たったひとりの五十三驛。
新橋演舞場で「市川猿之助奮闘連続公演 十月花形歌舞伎」を観てきました☆
四代目市川猿之助が昼の部・夜の部のほぼ全編にわたって大活躍する演目を
今月だけでなく来月まで続けるという過酷な公演です(^ ^;)。
猿ちゃん体力ある人ですけどマジ大丈夫なのか…無事に千穐楽を迎えられますようにgkbrgkbr
わたしが観たのは夜の部「獨道中五十三驛(ひとりたびごじゅうさんつぎ)」といって
弥次郎兵衛と喜多八が旅をする十返舎一九の『東海道中膝栗毛』を
鶴屋南北がおもしろおかしく歌舞伎にしたものです。
江戸時代の歌舞伎は長い1演目を2~3日かけてやることがあって
大当たりして大ヒットすると続きを書いていたみたいですが、
書いているうちに南北さん、収拾がつかなくなったのかお客が入らなくなったのか
上演が3幕で中断されてしまい(この時点で箱根までしか帰って来てなかった)それきりだったのを
先代の猿之助(現猿翁)が4幕目を追加して復活させたそうですね。
で、結局4幕53場、幕間も入れて上演時間は約5時間!
しかも6役くらいだったのを12役付け足して計18役にしてしまったという…もうなんなの…(;´∀`)。

いつものようにチケットで席を確認して「あーここだここだ」って座ろうとしたら
椅子の背にビニールがくっついていた件。
舞台から水が飛んでお客さんがビニールで防御する様子は何度か見たことありますが
実際に浴びる側になったのは初めてでした(笑)。
今回の席は花道に近かったのでこれは花道でも水飛ばすのかな…とちょっと覚悟を決めた。

ちなみに立ちあがるとスッポンがこの位置にあります。なんということなの。
1人18役早変わり+宙乗りってチラシに書いてありましたから
ほほう、幕ごとに早変わりして合計18役なのかなって軽く考えていたら
3幕までは6役くらいを何度か演じていて(たまに早変わりがある)、
大詰め「写書東驛路」で12役連続早変わり踊り分けという超頭おかしい企画だった……('Д')。
それだけじゃなくスッポン、人力クレーン、本水使った大立ち回りなど使えるもの全部使い倒して
「面白いものとりあえず全部板の上に乗せてみました!」な和洋中大盛りフルコースって感じで
次々に場面も話も変わるので観る方も体力を消耗するという(笑)。
芝居の名場面パロディ(ほとんどおいしいとこ取り)もあるからお芝居好きな方はニヤリとするし
(大詰めでは「お染の七役」と「白波五人男」を知っていると楽しいよ)、
こういう、おもしろいけど支離滅裂の演目を「ないまぜ狂言」または「闇鍋」というそうです。
鶴屋南北がこの演目を書いたのが70歳のときで
さらに2年後には四谷怪談を書いているとイヤホンガイドさんに聞いてもう何が何だか、
南北は真面目と不真面目の差が極端だな…。
南北も、復活どころかパワーアップさせちゃった猿翁さんも頭おかしい。でも楽しい。
幕開けは春猿さんの茶屋女房おきちと錦之助さんの鶴屋南北がおしゃべりしているシーンから。
そして万雷の拍手とともに猿之助が馬を連れて花道からご登場~☆
スッポン付近で立ち止まって「みなさまようこそいらっしゃいました、市川猿之助でございます」とか
挨拶してくれました!
うおーめっちゃ近い息遣いとか聞こえるじゃないの…スッポン席やばい(勝手に名付けた)。
猿之助が舞台に移動すると南北さんとの掛け合いが始まります。
猿之助が「あなたがこんな芝居書いちゃったから舞台裏は火事場の如き大わらわです」と苦情を言うと
南北が「役者がそんなこと言っちゃダメよ~ダメダメ♪」っておっしゃるから客席大爆笑!
猿之助も「芝居で生きられるのは本望です」と思い直したようでここから口上。
南北の作品を猿翁が復活させたこと、18役早変わり、本水を使うなど説明してくださり
「スーパー歌舞伎IIの原田さんの新しい照明とともに、懐かしくて新しい、“なつかあたらしい芝居”を
上演する次第にございます」と朗々とご挨拶いただきました。
序幕。
十返舎一九の小説は江戸日本橋から始まりますが、五十三驛は京都三条大橋から始まります。
ストーリーは丹波国・由留木家で起こった跡目争いで相続に必要な宝物の奪い合いをしながら
東海道を京都から江戸へ下っていくという感じ。
宝物は2つあってうち1つ「九重の印」は日本駄右衛門に盗まれてしまい、
もうひとつ宝物である刀「雷丸」は丹波与惣兵衛が持って逃げようと三条大橋にさしかかると
男女蔵さんと猿四郎さん扮する赤堀官太夫・源吾親子に殺され奪われてしまいます。
で、与惣兵衛の長男・与八郎(猿之助)は門之助さん扮する石井半次郎から父親の死を聞かされて
石山寺から恋人の重の井姫を連れ出して敵討ちの旅に出ます。
猿之助の与八郎かっこよかってん…笑也さんの重の井姫は美しすぎてしねる…!
