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2015_03
15
(Sun)23:45

どこまでもゆける力。

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先週、ジュンク堂池袋本店の「荻原規子 ファンタジーを語る」トークセッションに行ってきました♪
荻原さんの新作『あまねく神竜住まう国』刊行記念イベントです。
池袋店の喫茶は小ぢんまりした空間で作家さんとフラットに話せるので大好きだ~。

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ワンドリンク制につきホットティーを注文。
参加者のみなさんがひととおりドリンクでほっと一息ついた頃に時間がきて
荻原さんが真珠のネックレスをつけた白地に青模様のワンピースでご登場~☆
雑誌などでよくお見かけするお姿そのまま、とってもかわいらしい方でした。

トークというと作家さんがお客さんに向かってお話するのが一般的ですけども
今回は事前に参加者から質問を募集して、荻原さんがそれに答えてくださるという形式でした。
理由もお話くださって、ご自分だけしゃべるのは楽しくないのだとか^^
荻原さんのブログによるとご本人からの提案だったらしい)
質問の募集は2月からあって、わたしも僭越ながらいくつか考えてお店に投函して
どんな風に答えていただけるんだろう~とウキウキしながら当日を迎えましたらば
なんと「用意してきたけど数が予想以上で間に合わなかったものもありましたので
知りたいことがある方は時間をとるので今日、この場で聞いてください」とのこと。ひゃー!
トークの申込みそのものも、募集からあっという間に席が埋まってキャンセルも一切なかったそうで
改めて荻原さんの人気の高さに驚きましたが
「遠慮せずどんどん声だしてね~」との有難いお言葉に一気に和んでトークスタート^^

質問は大まかに3種類に分けられていて、まずは「荻原さんご本人について」。
インドア派でお絵かきや人形遊びが好きだった子ども時代を過ごされた荻原さん、
作家になろうと思ったきっかけはナルニア国物語を読んだことだったというのは
他の著書や雑誌のインタビューなどで聞いたことがあるな~。
アスランを始め「物言う獣」の存在が印象的だったとか。
生まれ変わるなら何になりたいか?という質問にはきっぱり「鳥になりたい」。
自分の下に空間がある生活がしたいとのこと、わかるわかるって思った。
紫式部派か清少納言派か?という質問へのお答えが
「清少納言のファン!内省的な紫式部は自分だと思う」とおっしゃって
わわ、なにそれわたしも同じこと考えてましたって言いたかった…言えなかったけど(^^;)。
「枕草子の良さは中宮定子の性格の良さにあると思う。てか、定子に会いたい!」って
ファンのように語る荻原さんに会場から「アア~」と歓声があがっていて笑ってしまいました^^
(ちなみに荻原さんにとって源氏物語は「大人にならないとわからないもの、
なってから読んでもよくわからないもの」だそうで、これも同じ同じって思いました。
ユーミンの歌のように(!)原文が良くて、恋愛の背景に草花など季節が見えるのは
源氏の頃から日本人の心性にくいこんでいると考えていらっしゃるとか)

次に「創作方法について」。
お話を思いつくのは電車の中やコーヒーを淹れているときやお風呂の中など
普段の生活で一瞬、ボーっとしたときが多いようで
原稿が始まると手が勝手に書いていくし、細かい場面も書くことでわかっていくのだそうです。
ラストシーンはお話を思いついたときにぼんやり見えているが、
どうやってそこへ辿り着いたらいいかその段階ではわからないとのこと。
主人公がよく恋愛をしますよね、という問いには
成長期の10代を主人公に据えることが多いせいかも、と。
カップルというか2人で1つ、補い合わなければならない2人として考えているのだそうです。
空色勾玉を思いついたのも直接古事記を書こうと思ったわけではなく、
書いていたら「あ、これ古事記だ」と気づいたとか。
既に覚えているものでないと作品に起きてこないんですって。
「そもそも空色は古事記を捨てようと思って書いたのに(使うと引きずられてしまうから)、
狭也と稚羽矢を思いついたら日月が出てきちゃったの!古い話の力は侮れません」と
苦笑交じりにおっしゃるのがすごくかわいかった^^
空色勾玉を小学生の時に読んだという参加者さんに「よく読めたね!」と誉めなさって
勾玉男子はすごくかっこいいけど憧れの本の中のヒーローはいますか?という質問には
アーサー・ランサムのトム・ダンチョン(『オオバンクラブの無法者』)が好き、
好きな子がいると読めるよね、と笑っていらっしゃいました。
本の表紙を決めるのは編集さんにお任せしているそうですが
なかがわちひろさんと佐竹美保さんについては荻原さんのリクエストだそうです。

