おかえり。
先週末に箱根に行ってきました~。
小涌谷の岡田美術館と、仙石原の星の王子さまミュージアムが目当てです☆
(日帰りで行ってきたんですが、早起きして出かけたら割と何とかなりました。ホッ)
まずは小田急線に揺られて小田原駅まで来て、箱根登山電車に乗り換えます。

真っ赤な電車!れっつごー。

車両の先頭に乗れました。
外の景色がとてもいいので連結部分からパチパチ撮影。
箱根登山鉄道は唱歌「箱根八里」の中で天下の嶮と歌われる箱根の山の中を
名前のとおり「登山」をしながら進みます。
特に走り始めの箱根湯本~小涌谷間は日本一の急勾配で電車のスピードもゆっくりなため、
5~6kmの距離を20分近くかけて移動していきました。
急な坂や鉄橋、トンネル、急カーブなどのポイントをひとつひとつクリアしていくのがワクワク♪
運転手さんと車掌さんが交代するスイッチバックが3回あって、
こういうのも初めてなのでワクワク。

めちゃめちゃいい眺めーうおおお!
昼間でしたので谷が霧に閉ざされることはありませんでしたが、山に雲はかかってた。

太閤石風呂のある蛇骨川に沿ってゴトゴト進んだ先にあるのが、目的地の小涌谷駅。
ホームに降りたとたんにふわっと硫黄の匂いがしました。
この匂いかぐと箱根に来たって感じがしますね~。
目的地の岡田美術館は温泉施設「小涌園ユネッサン」の隣にあるので
ユネッサン行きのバスに乗っても行けるのですが、
駅員さんにお尋ねしたら歩いても15分ほどとのことなので、歩いていくことにしました。

