千穐楽。

前回記事のときは脳みそフリーズ状態で何一つまともなことが言えそうになかったので
文字色薄くして追記に書いてから5日が経ちましたが、
21日に亡くなられた十代目坂東三津五郎さんのことはあまりに唐突すぎて
何も考えられないまま日々を過ごしています。
ひたすらな喪失感。呆然。。
あの日のTwitterと夜のニュースで速報を見てからは、テレビの報道は一切見ていません。
徹子の部屋の追悼特集や、新聞やネットで多くの方が三津五郎さんのお人柄や思い出を語っているのは
食い入るように読んだり見たりしていますけども。
(すごく心に響いた言葉ばかりだったのはこちらのブログ様の講演会記事です)
特にずっと三津五郎さんをお近くで見てらした役者さんたちの言葉が胸に響きます…。
お忙しい中語ってくださるのは本当に有難いことです。記録にもなるしね。
わたしはにわか歌舞伎ファンですので、三津五郎さんの歌舞伎のお仕事については
あまり詳しく知っているわけではないのですが、
映像やご著書も含めて、この際覚えている限りのことを書いてみようと思います。
まだ(というか全然)いなくなられたという実感が皆無のため
例によってお聞き苦しい点もあるかもしれないので、また追記に仕舞ってみました。
クリックで開閉しますのでよろしければどうぞ。(長いです)↓
これまでも何度か書いていますけど、
わたし歌舞伎役者さんの中では三津五郎さんを一番の贔屓にしていまして
舞台でもテレビでも映画でもお姿を拝見するのがとても楽しみで
たとえ(写楽とか武士の一分とかで)救いようのないワルを演じておられたとしても
うおおお!!って盛り上がってたわけですけども。
贔屓のきっかけになったのは大河ドラマ「功名が辻」の明智光秀役だったと思います。
濃姫との関係はともかく(笑)、三津五郎さん演じる不器用で品も知性もあり芸術に通じた光秀が
わたしのイメージしていた光秀像と完全に一致していたために
ますます光秀のファンになり、いっぺんに三津五郎さんのファンになってしまったのでした。
何より衣装ががが、いかにも当時の渋好みが好んで着用するようなわびさびカラーで!!
(衣装担当の小泉清子氏グッジョブすぎる、ありがとうありがとう!すばらしい光秀をありがとう!)
同ドラマで足利義昭役だった三谷幸喜氏がやたらと光秀にタッチしたり言い寄ったりしてて
おふたりとも楽しそうに見えたな…。
そんなですから本能寺の変は来なければいいと思ってました。来ちゃったけど。
(和久井濃姫が舘信長と一緒に刀振り回してましたよね)
信長のもとでずっとずっと気持ちを抑えてきた光秀が、本能寺に向かう前に
「ときは今雨が下しる五月哉」と詠い上げるのがとても静かで凄みがあってこわかったです。
史実ではあの場で詠まれた句ではないのですが
もうあそこで詠んだ説が爆誕すればいいのにと思ったくらいには
わたしにとって光秀&三津五郎さん爆上げドラマでした。DVD見たい。
(あ。
これを書きながらそういえば放送時の功名が辻公式サイトに三津五郎さんのインタビューが載ってて
あまりにすばらしいお言葉だったので書き写したなって思い出して部屋をさがしたら
にゃんと、メモが見つかりました!えらい!当時のわたしえらい!!
メモによると「光秀を演じるうえで伝統文化を大切にすることと男の色気を大事にしました。
舘さんの信長、柄本さんの秀吉、わたしの光秀、3人のコントラストが明確に出ることを
意識しました」的なことをおっしゃってたようだ…おおおまさに出ていたよね…胸熱)
他にも八十助時代に大河ドラマに何度かご出演されていたようで、
勝海舟のときはわたし生まれてませんでしたけども、武田信玄や徳川慶喜に出演されたとのことで
信玄は小さかったのであまり記憶にないですが、慶喜は見てたはずなのに覚えてないな…
三津五郎さんの勝海舟で無血開城とか最高じゃないすか、今度DVD借りよう。
あっ大河で思い出した、クイズミリオネアでいっせんまん獲得したことなかったっけ、と
三津五郎さんの公式サイトをさがしたら、あったよー!→こちら
ページの真ん中あたり、10月5日(木)のお写真のところです。
功名が辻の放送と同じ年でしたから強烈に覚えてます。
それなりに緊張もされてたかと思いますが、いつもの紋付袴に終始ニコニコしておられて
かぐや姫が月に帰るとき乗っていたのは何かっていうクイズで(答えは車)、
みのさんが「正解!!」って叫んだとたんワーッてバンザイしてがっちり握手してましたっけ。
写真、拡大したら素敵な笑顔で写ってますね。みっくんのパンクファッションすごい。
あと古畑任三郎にゲスト出演されたのも再放送か何かで見たな~。
鬼平にも出演されたらしいけど再放送でも見れてなくて、
吉右衛門さんと一緒のシーンとかあったのかしらん。
ルーズヴェルト・ゲームの尾藤社長は見るからにいい人だったけど
起死回生の青島製作所との提携がかっこよすぎてお茶吹きましたっけ。
うぬぼれ刑事は、タイトルがうぬぼれだからメインキャスト4人でスーツ着て居酒屋に行ったっていう
エピソードをTOKIOの長瀬くんがどこかで話していて大笑いした。
通りすがりの女性に写真撮ってもらったそうなんだけど、
長瀬くん、三津五郎さん、おぎやはぎの矢作に要潤が目の前に並んで
それを本人たちのケータイとはいえ写真に撮れるってなんて運がいい人なんだ!と
