わたしは大気を描きたい。
国立西洋美術館で開催中の「モネ 風景をみる眼-19世紀フランス風景画の革新」展に行ってきました。
ポーラ美術館所蔵・西洋美術館所蔵のモネ作品と、
ルノワール、マネ、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン、ガレ、ロダン、シスレー、クールベ、スーラなど
19世紀に活躍した画家たちの作品が勢ぞろいしています。
ただでさえ印象派の展覧会は人気があってしかもメンツがメンツなので会場はとても混んでいて
(チケット売り場が大行列だった)、
わたし絵はだいたい近づいたり離れたりして見るのが好きなのですが
どの絵の前も人がへばり付いたようにぎっしりで、なかなかそれもできず(;´∀`)。
でも久しぶりに印象派の本物をどっさり鑑賞できて良かったです。
モネの作品をまとめて見たのは7年前の「大回顧展モネ」(国立新美術館)以来でして
今回はあれより規模は小さめだし、モネの絵は大好きで画集も持ってますが
やはり本物を見られる機会は少ないので開催してくれて嬉しいなあ。
ポーラさん西美さんありがとうございます(´▽`)。
5歳か6歳のとき母親に連れられて、今は無き東武美術館の西洋絵画展に行きまして
最初は適当に眺めていた作品の中にたった1枚だけあったモネの絵の光に
脳みそから胸から貫かれビリビリしびれてしまって以来、飽きるほど見ています。
今回も、さっき列挙したように色んな画家の作品が並んでいましたが
あっこれいい!すてき!と思う絵はほぼモネであることが多かった(笑)。
水の描き方が大好きなんです(´∀`)白が美しい。
「睡蓮」の花が美しいのは言わずもがな、水面に映り込むさかさま世界のきれいなこと。
なんていうのかな、モネが描く水面は絶えず光がキラキラして
活気が満ちているんですよね。
ゆらめきや波紋が見えるというのかな…。
晴れの日はもちろん、曇りの日は曇りの、雨の日は雨の光が水面に落ちているのが表現されているというか
どんな天気であっても、昼でも夜でも、水面には何かしら光があるというのを
感じさせてくれる気がします。
昼だから白く、夜だから真っ黒に塗ってしまうとかじゃなくてね。
「グランド・ジャット島」がセザンヌの「ポントワーズの橋と堰」と並んで飾ってあって
比較できるようになっていまして、
同じ水と木のある風景でもセザンヌは割と均等に迫力のある雰囲気に仕上げていて
モネは遠近法と少ない色ですっきりまとめて解放感を感じた。
ふにゃー。綺麗だ。
「バラ色のボート」、女性たちがボートに乗り談笑していますが画面の半分以上が水です(笑)。
水草の動いている水は見ている分にはすばらしいが気が狂いそうになる、とモネは言ったそうですが
水の中を観察しているような感じもしました。
「セーヌ河の支流から見たアルジャントゥイユ」とか、もうだめ。美しすぎて悶絶。
空の雲の動き、風のざわめき。水に映り込む林の描写は写真じゃないかというレベル。
なんかもうブルガリアヨーグルト飲み込んだみたいに心がフニャフニャでした。あー。ふやける。
「ジヴェルニーの積みわら」のポカポカ陽気の中の積みわらにはこちらもポカポカしてくるし、
「しゃくやくの花園」はカラフルな花園が素敵だし、
「散歩」はモネの妻カミーユと子のジャンがアルジャントゥイユの草原に包み込まれて楽しそうだし
なんか、どれを見ても圧倒的なやさしさと暖かさで頭がふわふわします。
「雪のアルジャントゥイユ」、ざくざくした雪道に信じられないほどのリアリティ。
ああ、そうだね、降ったばかりの雪道ってこんな足跡つくよね…。
「サン・ラザール駅の線路」も「エトルタの夕焼け」も美しい、美しい。
見慣れてるけど美しい。
ロンドンの議事堂や橋を描いた3作は霧が強烈すぎるくらい神秘的で、たぶん主題は霧ですね(笑)。
(霧がなければロンドンは美しくないって言うくらい、モネはあの霧に荘厳さを見たらしいけど
