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ゆさな日々

猫・本・歴史・アートなど、好きなものやその日考えたことをそこはかとなく書きつくります。つれづれに絵や写真もあり。


天までとどけ、口にするだけでいいことあるよ。

  1. 2015/02/14(土) 23:51:10_
  2. 映画
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doramovie1.jpg
神保町シアターにて開催中のドラえもん映画祭2015に行ってきました!
1980年公開「のび太の恐竜」に始まるドラえもん長編映画35周年を記念して
3月まで恐竜~新・大魔鏡までの35作品が、併映も合わせて順番に上映されています。
(…と言いながらブリキの迷宮と同時上映だったソラえもん号と
96年からのドラえもんズが全作カットされているのは滝涙を禁じ得ない、大人の事情かな)
全作品、当時の35ミリフィルムを使ってくださるというファンにはたまらないサービスっぷり。
さすがに上映すると劣化が激しい部分もあるものの、
昔見たままの雰囲気がバシバシ伝わってきて胸にぐっときました。

doramovie2.jpg
わたしが見てきたのはこちら、1990年制作の『ドラえもん のび太とアニマル惑星(プラネット)』。
当時同時上映の『チンプイ エリさま活動大写真』もついてました☆
上映時まだ小さかったのでビデオでしか見られなかった2作品を
大スクリーンで見られるんだーわーい!と張り切って前売券取りました。

doramovie3.jpg
この日のチケット完売!!祝日だったせいもあるかも。
アニマル惑星の他のラインナップが「日本誕生」「パラレル西遊記」「鉄人兵団」というのを見ると
80~90年代に子どもだった人たちが集まったのかなと思っていましたが、
シアターに入ってみるとふつうに老若男女いらっしゃいました。
あ、わたしの隣に座っていた子連れのお父さんはたぶん同世代だと思う。


まずは『チンプイ エリさま活動大写真』の上映。
上映前に会場アナウンスで「エンディングの最後が切れています」とあらかじめお知らせがありましたが
本編もフィルムが何か所か切れてたよ、
後半でエリちゃんがリリンちゃんの代役することになったとき
「殿下のためにそこまでしていただけるとは」って感激してたワンダユウさんに
チンプイが「違うと思うけどなあ」って突っ込むシーンとかね。
子どもの頃にビデオで50回以上観ているわたしに死角はないのだ( ̄▽ ̄)☆
ラストカットはね~チンプイが「おしまい」って看板持って手を振ってくれるんだよ!かわいいよ!
(まじで1コマ1セリフに至るまでしっかり覚えている自分がこわい、どんだけ見てたんだろ)
ビデオテープはすり切れてしまったので今は手元にありませんが、DVD出てるし買おうかな…。

チンプイが相変わらずかわいすぎて脳が揺れまくりましたよ、やっぱり大好きだー!
大きな耳と小さな目と、あの2頭身で画面をくるくる飛び回るたびに声出しそうになるのを
がんばって堪えたので誰か誉めて。
堀絢子さんの代表作はハットリくんとチンプイだと思います…両方好き。
エリちゃんとリリンちゃんの友情がすごくステキで、
2人が仲良くしてるのを観るのが子どもの頃から大好きであの頃の気持ちを思い出せました。もえ。
エリちゃんがおうちの垣根を飛び越えて帰ってくる描写が大好きですごく真似したかったんだよな…
この頃の林原めぐみさんは元気なキャラ(らんまとか)を演じることが多かったので
久し振りに溌剌とした声が聴けて懐かしかった。
リリンちゃんはTVアニメには出てきてませんが、描かれていないところで交流が続いてたらいいな。
声が岡本麻弥さんだったのですね~サクラ大戦の織姫の片鱗がこんなところに(違)。
内木くんのすごさ。子どもの頃のわたしは彼が何を言ってるのか半分もわかりませんでしたが
日本との時差を考慮して移動先がアフリカだと一発で当てたり
「インド洋あたりならモンスーン発生してる」とか「脚本を見ないで批判しても仕方ない」とか
ここぞという時に知恵を応用したり突っ込める彼は本当に頭がいいよね。
佐々木望さんの声は内木くんで初めて聞いたと思います、お名前を意識したのは幽助だけど。
あとビルーカス監督を演じてらしたのが先月亡くなられた大塚周夫さんで
他にも富山敬さんのコビウリや青野武さんのデブラムーなど
在りし日のベテランさんたちのお声をひさびさに聴いて泣きそうになりました。
過去の作品を見るとお元気だった頃の声優さんのお仕事に触れられるので、
そういう意味でも定期的に見るといいんだろうな。(゚ーÅ)ホロリ

