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女性画家の展覧会をはしごしてきました☆
山種美術館と実践女子学園香雪記念資料館の連携企画が渋谷・恵比寿で開催中なのです。
最近はこういう企画がだんだん増えてきてうれしい。

まずは渋谷の実践女子大学へ。「華麗なる江戸の女性画家たち」展を開催中でした。
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入口の警備室に声をかけて、入場許可証をお借りして中に入りますと
1階に香雪記念資料館があり展示室になっています。
この資料館、前は日野キャンパスの方にあってわたしも数年前に訪れたことがあるのですが
現在は渋谷キャンパスに移転したそうです。
去年開館したばかりとのことで、とてもきれいでした。
何より無料で鑑賞できるのがうれしい+゚+。:.゚(*‘∀‘*).:。+゚ +゚

展示室は1フロアのみでそんなに広くないですが、内容は充実していましたぞ(^ω^)。
入ってすぐに、林丘寺宮光子内親王が描いたと伝わる「関帝図」が迎えてくれて
めっちゃくちゃカラフルで関羽そのものも貫録十分の風貌でした。美髯公かっこよす!
関帝という画題は日本では18世紀前半くらいから流行し始めますが、
この絵は17世紀後半に描かれた可能性があるらしく早い時期の絵なのですね。
平田玉蘊の「美人図」に寄ったら砂粒のような何かがキラッと照明に光って
なんだろうとよく見たら全体に雲母が散らしてあってすごくきれい。
清原雪信・春信親子は前から大好きな画家でして、
今回は親子それぞれの花鳥図屏風が並べて展示されていて見比べることもできました。
お母さんは松をどっしり描いた落ち着いた雰囲気で鳥や雪の輪郭をぼかし、
娘は植物も鳥も輪郭をしっかり描いてましたね~あと落款がペンで書いたみたいに細かった。
雪信は他にも、菊慈童図は雲に隠れた松の根元でゆったり座る菊慈童が優美だし
紫式部図は水を打ったような静けさが感じられて均整がとれている。
あの格調高さと優雅さは、師匠の狩野探幽の影響もあるだろうけど
何よりも本人の技術と意識の高さだろうな…。
ほんとこんな絵を描く人がかつて存在していたなんて奇跡のようだ、見とれた。

織田瑟々は初めて知った画家ですが、須磨桜真図の鮮やかなピンク色の桜がとても美しくて
この人の絵をもっと見たくなりました。
ぐぐってみたら桜の絵をたくさん描いた人らしいです。好きな花だったのかな^^
池玉瀾の遊び心が楽しい~。
風竹図扇面は風にそよぐ竹林の間に、漁楽図は松の葉っぱの中に
それぞれ「松風(玉瀾の別号)」の遊印が隠れているという趣向がおもしろいです。
まるで印が生きていて隠れんぼしてるみたいに見えるのが玉瀾の人柄をしのばせるようで、
何だかほのぼの(´ω`)。
亀井少琹の墨竹図は掛軸のど真ん中に黒く細く生える竹が1本、手慣れたタッチで描かれて
奥に灰色がかった竹を薄墨で表現していて奥行きがあって
どこまでもどこまでも竹林が続いていくような印象。
特に手前の竹は、想像ですけど一気に線を引いたようなタッチ。彼女かなりの手練れですぞ…!
江馬細香は、雪中生筍図が國枝氏という一家の繁栄を竹と筍になぞらえて描いていて
四君子巻が細香の小品をまとめたもので本人による画力を戒める詩もついてるのですが
それぞれ細香が71歳と72歳の作品とキャプションにあって腰が抜けそうになった。あなた何者。

