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ゆさな日々

猫・本・歴史・アートなど、好きなものやその日考えたことをそこはかとなく書きつくります。つれづれに絵や写真もあり。


天神さまのいたお江戸。

  1. 2015/01/13(火) 23:41:27_
  2. 文化・美術
  3. _ tb:0
  4. _ comment:0
tenjinma.jpg
渋谷区松濤美術館にて「天神万華鏡~常盤山文庫所蔵天神コレクションより」を観てきました。
実業家の菅原通済氏が創設した常盤山文庫から天神、つまり菅原道真さんの絵画や版画が展示され、
道真のリアルな姿というよりは学問神としてどのように画像化され信仰されてきたかが
わかるようになっていました。
どうでもいいけど天神コレクションと書かれると「天これ」と略したくなりますな…艦これみたいに。
(更にどうでもいいけど去年の猫展で初めてこの美術館を訪れたときも危うく迷子になりかけたのですが
今回もやっぱり道を間違えて道玄坂の方からくねくね辿るはめになりました…地図が読めない女←)

地下の展示室に入りますと、まずは束帯姿の道真さんたちがズラーッと出迎えてくれて壮観!
平安貴族の正装だった衣冠束帯姿の天神像で、これらは「束帯天神」と呼ばれるそうです。
すべて掛軸ですので肉筆画です!直筆です!うおおおお。
狩野派や町絵師、公家や大名家の人たちが描いた道真さんは
当たり前ですがみんな違う顔をしていました。
狩野松栄の天神は梅と松に囲まれてまじめ顔だし、酒井抱一の天神はデザインチックだし
徳川斉昭の天神は自筆自賛でなんか本人(斉昭)に似てるし。
竹沢養渓の天神像は太宰府に左遷された道真が天拝山に登って身の潔白を訴えている図で
崖の上で祈祷をする道真と、吹き付ける風が迫力いっぱいに描かれていました。

そして隣には、なんだかチャイニーズファッションな道真さんたちがまたズラーッと。
道真さんは神様になった後中国に渡って禅僧に参禅したという伝説があり、
そのときのお姿を描いた絵は「渡唐天神」と呼ばれるそうです。
梅を持ち布をかぶり、たっぷりした衣装に身を包んだ道真さんはもはや仙人であった。むむ。
さっきの束帯天神さんたちは立ったり座ったり怒ったり笑顔だったりと
割と描かれ方にバリエーションがみられたのですが、
渡唐天神さんたちはイメージが一律しているのか、皆さん正面を向いて梅の枝を持つ立ちポーズでした。
雪洞斎東敬の渡唐天神がひときわ大きな掛軸で目を引きましたけど。
(東敬さんは高田敬甫のお弟子さんだそうで、つまり曽我蕭白と兄弟弟子なのだなあと思ったら
何だか天神さんのお顔が蕭白の絵によくいる濃いおっさんに見えてしまって自分の末期度を感じた)
そんな中で仙厓の渡唐天神だけはやっぱり仙厓というか、
○に目がテンテンみたいな描き方で、この人ほんとブレませんね(笑)。
他にも、道真が流罪の途中で漁師が綱を巻いて作った円座に腰かける「綱敷天神」や、
牛に乗った姿の「騎牛天神」などもありました。
綱敷天神像は屈辱のあまり憤怒の表情で描かれることが多いそうですが
武田信廉(信玄の弟)の天神はちょっと困ったようなお顔だった。
江戸時代の騎牛天神像は牛の跳ねっぷりやばくてロデオでもしてるみたいでした(笑)。

版画もたくさんありました~。
父親の言いつけに従い月明かりで勉強する道真を描いた月岡芳年の「月百姿 菅原道真」の
道真少年のかわいいこと!
小林清親の「菅公配所之図」は3枚続きの連作で、
寒々とした月明かりの中にポツンとひとりたたずむ道真さんがな…気の毒だけど美しくてな…!
河鍋暁斎の天神は閻魔様みたいな顔に派手な束帯姿で、背景にバラの花ならぬ梅の木を背負って
赤い天幕に「天満宮」と描かれた巻物が掲げられていてカラフル~。暁斎節が炸裂していた。
歌舞伎の「菅原伝授手習鑑」に題材をとった錦絵もたくさんあって
豊国、国貞、国芳、貞秀、国周など役者絵に関してはピカイチの面々が
舞台の名場面を迫力のある筆致で描いていました。
豊原国周の「菅原道真天拝山祈之図」は、刀を振りかぶった道真の背景に
空をかけめぐる稲光が描いてあるという何とも北野天神絵巻のような作品ですが
副題に尾上菊五郎と書いてあって、おお、この方は九代目市川團十郎とともに團菊と並び称された
五代目尾上菊五郎ではないか!
ということはこれは舞台で見得を切った絵なのでしょうか、いよっ五代目!
(右上にはこの絵が描かれた年に亡くなった三条実美がワイプで描かれています。
実美が菊五郎演じる道真を夢に見ているという設定の絵だそうで
そうするとこれは死絵でもあるわけですな。国周やるなあ)
ラストは歌川広重でまとめられていました~。
「江都名所」から「湯島天満宮」と、「名所江戸百景」から「湯しま天神坂上眺望」。
特に江戸百の雪景色の湯島天神は本当に美しいと思う。