でもあれ水蒸気じゃなくスモッグだよモネ~^^;)
「黄色いアイリス」を見てアガサ・クリスティが同じタイトルの小説を書いているのを思い出した。
「陽を浴びるポプラ並木」のそばにロダンの「オクターヴ・ミルボーの胸像」が並んでいたのは
1889年にパリで開催された「モネ・ロダン展」の再現でしょうか。
(ミルボーが「絵画と彫刻という芸術を今世紀で最も見事に演じてみせた」とか絶賛したやつ)
モネと交流した人や支えた人に関する展示があるのもうれしいですね。
他の画家たちの作品も良かったですよ。
ルノワールの風景画「木かげ」や「エッソワの風景」も綺麗で、奥行きがふんわりかすんだ色あいで
あらゆる青が下地になっているのは人物を描くときと同じですね。
マネの「ブラン氏の肖像」はえっへん感が出てて、ああ、マネだなって(笑)。
エミール・ガレのお皿や器もあって、モネが水草を描いたように
ガレは海藻を器に表現していてシャレオツ。
シニャックの色遣いが、油彩なんだけど色鉛筆とかクレヨンの明るさで面白かった。
「サン=トロぺの港」とかスーラみたいな点描に近くて、港の青さと海の赤さが対照的な作品。
スーラはというと、「グランカンの干潮」がありまして海辺で大きく傾いた船の絵で
点描っぽいタッチではなかった。緑の海がきれいです。
クールベは相変わらずコントラストがくっきりはっきりしてる、「狩猟者のいる風景」とか
「波」とか迫力がすごい。東映の波みたいに絵を飛び出して迫ってきそう。
ゴッホとゴーギャンの絵が仲良く並んでいてふおお…!
彼らの相克を思うと夜も眠れなくなるし、作品が並んでいると条件反射でムズムズします。
良かったねって言うのも変な気がする…ゴッホは素直になれずゴーギャンはそっぽ向いてそうとか…。
シャバンヌ「貧しき漁夫」とピカソ「海辺の母子像」が並んでいたのは
ピカソがシャバンヌのこの絵を見て母子像を制作したからだそうです。
真っ青な画面に母子が描かれ、母の持つ花だけが真紅の色。
ゲルニカにおけるランプやアネモネの花のようなイメージでしょうか…母子はピエタにも見えました。
会場には画家たちからモネへ向けられた言葉がいくつも掲示してありました。
ポール・セザンヌ「モネはひとつの眼にすぎない、しかし何というすばらしい目だろう!」
ロジェ・マルクス「もはや大地も空も境界もない。静謐で豊穣な水がカンヴァスのすべての領域を覆いつくしている」
フィンセント・ゴッホ「ああ、モネが風景を描くように人物が描けたら!」
名前も知らない人もいたけど、言葉の中身から画家なのか批評家なのか画商なのかとか何となくわかりました。
誰かに向けた言葉って人柄も思想も出るから面白いですね。
(ちなみにフィンセントの言葉には続きがあって
「印象派といったらモネしかいないなどと言われる前にそれだけはしなくては」というものだったりします。
あとフィンスの弟のテオドルスが印象派の画家を援助するためにモネの絵を買い入れたことがあったはず)
モネの言葉もありました。「私は鳥が歌うように絵を描きたい」
モネの人生はそれなりに紆余曲折もありましたし、描くことが苦しい時期もありましたけど
絵に関して否定的なことを言っているのをあまり聞きません。
絵を描かずにはいられないと何度も言っているし、対象を観察することの大切さも説いています。
(雪景色を観察しすぎて、どう描いたらよいかわかった時には
すっかり溶けてしまったなんてこともあったそうですが・笑)
また、会場にはありませんでしたが、ゆさが好きなモネの言葉に以下のようなものがあります。
(風景が絵のように見えるのかという問いに)「ありえないね、親愛なる友よ。これはわたしの見方だ」
「わたしは大気を描きたい、しかしそれは不可能ということに他ならない…」
あ!モネ情報をひとつ。
今年の6月、世田谷にボストン美術館所蔵の「ラ・ジャポネーズ」が来てくれるらしくって
今回も7年前の回顧展にもなかったからすっごくすっごく見に行きたい!!
