2016-01-09 (Sat)
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上野公園でミュージアム初めしてきました!本年は東博からスタートです。
写真は本館の正面にあった生け花。
お正月の風物詩で毎年楽しみにしています。松竹梅に南天など豪華。

まずは特別展「始皇帝と大兵馬俑」へ行きました。
会場入口に小篆のフォントで展覧会名がでかでかと書いてあってふおおってテンションあがった、
つまり始皇帝が声に出して読めるというわけですね。アツイ。
彼は国を統一するにあたり文字や貨幣、単位に至るまで統一をはかっていて
そのひとつ両詔権(分銅)は重さの基準になった分銅ですな。
表面には始皇帝が命じて長さや体積を統一させたことが刻まれていました。
半両銭や詔版などもきれいに残ってるものですね…。
(そしてこうして小国の文化は大国に淘汰されていくのだなと思いました。サムイ)

玉をさわれるコーナーがあって、掘り出したばかりの玉はごつごつザラザラしていますが
磨くとツルツルぴかぴかになっているのが体感できました。
上から光が当てられると緑色に美しく輝く玉は、こりゃ確かに宝物になるよなあ。
玉剣はそんな玉で作られたもので、秦より前の春秋戦国時代の制作のため多少くすんだ色ですが
それを収める金剣鞘は唐草模様のような透かし彫デザインが美しい。
取水口と水道管を見ていると、2200年前から水道管の形はあまり変わっていないようです。
現代まで通用する古代中国のインフラやべぇ。
始皇帝の乗る馬車を1/2サイズで再現した青銅製の銅馬車1号2号は儀礼用で
およそ6000もの部品で精巧に作られているそうです。
特に2号馬車は、皇帝が中で寝そべってもよいように広く作られているとか。
馬車もですが、車を引く馬に装着する金具のひとつに至るまで惜しみない品質と技術を投じていて
震えてしまう。

兵馬俑コーナーは広かったです!
阿修羅や空海と密教美術展のときみたいな、まずスロープの上から全体を見渡して
下へ降りてひとつひとつの俑とご対面できます。
日曜美術館で見たときも思ったけど顔や骨格が全部ちがうし結い髪や鎧やベルトまで細かく再現されてて
(跪射俑の靴の裏が見られたのですが滑り止めまでついてる)、
実在した軍団の兵士とかモデルがいるんじゃないかと思えるようなリアルさ。
何より皆さん、身長がとても高くてですね…!
展示台から下ろしても現代人の平均身長とそんなに変わらないんじゃないかという気がしました。
本当にあの身長だったのか、それともあえて大きく作ったのか…古代ロマンは尽きない。

将軍俑は知的な顔で百戦錬磨の傭兵っぽいなとか
騎兵俑と軍馬のペアや立射俑は軽装ですぐにパッと動けそうだなあとか
御者俑は立ったまま馬車を駆ったと聞いてバランス感覚に思いをはせたりとか
跪射俑はひざをついて遠くを見つめててこれ完全な攻撃態勢だなとか
雑技俑の首から上はどんなだったのかなとか
軍吏俑は似たような顔つきの人をキングダムで見たことあるなとか
とてもたのしくてグルグル360度回って堪能しました。
皆さん武器を持っていたと思われますが、現在は失われてしまっているようで
代わりに武器を装着したイメージ図がそれぞれの俑の隣に展示してあって弩級の巨大さに呆然としました。
騎馬俑はかわいすぎた!!!

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写真撮影コーナーもあって兵馬俑たちと一緒に写真が撮れます。
インスタにハッシュタグをつけてアップして8000体の兵馬俑坑をめざす企画もありますよ~。

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インスタ企画の説明パネルでめっちゃ笑った図(笑)。


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本館に移動~。
公開中の伯耆安綱、通称・童子切安綱に会いたくて来ましたよ!天下五剣!!
童子切の名前は酒呑童子の伝説と結びついてついたものとされていて
別にこの刀が酒呑童子を斬ったわけではないんだけど、
童子を斬ったとされる刀と同じ工房で作られたというのがドツボすぎて
人が少なかったのをいいことに延々と見続けてしまいました。
歌舞伎座で茨木も見られたし、今年は鬼に縁のある年明けとなりました。来月の節分も楽しみ^^

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三猿蒔絵印籠。
東大寺の良源が詠んだ「七猿歌」(三猿のもとになった歌)とともに
見ざる言わざる聞かざるが蒔絵で表現されています。

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ちょっとびっくりした耳長兎水滴(笑)。
水滴は墨をするための水をためておく容器で、根付がそうだったように様々な形のものが作られたとか。
でもこれは取扱いに気をつけたいですな、ってかどういうバランスだ!

