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もう終了してしまっていますが、先月、国立公文書館の「妖怪退治伝」展を観てきました。
昔々から物語や説話には様々な怪物や妖怪がいて、それらは必ずといっていいほど退治されてきたわけですが
そんな妖怪退治の様子を描いたものを、主に江戸期の版本を中心に紹介する展覧会です。
古代から中世まで、ヤマタノオロチや土蜘蛛、鵺など誰でも一度は耳にしたことのある妖怪や
その超人的な力から妖怪のような扱われ方をしてきた人までたくさんおりましたよー。
しかも観覧料無料で写真撮影がOKだったりします!おおお(*'▽')

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トップバッターは古事記にあるスサノヲのヤマタノオロチ退治。
場面としては、アシナヅチ・テナヅチ夫妻からスサノヲがヤマタノオロチについての話を聞く場面ですね。
そうかこれ日本で最初の妖怪退治なのか…。
絵師は歌川国芳です。人物が美しく背景の迫力たっぷり、とても丁寧。
しかし国芳ってば神話を描くととたんにタッチの艶が倍増しますね、おいちゃんの色気。

ついでにどうでもいい話をしますと先日、伊福部昭生誕100周年記念コンサートを聴いてきた弟が
「アンコールがギドラの曲だったんだよおおおお」と大興奮しながら
「ゴジラvsキングギドラ」(91年)のDVDを借りてきたので一緒に見てて思ったんですが
もしかするとキングギドラのルーツってヤマタノオロチなんじゃないかな。
首は3本だし翼生えてるし、どっちかっていうとドラゴンみたいではあるにしても…。
(そしてキングギドラといえばエヴァ破でミサトさんの携帯の着メロがキングギドラの鳴き声だ)

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続いては平将門伝説。
牛車から降りる平将門を迎える藤原秀郷(俵藤太)の図。
将門さんすごい、畳の上まで車乗り入れさせてる(笑)。
さすが首だけになっても動く人だけあって大柄に描かれててかっこいい☆
秀郷がのちに大ムカデを退治し、やがて将門追討の命を受けると思うと切ないですなあ、この絵…。
絵師は葛飾北斎です。細かい!ほれぼれ!

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茨木童子と渡辺綱。
茨木が綱に斬られた腕を取り戻しにくるエピソードは有名ですが
この挿絵では綱をつかんで雲の上まで飛んでしまっています。ダイナミックだー!
茨木童子については過去記事でさんざん語っていますので省略。

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源為朝。
その無双ぶりたるや鬼よりも強いと言われた人で、源頼朝や義経の叔父さんにあたります。
若い頃は鎮西(九州)で大暴れしたために鎮西八郎と呼ばれ、保元の乱で崇徳上皇側について敗れたのち
伊豆大島に流されてそこで切腹したとも、
逃げのびてまた九州で大暴れしたとも伝えられます。(よっつねや西郷さんみたいだね)
弓手が馬手より長かったらしく、弓を射させれば剛速球のごとく矢が飛んでいったらしい。
絵師は菊池容斎です。頭が重たそうですけどかっこいい~トレードマークの弓も大っきい!

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平家物語から、源頼政の鵺退治。頼政が内裏に出没した鵺を弓で射落とした図です。
ちょっと小さくてわかりにくいかもですが、右上で鵺が樹から落ちていますね。
平家物語によると、頼政は南無八幡大菩薩と唱えて矢を放ったらしい。那須与一みたい。
(ちなみに那須与一は「よっぴいてひょうど放つ」ですが、頼政の射方は「よっぴいてひょうど射る」です)
頼政はのちに以仁王とともに打倒平家をめざし挙兵したものの、敗れて自害しています。

ところで鵺といえば伊豆の国市にぬえ左衛門なるゆるキャラがいると先日知りました。
ちゃんと頭が猿、体が虎、尾が蛇で、あたまの後ろに頼政の放った矢がささってて再現度パない。
実物見てみたい('v')。