あと、鳥居清長や北尾重政の描いた「天神変相図」がおもしろかったです。
束帯・渡唐・網敷・騎牛など、天神さんが歴史上で描かれてきた像をまとめた小冊子。
お絵描きの勉強にも、天神信仰の歴史の勉強にも、画像のアーカイブにもなりそう。

今まで天神さんの画像に着目したことがなかった(というか画像の種類があるの知らなかった)ので
とても勉強になる展覧会でした。
そしてこれらは天神さんのほんの一部なわけで、まだまだ全国には無数の天神さんがいるんだよね。
束帯や渡唐などありふれたものから平賀源内のお神酒天神とかまで加えると数え切れないと思う。
…EXILEどころかAKBできるね( ̄▽ ̄)ニヤリ
東京、大阪、京都、福岡とか天満宮の多い地域から画像メンバー選抜してTMG(天満宮)48やろうぜ!
(ついでに言いますと、テレビで聞いた話ですが日本で一番多い神社は八幡宮だそうです。
で、2番目がお稲荷さんでその次が天満宮)

そうそう、入口でチケット買ったら展覧会記念の鉛筆を2本いただきました(写真参照)。
学業応援企画だそうなので受験生のみなさんもらいに行ってください!
ついでに天神さんたくさん来てるからお参りできるし。


alice20151.jpg
新宿に移動して、小田急地下の魔法の国のアリスでランチにしました。
こんなかわいいお席に通されてしまった僕はわたしは!
トランプさんと一緒にバラの花を赤く塗りたい。

alice20152.jpg
女王様の庭園サラダランチ。白うさぎが描かれたドレッシングにパンとスープがついてきます。
いつも思うけど、アリスレストランのトマトのバラ鮮やかすぎて食べるのもったいない。

alice20153.jpg
トランプ兵のチョコレートブラウニーバニラアイス添え。
庭園とトランプが揃ったからもう、バラの花を赤く塗るしかない!(まだ言ってる)

よし、これで池袋と渋谷と新宿のアリスレストランは踏破しましたよ。
あとは銀座と大阪だ!(一箇所遠いな)


で、この日はこのままのんびり新宿散歩して帰ろうと思っていたのですが、
デザートもぐもぐしながらTwitterを見ていたら
太田記念美術館さんからの天啓のようなツイートが流れてきまして→こちら
「は、え、石燕て、石燕、ちょ、待っ」とか色々詰まって
「!!!!!?????」ってなって急遽、電車で原宿駅へとんぼ返り。
石燕の肉筆画みられるのーーーうおおお!!hshs
しかしホームに出たら改札まで人だらけでものすごい行列!
休日とはいえあんなに混んでたの初めて見ましたよ、
たぶん成人式とか明治神宮の初詣とかだったんだろうな…神よこれは試練ですか。

表参道の混雑をなんとか抜けて美術館の道へ抜けたら、そこはいつものように閑静でした。
太田さんの周囲はいつも静かでホッとします。

ota2015.jpg
というわけでやって来ました、太田記念美術館「新春太田コレクション展」☆
弾む息をなんとか鎮めて(走ってきた)、チケットを買って入口をくぐると
すぐ左手がガラス張りの肉筆画コーナーになっているのですが、
なんとこの日は、ずっと見たい見たいと願い続けてきた「鶏図」「唐美人図」「布袋と唐子図」「関羽図」が!
太田さん所蔵の石燕肉筆画4点が整然と並びあそばされているー!!
まるで鳥山石燕オンリーイベントじゃありませんか、なんということ。
源氏物語を読みふける菅原孝標女のごとく、ルーベンスの祭壇画を見つめるネロとパトラッシュのごとく、
思う存分鑑賞してきましたとも…。
休日でしたがすいてたので、人を気にせず鑑賞できたのもうれしかった。

石燕というと妖怪絵師というイメージが最近はできているのかもしれませんが、
以前にも書きましたけど、当時は花鳥画、武者絵、美人画など割と何でも描く人だったので
ついでに妖怪も描いてみたらヒットしちゃった、という感じだったのではないかと思っています。
狩野派に学んだ人なので、たぶん一通りの絵は描けたんじゃないかな…。
「唐美人図」はお着替え中の女性が童子の持つ鏡を見ながら髪を結っている図で
とてもゆったりしたタッチなので見ていて気持ちがいいです。
関羽図」の関羽はとてもかっこいいですけど、勇ましさというよりは貫録十分の武将みたいな風で
そういうとこは何となくですが石燕の人柄を感じさせるような気がする。
「布袋と唐子図」の布袋さまはでっぷりした体躯を大きな袋にもたれかからせて
子どもたちと楽しげに宙を指さしていて、指先を追うと空に雁が飛んでいます。
落款に「七十二翁石燕筆」とあり、72歳のときの絵とわかっているという意味でも割と珍しい作品かなと。
鶏図」は軍鶏を1羽ずつ描いて2幅一対だと思われていたのが
近年、白い鶏が新しく所蔵に加わったそうでめでたく3点揃っての展示は初だとか。
3羽ともふわふわしてそうな尾羽にしっかりした足、カケコーと鳴き声が聞こえてきそうで
石燕の無骨な質感が伝わってくるよう。
白い鶏の表装がやはり新発見されたものだからでしょうか、青と黄色のぴかぴかの表装でしたね。
そちらも絵とともに年を重ねて味が出てくるでしょう。