ここで重の井姫をくどいてくる由留木家長男・馬之助も猿之助が演じているのですが
もう絵に描いたような、ネジが2~3本飛んでそうなバカ殿でした。でもかわいい。
あと与八郎→馬之助→与八郎と、1分足らずの早変わりも始まっておりまして
早変わりは8月納涼歌舞伎で勘九郎にびっくりさせられまくったので
楽しすぎてドキドキが止まらないよ。
で、旅に出たはいいものの当然、追手がかかるわけで
姫を葛籠に入れて逃げていた与八郎、さっそく追手に姫を葛籠ごと奪われてしまいます。
このとき姫がうっかり落とした着物を拾って持って行っちゃうのがなんと
旅で路銀が尽きて困り果てていた弥次郎兵衛と喜多八!
この人たち幕間とかにちょこちょこ出てくるのですが、最初から最後までおもしろすぎました(^ω^)。
弥次「よっ、澤瀉屋」喜多「ありがとう☆」ってセルフ大向こうしたり
客席から大向こうがかかると「ありがとう☆」ってすっごいいい笑顔で返事したりね。
後半に猿之助がスッポンから登場して花道に去っていくお役があるのですけど
「おい今、猿之助に似たやつが通ってったよな」って言いながら自分たちも引っ込んでいって笑った。
(ここでイヤホンガイドさんが「これはその通りですね」って絶妙に突っ込んでもいて2度笑った)
どうにか雷丸を手に入れた与八郎、桑名の渡し場で九重の印をめぐって官太夫とバトルするのですが
突然ですがこの印、龍が欲しがるような代物だったようで(!)、
いきなり花道から龍が現れてひとしきりどんしゃん踊りまくると
川の水がザッパーンと溢れて2人は波に呑みこまれてしまいます。えええ~~~~~!
ここで1つ目の名場面、水中立ち回りキター!!
海底に沈んだ印を追って与八郎と官太夫がすいすい泳いでるのですけど
こちらの2枚目の写真をご覧ください。上からクレーンで吊られています(笑)。
ぶくぶく息しながら戦っているうちに海老やヒトデやタコ(全部着ぐるみ)とか出てきて
クジラ(先ほどのページの1枚目の写真をご覧ください)に乗って見得まで切っちゃって
国芳のクジラかよ!!って全力で突っ込むところだった。
与八郎が雷丸を抜くとビカビカビカーーッ☆と雷が鳴って稲光の照明が舞台をかけめぐって
ものすごい迫力だった!
猿翁演出パない。頭おかしいでしょう。最高かよ。
海老のクオリティが異様に高くて無性に食べたくなりました…あと印はタコが吸盤にくっつけていた。
第二幕は猿三郎さんのおもしろセリフで開けました。
熊鷹半長という盗賊役なのですが、与八郎の部下の奴逸平(亀鶴さん)を追いかけて来て
「わしが熊鷹半長だ。ハンチョウと言っても、佐々木蔵之介じゃねぇぞ」って凄んで
逸平に「わけのわからぬシャレを言う奴よ」って突っ込まれてた。ありがとうございます!(笑)
花道を走って逃げる逸平を追いかけていく部下たちには
「あいつ捕まえたらよ、ノーベル賞やるわ」って言って引っ込んでいって大爆笑!
錦之助さんのエレキテル連合もそうですが、ああいうちょっとした時事アドリブは
役者さんに任されているそうですね。
弥次喜多が女衒の次郎作(寿猿さん)に重の井姫の着物を売る場面を経て
池鯉鮒(愛知県)までやってまいりました。
与八郎には姉と妹がいて、妹のお袖(米吉くん)は藤助という男と恋仲なのですが
最近彼が会いに来ないのと、しかも吉原の傾城と恋仲になったらしいと聞いて
傾城に呪いをかけようと夜な夜な肖像画に釘を打っています。。やばい怖い。
姉のお松(猿之助)がやめるよう諭していると(このとき猫を抱いています)、
花道から中村隼人くんが登場☆
お松の恋人で民部之助と名乗るのですが、その顔を見たお袖はびっくり仰天、
実は民部之助は藤助だったと判明したのです。
ショックを受けたお袖ちゃんが楚々と恨みつらみを言う(当たり前ですね)のですが
米吉くんマジやばいんですけど、こんな魔性の人だったの…!!