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こちらは猫の水滴。丸まっててかわいい^^

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葛飾北斎「扇面散図」、最晩年(90歳)の作品だそうです。牡丹と朝顔があざやか。

そして。
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上野の森美術館の「肉筆浮世絵 美の競艶」展です~。
シカゴのロジャー・ウェストン財団から肉筆浮世絵がどっさり来日していまして
どの作品も保存状態が極めて良好で色彩も美しくて涙出そうになった。
ウェストンさん本当にありがとうございますー!!!
先月に前期展示、昨日に後期展示を見に行ってきましたので気になった絵の感想をまとめて書きます。

無款「京・奈良名所図屏風」、洛中洛外図と同じく鳥瞰図の屏風絵ですが
奈良の風景が描かれている大変めずらしい屏風だとか。
島の浮かんだ猿沢池、鹿さん、東大寺の大仏様は当時、大仏殿が焼けて吹きさらしになっていたことがわかります。
菱川師宣「江戸風俗図巻」は上野の花見、中村座の歌舞伎、隅田川と両国橋の風景など
当時の風俗が細かく描いてあります。
川下りをする屋形舟は船頭さんが屋根の上から漕いでるし
川涼みを楽しむ人々は囲碁や音曲に興じていてのんびりした雰囲気。
ほかにも宮川長春「路上風俗図巻」や鳥文斎栄之「七福神吉原遊興図」など、絵巻がおもしろかった~。
長春のは人形遣いや虚無僧、獅子舞、法螺貝など大道芸人や裏方の人々が描かれていて
栄之のは大黒天・恵比寿・福禄寿が吉原の大黒屋へ遊びに行く様子を長々と描いたもの。
大黒が乗った籠の上には打出の小槌、恵比寿の籠の上には鯛が乗っててすっごいかわいかった。
(福禄寿だけは特に持ち物がないからか簾が跳ね上げられて本人の姿が見えてた)

上方浮世絵の双璧もすばらしかったよ。
西川祐信の「観月舟遊図」は遊女たちが月夜に船を出して月見をする様子を描いた絵で
衣装に紅葉や萩が描かれていて秋のお月見というのがわかります。
3人とも前帯だから遊女かな…舟にかかる水流と波もクルクルしていて優雅です。
同じく祐信「髷を直す美人」はお着替えする女性の一瞬を切り取った絵で
絽の着物に透ける肌が色っぽくて体温まで感じられる。
"西川右京祐信画"の署名は住所までわかるお得感。(祐信は三条大宮の人)
月岡雪鼎「重陽官女図」は菊の節句がテーマで
十二単姿の女性が黒いお盆に菊の着せ綿を乗せて立っていました。
着せ綿は赤や黄色、白、茶色などカラフルで美しかった☆

宮川一笑の「七福神正月図」は三河万歳を演じる大黒と恵比寿が生き生きしてて
福禄寿の側に亀がいて空に鶴が飛んでいるというおめでたい絵。
同じく一笑の「鍾馗と遊女図」は、三味線を弾く遊女の後ろに隠れた子鬼を捕まえに来た鍾馗が
遊女に見とれて寝転がってしまったというストーリー性のある絵。
遊女と組み合わせた鍾馗の例は少ないとか。
川又常正の「祇園社 春の遊楽図」は祇園の感神院の花見の様子で
御簾の向こうに透けて見える三味線弾きの表現とか美しい。
歌川豊春「雨乞小町図」は旱魃のため小町が帝の命令で神泉苑にて歌を詠じたところ
歌の徳でたちまち雨が降ったという小町にまつわる7つの話のひとつを絵画化したもの。
詠じた歌は「ことわりや日の本なれは照りもさめ さりとてはまた天か下とは」。
雨乞小町は肉筆画では十二単、錦絵では当世風(江戸風)で描かれることが多いそうですね。
同じく豊春の「遊女図」は柱絵のような細い絵で顔は丁寧に、着物は荒々しい筆遣いで
皆川淇園の漢詩賛「世有大魔君廣布迷魂陣~」が入っていました。