あと、ストーリーがすごくよくできているうえに
こんなにも「作品づくりあるある」に満ちた映画だったというのにも気づきました。
主人公のモデル(今回はエリちゃん)さんと監督のケンカ、予算オーバーに慌てるプロデューサー、
監督の要求を叶えるため西に東に飛び回る現場スタッフなどなど。
何だかんだで振り回されていたのはワンダユウさんですね、いつものことですね(笑)。
エンディング映像で劇中のエリさま映画に携わったマール星人さんたちが順番に出てくるのですが
キャスト、助監督、カメラ、衣装、美術、制作、特殊効果班などなど
特に役職名がテロップされてるわけでもないけど持ち物とか劇中の役割とかでそれが感じ取れて
これもわたしが経験を積んだからわかるようになったのかなと。
リアルタイムで観てわからなかったことは自分が追いついてないだけで、
時間をおいて観ると少しは追いつけている自分に気づけるのだな…。
(そう思うと、作品に併走できるというのは本当に幸運なことなのかもしれない。まだ経験ないけど)


続いて『ドラえもん のび太とアニマル惑星』。
ビデオで何回か見ていて、チッポの「光の階段と星の船を発見するんだ」のセリフを強烈に覚えてて
他はほとんど忘れてしまってたんですけど、今回観てああ、こんな話だったのかと。
学校の裏山がゴルフ場にされかねないと町内会の人たちが反対署名を集める活動と、
ニムゲによるアニマル星への侵攻が対比する形で進んでいくストーリーが印象的でした。
脚本の骨格がしっかりしててキャラクターも世界観も重厚で伏線の張り方と回収もすばらしくて
色んな意味で本当に楽しめて勉強になる作品だと思う。

アニマル星の人たちが神話や宗教、年中行事を持ち社会秩序を維持している背景には
はるか昔にひとりの科学者が影響を与えていて、
他の小さな原因も重なってのび太くんとチッポが出会ったというところに繋がっていくのが
藤子先生のSFが大炸裂しててワクワク。
藤子作品のすごいところは、世界や道具や材料そのものには突拍子がなくても
歴史や仕組みにちゃんと根拠があって説得力があるところだな…。
月のツキがご都合春菊という植物から作られているとドラちゃんが説明する場面では
シアターのあちこちから笑いが起きていました(´ω`)。
盛大にツキまくりながらロミちゃんを助け出してくるのび太くんのくだりは
時間制限もあったので劇中のドラちゃんたちと一緒に「早く早く!」ってハラハラしっぱなしだった。
そんな中で、犬のお巡りさん(チッポのお父さん)が迷子の子猫ちゃんをお家に送り届けたり
白ヤギさんが黒ヤギさんからの手紙を食べてしまって「さっきの手紙のご用事なに」と返事を書いてたり
クスッと笑える遊び心も随所にありました。

ドラちゃんが狸と間違われて全力で否定するのは長編のテンプレートですけども
今回は動物の星が舞台なので当然、本物の狸さんもいて「たぬきのどこが腹立つ?」って聞かれて
「そ、そういう意味では…」と慌てふためいててかわいかったです(笑)。
ジャイアンが、長編映画の彼にしては珍しく弱気になってたところもあったのですが
そうだね、走って疲れて帰れないかもしれない不安にかられているときに
ピンクのもやのあれはトラウマよね…。
でもチッポがピンチと知るや風呂敷抱えて宇宙救命ボートに乗りこんだのかっこよかった☆
「友達が助けを求めてるのに、知らん顔していられるかよ!」
ぎゃージャイアンーー!!(バンバンバン!←床叩)
ゴリラのおじさんにしょっちゅう息子さんと間違われてたけど、
最後の最後にはそれが伏線になってて「うわあ、これで帰れるのか!」と感心しました。
どんな経験も無駄にならないのが藤子作品のいいところだなあ。

