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400年目の先陣。

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日本橋三越にて開催中の「岡田美術館所蔵 琳派名品展」に行ってきました☆
今年は本阿弥光悦が徳川家康から京都・鷹峯に土地を拝領してから400年目の記念イヤーということで
彼と宗達に始まる琳派を顕彰する「琳派400年記念祭」が開催されるのですが
今回の展示はそのトップバッターにあたり、
箱根の岡田美術館が所蔵する作品が東京まで出張してきてくれています。
岡田さんはとてもすばらしい美術館ですが、なかなか行ける距離ではないので
機会をつくってくれてうれしい^^

入口にある尾形光琳の「蕨図団扇」はこのまま団扇にしたら売れるんじゃないかというかわいさです!
「雪松群禽図屏風」は半年前に岡田美術館で見ましたから久々の再会で、
相変わらず細かい筆致で、鴨たちのガアガアと鳴き声が聞こえてきそうな賑やかさ☆
「椿若松蒔絵螺鈿硯箱」は蓋がふっくら膨らんだ漆塗りの硯箱で
鉛・螺鈿・金高蒔絵・銀平文などあらゆる技法を駆使してキラキラにしてありました。
光琳が漆芸を行ったのは彼の曾祖母の弟が光悦であるところからの影響です。
あと、この箱と似たようなので八橋蒔絵螺鈿硯箱というのが東博にありますが、
あれはEテレのびじゅチューンで井上涼氏が面白おかしく歌にしておられますね~大好き♪

「扇面散図屏風」は俵屋宗達の号のひとつである伊年の印がついていることから
宗達の工房による作とわかります。
(あくまで宗達ブランドという意味で、宗達本人が制作に関わったかどうかは本人のみぞ知るです)
屏風いっぱいに散らばる扇が華やかです!モノクロなのに色彩が見えるというか。
宗達は画業のかたわら扇屋を営んでいましたから、扇のデザインはたくさんストックしていたろうな(^ω^)。
「花卉に蝶摺絵」は宗達が竹や藤を描いた下絵に
光悦が新古今和歌集の17巻から20歌を引用して書いたもので、保存状態がすごくきれい☆
宗達下絵・光悦書の巻物はほとんどが切断され断簡となったものが全国に散らばってしまっていて
完全に残っている巻物は4本しかなく、
そのうちのひとつである本品はほんとうに貴重ですな!
(余談ですがこの絵については先日、岡田美術館長でいらっしゃる小林忠氏が
「下絵に触発されて書も変化をつける。いわば宗達が楽器を奏で、光悦が歌うように筆を運ぶ様子を
トータルな形で鑑賞できる」とかコメントされていたのを読んだのですが
琵琶を弾く宗達と声に出して歌を詠む光悦の図が一瞬で脳内に浮かんできてしまった。
研究者の先生方ってたまに詩的なこと言いなさるよね…楽しいのでどんどんやってほしいけど)

尾形乾山の焼物もいっぱいありましたよ!
「色絵菊文透彫反鉢」も岡田美術館で見てから半年ぶりの再会です。
春草の色絵がついた角皿やお茶碗には、冒頭にあった光琳の蕨図にそっくりな絵がついてて
キャプションには書いてなかったのですが絵付をしたのは光琳かな、乾山かな。
こう、ひゅるひゅるって蕨が上に向かって伸びているのがたまらなくかわいいです☆
乾山かわいい…かわいいっ…!!(発作)
あと、めずらしいと思ったのが秋草図扇面!掛軸に表装されています!乾山の掛軸(*‘∀‘)。
たぶん光琳や抱一が描くともうちょっとこう、花や草をシュッと描くと思うんだけど
乾山はゆる~くもっさりした雰囲気で、このまま扇形の焼物のデザインにできそうだなと。
「夕顔・楓図」も、乾山の楓はリアルというより丸っこくてかわいくて
こんな和菓子あったら食べたいなあと思いました^^
美術史家の山下裕二氏が「宗達は鉈、光琳は包丁、抱一はカミソリ、其一は手術用のメス」と
どこかで例えていらっしゃいましたけど、ここに「乾山は和菓子」と付け加えたいです。
わあ、一気になごむ(笑)。

酒井抱一はいつも思うけど、空間の作り方が本当にうまいです。
「檜に啄木鳥・紅梅に鴛鴦図」とか「白梅図」「桜図」はすべて掛軸で、モチーフの配置が絶妙なバランスで
特に桜図は花もかわいくて蕾もかわいい♪
「月に秋草図屏風」はいつもの銀色の背景にピンと立ったススキ野原、空には月が描いてありますが
この月が真っ黒であるところから夜が連想できます。
掛軸の「風神図」は宗達をはじめ光琳も描いた風神雷神図から風神だけを写したものですが、
もしかすると雷神が隣にいたかもしれないそうです。出てくるといいな…。
(そういえば光琳百年忌に抱一が編集・出版した『尾形流略印譜』には
宗達の伊年印に始まる琳派絵師16人の落款が網羅され系譜でたどられているそうです。
抱一ってアーキビストでもあったのか…なんでもやりますなお江戸のプリンス)
鈴木其一の「名月に秋草図」は3幅で1セット、両脇に秋草、真ん中に満月。
特に満月に見とれてしまいました~金色の雲がうっすらかかって、背景が鮮やかな青なのに夜に見える。

「誰ヶ袖図屏風」は去年に岡田美術館で展示されていて、わたしが見たのは男性着物だけだったのですが
今回は男性・女性着物両方が出張してきてくれました!
女性着物は柄が金、赤、黒、緑など凝っていましたね。
男性着物図に書物が開いて置いてあるのですがタイトルが論語だったことに今回気づきました。
神坂雪佳「燕子花図屏風」は光琳の同作を、梥本一洋「荒磯」は宗達の松島図屏風を本歌取りしていますが
オリジナルとは異なる存在感を放っています。
速水御舟の「桃梨交枝」の、2本の枝が交差する色遣いがステキ。
そして加山又造「初月屏風」は光琳と抱一を足して2で割った絵をドアップで写したみたいな迫力です。
加山氏は京都・天龍寺の法堂に八方睨み龍を描かれた方で、あれもとても大きな天井画ですが
今回の出品作もとても大きくてエネルギーを感じた。

調べてみたら今年は各地で琳派に関する展覧会が開かれますよ!楽しみ!
とりあえず根津美術館の燕子花と紅白梅展、サントリー美術館の乾山展はチェックしまする。
(あとね…海の向こうのフリーア美術館では俵屋宗達展が開催されるらしいんだ→こちら
フリーア美術館の所蔵品は寄贈主の遺言で門外不出になっているのですが
なんとか海を渡ってきてくれないかなァ…松島図屏風が見たいよ)

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三越の外へ出たらウィンドウにこんなディスプレイが。
左上にバレンタインデーと書いてありますが、背景に出品作のオマージュが飾ってありますね^^
これは伊年印の源氏物語図屏風。

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こちらは光琳の菊図屏風。

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誰ヶ袖図屏風。


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展覧会でもっとも印象に残った扇面散図屏風のことを考えながら浅草に移動して福服さんに寄ったら
こんな着物を見つけてしまいましたー!なんという出会い。
というか緑色の着物ってなかなかないので、ほんとに今日行って良かったですよ!
いつ着ようかな(゚∀゚)。

この後、ブックマーク浅草橋に移動して蟲師展も見てきたのですが
長くなりますので次回記事に書きたいと思います。
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