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ゆさな日々

猫・本・歴史・アートなど、好きなものやその日考えたことをそこはかとなく書きつくります。つれづれに絵や写真もあり。


江戸の吉祥と味覚とは。

  1. 2013/11/17(日) 23:11:41_
  2. 文化・美術
  3. _ tb:0
  4. _ comment:0
engi1.jpg
先週末のことになりますが、町田市の国際版画美術館で「縁起もの」展を見てきました☆
江戸時代の出版物や絵画に描かれた、日本古来の縁起ものをまとめて観られる展覧会です。
松竹梅、鶴亀、仙人、七福神、富士山、龍虎、一富士二鷹三茄子。
思えばおめでたい模様ってたくさんあるのですなあ。

engi3.jpg
入口でチケットをもぎってもらうと、おみくじが1回引けます。
引き主のラッキー作品を運勢と一緒に教えてくれるというもの。
(ちなみに「凶」は縁起がよくないため入ってないそうです・笑)
わたしは「金太郎の豆まき」でした。
鑑賞ポイントに「金太郎の着物姿って見たことありますか?」とあって、みゅ?と受付で尋ねると
係員さんがニコニコと「展示室のどこかにこの絵がありますから探してください」とおっしゃる。
わーこんなの初めて(・∀・)wktkしながら展示室へin。

最初は江戸時代の摺り物がずらり。
絵暦(カレンダー)や扇絵に松竹梅や福寿草、羽根つき、役者、狂歌などが描いてあります。
割と江戸後期の摺り物が多かったかな…。
現代のオシャレでわかりにくいカレンダーを見るたびに「かっこいい、ぐぬぬ」と思うことがあるけど
江戸の大小暦もかなりのセンスです。
13匹の鼠のうち体の色で大月小月閏月を区別したりとか、数字が書いてないのがあった。
ぶっちゃけ当時の人は大月(30日)か小月(29日)かだけわかれば良かったんだよね。うむ。
魚屋北渓の「梅枝と手拭いと鋏」、くるりと巻いた手拭いから梅の枝が出ていてシャレオツ。

長沢蘆雪「松竹梅図」は3幅セット。ごつごつして植物というより岩でしょ(笑)。
よく見るとたらし込みの白禄が幹に入れてあるー細かいーきれいな碧色でした。
江馬細香「四君子図」は梅・竹・蘭・菊をさらりと組み合わせたセンスある絵。
この4つの植物は花の四君子と言われるそうです。
細香の漢詩も添えてありましたよ。彼女は漢詩人でもありますね(´∀`)。
岡本秋暉の「孔雀図」はつがいの1幅。彼らしくカラフルで立派な孔雀がいました。
水仙やタンポポ、松も描かれてゴージャス。めでてえ、めでてえ。
池大雅が「風雨起龍図」の中に描いた龍がどこにいるか全然わからず、
キャプションのネタバレからやっと見つけました。右真ん中あたりにヒョロッとしたのが飛んでた。
「どこにいるか見つけてごらん」とか大雅の声が聴こえてくるよう。
同じく「四睡図」、おおお懐かしい。
中国の仙人である豊干禅師とペットの虎、弟子の寒山拾得が折り重なって寝ているという
禅の境地をあらわす図のため、他にも色んな人が画題にしていますね。
いつだったか曽我蕭白の四睡図を府中かどこかで見ましたな!
しかし大雅が描くと4人とも幸せそうに見える。
国井応文の「百鳥図」は襖絵ですが片方だけの展示。
何種類もの鳥が左右の襖に50羽ずついて、両方で100羽ってことなんですって。
百は長寿の数字ですね(´∀`)。

歌川広重の富士三十六景からもいくつか。
名所江戸百景みたいな、鳥瞰図じゃなく町の一部を切り取ったような構図が多くて
絵というより写真のようでした。
北斎の富岳三十六景より後の出版だし、似たような絵を描いても仕方ないし
何よりスナップ写真みたいな構図がすごく広重!って感じ。もう!もう!!好きっ。
広重は肉筆も展示されてまして、これがまた見事なんだ…。
「旭日 波に鶴」とかタイトルがすでにテライケメンですが、
朝日が照らす海に舞う鶴を、北斎のようにうねる波濤を、主線なしで色だけで描いていて!
特にブルーの使い方に惚れそうになった。
なんだこの透きとおったぼかし。筆でこんなことできるんですね。世界の感動だ。うむ。

