青は藍より出でて藍より青し。
出光美術館で開催中の「仁清・乾山と京の工芸」を見てきました。
野々村仁清と尾形乾山の作品を中心に京焼の歴史と発展を紹介した展覧会です。
乾山の焼物はもともと大好きですし、各地の展覧会でよく見かけるので何となく知識はあるものの
師匠にあたる仁清については6月に岡田美術館を訪れた際に
「なんてきれいな白!」と目覚めて以来、特に見かける機会がなかったので
まとめて見られる機会を作ってくださった出光さんに感謝~。
まずは初期の京焼。
見た目がイガイガしていて、絵や模様もほとんどなくシンプルなデザイン。
現代の食卓にも並んでそうな、無地の茶色で焼かれたものがほとんどで
もし古田織部が見たら「うぎゃあ」とわめいて
ろくろの段階でグニャングニャンに歪ませてしまうかもしれません。
それでも絵唐津草文茶碗には風にそよぐ草がさらさらと描いてあって
職人が何とかして絵画性を持たせようとした跡のように見えました。かっこいいな。
仁清は、先ほども言いましたけど岡田美術館でとてもきれいな白鉢や香炉を見てから
ずっと白い人のイメージがあったのですが、
今回見てみて思ったよりずっとずっとカラフルな人だったのかとイメージが変わりました。
時の大名家からもよく注文があったらしいのですけど、
当時の流行を考えれば(仁清の生没年は不詳ですが活動期は16世紀という江戸初期です)、
大名家では派手な絵に色もたくさん使われた工芸が好まれたと思うので
仁清がそういうのを作っていても全然ふしぎじゃないのですね。
色絵芥子文茶壺も色絵若松図茶壺も色絵鳳凰文共蓋壺も
モノクロじゃなく赤も金も緑もたくさん使われてて、そもそも絵がしっかりつけられていて
お武家さん好みの渋さもちゃんと込められててTPOとか考えなくてもどこでも使えそうだなと思いました。
仁清ってきっと画家としてもふつうにやっていける画力を持ってたんじゃないかな…。
これらの壺の裾にくっきり塗られている漆黒は「仁清黒」と呼ばれているそうで
のっぺりなめらかな色遣いで惹きこまれそうな黒でした。
色絵熨斗文茶碗の、白地に赤・青・緑3色(光の三原色だ!)の熨斗が
茶碗全体にゆったり広がるように描かれているのがきれい。
色絵梅花文四方香炉は、四面に梅の花が描かれていますけど
それよりも蓋の取っ手のウサギと左右の面から突き出した象だよ!なんだあの造形美!
リアルとかそういうのじゃなくて、何というかこう、
絵に描いたウサギと象が紙からぬるりと抜け出してそのままくっついてるかのようだった…
何を言ってるかわからないと思いますがわたしも何を見たのかよくわからなかった…
芸術家の再現力のおそろしさの片鱗を…味わったぜ…!
白い作品もありましたよ~相変わらずため息が出るほどきれいでした☆
真っ白でのっぺりつるりとした水指が何個かあってどれも形のラインが本当に美しくて
「すごい」「やばい」「きれい」くらいしか言葉にならなかったです。
仁清はろくろを得意としたようですけど、それにしてもどうすればこんなツルピカに作って焼けるんだー!
今回の展示品、たまたまかもしれませんが大きい鉢とか水指ばっかりなのですが
これだけ大きなものをこれだけツルツルに焼けるのだから
きっと藤城清治さんみたいに繊細で大きな手をしていたに違いないわ…(*゜ω゜*)。
色も白と表現するだけじゃぜんぜん足りない気がして、一体何回言えばいいんだろう、白い!!