幾重にもくねくねとする坂道を歩いていきます。
「羊腸の小徑は苔滑か」の歌詞を思い出しますが、苔はアスファルトの道端にチラチラ見られました。

登り坂をひたすら歩いて、岡田美術館に到着!去年できたばかりなのでぴかぴかの建物。
現在「再発見 歌麿 まぼろしの<雪>」展を開催中ですよ~☆
カメラやスマホ、ペットボトルはエントランスのコインロッカーに預けて
金属探知機をくぐり荷物もベルトコンベアに通すなど、
空港みたいなセキュリティ対策にひょえーってなりながらも入口をくぐっていざ展示室へ。
建物は5階建て、どのフロアもかなりだだっ広くて
鑑賞しながら「えっまだ先ある、まだある!」って何度も思いました。
展示品もすごいですよ~。
1階は焼き物展示で、景徳鎮を中心に東洋の焼き物がどっさりありました。
白地に青色で龍が描かれた絵皿や壺がいくつもあって
どの龍の顔も目をむいて口をくわっと開けて、どこかユーモラスでおもしろかった。
「加彩楽舞俑」という、10体の楽人+2体の舞人の俑が小さくて愛らしくて
とってもかわいかった♪これフィギュアにして売ってくれないかなあ、一揃いほしいです。
唐三彩の「三彩駱駝」も凛々しくてかっこいい。
2階に上がると一番広い展示室で、日本の焼き物が展示されています。
土器や埴輪、壺や大皿、有田焼美濃焼、信楽焼!
縄文土器とかすごいですよ~保存状態がとてもよくてたった今焼き上がりましたみたいな美しさです。
織部焼の「織部切落四方手鉢」はバスケットみたいな形の焼き物で、
さすが織部で、手持ちの部分から何から全部くねくねしててかわいい。
「色絵筆硯文大皿」が金地に墨と硯、竹を大きく配置したおもしろいデザインで見入りました。
そして!京焼コーナーの野々村仁清&尾形乾山師弟の展示品がマイベストヒット☆
尾形乾山「色絵紅葉文透彫反鉢」「色絵菊文透彫反鉢」が、ちょっと、これは…セットでやばい!
美術館のサイトに紅葉鉢の写真がありますが見てくださいよ、なんたる味わい深さ。
内側の底にさらりと川が描かれ、縁を彩る紅葉の色が鮮やかでもはや焼き物じゃないよ景色だよ!
竜田川が、竜田川がからくれなゐに水をくくっている!(by在原業平)
透かし彫りとか初めて見ましたけどこんなことできるんですね、焼き物ってすごいや…。
兄の光琳との合作「銹絵白梅図角皿」もありまして、光琳が絵をつけて乾山が焼いているのですが
お皿の裏に「これは兄光琳の真筆に間違いございません」とか何とか乾山が書きつけていて
思わず笑ってしまいました。
だってお皿の隅っこに小さくとかじゃなく、裏面いっぱい使って太筆で堂々と書いてるんだもの(笑)。
乾山ったらお兄ちゃん大好きなのね!かわいい兄弟め!( ´艸`)
乾山の師・野々村仁清の焼き物も壺やお皿などたくさん見ることができました。
仁清の焼き物をまとめて見るのは初めてでしたけども
決して派手ではないのですがすっきりのっぺりシンプルなデザイン、
しかしどこか朴訥とした印象で乾山と似てるというか、師弟だなーと思った。
白雁の香入れが本当に美しくて、ミュージアムショップにあったら買って帰りたかった。なかったけど←
あと鍋島家所蔵の鍋島焼がずらーーりと並んでいて壮観でした。
で、2階展示室のど真ん中にどーんと展示されている喜多川歌麿「深川の雪」。
歌麿の晩年に栃木で描かれ展覧会に出品され、その後パリに売りに出され色々あって帰国して
1948年に銀座の松阪店で展示されたのを最後に行方がわからなくなっていたのですが
2年前に発見され大がかりな修復を経て、66年ぶりの公開です。
おかえりなさいー会えてうれしいよ!(^▽^)
縦199㎝×横341㎝、つまり2mの高さで登場人物27人もいて誰ひとり同じポーズをしてなくて
女性たちの着物の色も柄も全部ちがって、笹色紅とかの風俗もすてきで
(高級な紅を濃く塗ると緑色になるそうです。下唇だけ緑色にするのが当時流行ったんですって)、
というかそもそもこんな巨大な絵一体全体どうやって描いたの!
絵のサイズも描写の細かさも、これだけの作品を描きあげる歌麿のエネルギーもとにかくすごくて
しばらく呆然としていました。大きな大きな圧倒だった。
晩年の作品とされているけど、彼の晩年といえば松平定信の改革が進んで
華美な絵も遊女の絵も描くことを禁止されて、それでも抗ったせいで手鎖50日の刑も受けて
すっかり気落ちして数年後に亡くなったとされる説があるのに、
そんなこと微塵も感じさせない筆力で、こんなに元気に絵を描いていた。
