たったひとりのエンタテイメント。
先月末のことになりますが、さいたま芸術劇場で「白石加代子の百物語ファイナル」を観てきました!
白石さんがこれまで22年にわたり続けて来られた語り舞台「百物語」シリーズが
とうとうラストを迎えるという、さみしいけどめでたい公演です。
百物語シリーズは何年も前から知っていて興味もあったのですが、
タイミングが合わなくて行けずにいるうちにファイナルになってしまったな…。
白石さんのライフワークが終わるというのに行かない理由がありましょうか、いや、ない。
そして行ってよかったです…今思うとわたし行けなかったら一生後悔してたと思う。
百物語というのはご存知の方もいらっしゃると思いますが、
100本の蝋燭に火をともしてひとつ話をするごとに1本の蝋燭の火を吹き消していって
すべてを語って火を消してしまうと本物のオバケがあらわれるので99話でやめなければならない、
というものです。
そんなわけで、白石さんの百物語も99話でおしまいだそうです。
これまでに語られた物語は夢枕獏、筒井康隆、芥川龍之介、与謝野晶子、宮沢賢治、星新一ほか
近代の文豪から現代作家までさまざま。
過去にテレビで白石さんが語る百物語をを少し見たことがありまして
そのときも「すごいな~これナマで見たらもっとすごそうだなあ」と感じたりしていたのですが
実際にナマの演技を目にしてみてもう、あれは、なんと言えばいいのか…。
かわいく、美しく、柔らかく、気高く、不気味で、醜く、気持ち悪く、何より妖しさに満ち満ちていた
あの空間は一体なんだったんだ…。
白石さんのエネルギーとこちら(観客)の感情がぐーるぐーると渦巻いて
うわーとんでもない場所に来ちゃった!って息をのんで
お腹の底から叫び声がフルチャージされたりして心を落ち着かせるのが大変でした。
語りとか演技とか、一言で言い表せるものを通り越して、ものすごいものを見せてもらいました。
あんな物語り聴いたことがない!!
白石さんはこれを22年間続けてこられたのか…脱帽を通り越してひれ伏すしかない。
始まりの鐘の音とともに照明が落ちて、今か今かと舞台を見つめていた観客(わたし含む)が
ふいっと客席に降臨された白石さんにびっくりして開幕(笑)。
「ようこそ、ようこそ」とお辞儀なさりながら優雅に客席の間を通って舞台へ歩いていく白石さん、
真っ白なお化粧に真っ赤な口紅、白いお着物に群青の帯がたいへんお似合いでした^^
「百物語は100話やると本物が出てくるそうです…(くるっと回って)出ました」とか
お茶目なこともしてくださって会場がどっと湧いた(笑)。
白石さんは「よかったー笑ってもらえて」と満足そうでした。なんてかわいい方なの。
まず1幕目。百物語98話は三島由紀夫の短編「橋づくし」。
(BGMはドビュッシーの月の光でした。おごそかでちょっと奇妙な三島の物語にぴったり)
八月十五日の夜に、満佐子・小弓・かな子・みなという4人の女性が願掛けに出かけるお話です。
願掛けのルールは7つの橋を渡るときに同じ道を2度通らないこと、
願い事を口にしないこと、知り合いに話しかけられたら願は破れる、
橋を渡る前と渡った後にお祈りをする、の4つ。
しかし歩いている途中でお腹が痛くなったり、知り合いに話しかけられたりして
ひとり、またひとりと脱落していくのがなんだかゲームみたいでおもしろかったし
他の3人の願いは明かされているのにみなの願い事だけ最後までわからない。
それがまたおもしろいなと思いました。
白石さんが演じ分ける4人がすごくかわいい、ていうか仕草がほんとかわいい!
