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ゆさな日々

猫・本・歴史・アートなど、好きなものやその日考えたことをそこはかとなく書きつくります。つれづれに絵や写真もあり。


鉄剣と山口晃とツタンカーメン。

  1. 2013/11/27(水) 23:10:16_
  2. 文化・美術
  3. _ tb:0
  4. _ comment:2
生きてます。
先週末に体調を崩して寝込んでいました…。
仕事は復帰しましたがお腹の調子がおかしいです。早く白いごはん食べられるようになりたい。ぐぬぬ。
でもそろそろ記事書かないと忘れそうなので書きます。

すでに先々週末のことですけども、
・埼玉県立さきたま史跡の博物館「稲荷山古墳出土「金錯銘鉄剣復元品」特別公開」
・群馬県立館林美術館「山口晃展」
・武州中島紺屋「ツタンカーメンの衣装展」
この3つをはしごしてきました♪
がんばれば車で回れる距離だったので計画立てたんですが、
今思えばこの無茶っぷりが体調崩すきっかけになったかもしれない…。
無理しちゃだめですね。


まずは復元鉄剣を見にしゅっぱつ。
展示会場のさきたま博物館は行田市のさきたま古墳公園内にあります。
今回復元された鉄剣は、ここで保存されている稲荷山古墳から出土したもの。
5世紀に生きていた人の持ち物ですよ~古代ロマン(´▽`)♪

tekken.jpg
復元された鉄剣です。(撮影可能ですが接写は不可でした)
すごかったーピカピカだったー美しかったーぞわってした!
古代なので日本刀みたいな大きい刀ではなく。小太刀くらいの長さで、直刀&両刃でした。
115個の金文字もはっきり読めました。
5世紀の王様が持っていたときはこんな風に光り輝いていたのでしょう。

この隣に国宝の鉄剣が並んでいます。本物が常設展示されてます。たぎります。古代史のロマン。

稲荷山古墳からは鉄剣のほかに勾玉や鎧、馬具、鏡、はにわなどが出土していまして
それらも展示されています。
ちなみに全部国宝だよ!入館料200円でこんだけ国宝見られるんだよ!みんな見に来ようぜ!!
(でも行田駅から遠いです^^;)

tekken1.jpg
博物館の前にこんな碑が建っていました。
埼玉の名前は、古墳から出土した勾玉の別名が「幸玉(さきたま)」であることからきたっていう
説があるのだよね。
幸玉は幸魂(さきみたま)に通じるので何だか嬉しくなります。
(幸魂は豊かな恵みのしるしで神道の考え方です。古事記にも出てくるよ)

実はこの博物館と古墳公園、小学校のとき遠足で来たことがあるのですが
鉄剣も古墳も碑のこともまったく覚えてなかったので、見るもの全部が新鮮でした。
何となくしか記憶していなかったものも改めて上書きできたし…。
いいUnlearnになりました。
古墳群は今も調査が続いているそうで、今後も何か出てくるのかもしれません。ロマンは果てない。


次に母の実家に寄って、一緒に館林に行きたいと言っていた祖父母を車に乗せて
館林美術館へやって来ました。
tateba1.jpg
初めて来たのですが、広い広い敷地に白が基調のシンプルな美術館。
展示室の入口では山口氏の見返り写真と、氏筆のご家族のラクガキが出迎えてくれました。かわいい。

内容は…内容はですね…もうなんなんだろう…(*´∀`*)。
終始ニコニコ、にやにや、2424しながら見てきました。
山口氏の作品をこれだけまとまって見たのは初めてですけども、
壮大なスケールで哲学的でバカバカしく堂々としていて、何を見ても笑うしかない。
山口氏は絵もそうですが、字が独特ですね。こんなフォントほしい。山口フォント商品化してください。

伝源頼朝像をモデルにした自画像や、東京藝大所属時の作品や習作がまずお出迎え。
そしていきなり深山寺参詣図ですよ!もう、もう、最初からなんなの。とばしすぎ。
わたし山口氏の描くへんに混ざった時代もの絵が大好きでして。
籠で運ばれるお姫様がいるのに車の駐車場があったり、馬の形したバイクにお侍が乗ってたり
着物姿の人の隣に制服警官や女子高校生がいたりする。
江戸時代と現代がすっきり混じっているのですね。
絵本『ウォーリーをさがせ!』シリーズもウォーリーの周囲で色んな人たちが色んなことしてて楽しいけど
そんな感じの作品でした。
マーティン・ハンドフォードと山口晃は群衆図の第一人者だと思う。
當世おばか合戦や山之愚痴明抄も似たような絵で、どっちも横に長~~い絵なのですが
山乃愚痴明抄、最初と最後にマンガ形式で解説が入ってる(笑)。
いや、ほとんど氏の夢想というオチなんですけども。
今様遊楽図は完成品と下図があって、完成品も面白かったのですが下図への書き込みがおかしいです。
「人生に第一も第二もあるのか」「くさいものに蓋」などコメントがたくさん。
作家の思考が読み取れる絵っていうのも面白いです。