目が小さく小顔で仕草がなよやかで狂気もあって大輪の百合の花が揺れているようでしたよ。
1月の浅草歌舞伎で壱太郎くんを見たときのような衝撃を受けました。彼らは逸材。
それに引き換え民部之助まじクズ、隼人くんがイケメンだからギリだけど。
あと、人形だけど猫が着物にイタズラしててかわいかった。
お松とお袖の母親は罪を犯して牢屋に入れられているため、
父親が「奉公してこい」と女衒の次郎作にお松を売りとばしてしまいます。
父親は欣弥さんなんですが、どうも余計なことをするタイプのようで
お袖が釘を打っていた傾城の絵を壁に飾るつもりで何気なくコーンと釘を打ってしまい、
満願となったためお松が顔にひどい傷を負ってしまうのです。。
しかし籠に乗せられ、まるで「仮名手本忠臣蔵」6段目のお軽のようにドナドナされていくお松。。
お松を追って民部之助とお袖は岡崎の無量寺に到着。
宿を求めますが、中から出てきたお三(猿之助)が白髪ざんばら、着物もぐちゃっと着てて
子年の女性に反応したり、行灯に入れるため買ってきた魚油に舌なめずりしたりと
もう見るからに怪しい(苦笑)。
夜になってみんなが寝静まった頃、こっそり起きて行灯に頭をつっこんで魚油をなめ始めると
シルエットが猫の横顔になった!
それを、民部之助とお袖を案内してくれた女性おくら(段一郎さん)に目撃されて
彼女の喉を噛み切ってしまい、妖術でユーラユーラと遺体を揺らして遊んだりして怖い怖い。
ひたすらここは猿之助の独壇場でした。。猫耳も生えてるしね。
音に驚いた民部之助とお袖が起きてくると、お三はたちまち2人に襲い掛かって
ついに、ざんばら髪に猫耳、口は耳まで裂け爪を光らせ、十二単を身にまとった化け猫が登場☆
あたしの大事なお松の顔をよくも傷つけたね、末代まで祟ってやる!という言い分で
民部之助と立ち回りを繰り広げます。
刀でとどめを刺されそうになってスッポンへ逃げて、ここできましたーー宙乗り☆
おお…十二単に緋袴姿の化け猫が…サーチライトを浴びながらニャンニャンポーズで飛んで行く…!!
客席からは大拍手。「澤瀉屋ー!」の大向こうも飛びまくって大盛り上がりでした。
(猫+十二単というアイディアは南北が台本を書いているときに
飼い猫が十二単の絵を持ってきたことから思いついたという逸話があるそうだ)
あの猫はまたどこかで生き続けるんだろうか、100万回生きたねこみたいに。
あとここら辺から「ええと、目的なんだったっけ?」って完全に筋がどうでもよくなっていた(笑)。
ストーリーらしいストーリーはないと聞いてはいたけど本当に途中からどっか行っちゃってたなー。
おもしろいからもう何でもいいけど。

本日のお弁当。ちらし寿司をいただきました。
演舞場のお弁当はお手頃価格が多くてうれしい。
休憩時間中に大道具さんたちがせっせと花道に所作台を並べてから
第3幕が始まりました。
別れ別れになっていた重の井姫と与八郎が、盗賊のごたごたに巻き込まれて再会しますが
与八郎は江戸兵衛(猿之助)の鉄砲で足を撃たれて立てなくなってしまいます。
何とか箱根の温泉に辿り着いて療養をして、逸平・半次郎とも無事合流。
重の井姫は与八郎の傷が治るよう滝壺にお百度参りをしている…とイヤホンガイドさんが解説すると
舞台セットがゴウンゴウンと動いてザアアア…という音とともに流れ落ちる水と滝壺のセットに変化。
おお、ビニールの用意をしなくてはととりあえず広げて握りしめて鑑賞継続。
滝壺の姫のもとに江戸兵衛がやって来て姫をくどくのですが
拒絶されたので腹いせに斬ってしまいます!ギャー。
与八郎たちが滝壺へ辿り着くと、息も絶え絶えの姫は「どうか足が治りますように!」と叫んで
滝壺へ落下!ええええええ!!!
するとぱああっという照明とともに与八郎が光につつまれ
姫の願いが通じたのでしょうか、足が治って立てるようになりました!!ええええええ。
そこへ追手の官太夫・源吾親子も駆けつけて来て滝壺の中で右へ左への大騒ぎになっちゃって
とうとう大勢で立ち回りが始まりましたよ、
10人くらいで本水の中で打ちかかってかわして転んでもがいて反撃して、とものすごい迫力、
でも皆さん濡れようが何だろうが超楽しそう、足滑らせないでね!とかハラハラしながら観ました。
きったはったを繰り返しとうとう官太夫・源吾親子を倒した与八郎たちは喜びの表現でしょうか、
舞台から観客に向かってばっしゃばっしゃと水をかけ始めました。。゚(^▽^)゚。。わはははは
みなさん慌ててビニール被ってたけど間に合ってなかったと思う(笑)。
次に3人で花道に駆けてきてスッポン付近で見得をきり、びしょびしょの着物の袖を振り回して
ぱぱーっと水を飛ばしてさらに口からも噴いて本当にびっくり!