言い忘れてましたけど百物語シリーズはじっと座って読んだりしません。
歩いたり走ったりはもちろん、畳に座って書見台に台本置いて読んだり、
お蕎麦を食べながら読んだりするので横向いたり客席に背を向けることもしばしば。
百物語の舞台美術はとてもシンプルで(お能みたいだなと思った)、
話に応じて小道具を移動させたり出し入れする黒子さんがいらっしゃって、
白石さんが舞台を行ったり来たりするたびに景色がどんどん変わっていくようで
ひたすらドキドキしながら見て聴いていました。
ト書きは三人称で特に誰が主人公というわけでもないのですけど、
たぶん中心にいるのは満佐子だろうな…なんか取り立てて特徴のない性格がキーになってる感じ。
逆に小弓やかな子ははっきりしていた。
みなはセリフがないのですけど、白石さんがト書きの表情をそのまま再現してみせるから
笑ったりぞくっとしたりしちゃいましたね。
全体的に笑いが多くてちょっと後味を引きずるお話でした。
いつも思うんだけど三島の文章って肉食系というか肉体美だなあ…骨太。
休憩をはさんで、いよいよ99話です。泉鏡花「天守物語」。
姫路城の天守に住む妖怪富姫と、主君の鷹を追って天守にやって来た姫川図書之助との恋愛物語で
歴史もので妖怪がいっぱい、わたしの大好きな一編です☆
(実写映画とノイタミナのアニメ見たことあるけどすっげえ怖かった)
幕が開くと舞台の真ん中にでーんと巨大な青い獅子頭が置いてあって存在感がすごい、
そこへ白石さんの「泉鏡花。天守物語!」の力強い声が
書き出しの「不詳。ただし封建時代、晩秋。日没前より深更にいたる」へと続くのを聴くと
橋づくしの奇妙な雰囲気が一掃されてより厳粛な雰囲気に。
白石さんは群青の着物にほつれ毛のかつらを被ってなんとなく青白い印象でぞくぞく…
…かと思いきや、照明がパーッと明るくなって
天守に住む妖怪ちゃんたちが仲良く花釣りを楽しむ場面になってかわいい☆
でも主の富姫が蝶々を伴って「出迎えかい、御苦労だね」と登場すると空気が引き締まって
おお、なんかすごい人来た…ってなる。
と、ここまで白石さんはすでに10人近くを演じ分けていました。ひええ。
そして登場人物は20人以上いる。ひええ。
天守物語は戯曲ですので、ト書きとセリフ形式で書かれていますので
下手すると会話が延々と続いたりするのですけど、
亀姫も朱の盤坊も舌長姥も女童も薄も萩も桔梗もみんなキャラと声色が違って
次々に登場人物たちが想像できるのすごい!鴨下演出パない~。
白石さんはただ読むだけじゃなくて顔の向きや体の向き、表情や声色を一瞬のうちに細かく変えて
歯を鳴らしたり蓑をつけたり生首の血をなめたり煙管吸ったりする動作もあるから
誰が何をしゃべってるかすぐわかるんだな…てかよく混乱しないなと思いました。やばい。
図書之助が登場すると照明が変わりBGMもシンプルに切なげになって
富姫と図書之助の対話のみになるんですけど、
白石さんが富姫を美しく、図書之助を凛と演じられてることにすばらしく感動して
気がついたら目が潤んでいて、でも悲しいとか切ないとかじゃなくてなんだあれは、
説明できない涙を浮かべたまま舞台を見つめるしかなくてそんな自分に驚いたりもしました。
(たぶん感情が整理できなくて色々ごっちゃになって溢れてきたんだと思う)
クライマックス、武士団が天守に攻めてきて獅子頭の目を射られて失明しちゃった富姫が
図書之助をひしと抱きしめて(舞台には打掛の袖で抱くポーズを表現する白石さんしかいないのに
ほんとに抱き合ってるように見える!)、
「あなたのまつげ一筋なりと…」と泣くのがもうやばい、
白石さんは涙を流しているわけじゃないのに今まで見たどんな役者さんよりも泣いてるように見えた。
終幕、突然登場した老人・桃六が2人の目を治してくれて
「世は戦でも蝶が舞う、撫子も桔梗も咲くぞ。馬鹿めが!ここに獅子がいる。
お祭礼だと思って騒げぇ!」ときっと目を細めて歯をむく白石さんの!表情!!
