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ゆさな日々

猫・本・歴史・アートなど、好きなものやその日考えたことをそこはかとなく書きつくります。つれづれに絵や写真もあり。


足利と栃木と宇都宮。

  1. 2016/03/06(日) 23:56:47_
  2. 旅行
  3. _ tb:0
  4. _ comment:2
栃木県内をウロウロしてきました。
栃木県立美術館の「学芸員を展示する」展をどうしても見に行きたくて、
ついでに今まできっかけがなく行けていなかった足利学校に行こうと思って
合わせて計画したわけです。
…が、全然知らなかったんですけど足利と宇都宮って結構距離あるんですね…^^;
電車で2時間、車でも1時間半かかるとわかってくじけそうになりましたが
たぶんこの機会を逃すと次いつきっかけが来るかわからないのでえいやっと決行。
当日は曇りか雨と天気予報で聞いたので電車にしたら、結果オーライでした!(詳細は後述)

足利市駅から渡良瀬川にかかる橋を渡り10分ほどてくてく歩いていくと
古風な建物が見えてきます。
tochigi1.jpg
史跡・足利学校に着いた~!
写真は入口にあたる入徳門です。入学する人たちはみんなこの門をくぐって入ったのだな。

足利学校は奈良時代から建っていたとも、平安時代に小野篁が創建したとも、
鎌倉時代に足利義兼が創建したとも伝わり開創についてはよくわかっていないそうです。
戦国時代に関東管領だった上杉憲実が再興したあたりからは
はっきりした記録が残っているとか。
そんなわけで「日本最古の学校」「坂東の大学」とも言われています。
度重なる災害で何度か建て替えられ、現存する建物は江戸時代~近代の頃のものだそうな。
過去に訪れた著名人は林羅山、谷文晁、亀田鵬斎、梁川紅蘭、吉田松陰、高杉晋作、
大隈重信、井上馨、渋沢栄一など。江戸初期には天海が学んだという説もあるそうです。
現在は学校としての役割を終え史跡保存されていますが、
生涯学習の講座が行われるなど活用もされているようです。

(そもそもわたしがこの学校の存在を知ったのは政治経済史学所収の
「小野篁足利学校創建と承和の変」なる論文からでしてな…
篁の論文を片っ端から探していた時期に見つけて読んでみたら
どうにかして篁を創建者としたい理論が展開されていて(笑)すごい面白かった。
ただ、小野氏の子孫と伝わる人々が足利学校に寄付をした記録は残っているとのことで
やっぱり何らかの縁はあるのかもしれない)

tochigi2.jpg
学校のゆるキャラ・のりざね君。
校内の展示室に展示されている上杉憲実の像がモデルになっているそうです。
あっちこっちにいて施設案内や解説パネルで色んなことを教えてくれます。かわいい(*´∀`*)。
また、校内には憲実の顕彰碑も立っています。

tochigi3.jpg
入場チケット。入学証って書いてある(笑)。
というわけで入学してきます('◇')ゞサーイエッサ

tochigi4.jpg
足利学校の教育は論語が中心でしたので、
校内には孔子の像をはじめ孔子に関するものがたくさんあります。
こちらの孔子像は立ち姿。獅子と狛犬は首に鈴がついててかわいかった。

tochigi5.jpg
国内唯一といわれる「學校」の額が掲げられた門。
「学校」という言葉は孟子のなかに出てくるそうです。

以下、写真が多いのでたたんであります↓クリックで開きますのでどうぞ☆
 
 
 
tochigi7.jpg
学校門をくぐると字降松があります。
足利学校の七世庠主(校長)九華和尚の頃、学生が読めない字を紙に書いて枝に結んでおくと
次の日にふりがなや注釈が書き足されていたことから字降松と呼ぶようになったとか。
そばには「かなふり松質問箱」という、ポストのような形をした木もありました。
今も使われることあるのかな?

tochigi6.jpg
旧遺蹟図書館。
足利学校が所蔵する書物を収蔵しており、館内の見学や図書の閲覧もできます。
年1回、ここの図書館が所蔵する書物を虫干しする「曝書」という行事の様子が
ときどきニュースで報道されますね。
次は曝書の季節に来られたらいいな。

tochigi8.jpg
孔子廟。
徳川家綱の時代に建てられ、中には孔子像と小野篁像が安置されています。

tochigi9.jpg
廟のとなりに生える不断梅。
実が熟すことなく青い梅のまま冬を迎え、黒い実となり落ちることがないためそう呼ばれるそうです。
「落ちない」ということから学業成就のご利益があるとかで受験生などに人気らしい。