ファンタジーとSFについてどう思いますか?という深い質問に対しても
両者の境界は接近していると思う、SFは科学的な説明があるけど
ファンタジーは魔法が使えても理屈はいらないよね、でもわたしは理屈を作る方なんですと答えてらして
ああ、だから西魔女やRDGはああなんだな…と思った。
少女マンガのSFが好きで、萩尾望都さんなどSFにもファンタジーが出てくる漫画はよくあるし、
ジャンルはあくまで便宜上でひとつひとつの作品は簡単にはくくれなくて
作家の好きなものが出てきてSFとかファンタジーとか呼ばれるのかなと思う…というのも
わたしがずっと考えてきたことを言葉にしていただいた思いで感動しました。
勾玉三部作や風神、新刊の神竜のスタイルについては
歴史小説を書いているつもりはなく隙間を見つけて書きたいものを書いている、と。
(歴史って調べてるとハマっちゃうよねとおっしゃって会場から同意の笑いが起きていました^^)
書ききれなかったエピソードは次回作に活かしますか?という質問に
書くときは全力だから考えないけど、時間が経つとあれも、これも…と思うことはあって
スピンオフを書いてみたくなることもあるそうです。
寝かせているものはいくつかあるけど、次を書くために大切にしておきたいとか。

登場人物の名前で最初に決まるのは主人公だそうです☆
名づけは大事で、二度と変えない!と思うくらい気に入ると作品の何割かはできてる、との言葉に
なんだか陰陽師の呪を思い出しました。。
名前に真がつく子が多いと思う、という質問には「意識してなかった」と答えつつも
特にRDGの三つ子は「最初に真夏が出てきて、次に真響、真澄にしました。3人だから目立ったね」と
苦笑されていました。
キャラクターのビジュアルは何となく雰囲気が浮かぶだけだそうですが
誰かが描いた絵を見てもちがう、とはあまり思わないとかで
「絶対こんな顔って決めても意味ないからみんな自分好みに想像してね」とのことでした。
すてきだ。
主人公が勝気な女の子になる理由は、
1988年出版の空色勾玉の頃はまだ元気な女の子主人公の物語が少なかったからだと。
「ファンタジーは自分が隠れれば隠れるほど、つまり自分と違う子を書くとよい世界になります」との
言葉が、ちょっと考えたことなかったのでびっくりしました。

続いては、お待ちかねの(笑)「作品について。別名、マニアックな質問コーナー」。
これが一番数が多かったそうです(笑)。

まず空色勾玉について。
玉の御統が8色である理由は、みすまるの語源はスバルの六連星なのだけど
どこかに7つめの星があって昔は目の検査に使われたことがあるというのを知って
7つもいいけどせっかくだから8個にしよう、
昔から8という数字は深い意味を持つし、首飾りとしても8個ほしかったから、とのこと。
(闇・輝の2つの勾玉は届けられることはなく今も闇の大神の手元にあるとのこと)
白鳥異伝は菅流についての質問が多くて彼の人気が伺えました(笑)。
髪の色は真っ赤というわけではなく東洋人としての赤さ、
衣装はノベルスの表紙に佐竹さんが描いてくれたものが一番近い、
物語のその後は象子と一緒に伊津母の指導者になっている、
漁師の父親を嵐で、その後母を亡くして10代前半くらいにひとりになって淋しかったと思うけど
一族に育てられたから生活には困らなかったと思う、
玉造の腕は遠子が一目で見抜いているくらいだからそんなに高くはない、
生まれ月は決めてないけどおうし座っぽいよね(笑)、など、など。
荻原さんもマシンガン質問者さんに対して「彼のことが知りたいのね」と微笑んでいらっしゃって
マジで女神さまに見えました。すてきなだ~(´∀`)☆
薄紅天女への質問も負けずにディープで、
竹芝の家は大きな農家のイメージで母屋(跡継ぎの住まい)を中心にいくつか建物があって
井戸のある中庭は有事の際に人々や武器を集められるくらいの広さで
藤太と阿高は結婚したら同じ敷地内に住んで食事はみんな母屋で
子どもができたら敷地外に家を建てて独立するかもね、と。
阿高はふだんは苑上を鈴と呼んでいて、2人きりのときは本名を呼んだとのこと。
苑上は内親王だったから農家の人間としてはトンチンカンで、
千種がつきっきりで教えてすごく仲良くなっちゃって二連の脅威になった!とか。なんですと!(笑)