それを思うとすごくうれしくなって涙が出てきました。
館長である小林忠氏も日曜美術館で「ホッとしました」とおっしゃっていたな。
この雪の絵の他に、歌麿は「吉原の花」「品川の月」という大きな肉筆画を描いていまして
あわせて雪月花三部作といわれているのですが
現在、花はワズワース・アセーニアム美術館が、
月はフリーア美術館が所蔵しています(両方ともアメリカの美術館です)。
雪が発見された当時、さっそくアメリカから三部作揃えて展覧会をしたいと申し出があったそうですが
しばらくは国内で…ということで丁重にお断りしたそうな。
続いて3階へ。
今度は金屏風の群れが迎えてくれます!
「洛外図屏風」「修学院図屏風」「競馬図屏風」などたくさんの金色屏風が
奥行きのある展示室に並んでいて壮観です。目がチカチカする(;´∀`)。
伊年の印が押された屏風があって、あれ、てことは俵屋宗達の工房か、
その系統を受け継いだ絵師の作品かな??(*‘▽‘)ソワソワッ
「誰ヶ袖図屏風」という、ちょっと変わった屏風があって
衣紋掛けにかけられた女性用の着物、すごろく、香炉が描かれている静物画で
着物の柄が雪や藤、紅葉など四季をいっぺんに表現していてすごいです。
肉筆画もどっさり。
宮川長春の「遊楽図」、田村水鴎の「花見・舟遊図鑑」は横に長~~い絵巻物で
遊びにふける人々がゆったり丁寧に描いてあります。
歌麿の「三美人図」「芸妓図」もすっくと立った姿がたいへん艶やかで、
西川祐信「蚊帳美人図」も透ける蚊帳や絵本を読む女性の描写がしっとり美しい。
葛飾北斎は「立美人図」のモノクロ表現にほおおってなって
「傾城図」の遊女の着物おりゃー!なポーズに笑って
「堀川夜討図」の源義経・静御前・弁慶に歌舞伎を感じたりしておもしろいです。
他にも懐月堂や英泉、広重などの肉筆画が!ああ、書き切れないすばらしい。
上村松園の「夕涼」や「汐くみ」の優雅さにも感動しました。
松園さんは人物の頬やうなじ、指先などのほんのりとした色遣いが本当にうまい。
伊藤若冲が81歳の時に描いた「三十六歌仙図」屏風がもう、楽しい♪
歌人たちがお酒飲んだり水風船ポンポンしたり料理してたり琴にまたがったり
好き勝手なことして遊んでるのですが、みんなどこかとぼけてて楽しそう。
シンプルな線で一気に描き上げたというか、勢いのある筆遣い、これでこんな絵描けるのすごい。
この隣に若冲がまだ若い頃に描いた「花卉雄鶏図」があって、
若冲って聞くと誰でもだいたいこういう鶏思い浮かべるよねって典型例のような絵でしたので
見比べもできて楽しいです。
あと春画のコーナーがちゃんとゾーニングされてた!こういう配慮いいですね。
北斎や英泉、鳥文斎栄之らの気合いの入った春画がありました。
いま日本で春画展やるのすごく難しい状況なのに、展示した岡田美術館さんの肝っ玉パネェ。
4階も日本絵画のコーナー。
狩野探幽の「風神雷神図」はちっちゃな掛軸の中で2柱が暴れ回ってて楽しい1幅。
俵屋宗達の風神雷神図とは左右の位置が逆で色も雷神が赤、風神が白になってるんですね。
(赤い体の雷神というと北野天満宮所蔵の「北野天神絵巻」の雷神がそうですな)
曽我蕭白の「山水図」、相変わらずゴツゴツ岩にマッチ棒のような人を描いてて
もう一目で蕭白ってわかりますね(笑)大好きだー。
長沢蘆雪の「牡丹孔雀図」はまだ応挙先生の影響がみられる時期の作品で
すんごい細かく描いてあって、落款も魚ではなかったです。
円山応挙の「子犬に綿図」が…かーわーいーいー!!(じたばたじたばた)
茶色いわんこに白いわんこ、目がウルウルして肉球がぷにぷにして
毛がモフモフ感満載で触ったら柔らかそうってことまで感じられますよ。
応挙先生のことだから「リアルにかわいく」を意識して描いたらこうなったんだろうな。
尾形光琳、与謝蕪村、横山大観、小林古径、速水御舟などもあったけどタイトルを忘れてしまった。
東山魁夷「朝の聖堂」は遠目でもすぐわかりました。見るからに魁夷の青だった。
5階は仏教美術。
ど真ん中に薬師如来様、左右に増長天・持国天が鎮座ましましてて拝むしかない。
小さな木造四天王立像も細かい技巧で作られていてため息が出ました。
あ。展示品のキャプションが4ヶ国語対応のタッチパネル式でした。
日本語・英語・中国語・ハングルと、あと子ども用(日本語)。
日本語で見てみて、よくわからなかったら子ども用を見てました(笑)わかりやすかった~。