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太平記より、大森彦七の鬼退治。
伊予の金蓮寺へ行く途中で彦七はひとりの女性に出会うのですが、
実はこの人、湊川の戦で敗死した楠木正成の怨霊だったりします。
「川が深くて渡れません」と女性が言うので彦七がおんぶして川を渡ると、急に女性が重たくなって
振り向くと鬼に変貌していた…というおっかないシーン。
ちなみに大森彦七は楠木正成を敗走させた張本人といわれる人です。

この他にも源頼光の土蜘蛛退治、大江山の酒呑童子退治、
鬼のような強さといわれた武蔵坊弁慶などを描いた展示がありました。
霊になった源為朝とか初めて見ましたけど(^ ^;)面白かったです!

昔から妖怪や怪異のたぐいというのは
だいたいその時代の権力者が「これこれこういう怪物が出たので退治します」とか何とかおふれを出して
祈祷をしたり武士を派遣して首か何かを持ち帰らせて
「はいもう大丈夫ですよ~」って社会に怪異の収拾を発信して収めていたわけですが。
妖怪を退治したり怪異を鎮めたりすることは権力者が治安を掌握することであり、
妖怪たちは時の朝廷に逆らうものとして作られていた面もあったりします。
その妖怪を退治できる人たち(源頼光とか弁慶とか)もまた、尋常ではない力を持つということで
鬼と呼ばれて畏怖されるなどしてきました。
毒をもって毒を制すではないけど、鬼を倒せるのは鬼しかいないと考えられたのかもしれません。

鬼といえばよくいわれるのが「鬼門」でしょうか。
夢枕獏氏の『陰陽師』シリーズがじわじわ人気を博すようになってから知られるようになってきてますね。
陰陽道が普及し始めた平安時代半ばには
北東、つまり丑寅の方角は鬼門と呼ばれ鬼がいるといわれるようになりますので
(だから鬼は牛の角に虎のパンツを履いたデザイン)、
人々は鬼門の方角にあたる場所をきれいに掃除したり寺社を置いたりして
よくないものが出入りしないようにと願掛けもするようになっていったそうです。
で、そのよくないものってどんなものかというと
↑に挙げてきたヤマタノオロチだったり鬼だったり鵺だったりするわけで。
"よくないもの"に形を与えて退治すれば
ああ良かったこれで解決できましたねってみんな安心したのかもしれない。
(誰もが目に見えて「退治された」とわからなければやっても意味がない気もしますし)

それから、鬼退治の代名詞のような話に「桃太郎」がありますけども
桃太郎についていくのは鬼門の対極にある「裏鬼門」にあたる申・酉・戌だったりして
ここにも鬼門の考え方が反映されているように思います。
桃太郎の名前の「桃」だって、古代中国では邪気を祓う果物とされていたしねー。

…というようなことを過去記事でマンガにして語った覚えがあります。
絵が古くて恐縮ですがよろしければどうぞ(・ω・)ノ


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こちらは妖怪退治とは別のブースにありました。和綴じの種類の展示!
こんなにあるんですね。
ハードカバーやソフトカバーの装丁も大好きですが、和綴じの奥ゆかしさもまた良し。

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こちらも別ブース。安政の大地震の記録です。
紙にうっすらとですが草花が描かれていておしゃれ。

公文書館、実は初めて来たのですが
他にも戦国武将や江戸時代の将軍、近代の大臣や議員などの文書などが展示されてて面白いです。
無料だし!
また何かの機会に寄ってみたいな。



本日のお絵かき↓
oui_201402062349592c5.jpg※クリックで大きくなります
葛飾応為。
前回記事の応為展の興奮が冷めなくてその勢いのまま、ある日家を出る姿を描いてみました。
どこに行ったのかな…。

正面顔はこちらにあります。
*ブログ内のイラスト記事一覧はこちらです*
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寒梅に神は舞う。

光と影のロマン。

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