喜多川歌麿「西王母図」は最近になって歌麿と鑑定された作品だそう。
錦絵のタッチとは違って観音様のような顔かたちの西王母だからわからなかったのも無理ないか…。
歌麿は鳥山石燕に習った人なので漢画も描けるんだよね~衣装のタッチとか狩野派そのままだった。
葛飾北斎「美人愛猫図」は猫を抱いた女性で
リアルにやったら首が折れそうなポーズなのになぜかすっきりバランスよく見える不思議。
同じく北斎の「京伝賛遊女図」は淡彩、筆のタッチがざくざく残ってて
たぶん下書きなしの一発描き。しかし立体的。はあぁ。
山東京伝の賛「根引の黄金ハ甘谷の菊水をはかり突出しの盃は隅田の諸白をくめり」は
遊女の張りと意地を垣間見るような言葉だな…。
「大原女図」は遊女図と同じく筆のタッチが荒々しく残ってまして
キセルをふかしてひと休みする女性の何気ない日常感が伝わってきます。

着物の柄に凝ったのが多くて、
奥村政信の「初代嵐喜世三郎」はキセルとたばこ袋の柄だし(東武大和画師の署名にプライドを感じた)、
歌川豊春の「狐忠信」は青い火の玉に車輪の衣装だし
鳥文斎栄之「遊女と禿図」の遊女は平安貴族の冠と梅の花。
同じく栄之の「佳人詠歌図」は出家した武家女性みたいに短く髪を切った女性で
着物に大きな松竹梅の文字がでかでかと染めてあった。
狂歌師の四方真顔による賛「松花園 花鳥の色音 残らすつけて行 荷物もきらくな はるの山姥」も雅な筆跡。
水野盧朝の「見立三酸図」の中央の女性は龍の着物に鯉の帯で登竜門着ちゃった感じ。
(太田南畝の賛が入った戯画ということらしい)
歌川豊広の「三味線を持つ芸者」に描かれているこたつ布団はツルバラのようなモダン柄でした。
渓斎英泉「桜下遊女図」は鯉の滝登りがでかでかと描いてあって
滝のしぶきを口に受けながらのぼっていく鯉が力強い。
あと、勝川春章の「納涼美人図」の女性が持ってたうちわに
團十郎の外郎売りみたいな役者絵が描いてあっておもしろかった。

クライマックスは河鍋暁斎「一休禅師地獄太夫図」と小林清親「頼豪阿闍梨」とワンツーフィニッシュでした。。
いやあ両方とも壁みたいに大きな絵だった。
地獄太夫図は暁斎の弟子だったジョサイア・コンドルのために暁斎が描き贈った絵で
かつてはコンドルコレクションだったものです。
しゃれこうべに乗って踊る一休、三味線を弾いて歌うガイコツ、その周りで踊るガイコツ、
一休に教えを受けたという地獄太夫の着物は地獄に落ちた七福神たちの柄。もはや戯画。
頼豪は平安時代中期に実在した、延暦寺に対する恨みから断食し命を絶った僧で
その後ネズミに変化し延暦寺の経典を食い破ったという伝説があるそうな。
月岡芳年が鉄鼠になった頼豪を錦絵に描いてますけど
清親は経典に噛みついた人間姿の頼豪vs祭壇の炎の中の不動明王、という図にしていました。
お不動が青色の体だった~。

絵もすばらしかったけど、掛軸ばかりなので表装も素敵でした!
懐月堂派の立姿遊女図は「壽」の字が絵の周りにぐるりと刺繍されているし
勝川春章の「美人按分図」は梅に松に波が絵画的に配置されていました。
図録からは全部省かれてしまっていてもったいない、掛軸は表装込みで美しいのだっ。
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