fc2ブログ
  • 2023_09
  • <<
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 31
  • >>
  • 2023_11

ゆさな日々

猫・本・歴史・アートなど、好きなものやその日考えたことをそこはかとなく書きつくります。つれづれに絵や写真もあり。


高野山・魔女・比叡山の旅その2。

  1. 2015/05/07(木) 23:57:36_
  2. 旅行
  3. _ tb:0
  4. _ comment:2
前回記事の続きで高野山・比叡山旅行レポ。
今回は高野山奥の院と、大阪文化館で開催中の魔女の秘密展の模様をお届けします^^

まずは高野山2日目。
朝6時に起きて身支度をしていますと、小僧さんが迎えに来てくださって
6時半から宿坊の本堂で行われる朝のお勤め(勤行)に向かいました。
手に塗香をぬり、首から簡易袈裟を下げてもらって
お坊さんたちが御本尊に唱えるお経を正座して聞かせていただきます。
初めての体験で失礼がないかドキドキしましたけど
お焼香などのタイミングも教えてくださるので無事に済ませることができました。
お経はひとつではなくいくつか唱えていらっしゃって、真言宗ですから真言だと思いますが
光明真言がわかったのはちょっとうれしかった(笑)←東京BABYLON脳

お勤めが終わると、お坊さんが「お護摩もやりますけど参加されます?」というので
ぜひぜひ!と後について護摩堂に移動。
本堂よりも小さく狭くて、しかも不動明王像が目の前という位置に座らせていただいて
(言い忘れましたが人数は少なかった)こんな近くていいのかなと緊張しつつ体験しました。
火を焚いて太鼓を叩きながらの般若心経というのも初体験でドキドキ、
少しですが一緒に唱えさせていただきました。少しでも功徳になっているといいのですが。
(あと、お護摩の火ってなぜあんなに燃え上がるのかと思ってたら油を注いでるんですね、
今回、お坊さんのお作法を目の前で拝見できてやっとわかりました)

koyasan68.jpg
お部屋に戻ると、すでに精進料理の御膳が用意されていました。感謝。

koyasan69.jpg
お腹いっぱいになったので空海の御廟がある奥の院へお参りしようと
歩いて一の橋へやってきました。奥の院参道の入口です。

koyasan70.jpg
御廟までおよそ2kmの石畳の参道を歩いてゆきます。
道沿いにびっしり並ぶのは20万基もの墓所・供養塔と、樹齢1000年近い杉の大木の群れ。
どのお墓も慰霊碑も苔むし、木々は空を覆う程の高さまで伸びていて
1200年の歳月を経てきた場所の荘厳な雰囲気がかもし出されていました。
えらいとこに来ちゃった…!と身も心も引き締めながら奥へ向かってしゅっぱ~つ。

(そして踏み出したとたんに参道をものすごいスピードでにゃんこが横切っていったので
あっとカメラ構えましたが逃げられてしまいました…高野山にゃんこ速い)

以下、写真が多いのでたたんであります↓クリックで開閉しますのでどうぞ☆
 
 
 
参道がすごいらしいとは聞いていましたが見るのと聞くのとは大違いというか、
時代も国籍も宗教も民族も違う人たちの慰霊碑や供養塔が無数に並ぶのを見ると
種族も敵味方もどんと来ーいな高野山すごいと思う。
これまで歴史の教科書や歴史ドラマで見てきた人たちの供養塔もたくさんありましたので
ひとつひとつに手を合わせながら歩きます。
koyasan71.jpg
仙台藩伊達家。政宗さん!

koyasan72.jpg
加賀藩前田家。利家さーん!