酒井抱一の扇面の鹿さんは、後ろ姿でちょっといけず。足ほっそり。
鈴木其一の鍾馗図、すごくかっこいいです。鍾馗様の力強い、大きな体とギョロ目。
勝間龍水の「河豚図」、フグの鱗が雲母摺りですってよ奥さん!
雲母摺りと聞くと無条件で東洲斎写楽を思い出しますが、まああそこまで贅沢に使ってないですが
角度を変えて見ると鱗が照明にキラッキラッと光ってた。おおおお。
黒田稲皐の「鯉図屏風」は大きさもさることながら
鯉の輪郭に白く淡く光が入れてあって、まるで鯉が輝いているように見えました。あれは感動した。
円山応挙「松に猿図」。ふさふさしたお猿さんが松の木で微笑んでいます。
猿は太陽の使いとされることもあって昔から吉祥図画でよく見る動物ですな。
松のごつごつっぷりが弟子の蘆雪を思わせました。
応挙先生は細く糸のような線が特徴ですけども、大胆なときはとことん大胆に描くお人よなあ。

このあたりで入口のおみくじで引いた、菊川英山の「金太郎の豆まき」を発見~。
真っ赤な体に着物を着て、豆まきする金太郎の摺り物でした。
(体が赤い色なのは若者であるしるし)
腹かけ姿はよく見ますが、裃姿の金太郎って初めて見るかも。
袴の裾が長くてなんだか動きにくそうでした(笑)。

七福神図もたくさん。
歌川豊春の浮絵「七福神寿末広催之図」は、七福神が海の見えるお座敷で宴会中。
大黒天が碁を打ち、恵比寿様が鯛をつり、唐子が遊びまわり、海に浮かぶ宝船には宝物がぎっしり!
これちょっとお正月に飾りたい絵ですねえ。
喜多武晴「布袋と唐子」のかわいいこと。
布袋さんが大きな布を広げると中から宝珠と子どもたちがわっと転がり出てくる。明るい絵ですね。
鳥居清長の「大黒を夢に見る美人」図は、読書中に居眠りをしてしまった女性の夢の中に
大黒天があらわれて打出の小槌を振ってくれるという、やっぱり縁起のいい絵でした。
お正月とかに枕の下にこの絵入れて寝たい。
勝川春英の「衝立に富士を描く福禄寿」のかわいさパない。
衝立の前で筆を持って、目を細めて思案顔の福禄寿。かわいい。
「我ながらよく描けたぞよ」とか自画自賛してそうな満足そうな顔。かわいい。

松平定信の絵があってびっくりした!ごってごての花鳥図(笑)。
牡丹の花はどことなく南画っぽかったですが、この人南画も習ってたのだろうか。
司馬江漢の「西王母図」は、中国崑崙山の主・西王母を描いたもの。
側についている童子の顔のデッサンがちょっと気の毒だった。江漢…こりゃないぜ…(笑)。
あと、作者はわからないのですが「花むすび」の絵が好きになりました。
青年が童子に水干を着つけているのですが、水干に大きく翼を広げた鶴が描いてあった。
伊藤若冲の万歳図。太夫さんと才蔵さんの万歳。画題は京都の門付芸だそうな。
与謝蕪村の「慰姥図」。夫婦が松に祈る姿を描いています。能の「高砂」が画題。

二代目黒川亀主の「花下猫児図」が目からウロコ。
猫が描いてあるのですが、漢字の猫と耄(70歳の意)は中国語でどちらも「Mao」と発音することから
猫は長寿のしるしなのだそうです。
そうなんだー初めて知った!!
(猫というと化けて出るか踊るかするイメージしかないゆさであります)
酒井抱一「金亀図」がちょっと面白かったです。
東京の根岸にある永称寺というお寺に、ある日金色の亀が出現したとのことで
亀だけでもめでたいがさらに金とくればこりゃめでたいと抱一が亀の絵を描き、
住職を始め5人が賛を入れたそうです。(抱一の賛も入ってました)
ちっちゃい亀を相手にいい年したおじさん5人がわちゃわちゃ騒ぐのを想像すると、たのしい。
(ちなみに金亀は江戸時代にブームがあったそうで、他にも金亀図を描いた人はいっぱいいるそうな)