で、すっかり身も心もふやけてしまったまま会場を出て、ついでに(ついで言うな)、
常設企画展のエドヴァルド・ムンク版画展も見てきました。
しかし、ちょっと、これは、すごかったですよ!
モネでふにゃふにゃになった後でしたから余計に頭にがんがん響きまくりました!なんだこれ!
白黒版画ばかりで、「虎の頭」とか「歴史」などにはムンクの高い画力をドカンと見せつけられて
ふおおこりゃモネと全然違うぜ、でも頭を切り替える余裕がないぜ…と思う間もなく
「自画像」はともかく「マドンナ」とか「病める子ども」とか次々見ていくうちに
いつの間にか脳も体もずっしり重くなった感じに。
べったり塗られた黒とかすれた黒の差が強烈すぎて、なんかもうひたすら現実で
さっきまで地上1メートルあたりをふわふわしていたのに、強制的に引力で引きずり下ろされた気分。
息をのむ作品とはこういうものだなあと思いました。
圧巻は連作「アルファとオメガ」。もう見るからにまともな精神状態じゃない…!
と思ったらムンクが精神病院に入院した際に治療の目的もあって制作したのだそう。
モチーフはアダムとイブではないかと思います。
愛し合っていたオメガとアルファですが、アルファが蛇を殺したのをきっかけに2人の何かがずれ始めて
(蛇殺しのシーンのオメガがぞっとします)、
オメガが熊や虎と睦み合ううちに目ががらんどうになったりしてて、
アルファが絶望するシーンはあの「叫び」に似た構図だったりします。
ラストが…いや、あれはちょっと書けません…。
そして最後に展示されていた「光に向かって」が唐突に色版画で一気にカラーの世界に引き戻されました。
帰ってきたあ、脱力。
西美を出てしばらく、あれ、わたし何を見に来たんだっけ…と忘れていたくらい衝撃でした。
すごいものを見せていただいた。
ただ、確かにテーマは重いし粗さと粗雑さが目立つけど均一が取れていてきれいだったし
不思議と「もう二度と見たくない!」とはならなかったですね。
もう一度見るにはちょっと時間を空けたいけど。
上野に行く機会がありましたらぜひ寄ってみてください、面白いくらいに酔えますよ。
(順番としてはムンクを見てからモネを見る方がおすすめです・笑)
あと、上野公園でウォーターアートを描いている人に初めてお会いしました!

ゾウやコアラ、ワニ、キリンなどをブラシですいすい描いてらっしゃいました。
ここは動物園と東博の交差点にあたりますが、ここだけじゃなく
動物園の前とか西美から科博への道とかにズラーッと動物たちの顔が描いてあって
道行く人たちが指さしたりカメラで撮影したりしていました。
もう名物ですね。

大きな猫ちゃんの下にパンダ3頭!