tochigi10.jpg
5分咲きくらいでした。きれい。

tochigi12.jpg
南庭園。
足利学校には方丈の北と南に池のある庭園がありまして
発掘調査と絵図の研究により、江戸時代中期の頃の庭が再現されているそうです。
巨石と松の木と水のハーモニーが美しく、風もなく静かな雰囲気でした。

tochigi11.jpg
萱葺屋根の方丈。儀式や年中行事などに使われたそうです。
つい先日、萱を葺きなおしたらしくとても綺麗だった。

tochigi13.jpg
玄関の屋根にある「學」の字のついた瓦。

tochigi14.jpg
宥座之器(ゆうざのき)。
真ん中にぶら下がっている壺のような器は空っぽの時は傾いていて
水をほどほどに入れると起き上がります。器いっぱいに入れるとひっくり返って水がこぼれます。
このほど良い水の量を「中庸」といって
「満ちて覆らないものは無い」という孔子の教えを形にしたものだとか。

tochigi15.jpg
室内は障子などがとっぱらわれ開放的。
学校の全体模型、庠主の座る椅子、徳川幕府歴代将軍の位牌などが並んでいました。
(足利学校の庠主は幕府の任命制だったらしい)
この部屋で勉強していた人たちがいて、今もときどきそういう人たちがいると思うと
ワクワクする~。
奥のテーブルには漢字試験問題が設置され自由に挑戦できるようになっていました。
(なお「足利学校は自学自習なので納得したら卒業です」とのこと)

tochigi16.jpg
方丈の北側にある庭園もきれい。
南庭園より格調高さがあり、亀の形をした中之島には弁天を祀る石の祠がありました。

tochigi17.jpg
方丈に隣接する書院は庠主の書斎だった部屋で、
現在は足利学校の歴史を紹介する展示室になっています。
(フラッシュを焚かなければ写真撮影可)
学校の起源にまつわる話や年表、上杉憲実による再興、校則や書籍の取扱い規則、
フロイスやザビエルによる記録、将軍家や近隣住民のために行われた年筮(1年間の吉凶占い)、
小さな孔子像、学校内で行われた発掘調査と出土品、所蔵する多数の書籍など
足利学校の全体像がわかる内容でした。

tochigi32.jpg
北条氏政の署名と虎の朱印が押された『文選』の奥付。
「平氏政朝臣」って書いてある!北条ではなく平!本気の署名だああぁあぁぁ(じたばた)
ちなみに印にある禄寿應穏の文字は「領民の禄と寿は北条氏が守るぜ☆」という意味らしい。

tochigi34.jpg
歴代庠主のお墓。僧侶が多かったことが一目でわかります。
名前が刻まれている人もいますが、半数近くが無縫塔だそうな。

tochigi33.jpg
井戸も2か所ありました。
学校生活で使われたのだと思いますが、どうしても篁を連想してしまう(笑)。


で。
足利学校を卒業(笑)した後は電車に乗って宇都宮へ移動しました~。
途中、栃木駅で乗換えだったのですが次の電車が来るまで30分ほど時間があったので
どこかで時間つぶしたいなァと駅の観光案内所のパンフレットなどを見ていたら
歌麿の夢散策マップ」なるものを発見。
そうだったそうだった、栃木は喜多川歌麿の出身地という説があるんだったとパラ見してみたら
駅から徒歩10分圏内にも行けそうなスポットがいくつかあったので思い切って行ってみよう!と
地図を片手にお散歩することに決めました。
電車で来てよかった!(゚∀゚)☆ たぶん車なら気づかず素通りしていた。

tochigi18.jpg
道路沿いに雛人形が並んでいたのでパチリ。
ここだけではなく数か所にわたり見かけました。この時期の風物詩なのかしら。
あとわたしを追い抜いていった路線バスの運転席付近にも内裏雛が見えてびっくりした。

tochigi19.jpg
歌麿スポットその1。歌麿通りと名付けられた道がある。

tochigi20.jpg
歌麿スポットその2。片岡写真館。
歌麿の雪月花を撮影したとされ「月」のガラス乾板が残されているそうです。

tochigi21.jpg
歌麿スポットその3。定願寺。
1879年に歌麿の雪月花の展覧会が開かれた場所だそうです。

本当はもっとたくさん回りたかったし何より開館したばかりの「とちぎ歌麿館」にも行きたかったけど
時間がないので泣く泣く諦めました。
よーし次に来たときはマップのスポット全制覇して歌麿館にも行くぞ~!

