の言語ゲーム』 1994.10 講談社
・和歌文学論集編集委員会編『和歌文学論集2 古今集とその前後』 1994.10 風間書房
・萩谷朴『平安朝歌合大成 増補新訂』全5巻 1995.5-1996.12 同朋舎出版
・竹西寛子『古今和歌集』 1997.3 岩波書店
・服藤早苗『平安朝 女性のライフサイクル』 1998.11 吉川弘文館
・山下道代『古今集人物人事考』 2000.3 風間書房
・増田繁夫ほか編『古今和歌集研究集成』全3巻 2004.1-3 風間書房
・藤岡忠美『紀貫之』 2005.8 講談社学術文庫
・有吉保『勅撰和歌集入門 和歌文学理解の基礎』 2009.10 勉誠出版
・田中登『コレクション日本歌人選5 紀貫之』 2011.2 笠間書院
・青木太朗『コレクション日本歌人選24 忠岑と躬恒』 2012.1 笠間書院

ほか雑誌論文、ウェブサイト、美術館・博物館発行物などを参考にさせていただきました。
著者・出版社・管理人の皆様には深く感謝いたします。
また、作中に引用した歌文は、一部を現代仮名遣いに改めております。
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テーマ:イラスト
ジャンル:学問・文化・芸術

コメント

おつかれさまでした

連載、お疲れさまでした。そして、完結おめでとうございます。
うわぁ、貫之のあの歌って、こういう物語の後に読むと、じわってきますね。
ゆささん、苦心していたなんて欠片も見せず、お見事でした。毎回、楽しみに読ませてもらいましたよ。
それにしても、このシリーズって、短い文章や会話の背景にもこれだけの資料や文献の存在があったんですね。う~ん、さすがという感じです。あらためて、感心しました。
ぜひまた、このような作品をお願いします。

長期の連載、本当にお疲れ様でした。

何と言ってもこの俯瞰図!
見事です。
画力、凄いアップしている。
中々、描けませんよ。
人物と建物、そして樹木がもう見事にマッチしていますわ。
素晴らしいです。

会話が好きでした。
こんなふうに話していたら楽しいって思いました。

完結、おめでとうございます。

連載中もものすごく勉強していらっしゃるなあと感心していましたが、こうして資料を見ると「それどころじゃなかった!」です。頭が下がります。

史実と資料に裏打ちされた緻密なお話の中に、萩ちゃんや牡丹ちゃんがふらっと訪れる、ゆささんらしい独創性が大好きでした。

また次の連載がはじまるのを楽しみに待たせていただきたいと思います。

完結ですね!連載お疲れ様でした!
ラストの牡丹ちゃんの舞が可愛いです>U<そして何年か後には桜ちゃんが…いやたくさん植わるなら桜ちゃんズ?とか考えてしまいました。
それにしても恐ろしい量の参考文献…!時代物に創作を交えて書くって大変だとは思っていましたが、まさかこれほど読まれていたとは(゜□゜)面白いものを作ることの大変さを知りました。
一気読みページも楽しみにしておりますね♪

こんにちはです。

おつかれさまでした\_(^◇^)_/

Re: おつかれさまでした

> TOM-F様

ずっと読んでくださってありがとうございました~☆
何とかここまで来られました。。
特に事件も起こらず盛り上がることもないストーリーでしたが、
歌人たちの日常を大事に描いてきたつもりです。
> 毎回、楽しみに
嬉しいです~~ありがとうございます(;∀;)。

> 資料や文献
えへへ…歴史ものなので、見ないと何も描けません。。
本当に色んな資料に助けていただきました。著者のみなさんに感謝感謝です~。
この世はすばらしい本で溢れている!!

次…はいつになるかわかりませんが(^ ^;)、
また何か描くことがあったら見ていただけると嬉しいです!

Re: タイトルなし

> ぴゆう様

わーーありがとうございます(^▽^)。
皆さんに見守られてがんばれました。

俯瞰図むずかしかったです!
久し振りすぎて描き方ほとんど忘れてて(;´∀`)、
時間がかかりましたが、描いていて楽しかったです。
冒険した構図はうまくいくと嬉しくなりますね♪
> 人物と建物、そして樹木がもう見事にマッチしていますわ。
ぴゃーありがとうございますっ☆

> 会話が好きでした。
> こんなふうに話していたら楽しいって思いました。
ありがとうございます。
わたしも、こんな風に話してたらいいなって思いながら書いていました☆

Re: タイトルなし

> 八少女夕様

読んでくださってありがとうございました!
> 連載中もものすごく勉強
ととととんでもないです。。
読んでも読んでもあの時代がわからず…。
資料を活かすのって難しいです(;´∀`)。
他にも目を通した資料がいくつかありますが、書名を控えておくのを忘れてしまいました…。

時代性とか、バックボーンはしっかりしておきたいのですが
あまり四角四面になっても息が詰まるので
牡丹と萩にはずいぶん救われました。
あの子たちのお蔭で硬くならずにすんだなーと思っています(^v^)。

> 次の連載
おお、う…!
また何か描けるものがあれば描きたいと思いますので、そのときはよろしくお願いいたします。

Re: タイトルなし

> 若野史様

わー若野さんーー終わりましたーーーありがとうございますっ☆
牡丹ちゃんかわいいですかっありがとうです!
くるくる踊れるのは彼女の特権です(笑)。

桜ちゃんズ(゜∀゜)☆
そうですねえ、貫之が植える数にもよりますが、モー娘やAKB並みに増えちゃったらどうしよう!SAKURA48とか??
貫之邸の春がますますうるさk…いえ賑やかになりそうです(笑)。

> 参考文献
いろいろ読んでいたらこんなになりました。。もう癖ですね。
実際に生きていた人たちですからできる限り尊重しつつも、
お花ちゃんズを出したりして自由にやらせてもらいました。
もっと手堅く面白く、歴史もの描けるようになりたいなあ!

一気読みページがんばります~良ければまた読んでやってくださいね☆

Re: こんにちはです。

> kaminomoribito様

読んでくださってありがとうございました!
ヽ(^o^)丿
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歴史やアートも溺愛中
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