あと、この頃からドラえもん映画のオープニング映像にはCGが導入されていますけども
映像を見ていて、セル画アニメ全盛期の中で違和感なく3DCGを併用する技術は
まだまだ手探り状態だったんだなと感じられて、
そういう分野にかけてはあれから飛躍的な技術革新が生じているのだなあと
アニメ界の進化を思ってしみじみしました。
とはいえ、積み木のような造形の山や雲や車が愛くるしく動いている映像は
当時のハイテク死ぬほど積み込んでやるぞ!みたいなスタッフさんの心意気を感じる。

わたし人生で最初に見たドラえもん映画は日本誕生で、
後はねじ巻き都市冒険記までと太陽王伝説をそれぞれ何度も見ていまして。
なんというか、リアルタイム補正かかってるかもしれないけど
この年代の作品は藤子先生の思いが全面的に押し出されているように感じられるのですよね…。
アニマル惑星も1990年の映画なので折からの環境問題や世界情勢などへの強烈なメッセージが
ふんだんに盛り込まれているのも特徴かなと。
ニムゲの住む月が国も人心も荒廃してしまっているのに対して
アニマル星のクリーンエネルギーや汚染されない下水がユートピアの象徴のようで。
チッポが「のび太さんたちの星はどうです?」と問うて「この星と同じくらい美しいさ、今はね」って
のび太くんがすごく優しい声で答えるんですけど、
その後の「これからもずっと僕たちで美しい星にしていくさ」って言うのは力強さがあったな…。
小原乃梨子さんののび太くんはああいうところで迷わなくてすごく好き。
ラストで連邦警察につながれたニムゲ総長がマスクを取ってもらって思いっ切り深呼吸して
「すばらしい空気だ」って呟くのとかも、
てかマスク取った瞬間ガタッときてこのセリフ、もう彼の人生がぶわーっと想像できて本が1冊書けると思った。
若くて美形で(大事)ナウシカみたいにきっと生まれた時からマスクがないと暮らしていけない環境で
でもそれは彼のせいではなくて、ずっとずっと隣のアニマル星がうらやましかったはずで
でも話し合いで移住するのではなく侵略する方法しか知らないっていうね。
エンディングテロップで声がミッターマイヤーだったのも初めて知ったよ!

エンディングテーマを聞いていて、「花を見つめて微笑んだのは人間だから」の歌詞がふと
劇中でのび太くんとチッポを繋いだ一輪の花を思い出したけどたぶん考えすぎよな…。
ドラえもん映画の主題歌集のCD持ってますが、90年代の曲はリピートしまくって聴いてる。

あ。アニマル惑星の感想をぐぐっていたらこんなの見つけてしまいました。。→こちら
「最後の一言に壮大なスペクタクルを妄想した」わたしはこれでした。
いやードラえもん映画にこんな敵キャラがいたとは…ぜんぶ持ってかれましたわ。
原作マンガだと顔出ししないらしいんですけど映画は素顔出したうえイケメンとはこれ如何に、
ガリオン公爵や出木松博士もイケメンでしたが総長はちょっとダークホースすぎた。。
前作(日本誕生)のギガゾンビも仮面キャラでしたが差が激しすぎるよ!
藤子先生とスタッフさんに一体何があったのか、思わぬところでドキッとさせるこのテクとは…。
(あとマスクマンで素顔が気になってるのは雲の王国のグリオさんです。どんな顔してるのかな)