案の定、わたしはとっさにビニール上げられなくて結構しずく被りました(笑)でもおもしろかった٩( ᐛ )و
最後に3人が舞台に戻ると、本水の滝がドバーっと割れて
中から死装束の重の井姫が板に乗って登場☆
滝壺に男3人、割れた滝に姫というなんとも絵になる構図でびしっと見得を切ってくれました!
笑也さんの美しさが最高潮に光っていましたよ…ほんとこの方は舞台上ではお姫様ですよね。
そして「とざい、とうざーい」の掛け声とともに大詰の「写書東驛路」開始。
常磐津の伴奏が光り輝く第4幕です。
箱根からやっとたどり着いた小田原から品川までの間に怒涛の12役20回の早替わりですよ!
弥次喜多が登場して「滝壺で終わると思ってたでしょ?終わりませんから~」って叫んでくれて
みんなで盛り上がりました。
あとはひたすら猿之助の八面六臂早変わりを楽しむだけの簡単なお仕事。
丁稚にお店の跡取娘、芸者、弁天小僧菊之助、渡し守、町人女房、鳶頭、雷様(!)、船頭など
まるで手品みたいに次々に早変わりしていくんですよ!
1つのお役をわずか2~3分程度しか扮していなくて衣装もかつらも人格もクルクル変わって
8月に勘九郎がやったみたいにバトルしながら交互に入れ替わったり
傘と蓑を使って一瞬で変わったり、舞台裏に引っ込んだかと思うとスッポンから現れたりと
まさに縦横無尽でした。
いつも思うんだけど猿之助はサービス精神が旺盛で女形も二枚目もチョイ悪もうまくて
何より踊りの時の手の動きが完璧すぎる。
ただ、さすがに最後の方はバテてたみたいでちょっと声がかすれてました。
でもあんな早変わりを涼しい顔で毎日やってるとかすごい…。
最後の最後でようやく日本橋へ辿り着いた与八郎たち、
やはりここでも追手の水右衛門と戦いまして決着がつきそうなところでスッと芝居が止まり、
猿之助をはじめ全員がその場に手をついて観客に向かって「まず今日はこれぎり!」
おしまい!!
もう頭もお腹もパンパンで何も考えられなかったよね…。
「何じゃこりゃ全然分かんない!でも笑える!ほんとに2ヶ月やるのこれを!」って戦慄するレベル。
超スピーディーな展開で、お家騒動に始まり水中チャンバラ化け猫バトル本水チャンバラと
ストーリーは二の次で猿之助充をたっぷりできた5時間でした。
宝物はどうなったの?お家騒動は??って聞きたいこと言いたいことは山ほどあったんですけど
もうくたくたでどうでもよくなってた。。
猿之助の着物にカエルがいたり、右近さんの着物がトランプ(?)柄だったり
ファッションも相変わらず眼福。
役者の衣装だけじゃなく場面も次々変わるので背景画もすごい枚数。大道具さんっ…!
あとそろそろ歌舞伎のステージではプロジェクションマッピングが使われ始めるに違いない。
今日の照明でも海とか滝壺とか、そんな感じのが使われていたし。

本日の着物。化けニャンコの出る演目なのでお気に入りの猫着物に猫帯しめていきました☆
ペンダントは通販で購入した百鬼夜行です。
そして。

つ、ついに買ってしまいましたっ…。
美容液つき2枚入り、『暫』と『船弁慶』の隈取がプリントされたフェイスパックが入っていました。
これをペタンと顔にパックすると歌舞伎役者になれます(´ー`)。
パッケージの裏にも【歌舞伎役者になりきりましょう】ってイラスト入りで書いてあるし(´ー`)。
わたし化粧品によってはアレルギー出ちゃうこともあるんですけど、これは大丈夫でした!
きっと敏感肌にやさしいエキスを選んでくださったんだ。染ちゃんありがとう~☆
(歌舞伎フェイスパックは市川染五郎監修製品です)
※クリックで大きくなります
「風神雷神図屏風Rinne」宗達・光悦編その14。13はこちら。
光悦に養源院の障壁画をお披露目した宗達。三十三間堂の前を通りながら帰ります。
光悦「がんばったじゃん」
宗達「でしょう」
光悦「宗雪くん、ずいぶん達者に描いたじゃないの」
宗達「でしょう」
光悦「…」
宗達「…」
光悦「風と雷は?」
宗達「何日か前から、見あたらない」
光悦「そっか」
宗達「…」
光悦「…」
宗達「どこかの神さんだったのかな」
光悦「うおっと」
宗達「まさかな」
光悦「…そいや、ここ(三十三間堂)にも雷神と風神がいたな」
宗達「やべ」
光悦「?」
宗達「おれ遊んでばっかいたもん。すげー罰当たり」
光悦「神さんてのは遊び好きだろ。祭だって遊びの延長だし」
宗達「そうかな」
光悦「きっと楽しかったと思うよ」
宗達「だと、いいなあ」
蓮華王院(三十三間堂)の千体観音像の前に安置されている風神・雷神像は鎌倉時代の作だそうです。
宗達の風神雷神図は、この2像の影響を強く受けているといわれます。
次回で宗達・光悦編はひと区切りです。
四代目市川猿之助が昼の部・夜の部のほぼ全編にわたって大活躍する演目を
今月だけでなく来月まで続けるという過酷な公演です(^ ^;)。
猿ちゃん体力ある人ですけどマジ大丈夫なのか…無事に千穐楽を迎えられますようにgkbrgkbr
わたしが観たのは夜の部「獨道中五十三驛(ひとりたびごじゅうさんつぎ)」といって
弥次郎兵衛と喜多八が旅をする十返舎一九の『東海道中膝栗毛』を
鶴屋南北がおもしろおかしく歌舞伎にしたものです。
江戸時代の歌舞伎は長い1演目を2~3日かけてやることがあって
大当たりして大ヒットすると続きを書いていたみたいですが、
書いているうちに南北さん、収拾がつかなくなったのかお客が入らなくなったのか
上演が3幕で中断されてしまい(この時点で箱根までしか帰って来てなかった)それきりだったのを
先代の猿之助(現猿翁)が4幕目を追加して復活させたそうですね。
で、結局4幕53場、幕間も入れて上演時間は約5時間!