梁川紅蘭の秋卉舞蝶図は友人のために紅蘭が絵を描き、夫の星巌が賛を入れています。
中央の秋海棠がきれいな赤紫で、まわりに舞う蝶はとても写実的な細かさ。
紅蘭は蝶を描くのが得意だったようです。さもありなん。
(余談ですが秋海棠と聞くといつもぼく地球を思い出してしまう^^;)
林幹々の雪景楊柳図は、水辺に浮かぶ島も背景の山も雪が積もった真っ白な景色を描いていて
柳がしどけなく下がっているのが静けさを感じさせました。
夫の谷文晁による江村晩晴図も並んでいますが、文晁が島の木々を点描でごつごつ描くのに対し
幹々はきっちり縁取りしているのが対照的。
さらに隣に並んでいた文晁の妹・舜英の山水図は文晁そっくりのタッチだから
彼女はきっとお兄ちゃんから絵を習ったのだろうな…。

展示室の隣の部屋には下田歌子記念室があって、
こちらにも女性画家の作品がいくつか展示されていました。
下田氏は学校を開くのとほぼ同時に女性芸術家の作品を集めて研究もしていたそうです。
(ご本人が岐阜出身ということで、同郷の江馬細香と梁川紅蘭を特に研究されたらしい)
野口小蘋の海棠小禽図は、花が満開に咲いた海棠の枝にシロガシラがとまっている
大変きれいな絵です。
菊が描かれた扇を手にした下田氏の写真が展示されていたのですが
扇に「小蘋女史画」と署名があり、学校との交流をしのばせますね。
甲斐虎山・和里子夫妻の豆画帳、つまり豆本サイズのスケッチブックが超かわいかった☆
教員をやめて旅行をした際に描きとめた本だそうで全部で4冊、
松島、日光など景色のほかに眠り猫や蕨など小さなものも。
角がちょっとこすれてるのが、鞄に入れて持ち歩いた痕跡のようで微笑ましい。
この本は旅をしたんだなあ。

内親王や町絵師、趣味としてたしなんだ人まで様々な女性が絵を描いていた江戸時代。
特に町人女性の作品は残りにくいので、こうして残してくれた人たちにも感謝です。

香雪資料館から山種美術館へは徒歩10分くらいなので歩いていったのですが
國學院大学の前で渋谷氷川神社を見つけたので寄り道~。
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なんかムキムキの狛犬さんがいました。浮き出たあばら骨がリアル。
(金剛力士は武器を使わず、鍛え抜いた肉体と素手のみで仏敵を追い払うと聞きますが
狛犬にも格闘タイプっていたりするのだろうか)


さて、山種美術館では「上村松園と華麗なる女性画家たち」を開催中でした。
さっきは江戸時代の画家たちでしたが、こちらは近代の画家たちの絵が展示されています。

今年は上村松園の生誕140年ということで、
今回の展覧会では山種コレクションの松園18点が一挙公開されています^^
簾の間から蛍をながめ、傘をさして雪の中を歩き、歌を詠み本を読み、針に糸を通す姿まで
様々な女性たちが見られますぞおおお最高にハイってやつだアアァァァアアΣd(//∀//d)オウイエッ
「蛍」「新蛍」など蛍と女性を描いた大きな絵が入口で迎えてくれて、
最初に展示されていたのはたまたまかもしれないけど初夏の展覧会って感じ。
肌や着物が簾の向こうに透ける図は松園さんの真骨頂ですな!
息子の上村松篁さんによると、京都の上村宅の近くには蛍が生息していて
家に入ってくることもあったとキャプションにありました。
簾や蚊帳にとまる蛍を松園さんは何度もご覧になって絵にされたのでしょうか^^
謡曲を題材にした「」のすっくり立つ女性の緑の着物がきれいで
裾から覗く柄入りの着物が派手な赤色で目を引きます。前にも見たけどやっぱり名作。
詠哥」は歌を、「つれづれ」は本を読む女性の絵で
つれづれの女性の本の表紙は見えないんですけどタイトルから徒然草かなと想像したり。
「杜鵑を聴く」は折から聴こえた鳥の鳴き声にふと耳をすます何気ないしぐさが優美で
絵の中から本当にケッキョキョケキョキョと聞こえてきそうだった。
春のよそをひ」「夕照」あたりはなんだか歌麿や清長の錦絵を思い出させて
松園さんこんな絵も描くんだなあ…。
「盆踊り」は正方形の紙に踊りに興じる2人の人物を描いていて
立兵庫の女性と傘を被った男性が楽しそうで、
こちらも松園さんにしては珍しく文人画のようなタッチで動きが感じられておもしろい。
隣には上村家から山崎種二氏(初代山種美術館長)に送られたハガキがありまして
(山崎氏は同時代の芸術家の作品を積極的に購入し応援した人です)、
一通は事務的な挨拶状、もう一通は東上之節への招待のお礼状とのことでした。
両方とも達筆すぎて全然読めなかった(≧∀≦)画家の字って書家とは違う意味でアートだと思う。