もちろん真っ白だけじゃなく灰色っぽかったりくすんだ白もあって
それぞれに美しさがあって良かったです。
白釉耳付水指は裾の部分から薄紅色をパラパラと散らしつけてあって
桜の花びらが舞っているかのような雰囲気がすてき。
白釉菊花七宝文透彫木瓜形鉢には菊の花のきれいな透かし彫り。
白釉獅子香炉はグリ目の獅子がこちらを見上げてこちらまでニコニコしてくるような香炉、
たぶん耳か鼻から煙が出るのでしょう…ちょっと、見たい。
つづいて、乾山。
まずは中国やアジア、ヨーロッパの工芸品を乾山が写して作った焼物が並んでいます。
乾山は37歳のときに京都の北西・鳴滝村に釜を開きますが
(ここが都の北西(乾)にあたるため乾山と号したといわれます)、
付近にあった黄檗宗の直指庵(長崎を通じ海外から工芸品が流入していたらしい)で
海外の作品を学び写すことで焼物づくりに活かしていったようです。
すべての芸術家がそうであるように、乾山の出発点も模倣から始まったんですね~。
一定の型を学んで、そこから自分の作りたいものを見つけ出していく作業は
どのジャンルの作り手にも通じる気がする。
色絵阿蘭陀写花卉文八角向付はオランダのデルフト窯製の輸入品を模したもので
デザイン性の高い花柄できれいです。
銹絵獅子香炉の蓋にいる、地面に置いた鞠にちょこんとお手してる獅子が超かわいい!
蓋も、これ蓋って言っていいの??っていうくらい凝った作りですよ、
柵で囲まれた床に台があってその上に獅子が座ってるデザインなんですよ!なにこれ反則か!!
こんな細かいのよく焼いててパキッとかいかないよな…信じられない…。
タイのスワンカローク窯で焼かれた香合と、乾山がそれを写した香合が並んでいて
両方とも柿のへたが取っ手になっててかわいらしいサイズでした。
いいなあこんな香合にお香入れてもらってお茶してみたいよ。
円熟期に入ると絵皿や器が作られるようになって
ここからやっと、ああわたしの知ってる乾山だ!って思いました。
色絵定家詠十二ヵ月和歌花鳥図角皿のセット、乾山が定家の歌をお皿にしたものです。
何度見ても素敵~。
色絵百人一首和歌角皿は上の句・下の句で一対になったものが5セットあって
阿倍仲麻呂、大伴家持、小野小町、蝉丸、喜撰法師の歌が絵とともに書かれていました。
特に仲麻呂のお皿、三笠山にかかる白い月に薄くグレーがかった雲がたなびいて美しい!
ここまで完成度高いともはや食器というより掛軸みたいですね…床の間に下がってても違和感なさそう。
宴会のときにお料理を乗せてランダムに配って、料理をいただいたら現れる句を見て
対になっているお皿を探すゲームとかできそうだなあと思いました。
食べ物で遊ぶなとは言われるけど、お皿で遊ぶなとは言われないし、いいんじゃないかしら(笑)。
色絵龍田川文透彫反鉢、岡田美術館でも同じテーマの作品を見て惚れこみましたな~
紅葉の透かしと川の流れの絵が優雅。
色絵紅葉文壺の模様は紅葉がコンペイトウみたいなデザインでかわいい!
色は青、赤、黄色、黒で地が白いから五行を意識したのだろうか…緑のライン入りだし考えすぎかな…。
光琳との合作もありました!
銹絵竹図角皿は杜甫の詩から引用した「雨洗娟娟浄 風吹細細香」が書きつけてあり、
光琳が竹の絵を描いているのですが
実は引用した詩のタイトルは「厳鄭公宅同詠竹」といって竹を詠んだものなのです。
乾山が引用しなかった詩の部分を光琳が絵にしたという「当てもの」のお皿なのですね~。
いいなあいいなあこういうの大好き!