5階の展示室を出て階段を降りたら、休憩所のあるお庭に出ました。
庭というか、もはや山。

美術館に併設されている足湯カフェ!源泉かけ流しだそうですよ~。
さすが箱根で、美術館の敷地内から温泉が出たらしく足湯作っちゃったとか(笑)ほかほか。
2時間近く館内を歩いてヘトヘトでしたので、有難く入浴させていただきました。
(入館者は無料で利用できます。タオルも借りられますよ)
右のガラス部分はどうなっているかというと。

じゃん!
大壁画「風・刻」という、これも美術館の展示品です。
福井江太郎氏(まだ40代だそうだ!)がたったひとりで5年をかけて描き上げた
縦12m×横30mにも及ぶ日本一巨大な風神雷神だそうです。
宗達を引き伸ばしたわけじゃないよ手書きだよ!
(歌麿といいこの方といい、大きな絵を描いてバランスとれる人ってほんと頭の中どうなってるのだ)
これ、ちゃんと建物の中からも見られます。
下から見上げるしかないのですが、大きさと迫力に圧倒されるまま見ていたら首痛くなりました(^ ^;)。
わざわざ宗達の絵に雰囲気を近づけるために金色の部分にわざと茶色を入れてエイジングされてて
宗達へのリスペクトと心意気を猛烈に感じた。

足湯に浸かり風神を眺めながらいただく煎茶。しあわせ。

風神雷神図の手前には池があって、金魚が泳いでいました。すいすい。
うはー猛烈に楽しかった☆
個人の美術館でこんなに色んな作品を見られるとは思いませんでした。
入館料2800円とか高っ!って思ったけど充実の内容でお腹いっぱいですよ。ご馳走様でした。
岡田美術館の隣の小涌園ユネッサンでは日帰り温泉にも入れます。
今回はこの後予定があったから入れなかったけど、次は入ってみたい!ぞ!
(それにしても小涌園はすっかり様変わりしましたね…。
小学校の修学旅行で古い旅館の方に泊まって、友達とお風呂入りに行ったら場所を間違えて
うっかりボイラー室みたいな扉とか開けたのを昨日のことのように覚えてます)
あ、インフォメーションをひとつ。
岡田美術館の割引券が、わたしが確認した施設では
・小田原駅の箱根登山電車乗り換え口
・小涌谷駅切符売り場
・ユネッサン入口
・強羅駅改札口
・星の王子さまミュージアムのミュージアムショップ五億の鈴
に、置いてありました。
2800円→200円割引で2600円になりますから行く方はゲットしていった方がいいですよ。
この後、電車とバスに乗って仙石原の星の王子さまミュージアムに行ってきましたので
次回記事でその様子をお届けしたいと思います☆
小涌谷の岡田美術館と、仙石原の星の王子さまミュージアムが目当てです☆
(日帰りで行ってきたんですが、早起きして出かけたら割と何とかなりました。ホッ)
まずは小田急線に揺られて小田原駅まで来て、箱根登山電車に乗り換えます。

真っ赤な電車!れっつごー。

車両の先頭に乗れました。
外の景色がとてもいいので連結部分からパチパチ撮影。
箱根登山鉄道は唱歌「箱根八里」の中で天下の嶮と歌われる箱根の山の中を
名前のとおり「登山」をしながら進みます。
特に走り始めの箱根湯本~小涌谷間は日本一の急勾配で電車のスピードもゆっくりなため、
5~6kmの距離を20分近くかけて移動していきました。
急な坂や鉄橋、トンネル、急カーブなどのポイントをひとつひとつクリアしていくのがワクワク♪
運転手さんと車掌さんが交代するスイッチバックが3回あって、
こういうのも初めてなのでワクワク。

めちゃめちゃいい眺めーうおおお!
昼間でしたので谷が霧に閉ざされることはありませんでしたが、山に雲はかかってた。

太閤石風呂のある蛇骨川に沿ってゴトゴト進んだ先にあるのが、目的地の小涌谷駅。
ホームに降りたとたんにふわっと硫黄の匂いがしました。
この匂いかぐと箱根に来たって感じがしますね~。
目的地の岡田美術館は温泉施設「小涌園ユネッサン」の隣にあるので
ユネッサン行きのバスに乗っても行けるのですが、
駅員さんにお尋ねしたら歩いても15分ほどとのことなので、歩いていくことにしました。