ちょっと突発的にぬらりひょんが描きたくなったので本日から3回に分けて載せます。
(鉛筆描きで見づらくてすみません。枠線くらい定規つかいましょう…)
すべてクリックで大きくなります。よろしければどうぞ~。
1ページ
2ページ
3ページ
*浮世絵師のイラスト記事一覧はこちらです*
ポーラ美術館所蔵・西洋美術館所蔵のモネ作品と、
ルノワール、マネ、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン、ガレ、ロダン、シスレー、クールベ、スーラなど
19世紀に活躍した画家たちの作品が勢ぞろいしています。
ただでさえ印象派の展覧会は人気があってしかもメンツがメンツなので会場はとても混んでいて
(チケット売り場が大行列だった)、
わたし絵はだいたい近づいたり離れたりして見るのが好きなのですが
どの絵の前も人がへばり付いたようにぎっしりで、なかなかそれもできず(;´∀`)。
でも久しぶりに印象派の本物をどっさり鑑賞できて良かったです。
モネの作品をまとめて見たのは7年前の「大回顧展モネ」(国立新美術館)以来でして
今回はあれより規模は小さめだし、モネの絵は大好きで画集も持ってますが
やはり本物を見られる機会は少ないので開催してくれて嬉しいなあ。
ポーラさん西美さんありがとうございます(´▽`)。
5歳か6歳のとき母親に連れられて、今は無き東武美術館の西洋絵画展に行きまして
最初は適当に眺めていた作品の中にたった1枚だけあったモネの絵の光に
脳みそから胸から貫かれビリビリしびれてしまって以来、飽きるほど見ています。
今回も、さっき列挙したように色んな画家の作品が並んでいましたが
あっこれいい!すてき!と思う絵はほぼモネであることが多かった(笑)。
水の描き方が大好きなんです(´∀`)白が美しい。
「睡蓮」の花が美しいのは言わずもがな、水面に映り込むさかさま世界のきれいなこと。
なんていうのかな、モネが描く水面は絶えず光がキラキラして
活気が満ちているんですよね。
ゆらめきや波紋が見えるというのかな…。
晴れの日はもちろん、曇りの日は曇りの、雨の日は雨の光が水面に落ちているのが表現されているというか
どんな天気であっても、昼でも夜でも、水面には何かしら光があるというのを
感じさせてくれる気がします。
昼だから白く、夜だから真っ黒に塗ってしまうとかじゃなくてね。
「グランド・ジャット島」がセザンヌの「ポントワーズの橋と堰」と並んで飾ってあって
比較できるようになっていまして、
同じ水と木のある風景でもセザンヌは割と均等に迫力のある雰囲気に仕上げていて
モネは遠近法と少ない色ですっきりまとめて解放感を感じた。
ふにゃー。綺麗だ。
「バラ色のボート」、女性たちがボートに乗り談笑していますが画面の半分以上が水です(笑)。
水草の動いている水は見ている分にはすばらしいが気が狂いそうになる、とモネは言ったそうですが
水の中を観察しているような感じもしました。
「セーヌ河の支流から見たアルジャントゥイユ」とか、もうだめ。美しすぎて悶絶。
空の雲の動き、風のざわめき。水に映り込む林の描写は写真じゃないかというレベル。
なんかもうブルガリアヨーグルト飲み込んだみたいに心がフニャフニャでした。あー。ふやける。
「ジヴェルニーの積みわら」のポカポカ陽気の中の積みわらにはこちらもポカポカしてくるし、
「しゃくやくの花園」はカラフルな花園が素敵だし、
「散歩」はモネの妻カミーユと子のジャンがアルジャントゥイユの草原に包み込まれて楽しそうだし
なんか、どれを見ても圧倒的なやさしさと暖かさで頭がふわふわします。
「雪のアルジャントゥイユ」、ざくざくした雪道に信じられないほどのリアリティ。
ああ、そうだね、降ったばかりの雪道ってこんな足跡つくよね…。
「サン・ラザール駅の線路」も「エトルタの夕焼け」も美しい、美しい。
見慣れてるけど美しい。
ロンドンの議事堂や橋を描いた3作は霧が強烈すぎるくらい神秘的で、たぶん主題は霧ですね(笑)。
(霧がなければロンドンは美しくないって言うくらい、モネはあの霧に荘厳さを見たらしいけど
でもあれ水蒸気じゃなくスモッグだよモネ~^^;)