そして泣けるのが銹絵馬文茶碗でしてな…。
表面に躍動する馬の絵がつけてあるのですけど、これ描いたのは光琳ではなく乾山なのです。
この茶碗を作ったとき乾山は79歳でして、すでに光琳は亡くなった後なんですね…。
(乾山は53歳のとき光琳と死別している)
隣に展示されている、乾山が絵付に使ったとされる「深省(乾山の号)茶碗絵手本」は
光琳が乾山のために残してくれたお手本帖です。
茶碗そっくりの馬が描いてありましたよ~お兄ちゃんの絵を使ったんだなあ乾山~~!!(号泣)
人目がなかったらガチでその場で泣き出してたと思います…ほんとこの兄弟は涙腺クラッシャーだわ。
仁阿弥道八の作品もぽつぽつ。
人生で一番最初に見た作品が狸の焼物だったので例によってすっかり狸のイメージでしたが(笑)、
食器や人形など生活感あふれる作品が並んでいました。
髭徳利は名前のとおり徳利に髭面の男性の顔が型取られていて、
しかもその顔が口をポカンと開けててお風呂でいい湯だなとくつろいでいるかのような感じで
こう言ってはなんですが「珍品」だなあと思いました(笑)。
でも隣にドイツはケルン窯製の髭徳利があって、万国共通モチーフなのかもしれないと思った(´ω`)。
こんなのがお酒の席にあったら絶対盛り上がるよね~。
葉っぱの形をした金彩桐一葉形皿は、葉っぱの先端がくるりと丸くなっていて粋な感じだし
色絵乙御前人形はカラフルな着物を着たお多福さんでおめでたい意匠だし
色絵桜楓文鉢はうつわの外に桜、内に紅葉が描かれて遠近法のようでしたし
乾山の作風を慕いながらもかわいらしさがにじみ出ている気がしました。
道八の作品って姿かたちに茶目っ気があるよなあ。
(あ。仁阿弥道八は今月末からサントリー美術館にて大規模な展覧会が開かれますので
楽しみにしているところです(*´∀`*))
他にも仁清と乾山に関連する焼物や屏風などの展示が。
本阿弥光悦の赤楽兎文香合、手のひらサイズの小さな茶道具で
赤い蓋にうさぎとススキがさらりと描いてあってかわいかった^^
光悦は蒔絵をよくやりましたけど、本人が絵付をした焼物はなかなかないので珍しいと思います。
狩野探幽・尚信・安信きょうだいの山水花鳥人物図巻はシンプルな線でさらりとしていて
このまま焼物の絵のデザインにできるよって思った。
狩野派の人々は仁清の作品に絵をつけたこともあるそうです。
狩野常信の春秋図御簾屏風が、右隻に桜、左隻に紅葉が描かれていて
真ん中が窓のように四角くくりぬかれて御簾が下ろしてありました。
これ場合によっては御簾を上げて向こうの景色を見ることとかあったんだろうか…。
そういえばこの屏風の前に仁清の色絵芥子文茶壺が展示してあって
まるで壺を飾りたてるような演出がされていて粋だなあと思った。
古清水焼の色絵芦雁文透彫反鉢、雁が空を優雅に飛んでいく様子が描かれていて
縁に楕円形の透かし彫りがしてあって最初は雲かなあと思ったのですが霞なんだそうですね。
霞は楕円形で表現する。ちい覚えた。
同じく古清水焼の色絵椿松竹梅文透入重蓋物は三段重ねの重箱になっていて
蓋の椿は花と葉っぱの間が透かし彫り、入れ物の側面にも透かし彫り。
特に側面の透かし、細い模様の枠だけ残してまるで窓みたい、
これきっと重ねて置いたら建築物(例えるなら凌雲閣)のような風格を見せてくれそう…!