携行折畳式喫茶室がおかしい。
プレハブ小屋の中に和風のお茶室があるのですが、これ、解体して持ち運びができたりします。
折り畳み茶室…(笑)。
五武人図、ガイコツ武人や兜がぽきりと折れた武人、両腕のない機械仕掛けの武人など。
ちゃんとそれぞれに花押が描いてあるんですよ。細かい!
5人目の表具の片側だけが上からポキンとこっちへ折れていたんですけど、
あれ、誰も注意しなかったし監視員さんも何も言わなかったからああいう趣向なんだろうか…。
自由研究(柱華道)、いいですね。電柱で華道しちゃおうというスケッチです。
花を飾ったり留め具の間隔や配線を工夫したり、楽しい。
澁澤龍彦『獏園』挿絵に館長と学芸員からストップかかってるの笑った(笑)。
子どもが見るからねえ…ってラクガキ入りでした。でもこういう配慮大事です。
胎内巡り図は土の中を臓器に見立てて大冒険してた。

小学生や高校生時代のお絵かきやスケッチ、この頃から山口フォント炸裂してたのね。やばい。
3歳のお絵かきにすでにメカとガイコツがあってああもうずっと描いてるのねって思った。
高校の文芸誌に寄せたエッセイが哲学的すぎて頭おかしい。
卒業アルバムの表紙も描かれたんですね。

『私と20世紀のクロニクル』『風が強く吹いている』『親鸞』などの小説挿絵も。
親鸞の挿絵はあまりのトリッキーぶりがTwitterで話題になってましたね。
「思い知る他力!世を生きる馬力!」とか笑うしかない(笑)。
とどめは「挿画はイメージです」言っちゃう!それ言っちゃう!!(爆笑)
笑い声が怒ったの挿絵は思ったより小さくてキュートでした。
…で、ここでまさかの落雷現象が。(何)
江戸しぐさの絵があったのですが、あれ、これすごく見覚えあるな、どこだっけ?と記憶をたどって
数年前にテレビで見たCMであることに気がつきました。
覚えていらっしゃる方いますか。江戸しぐさのCM→こちら
うわあああああこのアニメーションの元絵山口氏だったのかああああああ
水とWaterが結びついたヘレン・ケラーのような気分でしたよ。ああびっくりした。
なんか変わった絵のCMだなあとのんきに見ていた当時の自分に
数年後に落雷があるよとタイムマシンで伝えに行きたい。

どんどんいきますよ。横浜トリエンナーレをもじった「山愚痴屋澱エンナーレ」のコーナー。
色々な作家の国際展というコンセプトですが、実は作者は全部山口氏です(笑)。
まず、道路交通標識に勝手にタイトルつけちゃうシリーズ。
山口氏が標識から連想してコメントしてるのですが
自転車及び歩行者専用には「誕生日プレゼント」、
車両侵入禁止には「貯金箱」のタイトル。これ、わたしも思ってた思ってた(笑)。
瓶がひとつ。中には焼いた絵のかけら。
壁のモニターでどうやって作ったかが紹介されています。
花の絵を描いて、ほんとに燃やしてた。。
「絵はこんなに役に立つ」の、モナリザを盾にされて攻撃できない兵士に同情しました。きみはえらい。
数十本の鉛筆を木枠で組んで、いっぺんに同時に数十匹の犬の絵を描く試み。
これ、絵描きなら誰もが一度は考えると思うけどほんとにやっちゃったんだ(笑)すごい(笑)。
壁のモニターで描いた様子が写ってましたが重たそうだった…(;´∀`)。
びっくりするのが「リヒターシステム」。
額縁スケッチの前に「ボタンをおしてください」と書いてあって何気なく押してみたら、ドッキリ!
祖母を呼んで押させてみたら、祖母が「わっ」とびっくりして
後から来た祖父にも押させたら、祖父も「おおっ」とびっくりしました。
興味のある方ぜひ会場でやってみてください。楽しいですよ(笑)←

大きな大きな「日本橋三越」図と「Tokio山水(東京圓2012)」。
三越図は何度も見ましたけど、見るたびに違うものを発見できます。
今回は半分に切断された船が隅田川を行くのを見つけました。
そして日本橋の麒麟像にニヤリ。これ、毎回ニヤリとしちゃう。
Tokio山水図は細筆で東京の俯瞰図を緻密に描いています。
これ、完成はいつになるのかしら。まだまだ描きこむスペースがたくさん残っていました。
墨一色ですが果たして色は塗られるのかどうか。塗り始めたらそれこそ一生かかりそう。