鬼気迫るとはああいう表情だと思いました。
鏡花ってなんて難しいんだ…。
語り終えてすっ…と床に台本を置いた白石さんが
「長い間のご贔屓本当にありがとうございました!」と深々とお辞儀をしたとたんに
割れんばかりの大拍手!
スタンディングオベーションなさる方もいました。
(この時点ではまだ千穐楽公演が残ってたけど)ああ本当に終わっちゃうんだ…とさみしくなる反面、
とうとう99話まで語り切った白石さんの道のりを思ってやっぱりうわああって顔を覆ってしまった。
白石加代子さんはがんばりました。本当にお疲れさまでした。
おもしろかったのが黒子のおふたり。
橋づくしで幕が上がるとお月見のお酒を勝手に飲んでたり
(幕が上がったことに気づいてやべって感じで引き揚げていくのおもしろかったです)、
衝立を使って橋を表現したり、白石さんが拝む演技してるときに代わりに台本を持ってたり
天守物語ではお花の釣りしたり、行灯持ってきたり
観客に見えないように白石さんに飲み物渡したり、着物着せたり脱がせたりしたりと大活躍。
きっと白石さんとのお付き合いも長いのでしょう、息がぴったりでお見事でした。
カーテンコールで白石さんがおふたりを紹介されると
背筋をぴっと伸ばして腰を落とし、バッと顔の布を上げたらすごい美人さんでいらっしゃった。
そしてカーテンコールでもうひとつサプライズが。
万雷の拍手が贈られる中、ひとりの男性が客席通路からついーっと舞台に向かわれて
白石さんにバラの花束を渡されたのですが
それが何とジャンパー&ジーンズ姿の市村正親氏で、気づいた会場からどよめきが!(笑)
「いっちゃん?うそ、いっちゃん??」て白石さんもびっくりされて
「上がって上がって」っておっしゃってましたけど、
市村氏は終始無言で白石さんをぎゅってハグして
颯爽と客席後方に下がっていってずっと笑顔で拍手なさってました。
かかかっこいいーーーーーナマ白石さんに加えてまさかのナマ市村氏!!
今回の公演、本当は千穐楽を観たくて、でも予定が合わなくて前日のチケット取ったのですけども
良かった~今日来て本当によかった!!って脳内で叫びまくっていた。
なんという善き日。
(後で広報Twitterを見たんですがバラは99本だったそうです。市村氏かっこよすぎか…!)
パンフレットにも野田秀樹さん、大竹しのぶさん、中嶋朋子さん、古田新太さん、藤原竜也さん、
野村萬斎さんなど多くの方から寄稿があって改めて白石さんの人望に感動するなど。
わたしが白石さんを初めて知ったのは大河ドラマ『義経』のお福&ナレーションですが
今思い出してもゾクゾクするくらい不気味でかわいらしいお役でしたな~。
やばいDVD見たくなってきた…平家一門と頼朝&政子が超かわいいんすよ…あと少年期の頼朝が(ry
ところで話は変わりますが皆様、昨日の皆既月蝕ご覧になりましたか(^▽^)☆
わたしは父から双眼鏡を借りて6~8時過ぎまでフィーバーしておりました。
今回は3年前より月の位置が低いし1時間も皆既状態が続く天体イベントということで
ゆさの心は大ハッスル!