(´-`).。oO(鶏といえば伊藤若冲を思い浮かべますが
よく考えたらこの2人、年は5歳しか違わないのですね。
(石燕が1712年生まれで若冲が1716年生まれ)
また、没年もそんなに変わらないので(石燕が1788年で若冲が1800年)、
ほぼ同じ年月を石燕は江戸で、若冲は京都で過ごしていたんだな…。
画風は、若冲が細部まで描きこむ人であるのに対して石燕は写実的にすっきり描く人です)

錦絵コーナーは江戸の春夏秋冬というテーマで、
江戸名所を背景に描かれた女性たちの錦絵が並んでいました。
歌川広重の名所江戸百景シリーズや江戸名所シリーズやっぱり大好きー!
「日本橋雪晴」とか「王子稲荷」とか、ほれぼれするような雪景色ですよ…はあぁきれい。
「霞かせき」は門松が出ていたり凧揚げが行われてお正月の風景。
「湯島天満宮雪晴之図」は湯島天神の美しい遠景、お昼に渋谷で天これを見てきたのでニッコリ。
「猿若町芝居顔見世繁栄の図」は顔見世興行のおめでたい一枚。
うおおぉお広重たん風景画の天才すぎるかわいい。
そして歌川国貞のブロマイド集(違)「江戸名所百人美女」ですよ…。
花魁、太夫、長唄の師匠など働く女性たちがモデルみたいなポージングもさることながら着物の柄も緻密。
それもそのはず、このシリーズは広重の「名所江戸百景」に対抗して作られた国貞晩年の作なのだとか。
なるほどそれでこんなに気合いが入っているのか。
国貞アニキはほんとにこう、人をばーんと真ん中に持ってくる絵の画面づくりがうまいですね…。
溪斎英泉の「今様美人拾二景気がかるさう」は女性の大首絵ですけども
口紅が上唇が赤で下唇が緑でした!
おお、これは当時の女性たちの間で大流行し、かの歌麿先生もよく使った笹紅というやつではないか。
去年に箱根の岡田美術館で見た「深川の雪」の女性たちが笹紅を唇に塗っていましたな。

あと、新年といえばカレンダーということで、お江戸のカレンダー「絵暦」もたくさんありました。
江戸時代の暦は太陰暦(旧暦)で、新月を始まりとしてひと月の日数を計算すると29.5日となり、
そのため29日の小の月と30日の大の月を作って小・大・小・大…と交互に並べていくのですが
閏月などの関係でその年の大小を毎年計算して決定するので月の並びも毎年変わるため、
カレンダーがとても大切だったのですが
やがて文字の他に絵を入れて楽しむようになったのが絵暦です。
今回はほとんど制作者不明の作品でしたが、
大小の月をどのように絵の中に表現するかで絵師たちの腕とセンスが光っていました☆
「鶴亀」は鶴が舞い亀が唄う図で、鶴の持つ扇子に大の月が描かれています。
「大根に鼠」は大根の白い部分に大の月が描かれ、ネズミがいることから子年であることもわかります。
「大黒」は大黒様が振る打ち出の小づちから宝珠が12個出ていてそれぞれに1~12まで数字が書かれ、
大きな宝珠は大の月、小さい宝珠は小の月を表します。
「駕籠かき」は籠に紙が貼られていて、めくると大の月が書いてあります。
「鳥追い」は2人の女が描かれ、大の字が書かれた笠の女の着物の帯には大の月、
小の字が書かれた笠の女の帯には小の月が。
「瑞亀(竜宮城)」は亀の甲羅に大の月、竜宮城に小の月が書いてあります。
何とかしてわかりやすく、絵としておもしろくしようとする心意気がバシバシ伝わってくるぜ!惚れっちまう。

太田記念さんすてきなツイートをありがとうございました!
新年早々に石燕の肉筆こんなに見られるとは思いませんでしたよ~うれしいサプライズ✧*。٩(ˊωˋ*)و✧*。
美術館初めにいいものたくさん見られてしあわせでした。ふくふく。

帰りに新宿のトゥールズに寄ってマステだけ買って帰りましたが、
街や電車の中で振袖や袴、スーツ姿の人たちをたくさん見かけました。
みなさん成人式おめでとうございます~☆
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