西魔女はもともと荻原さんが学生サークルでお友達と作ったお話が元になっていて
主人公の名前はアラヴィスだったのをフィリエルに変えたけど
ルーンはルーンだったそうです(ルンペルシュツルツキンの設定は後からつけた)。
女王と一の騎士の関係についての「蜂社会だと思う」とのお言葉にどよめきが(笑)。
騎士たちは重要だけど使い捨てという危険な地位で、女王は事実婚で夫がたくさんいたとか
アデイルが「同じ家から騎士を出すとうまくいかない」と言ったのは
小さい頃から一緒にいるとずっと幼馴染でしかいられない…というあてつけだとか。
フィリエルとアデイルは同年だけどどちらが年上?という質問には
アデイルの方がしっかりしてるけど生まれはフィリエルが早いと思う、とのこと。
レアンドラが奴隷のふりをして東の国に乗り込む話やティガとルーンの出会いも書いてみたいが
今は取り掛かる時期ではない、とも。
ティガとアデイルの再会を「あると思う」とおっしゃる荻原さんに
質問者さんが「ユーシスに焦ってほしくて!」と言うと「悠長だもんねあの人」と返してらして
何だか世間話みたいでおもしろかった(笑)。
風神秘抄の糸世が飛ばされた場所についてはやはり多くの質問があったようで
樹上かRDGの世界とつながっているかと考えた方もいらっしゃるそうです。
荻原さんの返答は「素材が同じなので、ありえます」でした。
糸世にとっての忉利天が現代なのかどうかはわからないけれど、
たぶん飛ばされた先にはある程度長くいて、そこの人が糸世がいた時代について調べてくれて
未来を知ってしまった可能性もあって
(草十郎も笛を吹いたときに見ているから2人は頼朝のところに行ったんだと思う、とも)、
だからいい場所だけど一刻も早く元の世界に帰りたかった…というのは裏設定だから
みなさんは考えなくていいです、ともおっしゃられました(笑)。
あと、喪山の位置は白鳥で考えると美濃で、風神で考えると飛騨だがどちらか?の問いは
「鳥彦王が適当に言っただけ」という答えでみんな爆笑しました^^
カラスだから人間の地理がわかってなくて、おばばから聞いた知識しかないそうです。
かわいい(^q^)

RDG(レッドデータガール)で雪政と泉水子の高尾山デートについて
「待ち合わせの時間を決めなかったのに雪政はいつから待っていたのか?」とか
「雪政と紫子の出会いはいつか?」など、雪政の人気ぶりが(笑)。
高尾山デートのときは、山伏ネットワークを駆使して近くの知り合いの家に泊まって
翌朝も早朝から「泉水子が来るから…」とずっと待っていたという衝撃の回答が!
「プレイボーイですから」とさらっと言う荻原さんにプロの神髄を見ました。。
雪政が紫子さんに会ったのは学生時代で、修行時代から大成さんとも仲良しだったけど
その大成さんが紫子さんと仲良くなるのを見ながら成長していったという
なかなかドラマティックな裏設定ががが。
姫神の「天から受け取るための手、下々に与えるための手」のセリフは
変なことを言う人だなって思っていただければいいとのことで
深行が姫神の左手を取った理由はたまたまそのタイミングだったわけだけど
姫神としては「ほう、そっちを取るか」と思ったかもしれない、と。
みゆっきーはあれで完全に姫神に気に入られたよね…(^^)。
印象的だったのが、真夏がものすごく好き!って感じの人が
「真夏は長く生きられますか?」と声を震わせながら質問なさっていて
「だいじょうぶ。科学は進歩しているし、希望はあるよ」と力強く答える荻原さんが
やっぱり女神様に見えました☆
会場の雰囲気も「ああ、よかった…」みたいなほのぼの空気に包まれたし^^
前にも書いたけど、彼らは3人そろって無敵なので作者さんのお墨付きがあるとホッとしますね。
これかぎのハールーンとひろみの再会は、現代を舞台に書く予定ではあったけど
いろいろこじれて樹上になりましたとおっしゃられた。
(樹上にハールーンが出ないのはひろみちゃんが好きになる子がハールーンだからで
夏郎くんはちょっとイメージ違うけど、まあいいか、というのがラスト。
ちなみに夏郎くんはダイレクトにひろみちゃんが好きだそうです♪)
樹上は、これも前に聞いた気がするけど高校生活を書き残しておきたかったとのことで
荻原さんの中では別個の作品なんだとか。
ひろみちゃんは、荻原さんにもっとも近い主人公だそうです。
鳴海くんは有理さんの家で育った時期があって親戚関係もろもろこじれたらしいですが
眼鏡は別に伊達ではないとか。