仁清・乾山を通して京焼の発展がわかるすばらしい展示でした~。
よく考えたら仁清も乾山も江戸初期の人ですが、
こんなにも現代でも通じるデザインをしているというのがかっこいいなあと思う。
年明けから描き始める(予定の)尾形光琳・乾山のお話には
仁清も登場させたいなあと思っているので、よい予習ができました^^
すでに仁清のキャラデザは頭に降りてきているので早く描きたい…年賀状終わらせねば…。

美術館に行く前に上野駅でシレトコドーナツ買いました☆
すごく久し振りで、帰ってからおいしくいただきました。
真ん中にちょこんと入り込んでるパンダ?クマ?さんがかわいいのだ(゜∀゜)クマー
野々村仁清と尾形乾山の作品を中心に京焼の歴史と発展を紹介した展覧会です。
乾山の焼物はもともと大好きですし、各地の展覧会でよく見かけるので何となく知識はあるものの
師匠にあたる仁清については6月に岡田美術館を訪れた際に
「なんてきれいな白!」と目覚めて以来、特に見かける機会がなかったので
まとめて見られる機会を作ってくださった出光さんに感謝~。
まずは初期の京焼。
見た目がイガイガしていて、絵や模様もほとんどなくシンプルなデザイン。
現代の食卓にも並んでそうな、無地の茶色で焼かれたものがほとんどで
もし古田織部が見たら「うぎゃあ」とわめいて
ろくろの段階でグニャングニャンに歪ませてしまうかもしれません。
それでも絵唐津草文茶碗には風にそよぐ草がさらさらと描いてあって
職人が何とかして絵画性を持たせようとした跡のように見えました。かっこいいな。
仁清は、先ほども言いましたけど岡田美術館でとてもきれいな白鉢や香炉を見てから
ずっと白い人のイメージがあったのですが、
今回見てみて思ったよりずっとずっとカラフルな人だったのかとイメージが変わりました。
時の大名家からもよく注文があったらしいのですけど、
当時の流行を考えれば(仁清の生没年は不詳ですが活動期は16世紀という江戸初期です)、
大名家では派手な絵に色もたくさん使われた工芸が好まれたと思うので
仁清がそういうのを作っていても全然ふしぎじゃないのですね。
色絵芥子文茶壺も色絵若松図茶壺も色絵鳳凰文共蓋壺も
モノクロじゃなく赤も金も緑もたくさん使われてて、そもそも絵がしっかりつけられていて
お武家さん好みの渋さもちゃんと込められててTPOとか考えなくてもどこでも使えそうだなと思いました。
仁清ってきっと画家としてもふつうにやっていける画力を持ってたんじゃないかな…。
これらの壺の裾にくっきり塗られている漆黒は「仁清黒」と呼ばれているそうで
のっぺりなめらかな色遣いで惹きこまれそうな黒でした。
色絵熨斗文茶碗の、白地に赤・青・緑3色(光の三原色だ!)の熨斗が
茶碗全体にゆったり広がるように描かれているのがきれい。
色絵梅花文四方香炉は、四面に梅の花が描かれていますけど
それよりも蓋の取っ手のウサギと左右の面から突き出した象だよ!なんだあの造形美!
リアルとかそういうのじゃなくて、何というかこう、
絵に描いたウサギと象が紙からぬるりと抜け出してそのままくっついてるかのようだった…
何を言ってるかわからないと思いますがわたしも何を見たのかよくわからなかった…
芸術家の再現力のおそろしさの片鱗を…味わったぜ…!
白い作品もありましたよ~相変わらずため息が出るほどきれいでした☆
真っ白でのっぺりつるりとした水指が何個かあってどれも形のラインが本当に美しくて
「すごい」「やばい」「きれい」くらいしか言葉にならなかったです。
仁清はろくろを得意としたようですけど、それにしてもどうすればこんなツルピカに作って焼けるんだー!
今回の展示品、たまたまかもしれませんが大きい鉢とか水指ばっかりなのですが
これだけ大きなものをこれだけツルツルに焼けるのだから
きっと藤城清治さんみたいに繊細で大きな手をしていたに違いないわ…(*゜ω゜*)。
色も白と表現するだけじゃぜんぜん足りない気がして、一体何回言えばいいんだろう、白い!!