父撮影。皆既真っ最中の写真です。
ちょっとわかりにくいかもですが、右側に天王星が写っています。青い星です。
(今回はたまたま月と天王星が近くに並んでいたそうです。
満月だと見えないのですが、皆既には暗くなるので見つけることができるのですね)
Twitterを見たらたくさんの人が月を見て感想を述べたり会話したりしていて
こんな風にシェアできるのすてきだなあと思った夜でした。
次回の皆既月蝕は来年4月4日だそうです!*\(^o^)/*
それにしても今年はお月様イベントが充実している…。
9月8日の十五夜、10月6日に十三夜、8日に皆既月蝕ときて
さらに今年は後の十三夜があるんですね。11月5日です☆
月の満ち欠けで計算する陰暦では陽暦とのズレを修正するために3年に1度閏月を入れるのですが
9月の後に閏月を入れて閏9月13日が出現するのは171年ぶりだそうですな。
前回、後の十三夜があったのは1843年で(新島襄が生まれて10年後には黒船が来る年だよ)、
今世紀中は二度とないそうですから必見だ!晴れてくれ~。
「いむといひて影にあたらぬ今宵しも われて月みる名や立ちぬらむ」西行
(『山家集』1154番)
※クリックで大きくなります
「風神雷神図屏風Rinne」宗達・光悦編その12。11はこちら。
養源院の仕事も大詰め。
ラストスパートに張り切る宗達のそばを、風雷が紙をぴらぴらさせて飛んでいます。
宗達の画材を勝手に借りて絵を描いたようです。
宗達「見せてみな。…そいつは、たらし込みか。よくできたな」
風雷「(にこにこ)」
宗達「姿絵が欲しいのか」
風雷「(うなずく)」
宗達「わかった、この仕事が終わったら描いてやるよ」
風雷「!!」
宗達「約束な」
小さな手のゆびきり。
現在も日本画によく使われるたらし込みは、宗達が編み出した技法といわれます。
先に塗った墨が乾かないうちに別の墨や顔料を垂らしてにじみを出すというもので、
いかにその偶然の変化を造形性の高いものとするかは絵師の腕次第です。
フリーア美術館蔵「雲龍図屏風」や、京博蔵「蓮池水禽図」、建仁寺蔵「風神雷神図屏風」などでは
大きなたらし込みを見ることができます。
白石さんがこれまで22年にわたり続けて来られた語り舞台「百物語」シリーズが
とうとうラストを迎えるという、さみしいけどめでたい公演です。
百物語シリーズは何年も前から知っていて興味もあったのですが、
タイミングが合わなくて行けずにいるうちにファイナルになってしまったな…。
白石さんのライフワークが終わるというのに行かない理由がありましょうか、いや、ない。
そして行ってよかったです…今思うとわたし行けなかったら一生後悔してたと思う。
百物語というのはご存知の方もいらっしゃると思いますが、
100本の蝋燭に火をともしてひとつ話をするごとに1本の蝋燭の火を吹き消していって
すべてを語って火を消してしまうと本物のオバケがあらわれるので99話でやめなければならない、
というものです。
そんなわけで、白石さんの百物語も99話でおしまいだそうです。
これまでに語られた物語は夢枕獏、筒井康隆、芥川龍之介、与謝野晶子、宮沢賢治、星新一ほか
近代の文豪から現代作家までさまざま。
過去にテレビで白石さんが語る百物語をを少し見たことがありまして
そのときも「すごいな~これナマで見たらもっとすごそうだなあ」と感じたりしていたのですが
実際にナマの演技を目にしてみてもう、あれは、なんと言えばいいのか…。
かわいく、美しく、柔らかく、気高く、不気味で、醜く、気持ち悪く、何より妖しさに満ち満ちていた
あの空間は一体なんだったんだ…。
白石さんのエネルギーとこちら(観客)の感情がぐーるぐーると渦巻いて
うわーとんでもない場所に来ちゃった!って息をのんで
お腹の底から叫び声がフルチャージされたりして心を落ち着かせるのが大変でした。
語りとか演技とか、一言で言い表せるものを通り越して、ものすごいものを見せてもらいました。
あんな物語り聴いたことがない!!