しかも6役くらいだったのを12役付け足して計18役にしてしまったという…もうなんなの…(;´∀`)。

いつものようにチケットで席を確認して「あーここだここだ」って座ろうとしたら
椅子の背にビニールがくっついていた件。
舞台から水が飛んでお客さんがビニールで防御する様子は何度か見たことありますが
実際に浴びる側になったのは初めてでした(笑)。
今回の席は花道に近かったのでこれは花道でも水飛ばすのかな…とちょっと覚悟を決めた。

ちなみに立ちあがるとスッポンがこの位置にあります。なんということなの。
1人18役早変わり+宙乗りってチラシに書いてありましたから
ほほう、幕ごとに早変わりして合計18役なのかなって軽く考えていたら
3幕までは6役くらいを何度か演じていて(たまに早変わりがある)、
大詰め「写書東驛路」で12役連続早変わり踊り分けという超頭おかしい企画だった……('Д')。
それだけじゃなくスッポン、人力クレーン、本水使った大立ち回りなど使えるもの全部使い倒して
「面白いものとりあえず全部板の上に乗せてみました!」な和洋中大盛りフルコースって感じで
次々に場面も話も変わるので観る方も体力を消耗するという(笑)。
芝居の名場面パロディ(ほとんどおいしいとこ取り)もあるからお芝居好きな方はニヤリとするし
(大詰めでは「お染の七役」と「白波五人男」を知っていると楽しいよ)、
こういう、おもしろいけど支離滅裂の演目を「ないまぜ狂言」または「闇鍋」というそうです。
鶴屋南北がこの演目を書いたのが70歳のときで
さらに2年後には四谷怪談を書いているとイヤホンガイドさんに聞いてもう何が何だか、
南北は真面目と不真面目の差が極端だな…。
南北も、復活どころかパワーアップさせちゃった猿翁さんも頭おかしい。でも楽しい。
幕開けは春猿さんの茶屋女房おきちと錦之助さんの鶴屋南北がおしゃべりしているシーンから。
そして万雷の拍手とともに猿之助が馬を連れて花道からご登場~☆
スッポン付近で立ち止まって「みなさまようこそいらっしゃいました、市川猿之助でございます」とか
挨拶してくれました!
うおーめっちゃ近い息遣いとか聞こえるじゃないの…スッポン席やばい(勝手に名付けた)。
猿之助が舞台に移動すると南北さんとの掛け合いが始まります。
猿之助が「あなたがこんな芝居書いちゃったから舞台裏は火事場の如き大わらわです」と苦情を言うと
南北が「役者がそんなこと言っちゃダメよ~ダメダメ♪」っておっしゃるから客席大爆笑!
猿之助も「芝居で生きられるのは本望です」と思い直したようでここから口上。
南北の作品を猿翁が復活させたこと、18役早変わり、本水を使うなど説明してくださり
「スーパー歌舞伎IIの原田さんの新しい照明とともに、懐かしくて新しい、“なつかあたらしい芝居”を
上演する次第にございます」と朗々とご挨拶いただきました。
序幕。
十返舎一九の小説は江戸日本橋から始まりますが、五十三驛は京都三条大橋から始まります。
ストーリーは丹波国・由留木家で起こった跡目争いで相続に必要な宝物の奪い合いをしながら
東海道を京都から江戸へ下っていくという感じ。
宝物は2つあってうち1つ「九重の印」は日本駄右衛門に盗まれてしまい、
もうひとつ宝物である刀「雷丸」は丹波与惣兵衛が持って逃げようと三条大橋にさしかかると
男女蔵さんと猿四郎さん扮する赤堀官太夫・源吾親子に殺され奪われてしまいます。
で、与惣兵衛の長男・与八郎(猿之助)は門之助さん扮する石井半次郎から父親の死を聞かされて
石山寺から恋人の重の井姫を連れ出して敵討ちの旅に出ます。
猿之助の与八郎かっこよかってん…笑也さんの重の井姫は美しすぎてしねる…!