もちろん真っ白だけじゃなく灰色っぽかったりくすんだ白もあって
それぞれに美しさがあって良かったです。
白釉耳付水指は裾の部分から薄紅色をパラパラと散らしつけてあって
桜の花びらが舞っているかのような雰囲気がすてき。
白釉菊花七宝文透彫木瓜形鉢には菊の花のきれいな透かし彫り。
白釉獅子香炉はグリ目の獅子がこちらを見上げてこちらまでニコニコしてくるような香炉、
たぶん耳か鼻から煙が出るのでしょう…ちょっと、見たい。
つづいて、乾山。
まずは中国やアジア、ヨーロッパの工芸品を乾山が写して作った焼物が並んでいます。
乾山は37歳のときに京都の北西・鳴滝村に釜を開きますが
(ここが都の北西(乾)にあたるため乾山と号したといわれます)、
付近にあった黄檗宗の直指庵(長崎を通じ海外から工芸品が流入していたらしい)で
海外の作品を学び写すことで焼物づくりに活かしていったようです。
すべての芸術家がそうであるように、乾山の出発点も模倣から始まったんですね~。
一定の型を学んで、そこから自分の作りたいものを見つけ出していく作業は
どのジャンルの作り手にも通じる気がする。
色絵阿蘭陀写花卉文八角向付はオランダのデルフト窯製の輸入品を模したもので
デザイン性の高い花柄できれいです。
銹絵獅子香炉の蓋にいる、地面に置いた鞠にちょこんとお手してる獅子が超かわいい!
蓋も、これ蓋って言っていいの??っていうくらい凝った作りですよ、
柵で囲まれた床に台があってその上に獅子が座ってるデザインなんですよ!なにこれ反則か!!
こんな細かいのよく焼いててパキッとかいかないよな…信じられない…。
タイのスワンカローク窯で焼かれた香合と、乾山がそれを写した香合が並んでいて
両方とも柿のへたが取っ手になっててかわいらしいサイズでした。
いいなあこんな香合にお香入れてもらってお茶してみたいよ。
円熟期に入ると絵皿や器が作られるようになって
ここからやっと、ああわたしの知ってる乾山だ!って思いました。
色絵定家詠十二ヵ月和歌花鳥図角皿のセット、乾山が定家の歌をお皿にしたものです。
何度見ても素敵~。
色絵百人一首和歌角皿は上の句・下の句で一対になったものが5セットあって
阿倍仲麻呂、大伴家持、小野小町、蝉丸、喜撰法師の歌が絵とともに書かれていました。
特に仲麻呂のお皿、三笠山にかかる白い月に薄くグレーがかった雲がたなびいて美しい!
ここまで完成度高いともはや食器というより掛軸みたいですね…床の間に下がってても違和感なさそう。
宴会のときにお料理を乗せてランダムに配って、料理をいただいたら現れる句を見て
対になっているお皿を探すゲームとかできそうだなあと思いました。
食べ物で遊ぶなとは言われるけど、お皿で遊ぶなとは言われないし、いいんじゃないかしら(笑)。
色絵龍田川文透彫反鉢、岡田美術館でも同じテーマの作品を見て惚れこみましたな~
紅葉の透かしと川の流れの絵が優雅。
色絵紅葉文壺の模様は紅葉がコンペイトウみたいなデザインでかわいい!
色は青、赤、黄色、黒で地が白いから五行を意識したのだろうか…緑のライン入りだし考えすぎかな…。
光琳との合作もありました!
銹絵竹図角皿は杜甫の詩から引用した「雨洗娟娟浄 風吹細細香」が書きつけてあり、
光琳が竹の絵を描いているのですが
実は引用した詩のタイトルは「厳鄭公宅同詠竹」といって竹を詠んだものなのです。
乾山が引用しなかった詩の部分を光琳が絵にしたという「当てもの」のお皿なのですね~。
いいなあいいなあこういうの大好き!