koyasan73.jpg
筑前藩黒田家。如水さまあ。

koyasan74.jpg
曽我兄弟の供養塔。
曽我物語もいつか文楽や歌舞伎で見てみたいな…。

koyasan75.jpg
薩摩島津家。

koyasan76.jpg
山口毛利家。元就~橋之助さーん!(笑)

koyasan77.jpg
秋田の佐竹家。小田野直武を育てた佐竹曙山のおうちですよ。

koyasan78.jpg
江崎グリコの物故者墓地。奥の院にはこうした企業墓地がたくさんありました。

koyasan79.jpg
弘法大師御尊像。

koyasan80.jpg
高松藩松平家。平賀源内さんが仕えていたおうちだ!
他にも松平家と書かれた供養塔が無数にありました。全国にいらっしゃるお武家さんだもんね。

koyasan81.jpg
小田原の北條家墓地。小田原北條氏顕彰会によるものです。

koyasan82.jpg
多田満仲のお墓。源頼光さんのお父さんですね。

koyasan83.jpg
数取地蔵尊。奥の院への参詣者の数を記録しているお地蔵様だそうです。
わたしは何人目でしょうか…ドキドキ。

koyasan84.jpg
武田信玄・勝頼墓所。

koyasan85.jpg
弘法大師腰掛け石。空海が休憩したという言い伝えがあります。
隣には播州姫路酒井家の墓地。酒井抱一のおうちだ!

koyasan86.jpg
信玄の墓所から少し山を登ったところにある上杉謙信・景勝供養塔。
甲斐の虎と越後の龍は道を挟んで今もにらみあっているのか、
それとも「お互い若かったなァ」とか昔を語り合っているのか。

koyasan87.jpg
弘法大師護摩鉢。空海がお護摩を焚いて、その灰を盛った鉢と伝えられています。
江戸時代の資料には屋根があったと記されているそうですが、今は鉢のみが残ります。

koyasan88.jpg
石田三成墓所。

koyasan89.jpg
明智光秀墓所。個人的にはここに一番来たかったから感慨深い。
供養塔を何度立てなおしても壊れてしまうのだそうで、
確かに真ん中にぴしっと大きなヒビが入っていました。
あまりのヒビのため敢えて写真は載せません…ぜひ現地でご覧ください。

koyasan90.jpg
観世宗家墓所。観阿弥・世阿弥に始まる能の一族のお墓です。

koyasan91.jpg
子授け地蔵尊。

koyasan92.jpg
中の橋です!参道はここで半分。
やっと着いたーと時計を見たらすでに1時間が経過していました(爆)。寄り道しすぎ。
橋の下を流れる川は金の川と呼ばれ、三途の川を表しているそうです。

koyasan93.jpg
中の橋手前にあった初代市川團十郎墓所。

koyasan94.jpg
團十郎墓所の後ろにある柴田勝家供養塔。誰か立札を直してあげてください(;・∀・)。

koyasan95.jpg
中の橋を渡ったところにある汗かき地蔵尊。
人々の身代わりとなって苦しみを一身に受けているので、
いつも汗をかいていると伝えられています。

koyasan96.jpg
棺掛桜。
平安時代初期に嵯峨天皇が崩御すると空に天人が現れ、
天皇の棺を担いで飛んで行った先が高野山だったという言い伝えがあるそうです。
この桜は空海がそのとき植えたとされるもの。
2人とも仲良しでしたから、そういう言い伝えがあってもおかしくないなあ。
棺は空海が荼毘に付して中之橋に陵墓が建立されたそうですが、現在は所在不明とのこと。

koyasan97.jpg
姿見の井戸。
元々は薬の水だったそうですが
今は姿が水に映らなければ3年以内の寿命であるという説が人気?になっているとか。
覗いてみましたが普通に映りました。ホッ。

koyasan98.jpg
祟源院(お江)の墓所。1番石と呼ばれる一番大きな供養塔だそうです。
(ちなみに2番石は安芸浅野家、3番石は加賀前田家、4番石は薩摩島津家だとか)
近くには娘の千姫の墓所もありました。

koyasan99.jpg
芭蕉さんの句碑だってあるぞ。「父母のしきりにこひし雉子の声」
碑に刻まれた文字は池大雅筆だそうです!マジか大雅たん!