ここで重の井姫をくどいてくる由留木家長男・馬之助も猿之助が演じているのですが
もう絵に描いたような、ネジが2~3本飛んでそうなバカ殿でした。でもかわいい。
あと与八郎→馬之助→与八郎と、1分足らずの早変わりも始まっておりまして
早変わりは8月納涼歌舞伎で勘九郎にびっくりさせられまくったので
楽しすぎてドキドキが止まらないよ。
で、旅に出たはいいものの当然、追手がかかるわけで
姫を葛籠に入れて逃げていた与八郎、さっそく追手に姫を葛籠ごと奪われてしまいます。
このとき姫がうっかり落とした着物を拾って持って行っちゃうのがなんと
旅で路銀が尽きて困り果てていた弥次郎兵衛と喜多八!
この人たち幕間とかにちょこちょこ出てくるのですが、最初から最後までおもしろすぎました(^ω^)。
弥次「よっ、澤瀉屋」喜多「ありがとう☆」ってセルフ大向こうしたり
客席から大向こうがかかると「ありがとう☆」ってすっごいいい笑顔で返事したりね。
後半に猿之助がスッポンから登場して花道に去っていくお役があるのですけど
「おい今、猿之助に似たやつが通ってったよな」って言いながら自分たちも引っ込んでいって笑った。
(ここでイヤホンガイドさんが「これはその通りですね」って絶妙に突っ込んでもいて2度笑った)
どうにか雷丸を手に入れた与八郎、桑名の渡し場で九重の印をめぐって官太夫とバトルするのですが
突然ですがこの印、龍が欲しがるような代物だったようで(!)、
いきなり花道から龍が現れてひとしきりどんしゃん踊りまくると
川の水がザッパーンと溢れて2人は波に呑みこまれてしまいます。えええ~~~~~!
ここで1つ目の名場面、水中立ち回りキター!!
海底に沈んだ印を追って与八郎と官太夫がすいすい泳いでるのですけど
こちらの2枚目の写真をご覧ください。上からクレーンで吊られています(笑)。
ぶくぶく息しながら戦っているうちに海老やヒトデやタコ(全部着ぐるみ)とか出てきて
クジラ(先ほどのページの1枚目の写真をご覧ください)に乗って見得まで切っちゃって
国芳のクジラかよ!!って全力で突っ込むところだった。
与八郎が雷丸を抜くとビカビカビカーーッ☆と雷が鳴って稲光の照明が舞台をかけめぐって
ものすごい迫力だった!
猿翁演出パない。頭おかしいでしょう。最高かよ。
海老のクオリティが異様に高くて無性に食べたくなりました…あと印はタコが吸盤にくっつけていた。
第二幕は猿三郎さんのおもしろセリフで開けました。
熊鷹半長という盗賊役なのですが、与八郎の部下の奴逸平(亀鶴さん)を追いかけて来て
「わしが熊鷹半長だ。ハンチョウと言っても、佐々木蔵之介じゃねぇぞ」って凄んで
逸平に「わけのわからぬシャレを言う奴よ」って突っ込まれてた。ありがとうございます!(笑)
花道を走って逃げる逸平を追いかけていく部下たちには
「あいつ捕まえたらよ、ノーベル賞やるわ」って言って引っ込んでいって大爆笑!
錦之助さんのエレキテル連合もそうですが、ああいうちょっとした時事アドリブは
役者さんに任されているそうですね。
弥次喜多が女衒の次郎作(寿猿さん)に重の井姫の着物を売る場面を経て
池鯉鮒(愛知県)までやってまいりました。
与八郎には姉と妹がいて、妹のお袖(米吉くん)は藤助という男と恋仲なのですが
最近彼が会いに来ないのと、しかも吉原の傾城と恋仲になったらしいと聞いて
傾城に呪いをかけようと夜な夜な肖像画に釘を打っています。。やばい怖い。
姉のお松(猿之助)がやめるよう諭していると(このとき猫を抱いています)、
花道から中村隼人くんが登場☆
お松の恋人で民部之助と名乗るのですが、その顔を見たお袖はびっくり仰天、
実は民部之助は藤助だったと判明したのです。
ショックを受けたお袖ちゃんが楚々と恨みつらみを言う(当たり前ですね)のですが
米吉くんマジやばいんですけど、こんな魔性の人だったの…!!