そういえばアニマル惑星のスタッフクレジット、原画に湯浅政明さんのお名前がありました。
どのカットかわかりませんが、踊るポンポコリンの要素が感じられたらそこだと思う(わからんて)。
他にも仕上に京アニの八田陽子さん、スタジオタージの土屋透治さんがいたりして
アニメ史の一部を垣間見たような気分に。
エリさま活動大写真の作画監督には高倉佳彦さん、制作進行に水島努さんがいたなあ。
そして、両方の録音監督が浦上靖夫さんでした。
本当に本当にすばらしいお仕事をありがとうございました。御冥福をお祈り申し上げます。


bondy.jpg
ランチはカレー屋さん「ボンディ」でいただきました。
神保町に何度も通っているくせに神保町でカレーをいただく機会がなかなかなくて
せっかくなので行こうと思ったわけです。

壮大な映画の後で頭も心もパンパンのままボーっと歩いてお店に入ったのですが
カレーを一口いただいたら(中辛だったにも関わらず)ぴりっと効いたスパイスにびっくりして
一気にもぐもぐしてしまった。
店内も混雑していて相席でした。またゆっくり食べに行きたいな。
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テーマ : 映画館で観た映画    ジャンル : 映画

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comment

  1. 2015/02/15(日) 12:41:26 |
  2. URL |
  3. 大海彩洋
  4. [ 編集 ]
おぉ。ドラえもん。私はさすがに映画館まで行くことはないのですけれど、よく予告編を見かけてはすごいなぁと。一体何のすごいSF映画?と思って見ていたらドラえもんだった、という感じで、すごく魅力的な予告編を作っておられて、その製作への意欲にいつも感嘆しています。
中身もいつも面白いですよね。テレビでやっていたら必ず見ています。ゆささんの仰る通り、かなり深みのある話が多くて考えながら見てしまいます。
小さい時に見た映画やドラマを後で見て、あ、そういう意味だったんだって気が付くのってありますよね。これって、その時に気が付けなかったことを残念に思うこともあるけれど、どこかにそのことが残っていて、年数を経て気が付くことができるようになっている自分にほっとしたりすることもあります。きっと、今見ている子どもたちも気が付いていないかもしれませんが、どこかに何かを残してくれているんでしょうね。
古いの見たら、懐かしい声優さんのお声も聴くことができるのですよね。それは嬉しいことです。そして、まさかのミッターマイヤー、に密かにほくそ笑んでおりました……私、ウン十年前に初めて小説を読んだとき、ヤンにお嫁にもらってもらいたいと心から思っていました。ヤンの死のシーンを読んでからしばらくは、その先を読むのをやめてしまって、数か月経ってから先を読んだ記憶があります。そう言えば、『戦争と平和』でアンドレイ侯爵が亡くなった時も、その先を読む気がしなくなって、数か月放置した思い出があります……^^;
あ、全然話が逸れていました。
ドラえもん記事、楽しく拝読いたしました(*^_^*)

Re: タイトルなし

  1. 2015/02/18(水) 23:13:53 |
  2. URL |
  3. ゆさ
  4. [ 編集 ]
> 大海彩洋様

わたしもドラえもんは映画館で見たことなかったです~今回が初めてです。
予告編いつもすごいですよね!予告からして大作だなって思います。
子どもの頃はそれはそれで楽しんで観ていて、
大人になって他の意味に気づいてまた楽しんだり考えたりして豊かになっていくのですよね。
> きっと、今見ている子どもたちも
そうですよね(^ω^)
シアターに子連れの人たちもいたのですが、お子さんたちみんな食い入るように観ていて
どれくらい覚えててくれるかわからないけど何か心に残ってくれたらいいなと思います。

声優さんのお声ほんとうれしいですよねー!もう聴けない人などは特に…うっ涙が…。
> まさかのミッターマイヤー
うおおおおご存知ですかうおおおお!!!
ちょ、てか、ヤン提督、えええまじですかわたし初読のときヤンしか見えてなくて
ユリアンになりたいって本気で思ってました☆
例のシーンは友達に「覚悟して読みなよ」って言われて読んで1ヶ月くらいヘコみましたよ…。
数か月経ってからっていうの本当によくわかります、まさかまさかですよね。びっくりでしたね。
『戦争と平和』!!やばいです大海さんと読書歴似すぎてて感激です。
あの小説もほんと…色んなことがありましたね…(遠い目)
ちょっと読み返したくなってきました。何もかもみな懐かしい(笑)。
 
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