koyasan100.jpg
天台僧である法然さんのお墓!別の道には親鸞さんのお墓もありました。
おふたりに縁のあるお寺が町にあるのだそうな。

koyasan101.jpg
豊臣家の墓所。ものすごく広かった。
そういえば中の橋を過ぎたあたりに高麗陣敵味方戦死者供養碑を見かけましたが
あれは島津義弘さんが建てたものだそうだ。

koyasan102.jpg
織田信長墓所。紀州攻めをした人ですが受け入れちゃってる空海さんマジ太っ腹!
(孫の秀信(幼名三法師)はとばっちりで高野山に入れてもらえなかったしねえ)
隣に筒井順慶のお墓が寄り添うように並んでいて泣けた。

koyasan104.jpg
御廟橋に着いたー!
奥の院の最奥、空海の御廟のある燈籠堂へと続いています。
空海は835年3月21日にこの場所で深い瞑想に入り、今も人々のために祈り続けているそうです。
修行を続ける空海のために朝と昼に暖かい食事(生身供)が運ばれると聞いて、
お伊勢さんでも神様のために同じことしてたなあとふと思いました。

ここから先は聖域のため撮影禁止。
橋の裏にはお経が書いてあると聞きましたので、脱帽して合掌・お辞儀し、橋を渡ります。
燈籠堂にてお参りをして、堂内の消えずの火(貧者の一灯)を見た後、
お堂の後ろに回ると参拝者の願いを込めた蝋燭を立てる場所があって
ふとその奥を見るとさらに小さなお堂がぽつんと。
空海の御廟だと気づいて自然に頭が下がりました…。
人が多くてざわざわしていましたが、やっぱり静けさを感じた。

あと、同じく撮影できませんでしたが御廟橋付近には春日局や陸奥宗光の供養塔、
日本最古の歌碑など見どころがたくさんあります。
燈籠堂のそばにはなで地蔵尊がいらしたので撫でさせていただき、
お地蔵さんのそばの祠には弥勒石という黒い石があって
触ると弥勒菩薩のご利益があるそうで色んな人が触ったり持ち上げたりしていました。
弥勒菩薩の世界から降りてきた石だとか。光の国からやってきたウルトラマンみたいだ。

koyasan105.jpg
御廟橋のかかる玉川に祀られている卒塔婆は流水灌頂といって、
水の事故や難産で亡くなった人の霊を水でお清めして供養しているそうです。
そういえば昔は玉川に橋はなかったそうで、
参拝者は川の水で身を清めてからお参りしたとか。

koyasan103.jpg
御廟橋たもとにある34番目の町石。
35番目は燈籠堂前にありました。最後の36番目は空海の御廟本体といわれているとか。

koyasan106.jpg
御供所という参拝者のための休憩所もありました。写真は護摩堂。
建物の側には大小様々な水向地蔵、観音像、不動明王像などが並んでいます。

koyasan107.jpg
撫で三鈷の展示も。
高野山1200年大法会の行事のひとつに結縁行脚というのがあって、
お坊さんたちが1年間かけて日本全国を回ったときに
空海の飛行三鈷杵をかたどったこの撫で三鈷と奥の院の消えずの火を持っていたそうです。
どうぞご縁を結びくださいと言っていただいたので、撫でさせていただきました。

koyasan108.jpg
来た道とは別の参道を戻ります。写真は浅野内匠頭と赤穂浪士47人のお墓。
泉岳寺だけじゃなく高野山でも一緒に眠っているんですね。よかったねええ。

koyasan109.jpg
無縁仏となった石碑や仏像、地蔵尊などが集められ山になっている場所。
まるでピラミッド。そういえばピラミッドもお墓ですな。

koyasan110.jpg
阪神大震災の供養塔と、

koyasan111.jpg
東日本大震災の供養塔が道を挟んで並んでいます。

koyasan112.jpg
楽書塚。落書きを楽しむための塚だそうです^^
右側の石には好きに落書きしていいとのことで、いーっぱい色んなものが書いてあった(笑)。

koyasan113.jpg
キリングループの供養塔にいた麒麟像。

koyasan114.jpg
上島珈琲店にはコーヒーカップが。

koyasan115.jpg
動物供養塔。なんだか両国の回向院みたいだなあと思いました。

koyasan116.jpg
日本しろあり対策協会によるしろあり塚!
お墓なので笑っちゃダメだと思いつつも笑ってしまって、
でもほかの参拝者さんたちもクスクス笑いながら通り過ぎていってた。
まったくもって唐突な「絶対に笑ってはいけない in 高野山奥の院」ファイッ!