そして泣けるのが銹絵馬文茶碗でしてな…。
表面に躍動する馬の絵がつけてあるのですけど、これ描いたのは光琳ではなく乾山なのです。
この茶碗を作ったとき乾山は79歳でして、すでに光琳は亡くなった後なんですね…。
(乾山は53歳のとき光琳と死別している)
隣に展示されている、乾山が絵付に使ったとされる「深省(乾山の号)茶碗絵手本」は
光琳が乾山のために残してくれたお手本帖です。
茶碗そっくりの馬が描いてありましたよ~お兄ちゃんの絵を使ったんだなあ乾山~~!!(号泣)
人目がなかったらガチでその場で泣き出してたと思います…ほんとこの兄弟は涙腺クラッシャーだわ。
仁阿弥道八の作品もぽつぽつ。
人生で一番最初に見た作品が狸の焼物だったので例によってすっかり狸のイメージでしたが(笑)、
食器や人形など生活感あふれる作品が並んでいました。
髭徳利は名前のとおり徳利に髭面の男性の顔が型取られていて、
しかもその顔が口をポカンと開けててお風呂でいい湯だなとくつろいでいるかのような感じで
こう言ってはなんですが「珍品」だなあと思いました(笑)。
でも隣にドイツはケルン窯製の髭徳利があって、万国共通モチーフなのかもしれないと思った(´ω`)。
こんなのがお酒の席にあったら絶対盛り上がるよね~。
葉っぱの形をした金彩桐一葉形皿は、葉っぱの先端がくるりと丸くなっていて粋な感じだし
色絵乙御前人形はカラフルな着物を着たお多福さんでおめでたい意匠だし
色絵桜楓文鉢はうつわの外に桜、内に紅葉が描かれて遠近法のようでしたし
乾山の作風を慕いながらもかわいらしさがにじみ出ている気がしました。
道八の作品って姿かたちに茶目っ気があるよなあ。
(あ。仁阿弥道八は今月末からサントリー美術館にて大規模な展覧会が開かれますので
楽しみにしているところです(*´∀`*))
他にも仁清と乾山に関連する焼物や屏風などの展示が。
本阿弥光悦の赤楽兎文香合、手のひらサイズの小さな茶道具で
赤い蓋にうさぎとススキがさらりと描いてあってかわいかった^^
光悦は蒔絵をよくやりましたけど、本人が絵付をした焼物はなかなかないので珍しいと思います。
狩野探幽・尚信・安信きょうだいの山水花鳥人物図巻はシンプルな線でさらりとしていて
このまま焼物の絵のデザインにできるよって思った。
狩野派の人々は仁清の作品に絵をつけたこともあるそうです。
狩野常信の春秋図御簾屏風が、右隻に桜、左隻に紅葉が描かれていて
真ん中が窓のように四角くくりぬかれて御簾が下ろしてありました。
これ場合によっては御簾を上げて向こうの景色を見ることとかあったんだろうか…。
そういえばこの屏風の前に仁清の色絵芥子文茶壺が展示してあって
まるで壺を飾りたてるような演出がされていて粋だなあと思った。
古清水焼の色絵芦雁文透彫反鉢、雁が空を優雅に飛んでいく様子が描かれていて
縁に楕円形の透かし彫りがしてあって最初は雲かなあと思ったのですが霞なんだそうですね。
霞は楕円形で表現する。ちい覚えた。
同じく古清水焼の色絵椿松竹梅文透入重蓋物は三段重ねの重箱になっていて
蓋の椿は花と葉っぱの間が透かし彫り、入れ物の側面にも透かし彫り。
特に側面の透かし、細い模様の枠だけ残してまるで窓みたい、
これきっと重ねて置いたら建築物(例えるなら凌雲閣)のような風格を見せてくれそう…!
仁清・乾山を通して京焼の発展がわかるすばらしい展示でした~。
よく考えたら仁清も乾山も江戸初期の人ですが、
こんなにも現代でも通じるデザインをしているというのがかっこいいなあと思う。
年明けから描き始める(予定の)尾形光琳・乾山のお話には
仁清も登場させたいなあと思っているので、よい予習ができました^^
すでに仁清のキャラデザは頭に降りてきているので早く描きたい…年賀状終わらせねば…。

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テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。 ジャンル : 学問・文化・芸術
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