制作中の上毛かるたの一部。群馬の風土や文化、歴史上の人物などが題材になっています。
かるたを山口氏が作るとこうなる。
マンガ形式のすずしろ日記も面白い。オチが「…な風にならないかなあ」。妄想で旅行ですか!(笑)
くるりと後ろを向くと千躰佛造立乃図。
千手観音様をつくる絵です。これ祖母が気に入ってポスカ買ってました。
そしてラストが邸内見立洛中洛外図。広いお屋敷の邸内が京都市内に見立てられています。
水干着た人やポロシャツの人、祇園祭遊びにトイレの順番待ち、門外には観光バスが停まってる。
大名屋敷なのか観光地なのか。最後までくらくらさせてくれました。

うおお楽しかったー!
ぶっとんでて緻密で実験的、遊び心いっぱい。きっと何時間いても飽きない展覧会です。
山口氏は作家と違いますな。絵師ですな。うん。大和絵の人だ。
山愚痴屋諦堂(やまぐちやあきらめどう)って号もあるくらいだし。

tateba2.jpg
美術館でお昼ごはん。祖母におごってもらいました。


続いて、羽生市にある中島紺屋に移動。
hanyu1.jpg
エジプトの墓から発掘されたツタンカーメンの衣装が当時どんなものであったかを復元するプロジェクトが
スウェーデン、エジプト、オランダ等の協力で行われまして、
それに藍染の無形文化財技術保持者である中島さんが協力したことがきっかけで
今回の展覧会につながったそうです。
(中島さんが協力したのは、王の衣装の刺繍に使われた糸の藍染だそうです)

hanyu2.jpg
復元品が展示されている建物はこちら。室内は写真撮影禁止です。

展示品はツタンカーメンの少年期(8歳)~成人期(18歳)までの衣装と、
ツタンカーメンが神官として着用した衣装、
同じく再現された頭巾や下着、手袋、靴、アクセサリーなど数点。
衣装はすべて麻で織られ、真っ白で神秘的なまでの薄さ。後ろが透けて見えました。
そうだね、エジプトだもんね。風通しのいいもの着てたよね。
しかしこの薄さ一体どうやって織るんだ…いやはや。

襟や袖の部分には赤糸や青糸でたっぷり刺繍が施されています。これを中島氏が染めたのですね。
刺繍の模様は王のしるしであるハヤブサやツタンカーメンの名前、スカラベなど。
スカラベは心臓を守るお守りとしてエジプトでは大切にされてきた生き物ですな。
パピルスに描かれてたのをどこかで見た覚えがあります。
ハヤブサの翼の形をした肩当て(?)みたいなのもあって、たぶんホルス神だと思うのだけど
これも刺繍や金のアクセサリーがいっぱいついてて贅沢な品。
衣装は涼しく、飾りは豪華に。エジプトのおしゃれっていいなー。

この展示は年内いっぱいで、
その後はスウェーデンのテキスタイル博物館に永久保存されるそうです!
エジプト研究のためにも、現代の技術保存のためにも、末永く伝えていってもらいたいですね。
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comment

山口晃氏

  1. 2013/11/29(金) 02:28:51 |
  2. URL |
  3. マルボーズ隊員(タカダカズヤ)
  4. [ 編集 ]
ゆささんとの共通項がまた1つ。
中目黒のギャラリーで2度見ましたよ。
何年前だったか・・・・
江戸仕草の・・・・知らんかったのぉ?
(なんちて。笑)
あ、そうそう・・・・中目黒のギャラリー・・・・
山口さん会場で絵を描いてましたよ。
ご本人、間近で見ちゃった。(笑)
たしかミヅマアートギャラリー・・・・
もう中目黒のはなくなってるのかなぁ?

良いですよねぇ。(信じられないですよねぇ)

池田学氏も見たんだった。

Re: 山口晃氏

  1. 2013/12/01(日) 22:23:45 |
  2. URL |
  3. ゆさ
  4. [ 編集 ]
> タカダ様

わーータカダさんなら山口氏ご存知ではないかと思ってましたよ!
ご本人を間近で!いいですねえぇ
絵も描いてくださるんですね。
館林でもご本人トークショーを企画されてましたがタイミングが合わなくて行けませんでした。

江戸しぐさの人って気付いてませんでした(;´∀`)。
今思えばなぜわからなかったのか…。
中目黒は全然詳しくないですがギャラリーはチェックしたいです。
 
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