というわけで栃木駅に戻って、電車に揺られて東武宇都宮駅に到着。
県立美術館の周辺を調べていてたまたま見つけたスポット「六道通り」に
行ってみることにします。
tochigi23.jpg
六道閻魔堂。
六道の辻は全国各地にありますが、ここもそのひとつのようで
宇都宮の城下へ向かう6本の街道が交わる辻になっています。
六道閻魔堂は江戸時代に閻魔像を祀られたそうですが、
戊辰戦争で焼けてしまったので近代に建てなおされたとか。
扉には鍵がかかっていて中は見られませんでした。閻魔像は今もいらっしゃるのだろうか。

tochigi24.jpg
閻魔堂の近くには戦争で亡くなった幕府軍兵士たちの「戊辰役戦士墓」もあります。
戦死した官軍の兵士たちは新政府が供養しましたが、幕府軍の兵士たちは放っておかれたようで
住民たちが供養した後宇都宮藩主が合同墓地として建てなおしたそうです。

tochigi22.jpg
閻魔堂を管理している光琳寺にもお参りしました。
境内には水子地蔵や六地蔵さんがいらした。

tochigi25.jpg
歩いて栃木県立美術館にやって来たよ~!
開催中の企画展「学芸員を展示する」の鑑賞が目的です。

tochigi26.jpg
展覧会を見る前に併設のレストラン「つくし」にてランチ。
ここでは企画展に合わせて特別メニューを毎回作っているそうで
今回は「学芸員3Sのリクエストメニュー」。
県立美術館の新人・若手・ベテランの学芸員さんに美術館で食べたいランチを挙げていただき
チョイスして作られたとか。
チキンソテーはソースがぴりっときいて、スープは温かくて大変おいしゅうございました。

tochigi27.jpg
デザートのかぼちゃパウンドケーキとミルクティー。
ケーキはしっとりして甘さ控えめ、落ち着いた味でした☆

tochigi28.jpg
レストランの中にも雛人形がいた。

tochigi29.jpg
お腹がいっぱいになったので企画展を鑑賞します!
展覧会の企画運営から展示技術、作品収集、梱包、貸出、保存、調査研究、ワークショップなど
多岐にわたる美術館の舞台裏のお仕事について
美術館が所蔵する作品および関連資料とともに紹介するという、ありそうでなかった内容です。
鑑賞ガイドは14p図版入りで無料だし、音声ガイドも無料ですよ!なんという太っ腹。

タイトルから展覧会の企画や開催についての展示なのかなと勝手に思っておりましたら
「まず美術館をつくります」的な、栃木県立美術館の設計図や完成予想模型があって
そ、そりゃそうだ…ハコがなきゃ話にならねえ…!と、しょっぱなから度肝を抜かれました。
栃木県美あなどりがたし。
展示室とか収蔵庫、吹き抜けなど部屋の用途が細かく書き込まれた設計図や
建設中の写真もいくつかあってワクワク感が伝わってくる。
美術館入口にあるすずかけの樹は開館前から立っていて
正面玄関のミラーガラスに映りこむように建物の設計を合わせてあるとか。
展示されている模型にもミラーガラスに模型の樹が映りこんでいておおってなった。
tochigi30.jpg
こちらが実物のすずかけ。
今は冬なので葉っぱが散ってしまってますが、春には青々と繁るようです。
そんなこんなで開館した県立美術館の記念すべき第1回企画展示のポスターもあったよ~。
「栃木の美術展」ということで栃木県にゆかりの作家の作品展だったようです。

美術館ができたら、次はコレクション形成です。
どんな作品を収集しどんな展示に使いたいか考えながら、買い取ったり寄贈により収集したりします。
(美術館=作品を所蔵していることが条件で、所蔵しない建物はギャラリーと呼ばれる)
関連作品として、足利や栃木市出身の画家の作品がいくつか展示されていました。
購入作品の代表として高橋由一(下野国佐野藩出身)の「驟雨図」があり、
美術館40周年記念の基金により収蔵できたとか。
モネやターナーなどの作品も同時期の収蔵品だそうです。
また、美術館の2代目館長塚田泰三郎氏が支援した版画家・川上澄生の作品がいくつか。
「洋燈・女・猫」の版画は色を変えて3種類摺ったようで
5枚の版木も展示されていました。
「ゑげれすいろは静物」は英単語と、単語を意味する絵が描かれた手帳サイズの作品で
Armour、Boots、Chandelier、Dumbbell、Egg、Folding fan、Grape、Hideなどが
それぞれ版画で表現されていておもしろかった。