幾重にもくねくねとする坂道を歩いていきます。
「羊腸の小徑は苔滑か」の歌詞を思い出しますが、苔はアスファルトの道端にチラチラ見られました。

登り坂をひたすら歩いて、岡田美術館に到着!去年できたばかりなのでぴかぴかの建物。
現在「再発見 歌麿 まぼろしの<雪>」展を開催中ですよ~☆
カメラやスマホ、ペットボトルはエントランスのコインロッカーに預けて
金属探知機をくぐり荷物もベルトコンベアに通すなど、
空港みたいなセキュリティ対策にひょえーってなりながらも入口をくぐっていざ展示室へ。
建物は5階建て、どのフロアもかなりだだっ広くて
鑑賞しながら「えっまだ先ある、まだある!」って何度も思いました。
展示品もすごいですよ~。
1階は焼き物展示で、景徳鎮を中心に東洋の焼き物がどっさりありました。
白地に青色で龍が描かれた絵皿や壺がいくつもあって
どの龍の顔も目をむいて口をくわっと開けて、どこかユーモラスでおもしろかった。
「加彩楽舞俑」という、10体の楽人+2体の舞人の俑が小さくて愛らしくて
とってもかわいかった♪これフィギュアにして売ってくれないかなあ、一揃いほしいです。
唐三彩の「三彩駱駝」も凛々しくてかっこいい。
2階に上がると一番広い展示室で、日本の焼き物が展示されています。
土器や埴輪、壺や大皿、有田焼美濃焼、信楽焼!
縄文土器とかすごいですよ~保存状態がとてもよくてたった今焼き上がりましたみたいな美しさです。
織部焼の「織部切落四方手鉢」はバスケットみたいな形の焼き物で、
さすが織部で、手持ちの部分から何から全部くねくねしててかわいい。
「色絵筆硯文大皿」が金地に墨と硯、竹を大きく配置したおもしろいデザインで見入りました。
そして!京焼コーナーの野々村仁清&尾形乾山師弟の展示品がマイベストヒット☆
尾形乾山「色絵紅葉文透彫反鉢」「色絵菊文透彫反鉢」が、ちょっと、これは…セットでやばい!
美術館のサイトに紅葉鉢の写真がありますが見てくださいよ、なんたる味わい深さ。
内側の底にさらりと川が描かれ、縁を彩る紅葉の色が鮮やかでもはや焼き物じゃないよ景色だよ!
竜田川が、竜田川がからくれなゐに水をくくっている!(by在原業平)
透かし彫りとか初めて見ましたけどこんなことできるんですね、焼き物ってすごいや…。
兄の光琳との合作「銹絵白梅図角皿」もありまして、光琳が絵をつけて乾山が焼いているのですが
お皿の裏に「これは兄光琳の真筆に間違いございません」とか何とか乾山が書きつけていて
思わず笑ってしまいました。
だってお皿の隅っこに小さくとかじゃなく、裏面いっぱい使って太筆で堂々と書いてるんだもの(笑)。
乾山ったらお兄ちゃん大好きなのね!かわいい兄弟め!( ´艸`)
乾山の師・野々村仁清の焼き物も壺やお皿などたくさん見ることができました。
仁清の焼き物をまとめて見るのは初めてでしたけども
決して派手ではないのですがすっきりのっぺりシンプルなデザイン、
しかしどこか朴訥とした印象で乾山と似てるというか、師弟だなーと思った。
白雁の香入れが本当に美しくて、ミュージアムショップにあったら買って帰りたかった。なかったけど←
あと鍋島家所蔵の鍋島焼がずらーーりと並んでいて壮観でした。
で、2階展示室のど真ん中にどーんと展示されている喜多川歌麿「深川の雪」。
歌麿の晩年に栃木で描かれ展覧会に出品され、その後パリに売りに出され色々あって帰国して
1948年に銀座の松阪店で展示されたのを最後に行方がわからなくなっていたのですが
2年前に発見され大がかりな修復を経て、66年ぶりの公開です。
おかえりなさいー会えてうれしいよ!(^▽^)
縦199㎝×横341㎝、つまり2mの高さで登場人物27人もいて誰ひとり同じポーズをしてなくて
女性たちの着物の色も柄も全部ちがって、笹色紅とかの風俗もすてきで
(高級な紅を濃く塗ると緑色になるそうです。下唇だけ緑色にするのが当時流行ったんですって)、
というかそもそもこんな巨大な絵一体全体どうやって描いたの!
絵のサイズも描写の細かさも、これだけの作品を描きあげる歌麿のエネルギーもとにかくすごくて
しばらく呆然としていました。大きな大きな圧倒だった。
晩年の作品とされているけど、彼の晩年といえば松平定信の改革が進んで
華美な絵も遊女の絵も描くことを禁止されて、それでも抗ったせいで手鎖50日の刑も受けて
すっかり気落ちして数年後に亡くなったとされる説があるのに、
そんなこと微塵も感じさせない筆力で、こんなに元気に絵を描いていた。