koyasan117.jpg
武蔵岩槻大岡家の墓所。大岡越前守さんのお墓ですよ。

koyasan118.jpg
源平クラスタのみなさん!熊谷直実と平敦盛ですよ源平クラスタのみなさん!
熊谷市の熊谷寺、京都の金戒光明寺につづきここでも並んでいる2人!うわああああ
ちょっとここ感動もひとしおなのでファンの方にはぜひ訪れてもらいたいです。
(ちなみに高野山には、色々あって出家した熊谷直実が源平合戦の戦死者を弔うために建てた
熊谷寺というお寺もありますのでぜひどうぞ)
隣には九条兼実の供養塔もあった。

koyasan119.jpg
飛行機事故で亡くなった人々の慰霊碑。

koyasan120.jpg
関東大震災供養塔。
隣には当時の東京市長さんのお墓もありました。

一通り歩き終えたので一の橋を後にして小田原通りへ出ましたが、頭も心もいっぱい。
すごかったやばかった想像以上でした…なんだ、なんだったのだあの空間は。
写真が全然載せきれてませんが、他にも多くの人々のお墓や
事件や事故や戦争で亡くなった人々の慰霊碑や供養塔が
参道沿いにぎゅうぎゅうに並んでいるので精神にぐいぐいきます。
空海さんのパワーと人々の思いと1200年の重みはすごいね。

koyasan121.jpg
梵恩舎さんにてランチをいただきました~。
ランチプレートに豆腐チーズケーキに紅茶。精進ランチ精進スイーツ。ご馳走様でした☆
(この2日間精進料理しか食べてないから身も心も清められてる、気がする)

koyasan122.jpg
宿坊に荷物を受け取りに行ってバスで高野山駅へ戻って、
ものすご~く名残惜しいですがケーブルカーに乗って高野山を後にします。
かつてないくらい色んなもの見て色んなこと考えました。また来るよ!また来るからね!!

koyasan123.jpg
極楽橋駅からは特急こうやに乗っていきます。赤こうや!1200年大法会デザイン!

koyasan124.jpg
特急に揺られながら高野山名物のみろく石と焼き餅をいただきます。
みろく石は奥の院の御廟橋にある弥勒石を模したお菓子で、しっとり皮にあんこ入り。
花坂の焼き餅は昔から参詣者に振る舞われてきたお餅で、よもぎ餅にあんこ入り。

頭がボーっとして車窓の景色もあまり記憶にないくらい、空海のパワーの余韻に浸りながら
1時間半近くうとうとしながら揺られて南海なんば駅に着きまして
扉が開いた瞬間、熱気がブワッと押し寄せてきて「暑っ!!」って声に出すところでした。。
高野山はやっぱり涼しかったんだ、桜も咲いてたし…。
標高900mの聖地にさっそく帰りたくなりました(苦笑)。
majonohi1.jpg
暑さにめげず電車で大阪港駅に移動。歩いて大阪文化館・天保山にやって来ました。
現在、「魔女の秘密展~ベールに包まれた美と異端の真実」が開催中なのです。

majonohi3.jpg
魔女をテーマにした展覧会ってなかなかないうえに
関東で開催されるか現時点ではわからないとのことでとにかく見たくて来たわけですが、
決定的な決め手になったのは音声ガイドが佐々木蔵之介氏だったことだよね(笑)。
しかも窓口で「白猫バージョン(ふつう)と黒猫バージョン(怖い)とありますが
どちらになさいますか」とスタッフさんに聞かれたので迷わず黒猫バージョンを借りたよ!
怖い話は苦手なゆさですが、蔵さんが語る怖い話は聞いてみたいという背徳感に勝てなくて
いざ再生したら当時の人心のすさみ具合とか異端審問とか拷問とか火あぶりとか、
しゃべり方がホラーというよりもしゃべってる内容がホラーだった件。。
(てか蔵さん、7月からマクベスで魔女も演じるし色々勉強になったんじゃないかしら)
機械はペンライト型で軽くて、用紙の番号をつつくとガイドが再生される仕組みです。
わーい最先端☆