とまあ、こんな感じで事前に寄せられた質問に答えた後もどんどん手が挙がって
どんどんディープな質問が出てきて荻原さんの回答もディープで
ものすごい濃密な時間でした(^◇^)。
それぞれの作品についてランダムに聞かれても、パッと切り替えて返答なさる荻原さんすごかったです。
お答えに対してさらに質問が飛んでさらに返答があって会場が湧くこともあって、
これは荻原さんや参加者さんの中でもっと話が膨らんで花開いて
しばらくしてネット検索したら新刊情報や良質な二次創作がたくさん見られるのかもしれないと思うと
勝手に楽しみになったりしました☆
物語って広がるよなあ…。

わたしの事前質問にも答えてくださいまして、休日の過ごし方は?というのには
「休日っていうか、暇なときにしていることは読書したりネットでアニメを見ること」とおっしゃって
ああそうか、専業の方は出勤しないもんな…と考えが足りなかったことを反省しました。
熊野についても聞かせていただいたのですが「伊勢とは違った古代の雰囲気の場所だよね、
熊野では断然、大斎原がお気に入り!霊感はないけどあそこに行ったら何かあるって感じた!」と
興奮気味におっしゃったのが印象的でした。
大斎原はおととしの熊野旅行でちょっとしか寄れなかったけど
確かに何かありそうな場所だったのでやっぱりそうなんだな…と思いました。

で、今まで書いてきたとおり本当に何でも聞ける雰囲気だったので
当日、気持ちを奮い立たせて会場で手を上げて
ずっと疑問に思っていた作中のセリフについて質問してみました。
空色勾玉の前半で、「死んじゃったらもう会えない」と言う狭也に鳥彦が「おれは死なないよ。
一度闇の大神の御前に戻るだけ。また会いに行くよ」みたいなセリフをしれっと言うシーンについて
ここで彼は闇の一族の知識を口にしているのか
それとも実際に何度か生まれ変わってそれを記憶していて、経験に基づいて言っているのか
いまいち判断がつかなかったのでずっと知りたくて…。
荻原さんの答えは「闇一族の常識ですね。岩姫や王たちからそう教え込まれていて
本気で思っているので、過去の記憶はないけどそうだと信じています」というような内容でした。
緊張のあまりマイクを持つ手も震えてたのでうろ覚えなのですが…^^;
「迷いがないように見えたので」と言葉をつぐと、荻原さんも「迷いはないですね」ときっぱり。
ああやっぱり迷わなかったんだな…だから前半クライマックスで捕まって足を折られても
あんなに冷静でやんちゃでいられたんだなあとしみじみ思いました。
鳥彦は結局、カラスになって帰ってきて
わたし初めてあのシーン読んだときすごくうれしかったけど同時にすごくショックで
だから白鳥異伝と風神秘抄を読み終わったとき感想が「カ ラ ス !!」しかなくて(泣笑)。
荻原さん本当に本当にありがとうございました!


新作もトークセッション前に読んだのですが、ひさびさの和ファンタジーで面白かったです。
流罪になった源頼朝が伊豆の土地神と対決する物語で、
風神秘抄の主人公だった草十郎と糸世も活躍するので風神の続編でもありますな。
糸世が頼朝を「しおりちゃん」と呼ぶシーンと
草十郎が糸世を本物かどうか確かめようとするシーンがよかったなあ。(結局カラス)
読みながら、そういえば風神でそんなことあったよねって思い出したことも多くて
今度は2冊続けて読み返したいです。
(で、その後きっと鳥彦王のルーツを読み返したくなって勾玉三部作に手が伸びるんだろうな)

あと、このトークセッションが行われた3月11日は源頼朝の伊豆流罪が決まった日でもありまして。
(鎌倉時代の僧侶慈円が記した『愚管抄』第5巻に
「義朝が子の頼朝をば伊豆国へ同く流しやりてけり。
同き(1160年)三月十一日にぞ、この流刑どもは行はれける」とあるのです)
わーいぜひお伝えしよう!と思ってメモしてトーク中の途中までは覚えていたのに!
しかも質問できる時間をいただけたにも関わらず!!
鳥彦のことで頭がいっぱいだったのと緊張のあまりすっかり忘れて伝えることができませんでした…。
ばかああぁぁ(゚Д゚)
ので、チラシと一緒に渡されたメッセージカードに書いて店員さんにお渡ししました。
よりによって伊豆の頼朝本の刊行イベントが頼朝伊豆流罪決定の日に行われるとは。たまたまだろうけど。
 
 
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今年も空を撮りました。
あの瞬間から4年、毎年この日に空を撮影していますがいつも晴れていて、
曇って寒かったのはあの日だけだったのだなあと。

あの時間は仕事中でしたが、がんばっている人たちに思いを馳せながら
手をとめてテレビもパソコンも閉じて静かに過ごしました。
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C.O.M.M.E.N.T

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