白石さんはこれを22年間続けてこられたのか…脱帽を通り越してひれ伏すしかない。
始まりの鐘の音とともに照明が落ちて、今か今かと舞台を見つめていた観客(わたし含む)が
ふいっと客席に降臨された白石さんにびっくりして開幕(笑)。
「ようこそ、ようこそ」とお辞儀なさりながら優雅に客席の間を通って舞台へ歩いていく白石さん、
真っ白なお化粧に真っ赤な口紅、白いお着物に群青の帯がたいへんお似合いでした^^
「百物語は100話やると本物が出てくるそうです…(くるっと回って)出ました」とか
お茶目なこともしてくださって会場がどっと湧いた(笑)。
白石さんは「よかったー笑ってもらえて」と満足そうでした。なんてかわいい方なの。
まず1幕目。百物語98話は三島由紀夫の短編「橋づくし」。
(BGMはドビュッシーの月の光でした。おごそかでちょっと奇妙な三島の物語にぴったり)
八月十五日の夜に、満佐子・小弓・かな子・みなという4人の女性が願掛けに出かけるお話です。
願掛けのルールは7つの橋を渡るときに同じ道を2度通らないこと、
願い事を口にしないこと、知り合いに話しかけられたら願は破れる、
橋を渡る前と渡った後にお祈りをする、の4つ。
しかし歩いている途中でお腹が痛くなったり、知り合いに話しかけられたりして
ひとり、またひとりと脱落していくのがなんだかゲームみたいでおもしろかったし
他の3人の願いは明かされているのにみなの願い事だけ最後までわからない。
それがまたおもしろいなと思いました。
白石さんが演じ分ける4人がすごくかわいい、ていうか仕草がほんとかわいい!
言い忘れてましたけど百物語シリーズはじっと座って読んだりしません。
歩いたり走ったりはもちろん、畳に座って書見台に台本置いて読んだり、
お蕎麦を食べながら読んだりするので横向いたり客席に背を向けることもしばしば。
百物語の舞台美術はとてもシンプルで(お能みたいだなと思った)、
話に応じて小道具を移動させたり出し入れする黒子さんがいらっしゃって、
白石さんが舞台を行ったり来たりするたびに景色がどんどん変わっていくようで
ひたすらドキドキしながら見て聴いていました。
ト書きは三人称で特に誰が主人公というわけでもないのですけど、
たぶん中心にいるのは満佐子だろうな…なんか取り立てて特徴のない性格がキーになってる感じ。
逆に小弓やかな子ははっきりしていた。
みなはセリフがないのですけど、白石さんがト書きの表情をそのまま再現してみせるから
笑ったりぞくっとしたりしちゃいましたね。
全体的に笑いが多くてちょっと後味を引きずるお話でした。
いつも思うんだけど三島の文章って肉食系というか肉体美だなあ…骨太。
休憩をはさんで、いよいよ99話です。泉鏡花「天守物語」。
姫路城の天守に住む妖怪富姫と、主君の鷹を追って天守にやって来た姫川図書之助との恋愛物語で
歴史もので妖怪がいっぱい、わたしの大好きな一編です☆
(実写映画とノイタミナのアニメ見たことあるけどすっげえ怖かった)
幕が開くと舞台の真ん中にでーんと巨大な青い獅子頭が置いてあって存在感がすごい、
そこへ白石さんの「泉鏡花。天守物語!」の力強い声が
書き出しの「不詳。ただし封建時代、晩秋。日没前より深更にいたる」へと続くのを聴くと
橋づくしの奇妙な雰囲気が一掃されてより厳粛な雰囲気に。
白石さんは群青の着物にほつれ毛のかつらを被ってなんとなく青白い印象でぞくぞく…
…かと思いきや、照明がパーッと明るくなって
天守に住む妖怪ちゃんたちが仲良く花釣りを楽しむ場面になってかわいい☆
でも主の富姫が蝶々を伴って「出迎えかい、御苦労だね」と登場すると空気が引き締まって
おお、なんかすごい人来た…ってなる。
と、ここまで白石さんはすでに10人近くを演じ分けていました。ひええ。