目が小さく小顔で仕草がなよやかで狂気もあって大輪の百合の花が揺れているようでしたよ。
1月の浅草歌舞伎で壱太郎くんを見たときのような衝撃を受けました。彼らは逸材。
それに引き換え民部之助まじクズ、隼人くんがイケメンだからギリだけど。
あと、人形だけど猫が着物にイタズラしててかわいかった。
お松とお袖の母親は罪を犯して牢屋に入れられているため、
父親が「奉公してこい」と女衒の次郎作にお松を売りとばしてしまいます。
父親は欣弥さんなんですが、どうも余計なことをするタイプのようで
お袖が釘を打っていた傾城の絵を壁に飾るつもりで何気なくコーンと釘を打ってしまい、
満願となったためお松が顔にひどい傷を負ってしまうのです。。
しかし籠に乗せられ、まるで「仮名手本忠臣蔵」6段目のお軽のようにドナドナされていくお松。。
お松を追って民部之助とお袖は岡崎の無量寺に到着。
宿を求めますが、中から出てきたお三(猿之助)が白髪ざんばら、着物もぐちゃっと着てて
子年の女性に反応したり、行灯に入れるため買ってきた魚油に舌なめずりしたりと
もう見るからに怪しい(苦笑)。
夜になってみんなが寝静まった頃、こっそり起きて行灯に頭をつっこんで魚油をなめ始めると
シルエットが猫の横顔になった!
それを、民部之助とお袖を案内してくれた女性おくら(段一郎さん)に目撃されて
彼女の喉を噛み切ってしまい、妖術でユーラユーラと遺体を揺らして遊んだりして怖い怖い。
ひたすらここは猿之助の独壇場でした。。猫耳も生えてるしね。
音に驚いた民部之助とお袖が起きてくると、お三はたちまち2人に襲い掛かって
ついに、ざんばら髪に猫耳、口は耳まで裂け爪を光らせ、十二単を身にまとった化け猫が登場☆
あたしの大事なお松の顔をよくも傷つけたね、末代まで祟ってやる!という言い分で
民部之助と立ち回りを繰り広げます。
刀でとどめを刺されそうになってスッポンへ逃げて、ここできましたーー宙乗り☆
おお…十二単に緋袴姿の化け猫が…サーチライトを浴びながらニャンニャンポーズで飛んで行く…!!
客席からは大拍手。「澤瀉屋ー!」の大向こうも飛びまくって大盛り上がりでした。
(猫+十二単というアイディアは南北が台本を書いているときに
飼い猫が十二単の絵を持ってきたことから思いついたという逸話があるそうだ)
あの猫はまたどこかで生き続けるんだろうか、100万回生きたねこみたいに。
あとここら辺から「ええと、目的なんだったっけ?」って完全に筋がどうでもよくなっていた(笑)。
ストーリーらしいストーリーはないと聞いてはいたけど本当に途中からどっか行っちゃってたなー。
おもしろいからもう何でもいいけど。

本日のお弁当。ちらし寿司をいただきました。
演舞場のお弁当はお手頃価格が多くてうれしい。
休憩時間中に大道具さんたちがせっせと花道に所作台を並べてから
第3幕が始まりました。
別れ別れになっていた重の井姫と与八郎が、盗賊のごたごたに巻き込まれて再会しますが
与八郎は江戸兵衛(猿之助)の鉄砲で足を撃たれて立てなくなってしまいます。
何とか箱根の温泉に辿り着いて療養をして、逸平・半次郎とも無事合流。
重の井姫は与八郎の傷が治るよう滝壺にお百度参りをしている…とイヤホンガイドさんが解説すると
舞台セットがゴウンゴウンと動いてザアアア…という音とともに流れ落ちる水と滝壺のセットに変化。
おお、ビニールの用意をしなくてはととりあえず広げて握りしめて鑑賞継続。
滝壺の姫のもとに江戸兵衛がやって来て姫をくどくのですが
拒絶されたので腹いせに斬ってしまいます!ギャー。
与八郎たちが滝壺へ辿り着くと、息も絶え絶えの姫は「どうか足が治りますように!」と叫んで
滝壺へ落下!ええええええ!!!
するとぱああっという照明とともに与八郎が光につつまれ
姫の願いが通じたのでしょうか、足が治って立てるようになりました!!ええええええ。
そこへ追手の官太夫・源吾親子も駆けつけて来て滝壺の中で右へ左への大騒ぎになっちゃって
とうとう大勢で立ち回りが始まりましたよ、
10人くらいで本水の中で打ちかかってかわして転んでもがいて反撃して、とものすごい迫力、
でも皆さん濡れようが何だろうが超楽しそう、足滑らせないでね!とかハラハラしながら観ました。
きったはったを繰り返しとうとう官太夫・源吾親子を倒した与八郎たちは喜びの表現でしょうか、
舞台から観客に向かってばっしゃばっしゃと水をかけ始めました。。゚(^▽^)゚。。わはははは
みなさん慌ててビニール被ってたけど間に合ってなかったと思う(笑)。
次に3人で花道に駆けてきてスッポン付近で見得をきり、びしょびしょの着物の袖を振り回して
ぱぱーっと水を飛ばしてさらに口からも噴いて本当にびっくり!
案の定、わたしはとっさにビニール上げられなくて結構しずく被りました(笑)でもおもしろかった٩( ᐛ )و
最後に3人が舞台に戻ると、本水の滝がドバーっと割れて
中から死装束の重の井姫が板に乗って登場☆
滝壺に男3人、割れた滝に姫というなんとも絵になる構図でびしっと見得を切ってくれました!