展示室の中は薄暗くて雰囲気バッチリ、
主に西洋の中世・近世の魔術やおまじないや魔女裁判に関する記録や資料、美術品が中心で
あらゆる角度から魔女の歴史がわかるようになっています。
魔術やおまじないコーナーでは護符や薬に使われたミイラなど魔除けやお守が並んでいます。
モグラの手のお守、暗闇でも動き回れるモグラにあやかりたいと目が良くなるお守りとして
また歯が42本あることから歯痛に効くとして好まれたんですって。
マリアツェルやランツフートの飲むお札は、お札に描かれている聖人の名前を唱えながら飲むと病気が治るそうで
こういうの日本にもなかったっけ…。
厄除けナイフは魔女から身を守るためのものだそうで、壁や天井につきさしておくとか。
なんだかサリマン先生からの令状をダーツにしていたハウルみたいだ。

中世~近世にかけてのヨーロッパは小氷期にみまわれて平均気温が低く、不衛生な環境でしたので
戦争や不作や疫病の流行が魔女の仕業とされるようになっていたそうです。
特にペストの流行と印刷機の発展は決定的なダメージを与えてしまったようで
ペストは魔女や悪魔のしわざとされましたし、
魔女の姿を描いた出版物が発行されることでイメージが固定化されていったわけですね。
ちなみに当時の魔女解説本によると、魔女とは
1.悪魔と契約を結ぶ。
2.悪魔と情事を行う。
3.空を飛ぶ。
4.魔女の集会に行く。
5.黒魔術をつかって悪事を行う。
だそうです。
ハインリヒ・クラーマーの『魔女への鉄槌』は魔女の犯罪について書いた最初の印刷本で、
女性が悪魔によって魔女にされることや、黒魔術についてや
尋問や拷問のやり方まで書いてあるそうです。
アルブレヒト・デューラーの「空を飛ぶ魔女」はわたしでも知っているくらい有名ですけど
デューラーも実際に見たわけじゃなく想像で描いてるわけで、
つまり「※画像はイメージです」というやつですかね…。
同じくデューラーの「4人の魔女」はタイトルこそ魔女とついてはいるものの、
描かれた裸婦たちを魔女と断定するかは美術史家の間で論争があったはず。
ハルス・バルドゥング・グリーン「呪われた馬丁」は馬に蹴られたのか魔女に何かされたのか…。
窓の女性は松明を持っていることから魔女と判断されているもよう。

映像や音声を使用して被告人や火あぶりの疑似体験ができるインスタレーションも。
審問のインスタは、映像の前に立つと審問官から言葉攻めにされるというもので
審問官役は外国の人ですが吹き替えが蔵さんでおもしろかったけどやっぱり怖かった。。
魔女にされた人のインスタ(アンナさん(仮名))、最初は大丈夫すぐ帰るわって明るいのに
時間が経つとだんだん憔悴していく様子がしんどい、
実際に残っている手紙をもとに再構成した映像だと思うともっとしんどい。
拷問具もいくつかありまして、アイアンメイデンや刺の椅子などの存在は知っていましたが
苦悩の梨(口を開ける道具)や親指締め(指を挟んでつぶす)、スペインの長靴(棘が足を突き刺す)などは
初めて知りました。名前から想像するだけでも痛そう…。
苦悩の梨の装飾がとてもきれいなデザインだったのもかえって怖さがありました。
裁判で魔女かどうかを証明するには証拠が要るわけですけど、
証拠といっても実際に魔術を使う人や魔術そのものを目にした人はいないので
(人々からの告発も単なる噂が元になってる場合が多かったみたいだし)、
魔女かどうかの判断は本人による自白しかないわけで
そのために拷問が合法化されてあらゆることが行われていたんだよね。
魔女の布は実際に使われた記録が残っているそうで
焼けた鉄を握らせた手を布で包んで3日後に開いて膿んでいれば有罪、治ってたら無罪とのことですが
これまんま日本の盟神探湯(くかたち)ですな…。
(盟神探湯は熱湯に手を入れて正しい者は火傷しないけど罪人は大火傷をするというもの)
そうして耐えられなくなって魔女と告白しても、それが証明とされてしまって結局処刑されるし。
また、処刑用車輪というのもあって
これは人狼(オオカミ人間)だという判決を受けた人がくくりつけられた車輪らしい…。
魔女のほかにも別の生き物として判決が下されることがあったんだな…。