それを思うとすごくうれしくなって涙が出てきました。
館長である小林忠氏も日曜美術館で「ホッとしました」とおっしゃっていたな。
この雪の絵の他に、歌麿は「吉原の花」「品川の月」という大きな肉筆画を描いていまして
あわせて雪月花三部作といわれているのですが
現在、花はワズワース・アセーニアム美術館が、
月はフリーア美術館が所蔵しています(両方ともアメリカの美術館です)。
雪が発見された当時、さっそくアメリカから三部作揃えて展覧会をしたいと申し出があったそうですが
しばらくは国内で…ということで丁重にお断りしたそうな。
続いて3階へ。
今度は金屏風の群れが迎えてくれます!
「洛外図屏風」「修学院図屏風」「競馬図屏風」などたくさんの金色屏風が
奥行きのある展示室に並んでいて壮観です。目がチカチカする(;´∀`)。
伊年の印が押された屏風があって、あれ、てことは俵屋宗達の工房か、
その系統を受け継いだ絵師の作品かな??(*‘▽‘)ソワソワッ
「誰ヶ袖図屏風」という、ちょっと変わった屏風があって
衣紋掛けにかけられた女性用の着物、すごろく、香炉が描かれている静物画で
着物の柄が雪や藤、紅葉など四季をいっぺんに表現していてすごいです。
肉筆画もどっさり。
宮川長春の「遊楽図」、田村水鴎の「花見・舟遊図鑑」は横に長~~い絵巻物で
遊びにふける人々がゆったり丁寧に描いてあります。
歌麿の「三美人図」「芸妓図」もすっくと立った姿がたいへん艶やかで、
西川祐信「蚊帳美人図」も透ける蚊帳や絵本を読む女性の描写がしっとり美しい。
葛飾北斎は「立美人図」のモノクロ表現にほおおってなって
「傾城図」の遊女の着物おりゃー!なポーズに笑って
「堀川夜討図」の源義経・静御前・弁慶に歌舞伎を感じたりしておもしろいです。
他にも懐月堂や英泉、広重などの肉筆画が!ああ、書き切れないすばらしい。
上村松園の「夕涼」や「汐くみ」の優雅さにも感動しました。
松園さんは人物の頬やうなじ、指先などのほんのりとした色遣いが本当にうまい。
伊藤若冲が81歳の時に描いた「三十六歌仙図」屏風がもう、楽しい♪
歌人たちがお酒飲んだり水風船ポンポンしたり料理してたり琴にまたがったり
好き勝手なことして遊んでるのですが、みんなどこかとぼけてて楽しそう。
シンプルな線で一気に描き上げたというか、勢いのある筆遣い、これでこんな絵描けるのすごい。
この隣に若冲がまだ若い頃に描いた「花卉雄鶏図」があって、
若冲って聞くと誰でもだいたいこういう鶏思い浮かべるよねって典型例のような絵でしたので
見比べもできて楽しいです。
あと春画のコーナーがちゃんとゾーニングされてた!こういう配慮いいですね。
北斎や英泉、鳥文斎栄之らの気合いの入った春画がありました。
いま日本で春画展やるのすごく難しい状況なのに、展示した岡田美術館さんの肝っ玉パネェ。
4階も日本絵画のコーナー。
狩野探幽の「風神雷神図」はちっちゃな掛軸の中で2柱が暴れ回ってて楽しい1幅。
俵屋宗達の風神雷神図とは左右の位置が逆で色も雷神が赤、風神が白になってるんですね。
(赤い体の雷神というと北野天満宮所蔵の「北野天神絵巻」の雷神がそうですな)
曽我蕭白の「山水図」、相変わらずゴツゴツ岩にマッチ棒のような人を描いてて
もう一目で蕭白ってわかりますね(笑)大好きだー。
長沢蘆雪の「牡丹孔雀図」はまだ応挙先生の影響がみられる時期の作品で
すんごい細かく描いてあって、落款も魚ではなかったです。
円山応挙の「子犬に綿図」が…かーわーいーいー!!(じたばたじたばた)
茶色いわんこに白いわんこ、目がウルウルして肉球がぷにぷにして
毛がモフモフ感満載で触ったら柔らかそうってことまで感じられますよ。
応挙先生のことだから「リアルにかわいく」を意識して描いたらこうなったんだろうな。
尾形光琳、与謝蕪村、横山大観、小林古径、速水御舟などもあったけどタイトルを忘れてしまった。
東山魁夷「朝の聖堂」は遠目でもすぐわかりました。見るからに魁夷の青だった。
5階は仏教美術。
ど真ん中に薬師如来様、左右に増長天・持国天が鎮座ましましてて拝むしかない。
小さな木造四天王立像も細かい技巧で作られていてため息が出ました。
あ。展示品のキャプションが4ヶ国語対応のタッチパネル式でした。
日本語・英語・中国語・ハングルと、あと子ども用(日本語)。
日本語で見てみて、よくわからなかったら子ども用を見てました(笑)わかりやすかった~。