笑也さんの美しさが最高潮に光っていましたよ…ほんとこの方は舞台上ではお姫様ですよね。
そして「とざい、とうざーい」の掛け声とともに大詰の「写書東驛路」開始。
常磐津の伴奏が光り輝く第4幕です。
箱根からやっとたどり着いた小田原から品川までの間に怒涛の12役20回の早替わりですよ!
弥次喜多が登場して「滝壺で終わると思ってたでしょ?終わりませんから~」って叫んでくれて
みんなで盛り上がりました。
あとはひたすら猿之助の八面六臂早変わりを楽しむだけの簡単なお仕事。
丁稚にお店の跡取娘、芸者、弁天小僧菊之助、渡し守、町人女房、鳶頭、雷様(!)、船頭など
まるで手品みたいに次々に早変わりしていくんですよ!
1つのお役をわずか2~3分程度しか扮していなくて衣装もかつらも人格もクルクル変わって
8月に勘九郎がやったみたいにバトルしながら交互に入れ替わったり
傘と蓑を使って一瞬で変わったり、舞台裏に引っ込んだかと思うとスッポンから現れたりと
まさに縦横無尽でした。
いつも思うんだけど猿之助はサービス精神が旺盛で女形も二枚目もチョイ悪もうまくて
何より踊りの時の手の動きが完璧すぎる。
ただ、さすがに最後の方はバテてたみたいでちょっと声がかすれてました。
でもあんな早変わりを涼しい顔で毎日やってるとかすごい…。
最後の最後でようやく日本橋へ辿り着いた与八郎たち、
やはりここでも追手の水右衛門と戦いまして決着がつきそうなところでスッと芝居が止まり、
猿之助をはじめ全員がその場に手をついて観客に向かって「まず今日はこれぎり!」
おしまい!!
もう頭もお腹もパンパンで何も考えられなかったよね…。
「何じゃこりゃ全然分かんない!でも笑える!ほんとに2ヶ月やるのこれを!」って戦慄するレベル。
超スピーディーな展開で、お家騒動に始まり水中チャンバラ化け猫バトル本水チャンバラと
ストーリーは二の次で猿之助充をたっぷりできた5時間でした。
宝物はどうなったの?お家騒動は??って聞きたいこと言いたいことは山ほどあったんですけど
もうくたくたでどうでもよくなってた。。
猿之助の着物にカエルがいたり、右近さんの着物がトランプ(?)柄だったり
ファッションも相変わらず眼福。
役者の衣装だけじゃなく場面も次々変わるので背景画もすごい枚数。大道具さんっ…!
あとそろそろ歌舞伎のステージではプロジェクションマッピングが使われ始めるに違いない。
今日の照明でも海とか滝壺とか、そんな感じのが使われていたし。

本日の着物。化けニャンコの出る演目なのでお気に入りの猫着物に猫帯しめていきました☆
ペンダントは通販で購入した百鬼夜行です。
そして。

つ、ついに買ってしまいましたっ…。
美容液つき2枚入り、『暫』と『船弁慶』の隈取がプリントされたフェイスパックが入っていました。
これをペタンと顔にパックすると歌舞伎役者になれます(´ー`)。
パッケージの裏にも【歌舞伎役者になりきりましょう】ってイラスト入りで書いてあるし(´ー`)。
わたし化粧品によってはアレルギー出ちゃうこともあるんですけど、これは大丈夫でした!
きっと敏感肌にやさしいエキスを選んでくださったんだ。染ちゃんありがとう~☆
(歌舞伎フェイスパックは市川染五郎監修製品です)

「風神雷神図屏風Rinne」宗達・光悦編その14。13はこちら。
光悦に養源院の障壁画をお披露目した宗達。三十三間堂の前を通りながら帰ります。
光悦「がんばったじゃん」
宗達「でしょう」
光悦「宗雪くん、ずいぶん達者に描いたじゃないの」
宗達「でしょう」
光悦「…」
宗達「…」
光悦「風と雷は?」
宗達「何日か前から、見あたらない」
光悦「そっか」
宗達「…」
光悦「…」
宗達「どこかの神さんだったのかな」
光悦「うおっと」
宗達「まさかな」
光悦「…そいや、ここ(三十三間堂)にも雷神と風神がいたな」
宗達「やべ」
光悦「?」
宗達「おれ遊んでばっかいたもん。すげー罰当たり」
光悦「神さんてのは遊び好きだろ。祭だって遊びの延長だし」
宗達「そうかな」
光悦「きっと楽しかったと思うよ」
宗達「だと、いいなあ」
蓮華王院(三十三間堂)の千体観音像の前に安置されている風神・雷神像は鎌倉時代の作だそうです。
宗達の風神雷神図は、この2像の影響を強く受けているといわれます。
次回で宗達・光悦編はひと区切りです。
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