そうして収蔵したコレクションをデータベースに登録し、収蔵庫で保存するわけですが
美術品は時とともに劣化や損傷がおこりますので修復も必要となります。
関谷富貴の作品調査を行った際、菌の一種による紙の変色が作品の表面に多数あり
修復家に依頼して数年がかりで展示可能な状態まで直したそうです。
展示には修復前の白い点々がついたパネルと、晴れてきれいになった作品が並んでいて
一目瞭然でした。
また、古田土雅堂の絵画はカンヴァスの繊維をほぐしてつなげたという作業報告書が、
石川寒巌の掛軸は波のようにうねっていたのを表装を変えてきれいにしたという説明がありました。
tochigi31.jpg
美術館の外にあるリチャード・ディーコン作「カタツムリのように」。屋外展示作品です。
こちらも一度修復されたそうですが、巨大であることから重機を使って行われ
サビや汚れを除去するなど一大事業だったとか。
こうした地道な作業によりわたしたちはきれいな作品を今も見られるのだなあ…感謝しかない。

ちなみに。
作品の修復作業は、日本では修復家に依頼して行いますが
海外の美術館では館内に修復専門の職員がいて作業を行うことが多い、との解説もありました。
日本で修復専門員を抱えている美術館は国立系くらいじゃないかな…とても少ないはず。

作品を館外に貸し出す際の作業や、美術作品の運搬専門の業者さんについての展示も。
作品を貸しだす場合は状態報告書というのを作って
サイズや重さはもちろん、ここにシミや汚れがあるとか、黒い点がついてるとか細かく記録しておきます。
(ネットで中古品などを買う方は想像しやすいと思う…注意書きに美品、スレ、ヨゴレとか書いてありますよね)
国内では日本語、海外に貸し出す際は英語で作られていておお、なるほどって思った。
工芸作品用の木箱には布と梱包材が入っていた。

作品についての調査研究も学芸員のお仕事です。
ターナーの「風景・タンバリンを持つ女」の裏面には
ロイヤルアカデミーで開催されたターナー生誕200年記念展覧会のラベルが貼り付けてあるそうで
そういう部分から作品の来歴などが判明したりします。
また、額縁の裏側に綿のようなクッションがついていて
これは絵を壁にかけたとき壁を傷つけないようにするための工夫だとか。
(スタッフさんはこれを「ターナーの肉球」と呼んで時々さわっているそうな^^)
寄贈されたアーンズビー・ブラウン「九月の朝」などはキャンバスの裏に
かつて松方コレクションだったことを示すラベルが貼られていて、
それまでずっと行方不明だった作品だったことが判明したというドラマチックな経歴があるそうな。
また、作家の研究も大切な仕事で
このとき役に立つのが作品とともに収集された遺品などの関連資料。
清水登之や川島理一郎などの日記や手帳、スクラップブック、展覧会の出品目録などがあり
本人たちによる様々な記録を研究することで見えてくるものがたくさんあるんだろうな…。
面白かったのが、工芸品によくある籠の展示方法。
言われてみれば籠の前と後ろってどのように決めて展示するんだろうと思っていたのですが
刻銘があればそこを左にして展示するそうです。
百聞は一見に如かずということで、飯塚琅玕斎の花籠がそのように展示されていました。

いよいよ展覧会を作るお仕事について。
企画書を書き、展示構成と方法を決め、作品を搬入し、キャプションによる解説をつけ、
チラシやチケットやポスターや図録などの印刷物を作成し広報を行います。
例として「学芸員を展示する」展の企画書や展示室のライティングの例、
工芸品や掛軸の展示方法、広報物のデザイン作業に使われるものなどが紹介されていました。
アンディ・ゴールズワージーの「ふたつの秋」展の開催に至るまでの道のりが胸熱で、
ゴールズワージー氏は自然や森の中にこもって制作する作家さんで
展覧会開催にあたり栃木の足尾で制作が行われた際は学芸員さんも一緒に山にこもったらしい。
展示されていた写真作品は足尾の庚申川渓谷でカエデの葉をワーッと投げる作家本人の姿が
9枚のパネルで表現されていました。
作品と展覧会を作家と一緒に作るっていいよねえ。