処刑方法は斬首や火あぶりなど様々あったようです。
炎が罪を浄化するという思想は洋の東西を問わず見かけますが、火あぶりはその最たる手段で
しかもその刑に処せられた人がほぼ無実だったっていうね。
魔女として告発されたアンナ・コーラーという人が着用してたらしいシャツ(複製)が展示されてたけどボロボロだった…。
彼女は薬草に詳しくて、夫を亡くした頃から疑われるようになってしまったとか。
魔女や魔術師、人狼などの判決を下された人々のなかには薬草に詳しい人や学者もいたけど
ほとんどは寡婦や路上生活者や孤児などの社会的弱者だったことも
最近の研究でわかってきているそうです。
また、実際に使われた剣斬首の剣もあって
フランケンタールの斬首用剣には「お前の行為のうちに、自由にさせよ。神がお前の救い主であるようにと祈れ。
始めも真ん中も終わりも、すべて神の手の内にあり」と銘文が刻まれていました。
死刑執行人の鉄マスクは顔をかくすためのもので、
処刑された人の家族からの報復を避けるためとか…執行人も生きるか死ぬかの時代。
死刑が決まった男性が娘にあてて書いた手紙のパネルは涙なしには読めません。
(当時は男性も錬金術や魔術を使うとみなされれば処刑されました)
あと、個人的にはフリードリヒ・シュペーをパネルで紹介してくれていてうれしかったです。
彼は著書『検察官への警告』(1631年)の中で「拷問は限度を超えているし、そのせいで女性が無実の罪を告白させられている」と
裁判所の拷問を批判した人で、
彼の友人のヨハン・シェーンボルンが魔女狩りを禁止する布告を出したことで
急速に魔女狩りは衰退していくんだよね~。
言うのも布告出すのもものすごく勇気がいったと思うけど、本当によくやってくれたと思う。
処刑された人は4~6万人もの数にのぼり(最も多かったのはドイツの25,000人らしい)
ピークは1590~1660年代頃とされているとか。

魔女狩りがなくなって近現代になりますと、
魔女のもつミステリアスなキャラクター性(?)が見直されて
ファンタジーのヒロインとして物語に登場したり美術としても表現されるようになります。
テレーザ・フェオドロヴナ・リースの魔女像は白いきれいな彫刻で
女性が足の爪を切っている姿なのですが、右手が欠けてしまっていた~。
この像は最初は批判されたようですが、時の王様が「すばらしい」と絶賛したところ
あっという間に賞賛されるようになったとか^^
なんてこった全世界の偉い人のみなさん、今すぐ自国の美術品と芸術家を絶賛するのです!
ハクづけ大事です!さあ!さあさあ!!(歌舞伎風に)
ルイ=モリース・ブーテ・ド・モンヴェル「サバトへ行く前のレッスン」は
ベテラン魔女が新人魔女に飛行用の軟膏の塗り方などをレクチャーしているのだそうで
つまり魔女教育ですな。かわいい。
グスタフ・アドルフ・シュパンゲンベルクの「ワルプルギスの夜」はゲーテの小説に取材したもので
魔女たちが4月30日にドイツのブロッケン山に集まったお祭の様子です。
かなり大きな絵で見応え抜群、ブリューゲルの絵みたいなおもしろさがありました。
(余談ですがこの展示を訪れたのが5月1日なのですが、
この日は魔封じの聖人ヴァルプルギスの祝日だそうですね。
魔女たちが4月30日にお祭を開くのはヴァルプルギスに対抗するためだとか)