風景画もすごい。
奥原晴湖の「文人寄書」は本人を含む5人の画家による合作で、
机と文房具を晴湖が描き、野菜や仏鉢などを男性(の知り合い?弟子?)が描いていて
水墨画で静物画?なおもしろい絵です。
ラグーザ玉の「蘭図」は油彩画で色鮮やか。
河邊青蘭の「態濃意遠図」がすごい、掛軸いっぱいに無数の女性たちがいーっぱい!!
お茶飲んだり囲碁打ったり舟やブランコに乗ったりと、みんなこけしみたいなかわいさです。
紅白冨貴図」も「松陰楼観図」も岩がすごい青色と緑色。
わたしこの画家初めて知ったんですけどいっぺんにファンになってしまった…かっこいいわ…!
野口小蘋の「上巳雛祭図」が、遊びに興じるのは子どもたちだけではなく
人形たちだって遊ぶんだなあと微笑ましく鑑賞。
「芙蓉夏鴨」はつがいの鴨を描いていて雄の美しさやばい、緑色の頭も紫色の羽もきれいだった。
箱根真景図」は六曲一双の屏風で箱根権現から富士山をのぞみ、
手前に大きく芦ノ湖が広がっている雄大な屏風です。
そのうちここに第3新東京市が埋まるのだとつい考えてしまってわたしはもうだめだ。

そういえば1890年から帝室技芸員制度が始まり79人が任命されていますがほぼ男性で、
女性は1904年に57歳の野口小蘋が、1944年に69歳の上村松園が任じられていますね。
(技芸員制度は戦後に廃止されている)
女性で初めて文化勲章を受章したのは松園で、小倉遊亀、片岡球子も受章していたはず。

人物画もすごい。
河鍋暁翠の「紫式部図」は石山寺の月を見上げて物語を着想するよくあるテーマですが
上の着物が下の着物に透けていたり式部のすうっと細い目が美しくてひきつけられた。
伊藤小坡の「鶴ヶ岡の静」は小さな掛軸ですけども
よーく見ると静の憔悴しきった表情や乱れた髪や透ける緑色の着物、
静の周囲に咲き乱れる藤の花が細か~~く描きこまれていてゾクゾクってした。
「虫売り」は虫を売る行商を描いていて、喜んで遊ぶ子どもたちの隣で
虫かごに虫を入れる女性の黒い着物のグラデーションが美しすぎて倒れるかと思いました。。
しかも紫色の頬かむりをしたその人はうつむいてて表情が見えないときているから
さっきよりももっとゾクゾクってしたよね…。
小坡は伊勢の猿田彦神社に生まれ育ちお祖父さんや伯父さんと一緒に絵を楽しんでいたそうで、
京都の上村松園とも交流があり2人が画材を挟んで向かい合う写真も展示されていました。
まじめな松園さんと、ちょっと微笑んだ小坡がステキ。
生田花朝の「遣唐使」は○く切り抜いた紙に渡唐中の遣唐使船を生き生きと描いてて
画面は明るいし遣唐使はお酒飲んでるし結構、呑気なのがいいなあ。
花朝は郷土芸術家で、この絵の船も出身地である大阪・難波津から進発した設定だそうですね。
片岡球子の「北斎の娘お栄」が、煙管を立ててポーズ決めてて超かっこよすぎた、
先日に映画『百日紅』を見たばかりでしたからうれしかった~^^
そして北沢映月の「想(樋口一葉)」が!教科書や資料集で何度も見たあの絵があった!!
一度も本物を見たことなくて、しかもまさかあるとは思わなくて素でびっくりしてしまった、
「十三夜」のお関、「にごりえ」のお力、「たけくらべ」の美登利の3人をバックに
こちらをキリッと見据える一葉…かっこいいよ一葉…。