ライティングはひとつの油絵を白熱球で、もうひとつはLED照明で照らしてあって
赤みがかって見える白熱球に比べLEDはすっきりして見えました。
栃木県立美術館はすべてLED照明に切り替えてあるそうです。
また、照明を当てる角度も計算されているようで
菊池武彦「線の気韻」のような岩絵の具が使われている絵は
絵の具に含まれるキラキラが光って見えるようにしてあったり、
戸谷成雄「森」のような岩彫刻の立体作品は角度によっては影ができてしまいますので工夫するとか。
掛軸は作品によって大きさも様々なため、
たとえば小堀鞆音「天神図」(梅と道真がかわいい)はそのまま垂らしますが
荒井寛方「摩利支天」(赤い衣をまとった勇ましい女性像だった)のような大きな作品は
下部分が展示ケースの床についてしまうので軸受という道具を使って作品が傷まないようにしてあった。
すべての掛軸に災害対策として跳ね上がりバネをつけ地震に備えるそうです。
屏風や工芸品も免震台の上に乗せテグスなどをつけて固定しますが、
栃木県立美術館が多く所蔵するマイセンの陶磁器はテグスをつけると傷ついてしまうため、
免震台のみで展示せざるを得ないようです。
ひとつひとつの作品ごとに展示方法は異なりますし
保存をとるか災害対策をとるか、正解はないですからたくさん考えるのだろうな…。

印刷物の制作は図録の表紙や中味の作成およびチェック、チケットの色校、
デザイナーが色指定に使う色紙などのお仕事道具の展示も。
tochigi35.jpg
撮影可能エリアにあった「学芸員を展示する」展のポスターの刷版。
蛍光塗料の発色をよくするために2度刷り重ねたなどの工夫がみられ、
遠くからも目を引く色だなあと改めて思いました。

tochigi36.jpg
ガラスによる作品の見え方の違いについての紹介。
写真だとわかりにくいですが、普通のガラスだと青みがかって見え、
ミュージアムガラスは高透過のため色がきれいに見えて
低反射ガラスはどんなに近づいても鑑賞者の姿が映らないというスグレモノ。
音声ガイドでは「本当は低反射ガラスを使いたいけど普通ガラスの3倍のお値段なんです…」と
切実な思いが語られていました。。

tochigi37.jpg
展覧会の最後にワークショップのコーナーが。
絵画作品のパネルをどの高さに展示するかやってみるのや
展示作品を見て読み札をインスピレーションで作ってみるのや
絵画のシールを貼りつけて展示室をつくるの、など。
できあがった作品は学芸員さんが壁に貼ってくれます。レッツチャレンジ!

うおおおぉお仕事展覧会たのしすぎた~!
何となく知っていて改めて驚いたことや、うおおそんな方法が、そこまで考えてるんだ!など
半分以上感心しっぱなし。
たぶん展示内容よりももっと膨大な業務と多様な例外があるのだろうなと思うと
学芸員さんの毎日ってほんとにフレキシブルだなあと。
たくさんの人の手を経て展覧会は開催されるし作品保存も行われているわけで
それを具体的に視覚化してもらってすごく勉強になりました。
ビバ学芸員!
あ。学芸員についてもう少し詳しく知りたい方は『美術館の舞台裏』や
『美術館のなかの人たち』や『美術館で働くということ』などがオススメですよ~。


tochigi38.jpg
バスで宇都宮駅に着いて、真っ先に向かったのがここです、餃子のヴィーナス像(笑)。
ずいぶん前にブロともさんに教えていただいて、宇都宮に来たら絶対見なきゃと思ってて
ようやく念願かないました。
思ったより餃子だった…!
ボッティチェリのヴィーナスとポーズがそっくりですが、こちらは歌うように口を開けているのだね。

この後は電車に乗って帰りました~。
朝からたくさん歩いて色んなもの見て、とても充実した1日でした。
次いつ行けるかわからないけど、帰りに宇都宮駅のケーキ屋さんで見たケーキがすごくおいしそうで
買って帰ろうかとも思いましたがこれから2時間近くかけて帰るのを考えると勇気が出なくて
結局諦めて帰って来てしまったけどやっぱり買えばよかった、
ので、また行きたいです栃木!次はケーキ持って帰ってくる!ぞ!!(オチがひどい)
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comment

NoTitle

  1. 2016/03/09(水) 07:52:04 |
  2. URL |
  3. クマ社員
  4. [ 編集 ]
足利にも宇都宮にも行った事がありますが流石に両方を一気に巡ってしまわれるとは…^_^;
宇都宮は餃子目当てで、足利は渡良瀬橋の袂で森高千里さんの名曲を聴く為だけに…ネタ以外の何物でもない勿体無い訪問をしていまいました。

Re: NoTitle

  1. 2016/03/11(金) 20:54:45 |
  2. URL |
  3. ゆさ
  4. [ 編集 ]
> クマ社員様

距離的に普通は別々の日に行きますよね。
やってみたらできてしまいましたが、帰宅したらクタクタでした^^;

宇都宮の餃子やっぱり食べた方がよかったかなあ~!
> 渡良瀬橋の袂で森高千里さんの名曲
森高さんの歌に渡良瀬!?知らなかった、ぐぐってきます☆
 
 管理者にだけ表示を許可する
 

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