「黄色いアイリス」を見てアガサ・クリスティが同じタイトルの小説を書いているのを思い出した。
「陽を浴びるポプラ並木」のそばにロダンの「オクターヴ・ミルボーの胸像」が並んでいたのは
1889年にパリで開催された「モネ・ロダン展」の再現でしょうか。
(ミルボーが「絵画と彫刻という芸術を今世紀で最も見事に演じてみせた」とか絶賛したやつ)
モネと交流した人や支えた人に関する展示があるのもうれしいですね。
他の画家たちの作品も良かったですよ。
ルノワールの風景画「木かげ」や「エッソワの風景」も綺麗で、奥行きがふんわりかすんだ色あいで
あらゆる青が下地になっているのは人物を描くときと同じですね。
マネの「ブラン氏の肖像」はえっへん感が出てて、ああ、マネだなって(笑)。
エミール・ガレのお皿や器もあって、モネが水草を描いたように
ガレは海藻を器に表現していてシャレオツ。
シニャックの色遣いが、油彩なんだけど色鉛筆とかクレヨンの明るさで面白かった。
「サン=トロぺの港」とかスーラみたいな点描に近くて、港の青さと海の赤さが対照的な作品。
スーラはというと、「グランカンの干潮」がありまして海辺で大きく傾いた船の絵で
点描っぽいタッチではなかった。緑の海がきれいです。
クールベは相変わらずコントラストがくっきりはっきりしてる、「狩猟者のいる風景」とか
「波」とか迫力がすごい。東映の波みたいに絵を飛び出して迫ってきそう。
ゴッホとゴーギャンの絵が仲良く並んでいてふおお…!
彼らの相克を思うと夜も眠れなくなるし、作品が並んでいると条件反射でムズムズします。
良かったねって言うのも変な気がする…ゴッホは素直になれずゴーギャンはそっぽ向いてそうとか…。
シャバンヌ「貧しき漁夫」とピカソ「海辺の母子像」が並んでいたのは
ピカソがシャバンヌのこの絵を見て母子像を制作したからだそうです。
真っ青な画面に母子が描かれ、母の持つ花だけが真紅の色。
ゲルニカにおけるランプやアネモネの花のようなイメージでしょうか…母子はピエタにも見えました。
会場には画家たちからモネへ向けられた言葉がいくつも掲示してありました。
ポール・セザンヌ「モネはひとつの眼にすぎない、しかし何というすばらしい目だろう!」
ロジェ・マルクス「もはや大地も空も境界もない。静謐で豊穣な水がカンヴァスのすべての領域を覆いつくしている」
フィンセント・ゴッホ「ああ、モネが風景を描くように人物が描けたら!」
名前も知らない人もいたけど、言葉の中身から画家なのか批評家なのか画商なのかとか何となくわかりました。
誰かに向けた言葉って人柄も思想も出るから面白いですね。
(ちなみにフィンセントの言葉には続きがあって
「印象派といったらモネしかいないなどと言われる前にそれだけはしなくては」というものだったりします。
あとフィンスの弟のテオドルスが印象派の画家を援助するためにモネの絵を買い入れたことがあったはず)
モネの言葉もありました。「私は鳥が歌うように絵を描きたい」
モネの人生はそれなりに紆余曲折もありましたし、描くことが苦しい時期もありましたけど
絵に関して否定的なことを言っているのをあまり聞きません。
絵を描かずにはいられないと何度も言っているし、対象を観察することの大切さも説いています。
(雪景色を観察しすぎて、どう描いたらよいかわかった時には
すっかり溶けてしまったなんてこともあったそうですが・笑)
また、会場にはありませんでしたが、ゆさが好きなモネの言葉に以下のようなものがあります。
(風景が絵のように見えるのかという問いに)「ありえないね、親愛なる友よ。これはわたしの見方だ」
「わたしは大気を描きたい、しかしそれは不可能ということに他ならない…」
あ!モネ情報をひとつ。
今年の6月、世田谷にボストン美術館所蔵の「ラ・ジャポネーズ」が来てくれるらしくって
今回も7年前の回顧展にもなかったからすっごくすっごく見に行きたい!!
で、すっかり身も心もふやけてしまったまま会場を出て、ついでに(ついで言うな)、
常設企画展のエドヴァルド・ムンク版画展も見てきました。
しかし、ちょっと、これは、すごかったですよ!