最後にはウィッチクラフトワークスやふらいんぐうぃっち、フェアリーテイル、
山田くんと7人の魔女、まじもじるるもなどの現代漫画家さんによる魔女イラストが
大きなパネルで展示されていました☆
かかかわいい!どれもかわいい!!
重い展示見てきたばかりでしたから癒されましたよ~~みんなマジかわいいっo(゚∀゚*o)
安野モヨコさんの魔女イラストがステキすぎて釘づけでした☆
スカートがオレンジ色なのですが、「これは夕暮れの色で、朝は色が変わります」とあって
もうワクワクドキドキがとまらないよー。
オシャレのために魔法を使う魔女、最高。
しかもミュージアムショップには直筆サイン入りでメッセージが!最高です。

majonohi2.jpg
入口で渡された魔女CARD。
展示を見ながらビンゴゲームの要領で正解と思う穴を開けて、出口のプレートに設置すると
正解がわかるようになっています。
わたしは無事に(?)魔女認定してもらえました。やっほう。

osakashuppatsu.jpg
大阪港から新大阪まで移動し、東海道線の新快速に乗って京都を目指します。
大阪さようなら~ちょっとしかいられなかったけどまた来たい!

2015kyoto90.jpg
京都駅に到着☆
そしてすっかりお気に入りになった駅前の京野菜のお店で晩御飯。
高野山で色々食べすぎてしまったので軽く済ませました。野菜ジュースおいしい。

2015kyoto91.jpg
京都駅の壁に京都タワーのキャンドルが映っていてきれいでした。

2015kyoto92.jpg
こっちが本物。

2015kyoto93.jpg
電車で移動してホテルへ。
今回は人生初・カプセルホテルに泊まってみました☆
個室はアコーディオンカーテンのみで仕切られていますが、荷物は鍵つきボックスに入れられるし
フロアは性別で分かれているし、アメニティもサービスも充実してて安心。
洗面所やシャワー室、お手洗いは共用なので順番に使いました。

シャワーを浴びて(ちょうどジェットバスつきが使えてよかった)、テレビを見ようとヘッドホンを被ったら
ちょうど報道ステーションで高野山からの中継が始まったところだったので
つけっぱなしにしながら次の日に行く比叡山の予定を立てました。
お昼までいた場所がテレビに映ってるって不思議な感じ!ライトアップされた金堂がきれいでした。

次回記事では最澄の聖地・比叡山のレポをお届けします☆
スポンサーサイト



テーマ : 神社・仏閣巡り    ジャンル : 旅行

<<高野山・魔女・比叡山の旅その3。 | BLOG TOP | 高野山・魔女・比叡山の旅その1。>>

comment

  1. 2015/05/10(日) 17:13:52 |
  2. URL |
  3. 大海彩洋
  4. [ 編集 ]
細やかな高野山レポ、楽しませていただいております。
ゆささんの旅はいつも中身が濃いですね。しかも今回は宿坊泊まり。ゆっくり高野山を満喫された御様子、楽しく拝読しました。
でも、その翌日の宿泊がカプセルホテルとは! いえ、私もつい先日京都に泊まったのですけれど、宿を探すときに結構「カプセルホテル(女性可)」というのを発見して、時代も変わったんだなぁと思いました。そうかあ、こんな感じなのですね。

宿坊は私も以前(って、大学生の時だ!何十年前?)永平寺に泊まったことがあります。失礼な宿泊客だったろうなぁ~。冬だったので、朝の座禅にお勤め、恐ろしく寒かった。でも宿泊施設はとても快適な場所でした。
精進料理、本当にあれこれ工夫されていて美味しそうです。食材が限られているので、単調な味にならないように味には拘っておられるのだとか(でも、結構味も濃く油も使っているので、カロリーは高いから高血圧や糖尿病の人には向かないんですって^^;)。でも、大事にいただくという気持ちにさせてもらえる、素晴らしいお料理ですよね。