めちゃくちゃうらやましかった覚えがある。
お役もいろんな意味でポジティブ思考なキャップがほんとにかわいくて。
「かわいい~♪」ってケーキの写メ撮ったりとか、絶対携帯に絵文字入れるタイプだと思う。
歌舞伎の舞台に立つ三津五郎さんは新橋演舞場の壽初春大歌舞伎で初めて拝見しまして
雄々しく見得をきる梅王丸、お祭でゆったり舞う鳶頭、靭猿で子猿ちゃんをあたたかく見つめるまなざし、
勢獅子で安定感のある舞踊を披露しておられたのが目に浮かびます。
テレビでも何度か舞台を拝見して、
助六でおふざけ者の通人里暁を、棒縛りで飄々とした次郎冠者を演じてらしたのが印象深いです。
髪結新三は勘三郎さんの主演舞台も見ましたが、勘三郎さんが明るいワルなのに対して
三津五郎さんはいぶし銀のように輝くワルでからりとした江戸っ子でもあってすばらしかった。
(新三は貧乏長屋住まいだけど象牙の箸をつかっているというのも
三津五郎さんから教えていただいたことでした→こちら)
ここ数日で色んな人が口を揃えておっしゃってますが、
三津五郎さんの芸は堅実で一本筋が通ったまじめさがあるのですよね。
わたし三津五郎さんの踊りは心柱(五重塔とかの真ん中に立ってるやつ)のようなイメージがあって
常に同じ場所で同じ仕事をしてくれているから、
勘三郎さんみたいな型破りな人の舞台を見て「ところで型ってなんだっけ」と振り返ると
そこに三津五郎さんがいてああ、これこれってすぐにわかるような…。
うまく表現できない。
かと思うと、俳優祭や大江戸りびんぐでっどみたいなものすごくはっちゃけたお役で
思い切り笑わせたりもしてくださる。
二枚目、三枚目、女形、荒事和事、何を演じても違和感のない役者さんだと思います。全部全部だいすき。
ご著書の『歌舞伎の愉しみ』と『踊りの愉しみ』も時には学者のように、時には役者として奔放に
舞台について愛情たっぷりに語ったお言葉がつづられています。
扇子の使い方について「扇子を手で動かすのではなく扇子の落下に合わせて手を動かす」という
内容のことを書いてらっしゃって目からウロコというか、
ああそれで三津五郎さんの扇子はあんなに滑らかな動きだったのだな、と納得したりしました。
お城めぐりの著書も出版されているので読んでみたい。
去年8月の歌舞伎座で橋之助さんとともに舞われた勢獅子の鳶頭を拝見したのが
わたしが最後にナマで見た三津五郎さんの姿になってしまいました。
お金も時間も限りがありましたので喜撰もたぬきも観にいけなくてごめんなさい。
まだ観たい舞台がたくさんありましたがこんなに早いなんて思いませんでした。千穐楽おめでとうございます。
Twitterやニュースサイトでお葬式の記事を見て、巳之助さんの挨拶も聞きましたが
あの日の衝撃で呆然としてからまだ頭がうまく動いてないし心がフワフワしてよくわかりません。
でもあの戒名はいいなあと思いました。
今後の三津五郎さん関連の番組は、3月15日に特集番組をEテレが放送してくださるし
明日の美の壺「印伝」特集でもインタビューが放送されるそうです。
世界の街道をゆくのナレーションも明日まで。
あと、先日BS朝日で放送されたお城紀行の番組も来週に再放送されるそうだ。
十八代目勘三郎さんや十二代目團十郎さんに関してもなのですが、
どこかわたしの知らない場所で舞台に立っていらっしゃるだけという気がずっとしていて
だから三津五郎さんも地球のどこかにいてテレビや歌舞伎座にいらっしゃらないだけなんだ…という気が
寝ても覚めてもしています。
お空でお三方が語り合ったり一緒に踊ったりしてるお姿とかも全然想像できてないです。
たぶんもう少し時間が経たないと実感わかないと思う。
「ひととせの朝をあつめて飾松」(三津五郎さん公式サイト2015/1/1挨拶の句)
あとあれだ、歌舞伎座3Fの回廊にある思い出の役者さんコーナーは
次に歌舞伎座へ行くときまでに覚悟しておかなきゃ…。
3Fの売店コーナーへ行くにはあの白黒写真群の前を通らなきゃならないのだ。
…いや、エスカレーターをやめて反対側の階段を使えば通らなくてすむかな…運動不足だし(考え中)。
そういえば1月でしたか、三津五郎さんが「今度猿之助くんが(スーパー歌舞伎で)やるから」と
日曜日の朝にテレビをつけてONE PIECEを見ておられたという話を
巳之助さんが浅草歌舞伎の口上でしていたと聞いて胸がポカポカしたのを覚えています。
夏の公演は観に行く予定ですが、巳之助さんも出演されないかな。
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管理人のみ閲覧できます
- 2015/02/28(土) 04:33:50 |
- |
- [ 編集 ]
Re: タイトルなし
- 2015/02/28(土) 22:45:05 |
- URL |
- ゆさ
- [ 編集 ]
あわわ~あのう、大丈夫ですよっ普段通り生活してますので!
ふと考えてしまう時はありますが仕事も行ってますし本読んだりお出かけもしてます、大丈夫です。
たぶんゆるゆるとですがペース取り戻していけると思います。
これからもずっと歌舞伎大好きですし、これからの人たちも応援していきます~。
コメントありがとうございました!
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