モネでふにゃふにゃになった後でしたから余計に頭にがんがん響きまくりました!なんだこれ!
白黒版画ばかりで、「虎の頭」とか「歴史」などにはムンクの高い画力をドカンと見せつけられて
ふおおこりゃモネと全然違うぜ、でも頭を切り替える余裕がないぜ…と思う間もなく
「自画像」はともかく「マドンナ」とか「病める子ども」とか次々見ていくうちに
いつの間にか脳も体もずっしり重くなった感じに。
べったり塗られた黒とかすれた黒の差が強烈すぎて、なんかもうひたすら現実で
さっきまで地上1メートルあたりをふわふわしていたのに、強制的に引力で引きずり下ろされた気分。
息をのむ作品とはこういうものだなあと思いました。
圧巻は連作「アルファとオメガ」。もう見るからにまともな精神状態じゃない…!
と思ったらムンクが精神病院に入院した際に治療の目的もあって制作したのだそう。
モチーフはアダムとイブではないかと思います。
愛し合っていたオメガとアルファですが、アルファが蛇を殺したのをきっかけに2人の何かがずれ始めて
(蛇殺しのシーンのオメガがぞっとします)、
オメガが熊や虎と睦み合ううちに目ががらんどうになったりしてて、
アルファが絶望するシーンはあの「叫び」に似た構図だったりします。
ラストが…いや、あれはちょっと書けません…。
そして最後に展示されていた「光に向かって」が唐突に色版画で一気にカラーの世界に引き戻されました。
帰ってきたあ、脱力。
西美を出てしばらく、あれ、わたし何を見に来たんだっけ…と忘れていたくらい衝撃でした。
すごいものを見せていただいた。
ただ、確かにテーマは重いし粗さと粗雑さが目立つけど均一が取れていてきれいだったし
不思議と「もう二度と見たくない!」とはならなかったですね。
もう一度見るにはちょっと時間を空けたいけど。
上野に行く機会がありましたらぜひ寄ってみてください、面白いくらいに酔えますよ。
(順番としてはムンクを見てからモネを見る方がおすすめです・笑)
あと、上野公園でウォーターアートを描いている人に初めてお会いしました!

ゾウやコアラ、ワニ、キリンなどをブラシですいすい描いてらっしゃいました。
ここは動物園と東博の交差点にあたりますが、ここだけじゃなく
動物園の前とか西美から科博への道とかにズラーッと動物たちの顔が描いてあって
道行く人たちが指さしたりカメラで撮影したりしていました。
もう名物ですね。

大きな猫ちゃんの下にパンダ3頭!
ちょっと突発的にぬらりひょんが描きたくなったので本日から3回に分けて載せます。
(鉛筆描きで見づらくてすみません。枠線くらい定規つかいましょう…)
すべてクリックで大きくなります。よろしければどうぞ~。



*浮世絵師のイラスト記事一覧はこちらです*
スポンサーサイト
テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。 ジャンル : 学問・文化・芸術
カレンダー
プロフィール
FC2カウンター
「小倉百人一首」
最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
- 2023/09 (6)
- 2023/08 (5)
- 2023/07 (5)
- 2023/06 (4)
- 2023/05 (4)
- 2023/04 (5)
- 2023/03 (4)
- 2023/02 (4)
- 2023/01 (5)
- 2022/12 (5)
- 2022/11 (4)
- 2022/10 (5)
- 2022/09 (4)
- 2022/08 (4)
- 2022/07 (6)
- 2022/06 (4)
- 2022/05 (4)
- 2022/04 (5)
- 2022/03 (4)
- 2022/02 (4)
- 2022/01 (5)
- 2021/12 (4)
- 2021/11 (4)
- 2021/10 (6)
- 2021/09 (5)
- 2021/08 (4)
- 2021/07 (6)
- 2021/06 (4)
- 2021/05 (5)
- 2021/04 (4)
- 2021/03 (5)
- 2021/02 (4)
- 2021/01 (5)
- 2020/12 (4)
- 2020/11 (4)
- 2020/10 (5)
- 2020/09 (4)
- 2020/08 (5)
- 2020/07 (5)
- 2020/06 (4)
- 2020/05 (5)