小倉遊亀の「舞う」は芸者と舞妓の舞踊姿が大きな絵にされています。
実際に先斗町の女性たちに取材したそうで、
画家と芸者さんたちが一緒に映った写真も展示されていました。
芸妓の留袖をきゅっとしめたポーズ、舞妓の振袖がふわっとしてる動きすばらしい~☆
遊亀は「こんな立派な人物画がうじゃうじゃある時代って悲劇にも程があるけど
でもだからこそ描きたくなる」的な内容の文章を書き残しているとキャプションにあって
うおおわかるわ~~~って壁ダァン!て叩きそうになった。。
今まで見てきた展覧会やテレビ番組や本や、雑誌の表紙やCDジャケットやお店の看板やスマホの中に
すばらしい絵やデザインがあふれていてどうしたってかないっこないのに
なぜか描きたくなっちゃうんですよね…。
わたしもやってみたい、こんな絵描いてみたい、もっと違う絵描きたい、みたいな。絵描きスピリット。

帝室技芸員や職業画家、アーティストとして描く女性が次々に輩出された近代。
社会史から見ると暗黒の時代ですがこんなに美しく力強く絵を描く人たちがいて
描ける環境があったことも(努力して作り出した人もいたでしょう)本当によかったと思います。
そういうとこも感動しまくって数たくさん見て脳内タイムスリップしたり胸キュンしたりしたから
展示室を出たときは頭パンパンでチベットスナギツネみたいな顔になったよね。
日曜美術館のアートシーンでも放送されたみたいだし、午後に訪れたせいもあって
会場はかなりの混雑で絵の前に出るのが大変でしたが、この内容じゃ混むよなあ…。
何より美しい着物がたくさん見られるってことで来館を即決した人の数が
一瞬にして跳ね上がったんじゃないだろうか。
というのは、わたしもその1人だからね。
(そういえばそろそろ着物の衿とうなじの相乗効果について考えねばならぬ季節の到来だ)

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山種さん恒例、展覧会オリジナル和菓子をカフェでゲット。
両方とも上村松園の絵をイメージしたお菓子で、左は「ぼたん雪」で傘に積もる雪を、
右は「初ほたる」で団扇と簾と蛍だそうです。
ほたるのお菓子は切ったらグリーンの柚子あんが入ってました!美味(´▽`)。

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この日のランチ。恵比寿駅近くにあるピザ屋さんでいただきました。
レタスたっぷりの野菜ピザで結構大きいのに500円ですよ500円!ワンコインピザ!
しかも目の前にある大きな石窯で焼いてくださるんです~~~ギガウマス(゚∀゚)☆
他にも色んなトッピングがあったので、また行きたいと思います。


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「風神雷神図屏風Rinne」光琳・乾山編その5。4はこちら
鳴滝の乾山宅近くにある妙光寺に、宗達の風神雷神図を見に来た光琳。
ゆっくり見るつもりでしたが、風雷がさっさと陣取ってしまい離れてくれません。
乾山「ずっと見てるね」
光琳「んー」
乾山「うれしそうだね」
光琳「自分らだと思ってるんじゃねぇの。よーし、描くぞ」
乾山「今から!?」
光琳「もっと腕を上げてから」
乾山「…びっ…くりした」
光琳「なんだよ、それ」

風雷がなぜニコニコしているのか、2人にはわかりませんでした。

妙光寺は鎌倉時代の公卿・花山院藤原師継が亡くなった息子を弔うために
禅寺を建立したのが始まりです。(妙光は息子の幼名)
応仁の乱で一時荒廃しますが、建仁寺派となり1639年に再興されました。
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よりそう着物。

猫目線。

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