そして登場人物は20人以上いる。ひええ。
天守物語は戯曲ですので、ト書きとセリフ形式で書かれていますので
下手すると会話が延々と続いたりするのですけど、
亀姫も朱の盤坊も舌長姥も女童も薄も萩も桔梗もみんなキャラと声色が違って
次々に登場人物たちが想像できるのすごい!鴨下演出パない~。
白石さんはただ読むだけじゃなくて顔の向きや体の向き、表情や声色を一瞬のうちに細かく変えて
歯を鳴らしたり蓑をつけたり生首の血をなめたり煙管吸ったりする動作もあるから
誰が何をしゃべってるかすぐわかるんだな…てかよく混乱しないなと思いました。やばい。
図書之助が登場すると照明が変わりBGMもシンプルに切なげになって
富姫と図書之助の対話のみになるんですけど、
白石さんが富姫を美しく、図書之助を凛と演じられてることにすばらしく感動して
気がついたら目が潤んでいて、でも悲しいとか切ないとかじゃなくてなんだあれは、
説明できない涙を浮かべたまま舞台を見つめるしかなくてそんな自分に驚いたりもしました。
(たぶん感情が整理できなくて色々ごっちゃになって溢れてきたんだと思う)
クライマックス、武士団が天守に攻めてきて獅子頭の目を射られて失明しちゃった富姫が
図書之助をひしと抱きしめて(舞台には打掛の袖で抱くポーズを表現する白石さんしかいないのに
ほんとに抱き合ってるように見える!)、
「あなたのまつげ一筋なりと…」と泣くのがもうやばい、
白石さんは涙を流しているわけじゃないのに今まで見たどんな役者さんよりも泣いてるように見えた。
終幕、突然登場した老人・桃六が2人の目を治してくれて
「世は戦でも蝶が舞う、撫子も桔梗も咲くぞ。馬鹿めが!ここに獅子がいる。
お祭礼だと思って騒げぇ!」ときっと目を細めて歯をむく白石さんの!表情!!
鬼気迫るとはああいう表情だと思いました。
鏡花ってなんて難しいんだ…。
語り終えてすっ…と床に台本を置いた白石さんが
「長い間のご贔屓本当にありがとうございました!」と深々とお辞儀をしたとたんに
割れんばかりの大拍手!
スタンディングオベーションなさる方もいました。
(この時点ではまだ千穐楽公演が残ってたけど)ああ本当に終わっちゃうんだ…とさみしくなる反面、
とうとう99話まで語り切った白石さんの道のりを思ってやっぱりうわああって顔を覆ってしまった。
白石加代子さんはがんばりました。本当にお疲れさまでした。
おもしろかったのが黒子のおふたり。
橋づくしで幕が上がるとお月見のお酒を勝手に飲んでたり
(幕が上がったことに気づいてやべって感じで引き揚げていくのおもしろかったです)、
衝立を使って橋を表現したり、白石さんが拝む演技してるときに代わりに台本を持ってたり
天守物語ではお花の釣りしたり、行灯持ってきたり
観客に見えないように白石さんに飲み物渡したり、着物着せたり脱がせたりしたりと大活躍。
きっと白石さんとのお付き合いも長いのでしょう、息がぴったりでお見事でした。
カーテンコールで白石さんがおふたりを紹介されると
背筋をぴっと伸ばして腰を落とし、バッと顔の布を上げたらすごい美人さんでいらっしゃった。
そしてカーテンコールでもうひとつサプライズが。
万雷の拍手が贈られる中、ひとりの男性が客席通路からついーっと舞台に向かわれて
白石さんにバラの花束を渡されたのですが
それが何とジャンパー&ジーンズ姿の市村正親氏で、気づいた会場からどよめきが!(笑)
「いっちゃん?うそ、いっちゃん??」て白石さんもびっくりされて
「上がって上がって」っておっしゃってましたけど、
市村氏は終始無言で白石さんをぎゅってハグして
颯爽と客席後方に下がっていってずっと笑顔で拍手なさってました。
かかかっこいいーーーーーナマ白石さんに加えてまさかのナマ市村氏!!