- 2020/04 (4)
- 2020/03 (8)
- 2020/02 (7)
- 2020/01 (8)
- 2019/12 (7)
- 2019/11 (8)
- 2019/10 (7)
- 2019/09 (7)
- 2019/08 (7)
- 2019/07 (8)
- 2019/06 (8)
- 2019/05 (7)
- 2019/04 (6)
- 2019/03 (7)
- 2019/02 (6)
- 2019/01 (7)
- 2018/12 (7)
- 2018/11 (7)
- 2018/10 (8)
- 2018/09 (7)
- 2018/08 (8)
- 2018/07 (7)
- 2018/06 (7)
- 2018/05 (7)
- 2018/04 (8)
- 2018/03 (7)
- 2018/02 (7)
- 2018/01 (8)
- 2017/12 (7)
- 2017/11 (8)
- 2017/10 (7)
- 2017/09 (7)
- 2017/08 (7)
- 2017/07 (6)
- 2017/06 (7)
- 2017/05 (8)
- 2017/04 (7)
- 2017/03 (8)
- 2017/02 (7)
- 2017/01 (8)
- 2016/12 (8)
- 2016/11 (7)
- 2016/10 (8)
- 2016/09 (7)
- 2016/08 (7)
- 2016/07 (8)
- 2016/06 (7)
- 2016/05 (8)
- 2016/04 (7)
- 2016/03 (8)
- 2016/02 (7)
- 2016/01 (8)
- 2015/12 (7)
- 2015/11 (8)
- 2015/10 (7)
- 2015/09 (7)
- 2015/08 (8)
- 2015/07 (7)
- 2015/06 (8)
- 2015/05 (7)
- 2015/04 (7)
- 2015/03 (8)
- 2015/02 (7)
- 2015/01 (8)
- 2014/12 (8)
- 2014/11 (7)
- 2014/10 (8)
- 2014/09 (7)
- 2014/08 (8)
- 2014/07 (8)
- 2014/06 (8)
- 2014/05 (7)
- 2014/04 (8)
- 2014/03 (8)
- 2014/02 (7)
- 2014/01 (8)
- 2013/12 (9)
- 2013/11 (7)
- 2013/10 (7)
- 2013/09 (8)
- 2013/08 (7)
- 2013/07 (9)
- 2013/06 (10)
- 2013/05 (11)
- 2013/04 (10)
- 2013/03 (10)
- 2013/02 (8)
- 2013/01 (11)
- 2012/12 (10)
- 2012/11 (10)
- 2012/10 (10)
- 2012/09 (10)
- 2012/08 (10)
- 2012/07 (14)
- 2012/06 (15)
- 2012/05 (15)
- 2012/04 (15)
- 2012/03 (15)
- 2012/02 (15)
- 2012/01 (15)
- 2011/12 (14)
- 2011/11 (14)
- 2011/10 (15)
- 2011/09 (15)
- 2011/08 (15)
- 2011/07 (15)
- 2011/06 (15)
- 2011/05 (16)
- 2011/04 (16)
- 2011/03 (15)
- 2011/02 (15)
- 2011/01 (16)
- 2010/12 (16)
- 2010/11 (18)
- 2010/10 (17)
- 2010/09 (18)
- 2010/08 (18)
- 2010/07 (19)
- 2010/06 (18)
- 2010/05 (20)
- 2010/04 (18)
- 2010/03 (16)
- 2010/02 (17)
- 2010/01 (17)
- 2009/12 (16)
- 2009/11 (16)
- 2009/10 (17)
- 2009/09 (16)
- 2009/08 (17)
- 2009/07 (5)
リンク
検索フォーム
最新コメント
最新トラックバック
ブロとも申請フォーム
QRコード