展示の大トリは円山応挙大先生でしたよ…。「福禄寿・天保九如図」。3幅の掛軸。
真ん中の掛軸から、巻物を持った福禄寿のやさしい穏やかな顔が、まっすぐこちらを見つめてきます。
ほんのり肌色、ほんのり水色の衣、白髪で、その下に並んだ双眸が限りなくやさしい。
どきどきしてしまいますねえ。
なんだか応挙本人のように見えました…それとも本人だったのかな?
天保九如は中国の「詩経」にある天子の長寿と平安を祈る詩からきているそうで、
よく画題にもなるらしい。

engi2.jpg
美術館のカフェ「けやき」でいただいた薬膳カレー。
さわやかな辛さでおいしかったです☆


版画美術館を出ると、雨がポツポツ降り始めましたが気にせず電車で移動。
東京家政学院大学の生活文化博物館へ向かいます。
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駅からバスに乗って町田キャンパスへやって来たら、出店がいっぱいでカラオケステージとかあった!
ちょうど学校祭の日だったみたいです。
いいなあー学祭楽しそうだなあー。青春してるなあ(笑)。

kasei1.jpg
気を取り直して校舎へin。生活文化博物館は地下1階にありました。
黄色いのぼりが本気すぎてかっこいい(笑)。

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会場内はこんな感じ。(スタッフさんに許可を得て撮影しました)
家政学院図書館の「大江文庫」が所蔵する江戸時代のレシピ本のメニューを
なんと食品サンプル(!)で再現した展覧会です。
おおお御膳とか汁物とかお寿司とかいっぱいある…!
豆腐料理と、大根料理のレシピの豊富さに全わたしが泣いた。
ぜ、全部食べたい…!(←豆腐と大根大好き
江戸時代には『豆腐百選』なんて本があったらしい…なにそれ超読みたい…。

kasei2.jpg
季節のお料理もあって、お花見や紅葉狩などを連想するものも。
タコの足をスライスして酢飯にちりばめた「さくら散らし寿司」が本当においしそうでした。
タコの足を桜の花びらに見立ててあるんですよ!うおー!食べたい!!
あと、いわゆる「本物のすき焼き」がありました。農具の鋤で焼いて食べるというやつ。
鋤の上で焼くのを実際に見ると、鉄板焼きみたいですな。
食品サンプルの制作過程も映像が流れていて感動しました。関係者のみなさま…お疲れ様でしたっ!


最近、江戸時代を求めて史跡や展覧会をうろついて幸せになるのを江戸充と呼んでるのですが
本日の江戸充は文字に違わずたいへん充実していました(*´∀`*)。
おめでたい物にお料理、しあわせ要素萬斎、じゃない満載。
壮大な屏風絵や襖絵も大好きですが、生活に密着した芸術って人間くさくて大好きです。
縁起もの展では「めでてえ、めでてえ」ってとりあえず有難がる江戸人が見えたし
料理展では無言でもりもり食べる江戸人が見えた。
飾らない、ありのままの姿がそこにあるような気がしました。
ちょっと今回の楽しさは今までになかった類のものですね。
「楽しいー!」ってテンション高いんじゃなく、じわじわくる楽しさ。終始2424していました。
こういう展覧会おもしろいからまたやって欲しい!


クリックで拍手お返事。↓
遅くなってすみませんでした。皆様いつもありがとうございます(^-^)/☆
 
 
 
>美雨様

歌舞伎楽しかったです!
忠臣蔵は相当人気の演目だったんでしょうね。タイムリーだし。
お芝居はニュースの役割も兼ねていたのでしょう。

戦国鍋の忠臣蔵ご存知ですか~面白いですよね!
色々ツッコミどころはありますがダンスとか笑えました。

暦の上ではもう冬ですね。美雨さんも風邪など気をつけてくださいね。
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ゆさ

Author:ゆさ
猫に熱烈な愛をそそぐ本の蟲
歴史やアートも溺愛中
最近は新幹線とシンカリオンも熱い
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