今回の公演、本当は千穐楽を観たくて、でも予定が合わなくて前日のチケット取ったのですけども
良かった~今日来て本当によかった!!って脳内で叫びまくっていた。
なんという善き日。
(後で広報Twitterを見たんですがバラは99本だったそうです。市村氏かっこよすぎか…!)
パンフレットにも野田秀樹さん、大竹しのぶさん、中嶋朋子さん、古田新太さん、藤原竜也さん、
野村萬斎さんなど多くの方から寄稿があって改めて白石さんの人望に感動するなど。
わたしが白石さんを初めて知ったのは大河ドラマ『義経』のお福&ナレーションですが
今思い出してもゾクゾクするくらい不気味でかわいらしいお役でしたな~。
やばいDVD見たくなってきた…平家一門と頼朝&政子が超かわいいんすよ…あと少年期の頼朝が(ry
ところで話は変わりますが皆様、昨日の皆既月蝕ご覧になりましたか(^▽^)☆
わたしは父から双眼鏡を借りて6~8時過ぎまでフィーバーしておりました。
今回は3年前より月の位置が低いし1時間も皆既状態が続く天体イベントということで
ゆさの心は大ハッスル!

父撮影。皆既真っ最中の写真です。
ちょっとわかりにくいかもですが、右側に天王星が写っています。青い星です。
(今回はたまたま月と天王星が近くに並んでいたそうです。
満月だと見えないのですが、皆既には暗くなるので見つけることができるのですね)
Twitterを見たらたくさんの人が月を見て感想を述べたり会話したりしていて
こんな風にシェアできるのすてきだなあと思った夜でした。
次回の皆既月蝕は来年4月4日だそうです!*\(^o^)/*
それにしても今年はお月様イベントが充実している…。
9月8日の十五夜、10月6日に十三夜、8日に皆既月蝕ときて
さらに今年は後の十三夜があるんですね。11月5日です☆
月の満ち欠けで計算する陰暦では陽暦とのズレを修正するために3年に1度閏月を入れるのですが
9月の後に閏月を入れて閏9月13日が出現するのは171年ぶりだそうですな。
前回、後の十三夜があったのは1843年で(新島襄が生まれて10年後には黒船が来る年だよ)、
今世紀中は二度とないそうですから必見だ!晴れてくれ~。
「いむといひて影にあたらぬ今宵しも われて月みる名や立ちぬらむ」西行
(『山家集』1154番)

「風神雷神図屏風Rinne」宗達・光悦編その12。11はこちら。
養源院の仕事も大詰め。
ラストスパートに張り切る宗達のそばを、風雷が紙をぴらぴらさせて飛んでいます。
宗達の画材を勝手に借りて絵を描いたようです。
宗達「見せてみな。…そいつは、たらし込みか。よくできたな」
風雷「(にこにこ)」
宗達「姿絵が欲しいのか」
風雷「(うなずく)」
宗達「わかった、この仕事が終わったら描いてやるよ」
風雷「!!」
宗達「約束な」
小さな手のゆびきり。
現在も日本画によく使われるたらし込みは、宗達が編み出した技法といわれます。
先に塗った墨が乾かないうちに別の墨や顔料を垂らしてにじみを出すというもので、
いかにその偶然の変化を造形性の高いものとするかは絵師の腕次第です。
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