5階の展示室を出て階段を降りたら、休憩所のあるお庭に出ました。
庭というか、もはや山。

美術館に併設されている足湯カフェ!源泉かけ流しだそうですよ~。
さすが箱根で、美術館の敷地内から温泉が出たらしく足湯作っちゃったとか(笑)ほかほか。
2時間近く館内を歩いてヘトヘトでしたので、有難く入浴させていただきました。
(入館者は無料で利用できます。タオルも借りられますよ)
右のガラス部分はどうなっているかというと。

じゃん!
大壁画「風・刻」という、これも美術館の展示品です。
福井江太郎氏(まだ40代だそうだ!)がたったひとりで5年をかけて描き上げた
縦12m×横30mにも及ぶ日本一巨大な風神雷神だそうです。
宗達を引き伸ばしたわけじゃないよ手書きだよ!
(歌麿といいこの方といい、大きな絵を描いてバランスとれる人ってほんと頭の中どうなってるのだ)
これ、ちゃんと建物の中からも見られます。
下から見上げるしかないのですが、大きさと迫力に圧倒されるまま見ていたら首痛くなりました(^ ^;)。
わざわざ宗達の絵に雰囲気を近づけるために金色の部分にわざと茶色を入れてエイジングされてて
宗達へのリスペクトと心意気を猛烈に感じた。

足湯に浸かり風神を眺めながらいただく煎茶。しあわせ。

風神雷神図の手前には池があって、金魚が泳いでいました。すいすい。
うはー猛烈に楽しかった☆
個人の美術館でこんなに色んな作品を見られるとは思いませんでした。
入館料2800円とか高っ!って思ったけど充実の内容でお腹いっぱいですよ。ご馳走様でした。
岡田美術館の隣の小涌園ユネッサンでは日帰り温泉にも入れます。
今回はこの後予定があったから入れなかったけど、次は入ってみたい!ぞ!
(それにしても小涌園はすっかり様変わりしましたね…。
小学校の修学旅行で古い旅館の方に泊まって、友達とお風呂入りに行ったら場所を間違えて
うっかりボイラー室みたいな扉とか開けたのを昨日のことのように覚えてます)
あ、インフォメーションをひとつ。
岡田美術館の割引券が、わたしが確認した施設では
・小田原駅の箱根登山電車乗り換え口
・小涌谷駅切符売り場
・ユネッサン入口
・強羅駅改札口
・星の王子さまミュージアムのミュージアムショップ五億の鈴
に、置いてありました。
2800円→200円割引で2600円になりますから行く方はゲットしていった方がいいですよ。
この後、電車とバスに乗って仙石原の星の王子さまミュージアムに行ってきましたので
次回記事でその様子をお届けしたいと思います☆
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