しろあり塚~^_^; 私も見ました~。「やすらかにねむれ」……^^; そうそう、宗派問わずにお墓をつくって祀りましょう、というわけなんですよね(?)。でもやっぱり笑わずにはおれない……
このお墓たち、本当にそこにその歴史的有名人が葬られているわけじゃないけれど、ちょっと楽しいですよね。あ、お墓に楽しいは不届きですけれど。
こうやくんもいっぱい、ねこさんも可愛くて(ふてぶてしくて?)、お写真もみんな楽しませていただきました。

そして、魔女展。おぉ~、怖そうです。宣伝を見たことがありますが、ちょっと気になったものの、痛そうなのが苦手なので断念しました(@_@) でも思えば「悪いことは何でも魔女のせいにする」って今の「妖怪ウォッチ」と一緒だなぁ。音声ガイドが蔵之介さんというのが面白いですね。でも最後はほっと一息な構成になっていると聞いて、ちょっと安心しました。
ゆささんの旅、まだ比叡山があるのですね。何と複雑な、じゃなくて、濃厚な旅。続きを楽しみにしています。

Re: タイトルなし

  1. 2015/05/11(月) 21:53:32 |
  2. URL |
  3. ゆさ
  4. [ 編集 ]
> 大海彩洋様

ふおおこんな長いの読んでくださってありがとうございます!
宿坊、朝のお勤めに精進料理も初めてでしたがとてもよかったです^^
カプセルホテルは前から泊まってみたくて、でも今回のところは割と広い方ですね、
もっとカプセルっぽい場所もあるみたいで興味あります。

永平寺ーーいつか行きたいお寺です、しかも冬って!寒そう!
冬のお寺ってきれいでしょうね~寒いと思いますが。。でも見てみたい。
精進料理、言われてみれば色々な味でした…カロリー高いんですね(゚Д゚)初耳です。
普段からごはんは残さずいただいてますけども、お料理も小僧さんのお給仕もすばらしくて
より大事にいただこうって思いました。

しろあり塚、ちょっと、衝撃でした^^;
楽書塚とか微笑ましいのもあって何もかも供養してくださる空海さんの懐深さ。。
奥の院は色んな人たちの供養塔をお参りするだけでも行く価値ありますね。
こうやくんに猫様とかわいいひとたちにも巡り合えて高野山ほんといいとこ!

魔女展、不気味で怖くて勉強になりました~あまりこういう展示見かけないので行ってよかったです。
ウォッチ!言われてみれば!
病気を引き起こす妖怪や神様みたいな感じで魔女や悪魔も見られていたのかな…。
妖怪はお祓いすればいいですが魔女は実際の人間が排除されたわけですよね。こわ。
蔵さんの音声ガイドも最後の漫画家さんたちのパネルもすごくよかったです!

比叡山レポ、これから書きます~長いですがよかったら見てやってください☆
 
 管理者にだけ表示を許可する
 

trackback




カレンダー

09 | 2023/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

プロフィール

ゆさ

Author:ゆさ
猫に熱烈な愛をそそぐ本の蟲
歴史やアートも溺愛中
最近は新幹線とシンカリオンも熱い
*twitterにも出没なう。→こちら

初めての方はブログご案内をどうぞ。
当ブログはリンクフリーです(宗教、アダルトサイトは×)。
文章や画像の加工、無断転載は禁止。
版権元の企業や団体とは一切関係ありません。

All Rights Reserved.
No reproduction or republication without written permission.
This blog is written only in Japanese.



にほんブログ村 イラストブログ オリジナルイラストへ
にほんブログ村 歴史ブログ 日本史へ


☆気が向いたらクリックお願いします

FC2カウンター

キリ番踏んだ方、報告いただければイラストのリクエストを受け付けます☆詳細はブログご案内をどうぞ。

「小倉百人一首」

問い合わせ先

月別アーカイブ

検索フォーム

« 2023 10  »
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

ブロとも申請フォーム

QRコード

QRコード